音にこだわれ

予想通りずいぶん遅くなってしまったが、
ついに第3回となった「音にこだわれ」。
今回は、今や一種の流行となっているホームシアターについて
きっちり、こと細かに、明確に、華麗に、すばやく、快適に説明していこう。


第3回 ホームシアター

ホームシアター?なんですか、それ?
ホームセンターの間違いじゃないの?あの生活雑貨とかいろいろ売ってるとこでしょ?
・・・と、思った人いますか?
そうですか。みんなそう思ってたんですね?
いや〜、よかったですな。今回これを読まなかったら大恥じかいてましたよ。

ホームシスター。そうです。
その名の通り、家にいるシスターのことです。
おっと!
ヤバイヤバイ。1文字間違えました。
あやうくヤバイ話になるところでした。
悪い癖ですな。すまんすまん。

ホームシアター。そうです。
家の映画館です。
わざわざ映画館まで行かなくても自分の家が映画館なわけです。
便利ですね。これが流行したら映画館はどうなるんでしょ?
だれも行かなくなるよね。あらら。かわいそうに。
というようなことは、まずありません。
要するに、自分で自分の部屋を映画館みたいにしようということが
ホームシアターの真髄です。
映画館みたいにするっていうのは具体的にどういうことなのか?
映画館を想像してください。
デカイ画面。迫力のある音。真っ暗。たくさんあるイス。一番前に座ると首が疲れる。
立ち見はつらい。おかしを食べると音がうるさい。売店で売っているモノの値段が高い。
前の席に座っている人がジャマ。つまらん映画だとよく眠れる。

以上のことが思いつくはずです。
でも、これらすべてのことを自分の家で再現してもアポです。
イスをたくさん用意しても意味ないし。売店を用意してもだれが買うんや?
だから、まあ、必要なものは大画面と迫力のある音です。他はここでは却下。 っていうかいらない。
しかも、このコーナーは音にこだわれなので大画面についての内容にはふれません。
というわけで、映画館並の音を実現しようというのがホームシアターのメインなわけです。

音。
音を出すのには何が必要でしょう?
声帯ですね。これがなくてはしゃべることができません。
まずはこれを用意しましょう。
おっと、すまんすまん、これは人間のことでした。

音。
音を出すのには何が必要でしょう?
スピーカ、アンプです。
これがあるだけで、とりあえず音を鳴らすことはできます。
ソースとなる、CDやDVDは別に必要となりますけどね。
でも、スピーカとアンプってよく耳にするけど、具体的にどういうものなのかを
聞かれると返答に困ってしまう人も多いでしょう。

アンプは音の信号を調整し、増幅してスピーカに送るもの。
スピーカは送られてきた音をできるかぎり忠実に出力(音を出す)するもの。


ここではそう考えてもらってOKです。
要するに、スピーカだけでは何も音は出せないし、アンプだけでもなにもできないってこと。

アンプには主にプリメインアンプというものとAVアンプというものがある。
プリメインアンプというのは、音の信号を2ch(2チャンネル)にわけて出力するものであります。
つまり、スピーカが2つあればよいというわけです。
これはCDなどの2chのデータを再生するためのものであり、ずいぶん昔にステレオと呼ばれていたものに近いものです。

そして、最近流行になっているのがAVアンプ。
プリメインアンプが2ch再生のものであったのにたいして、AVアンプは5.1ch(6チャンネル)の信号にわけて出力するものであります。
しかし、最近よく聞く、この5.1chっていったい何なのだろうか?

要はスピーカの数です。

メイン左スピーカ(前方左)
センタースピーカ(中央)
メイン右スピーカ(前方右)
リア左スピーカ(後方左)
リア右スピーカ(後方右)


これら5個のスピーカと、
ウーファと呼ばれる低音のみの再生をするものを加えて
6個のスピーカを使用します。
ではなぜ5.1chというのだろう?
それはウーファは低音しか出力しないので1つ分のスピーカとしては数えずに
0.1個分のものとして数えるからです。

5個のスピーカ+1個のウーファ=5.1ch

というわけです。
しかし、ウーファは0.1個分としか数えられないから、
必要ないんじゃないかと考えてしまいがちですが、
このウーファがある場合と、ない場合では音の迫力が全然変わります。
だから0.1だからといって、あなどってはいけません。重要です。

どうです?5.1chについてはもう完璧になりましたか?

