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第13話
宇宙の破壊者 核爆弾船

 月に向かって接近する1隻の宇宙船があった。その名はボエジャー1号、15年前に銀河系の知的生命探索のために打ち上げられた地球の恒星間宇宙船だった。しかし、ボエジャーのエンジンは「クエラー・ドライブ」と呼ばれる中性子を噴射する危険な原子力エンジンだった。これ以上ボエジャーの接近を許せば、アルファは全滅である。
 ヘレナはボエジャーを速やかに破壊することを提案する。しかし教授やコーニッグはボエジャーが旅の途中で収集してきた情報を惜しみ、破壊に賛成できなかった。
 ボエジャーは宇宙空間用のクエラー・ドライブ以外に打ち上げおよび着陸用の通常ロケットも装備していた。ボエジャーのコンピューターにロケット切り替えの信号を送るが、それが正しい暗号でないため切り替わらない。破壊しかないのか?コーニッグは苦悩する……しかしそのとき研究室のリンデン博士がその暗号を知っていると言い出したのだ。彼の正体はクエラー・ドライブの生みの親エルンスト・クエラー博士であった。実験中の事故で助手夫婦を死亡させて以後失意の中で偽名を使い別の人生を送っていたのだ。唖然となる助手のヘインズ、クエラーが死亡させた助手夫妻は彼の両親だったのだ。何という運命の偶然か、ヘインズはクエラーを憎んだ。
 ようやく暗号装置が完成し、無事にボエジャーを着陸できると思ったのもつかの間、怒りのあまりヘインズは暗号装置を破壊してしまう。が、危機一髪クエラーの修理が間に合い、暗号が発進された。ボエジャーは無事に着陸する。
 しかしボエジャーに入ったクルーの見たのは、サイドン宇宙人のアーコンからの宣告であった。サイドン星はボエジャーのクエラー・ドライブの噴射する中性子によって文明が滅んでいた。その復讐のためアーコンは宇宙船団を率いてボエジャーを追っていたのだ。
 コーニッグはアーコンを説得しようとするが、怒り狂ったアーコンは聞き入れようとしない。人類の発展を願って開発したクエラー・ドライブの引き起こした結果にクエラーは目のくらむ思いであった。
 クエラーは後の研究をヘインズに託すと、ボエジャーに乗り込みクエラー・ドライブをかけ、アーコンの船団に突入していった……。


原題:Voyager's Return
本国では第12話
脚本:ジョニー・バーン Jonny Byrne
監督:ボブ・ケレット Bob Kellett
ゲスト出演
 アーネスト・リンデン(エルンスト・クエラー) : ジェレミー・ケンプ Jeremy Kemp
 ジム・ヘインズ : バリー・ストーク Barry Stokes
宇宙