自分の周りに5個のスピーカと、ウーファを配置することによって、
立体的な音の世界を作り上げて、まるで映画館にいるかのような感覚を実感できるから
ホームシアターなわけです。
でも注意が必要です。
スピーカとウーファを逆に取り違えて1.5chにしてしまう人がいます。

メイン左ウーファ(前方左)、
センターウーファ(中央)、
メイン右ウーファ(前方右)、
リア左ウーファ(後方左)、
リア右ウーファ(後方右)
そしてスピーカを1つ。


こういう組あわせを1.5chといいます。めったに聞くことのない言葉です。ていうか聞きません。
まわりからは常に低音ばかりが鳴りつづけ、高音域の音はほとんど消されてしまうという現象が起こります。
まさに低音地獄。体調をくずすのであまりやろうとはしないほうがいいでしょう。

いい忘れましたが、AVアンプの全てが5.1chというわけではありません。
高級なアンプになると6.1ch7.1chという出力にも対応しているものがあります。
まあ、今回は、これについてはこれ以上詳しくいいません。

では、5.1chの音ってどうやって聞くのだろうか?
CDやMDを聞いても、これは、もともと2chのデータとしてしか保存されていないので
例え5.1chをそろえても5.1chで聞くことはできません。つまり、2つのスピーカからしか聞けないということです。例外はありますけど。

そこで登場したのがDVDです。
DVDには5.1ch用に音声が保存されています。
要するに、DVDで映画を見たときに、そのシーンでの後ろからの音は、リアスピーカからのみ音がでて、
そのシーンでの右全方からの音は、右のメインスピーカから音がでるわけです。
つまり、そのシーンごとに、独立してそれぞれの位置の音が収録されているわけです。
独立して収録されている。これがすごいことなんです。
これは実際に聞いてみないと分かりませんが、まるで自分が映画のシーンの中にいるかのような錯覚を感じるくらいに
立体的で臨場感のある音を楽しむことができます。マジですごいです。1度聞いてみてください。

先ほど、DVDには5.1chの音声が独立して収録されているといいましたが、
それには形式があります。
DVDの標準として収録されている音声の方式を「ドルビーデジタル」といいます。
これは通常の音声の信号を10分の1に圧縮することによって独立した音声を収録しているものです。
しかし、DVDはすべて5.1ch用に収録されているわけではありません。
中には、CDと同じように2chで収録してあるものもあれば、昔のように1ch(モノラル)で収録してあるものもあります。
しかし、形式はドルビーデジタルなので音質は同じわけです。

また、もうひとつ、DTSという形式があります。
これは通常の音声の信号を4分の1に圧縮して収録されてある形式です。
ドルビーデジタルの10分の1に対し、DTSは4分の1なので圧縮率が低いわけです。
圧縮率が低いということは、データの損失が少ないということなので、より高音質というわけです。
また、DTSの場合は必ず5.1ch形式になります。
ドルビーデジタルは5.1ch、2ch、モノラルなどありましたが、DTSは5.1ch固定です。

つまり、DVDの音声にはドルビーデジタルと、DTSの2種類があるわけです。
これはDVDパッケージの後ろの部分に必ずといっていいほど記載されています。

例をあげると
○ 日本語(2ch stereo)
○ オリジナル英語(5.1ch)


のように書かれている場合があります。
これは日本語版で聞くと2chの音声で再生され、英語版できくと5.1chの音声で聞けるというわけです。
いい忘れましたが,DVDは日本語吹き替えで聞くか、英語で聞くかを設定できます。
それで再生される音声が異なるわけです。

日本のアニメDVDは劇場版を除くとほとんどが、2chステレオです。
まあ、もともとTVで放映してあったものであれば2chなので、これはしょうがないことです。

そして、最近では、ドルビーデジタルEX、DTS-ESというものが登場しました。
これらはどちらも6.1ch用に収録されているものなので、より迫力のある音声で聞くことができるわけです。

ここで注意です。
これらの音声の形式を判断するのはアンプなので、アンプがドルビーデジタル、DTS、ドルビーデジタルEX、DTS-ESの
再生に対応していなければなりません。
まあ、最近のアンプであれはドルビーデジタル、DTSにはほとんど対応しています。

そして、最新の情報としてATMという形式が登場しました。
これは音声の圧縮を全く行っていないため、DTSよりもはるかに高音質で聞くことができます!
しかも、10.2chで再生されるので臨場感がありすぎて、映像の中に取りこまれてしまって、
自分がその世界から抜け出せなくなるという現象もおこってしまいます。
つまり最高の形式なわけです。
でもこのATMの形式を再生できるアンプはまだ登場してないのでだれも聞くことができません。
しかも、将来的にATM対応のアンプが出る予定は全くないので誰も聞くことができないのです。
非常に残念なことですが、みなさん我慢してください。世の中、そんなもんです。


というように、「ホームシアター」に必要なものはアンプとスピーカのセットです。
もちろんDVDでなければ5.1chのような音声を聞くことができないのでDVDプレーヤも必要です。

「 ホームシアター」というタイトルにしてはちょっと細かく話しすぎた気もするが、まあいいとして、
今回はこの辺で終わりにしよう。

じゃあ、次回をお楽しみに。

次回 第4回 デジタル音声

第2回 メディアとは