過去演奏会 曲目解説

過去演奏会の曲目をご紹介いたします。

【第70回定期演奏会曲目解説より】
祝典行進曲
 童謡『ぞうさん』やオペラ『夕鶴』などを手掛けた團 伊玖磨(1924-2001)が、1959年、当時の皇太子(今上天皇)と美智子妃(現皇后)のご成婚を祝して作曲しました。祝賀行事で演奏されただけでなく、その年の吹奏楽コンクール課題曲に指定された他、東京オリンピックの入場行進やロス五輪でも演奏されるなど、日本を代表するマーチです。足並み揃えていかにも!な行進曲ではなく「コンサート用の優雅な曲想の行進曲を作曲して希望あふれる日本を祝福したかった」との團氏の言葉があるように、今回は弊団の第70回のお祝いとして華やかに演奏致します。

春の喜びに
 この曲は、栃木県足利市民吹奏楽団の創立30周年を記念して、ジェームス・スウェアリンジェン(1947−)に依嘱し作曲されました。原題「INTO THE JOY OF SPRING」を素に一般公募を行い、「春の喜びに」という邦題になったそうです。2001年の演奏会で作曲者自身の指揮で初演されました。
 曲は途切れのない3楽章から成り、各楽章に「冬の猛威」「春の目覚め」「喜びの式典」のタイトルが付いています。変拍子も多く使われ、肌を突き刺すような冬の厳しさから始まり、第2楽章ではピアノ伴奏とフルートによるソロが、暖かな春の始まりを感じさせます。そこまで来ている今年の春を楽しみにお聴き下さい。

エルザの大聖堂への行列(歌劇『ローエングリン』より)
 ドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナー(1813−1883)の作品で、中世の伝説を題材としたオペラです。ブラバント王国の王女エルザが、騎士ローエングリンとの結婚式のために、人々と共に大聖堂へと向かう幸せに満ちたシーンで演奏されます。木管の祈りにも似た清楚な戦慄が次第に高揚し、金管と打楽器の力強さも加わった歓声の頂点で、エルザが大聖堂への石段に第一歩を踏み出します。

スパルタクス
 バレエ『スパルタクス』は、ニコライ・ヴォールコフの台本を素にアラム・イリイチ・ハチャトゥリアン(1903-1978)が作曲した、古代ローマ時代に起こった最大の奴隷反乱の指導者・スパルタクスの偉業を題材とした巨編のバレエ作品です。ほとんどのバレエの主役は女性ですが、この作品は兵士達の群舞を活躍させるなど男性が主役で、ローマ時代の壮麗な建設物の再現や戦車・騎馬軍団まで登場させるというスペクタキュラーな舞台構成で非常に評判になり、近年は映画やドラマ化もされました。
 スパルタクスはローマ帝国の軍隊との戦いで最期を迎えてしまいますが、物語は勝利と敗北、愛と憎しみ、闘争と服従といった、相対する人間の根本的感情が、鮮やかでエキゾチックに描かれています。作曲者自らバレエで用いられた楽曲を抜粋・編曲し、オーケストラ用の3つの組曲を作成していますが、今回はさらにその中から4曲を抜粋し、吹奏楽用に編曲された組曲を演奏致します。金管と打楽器を駆使した音楽は、劇的な迫力が十分に感じられます。
 1.序奏−ニンフの踊り
 2.海賊の踊り
 3.スパルタクスとフリーギアのアダージョ
 4.ガディスの娘の踊り−スパルタクスの勝利

ディズニーランド・セレブレーション
 ゲストの皆様、ディズニーの世界へようこそ!!東京ディズニーランドが30周年を迎えているということで、今回はディズニー特集です。
 1曲目の「ディズニーランド・セレブレーション」は、2005年にアメリカのディズニーランドが開園50周年を迎え、その記念として作られたメドレー曲です。お馴染みのミッキーマウス・マーチや美女と野獣、リトル・マーメイドなど盛り沢山の曲が、スウィングや可愛らしくアレンジされていて、演奏している私たちも楽しくなる曲です♪きっと皆さまも、一瞬でディズニーの世界に引き込まれますよ!

チム・チム・チェリー
 2曲目は、ミュージカル映画『メリー・ポピンズ』より「チム・チム・チェリー」です。哀愁を帯びたメロディとワルツのリズムが印象的な曲ですが、実は前向きでポジティブな歌詞が付いているのですよ。きつく汚い仕事と思われる煙突掃除屋のロバートは、煙突の上から普通の人々が見ることの出来ない、街の美しい姿を眺められるこの仕事は楽しいのだよ、と視点を変えて明るく歌う素敵な曲なのです。原曲はわずか20小節という短いものですが、途中で出てくる中低音が奏でるメロディも、渋くて格好良くアレンジされています。中低音最高!お楽しみに!

スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス
 なんて長いタイトル!!一息で言えますか!?3曲目も『メリー・ポピンズ』の1曲で、とびきり楽しいナンバーです。このタイトルは、映画の中で使われたおまじないの言葉。これを唱えれば願いが叶えられる、という素敵な言葉なのです。アニメーションと実写を合成した映画の中を、雨傘を持った家政婦メリーが歌い踊りまわります。
 今回は、スウィングバージョンで格好良くお届けします。余談ですが、長い英単語(34文字)の一つと知られ、2007年の携帯メール早打ち大会決勝戦の題目として用いられたとか!

君はともだち(映画『トイ・ストーリー』より)
 1995年に公開された映画『トイ・ストーリー』は、カウボーイ人形のウッディや彼の仲間のおもちゃ達が繰り広げる、笑いと友情の物語。そして、私たちが成長するにつれて忘れていた大切な事を思い出させてくれる、心温まるお話です。
 映画の中では、ちょっと泣けるような場面で使われたりして、歌詞も「♪オレが付いているぜ〜君のそばに いつも俺がいる」と友情をテーマとしているので、この曲を聴くとホロッしてしまいます。今回は、ウッディに変わって、トロンボーンのSoloで皆さまの心に感動をお届け致します。カッコイイのです、この曲!!

「ライオン・キング」メドレー
 最後の曲は、1994年に公開された『ライオン・キング』よりメドレーをお届けします。
 主人公・ライオンのシンバが、無邪気な子供から責任ある大人へと成長する物語に感動し、またアフリカの大平原を舞台とした映像と、まさしくアフリカ!な音楽が実に壮大です。その世界観を、力強い金管の音色を中心に表現し、映画内の様々な表情を色彩豊かに盛り込んだ物語のような一曲となっています。
 アニメ映画ではありますが、自然界の微妙なバランスや巡る季節のように、動物も草木も大切な生命の種は残し生まれ変わるという、《生命の環》と呼べる哲学を伝えている大きな物語です。

【第69回定期演奏会曲目解説より】
歌劇「泥棒かささぎ」序曲
 ジョアキーノ・ロッシーニ(1792−1868)の歌劇「泥棒かささぎ」は、1817年に作曲、同年にミラノのスカラ座で初演されました。
 泥棒?かささぎ?と首をかしげてしまうようなタイトル。ある貴族の館で働く少女にかけられた銀食器泥棒の疑いが、実は光るものが大好きな鳥・かささぎによって巣に持ち出されたことがわかりハッピーエンド、といった他愛もない話です。しかし、この物語の背景にあるのは、貴族や農民といった身分社会・不当な圧力など、当時の社会情勢を反映して作られ、19世紀初頭にフランスで流行していた「救出もの」という特徴を持ったオペラです。今回演奏する「序曲」は、オペラ本編で歌われるメロディーを盛り込むなどしてオペラの幕開けに演奏されるものですが、この曲の冒頭と中間に叩かれる緊迫した小太鼓の音は、少女の死刑の場面を表しています。ドキッとしますがそれも一瞬のこと。音楽はどんどん軽快に進み、明るく華やかに展開します。
 ちなみに、かささぎという鳥は、カラスの一種ですが、カチカチ(勝ち勝ち)と鳴くことから、縁起が良いとされ「かちからす」とも呼ばれるようです。(M.K)

歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲
 「田舎の騎士道」といった意味を持つ歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」は、小説家ヴェルガによる小説及び戯曲が原作で、これを基にしてピエトロ・マスカーニ(1863−1945)が作曲したオペラです。
 19世紀後半のシチリア島の村で起こる、男女の三角関係の悲劇を描いた一幕物のオペラですが、中間部で舞台から登場人物が去って誰も居なくなる部分があり、そこで演奏されるのが、この「間奏曲」です。話の内容とは無関係のようでいて、この曲が演奏されることで、その後に起こる男達の決闘シーンと悲惨な結末が、強烈によりむごたらしく感じられます。ひっそりとした雰囲気で始まり、徐々に情感たっぷりに盛り上がると、まるで堪えていた涙が一気に溢れ出すように聴こえるとても美しい曲です。(M.K)

吹奏楽のための第二組曲 ヘ長調
 グスターヴ・ホルスト(1874-1934)はイギリスの作曲家で、管弦楽組曲「惑星」を作曲したことで有名ですが、吹奏楽曲も幾つか作曲しています。1911年に作曲された「吹奏楽のための第二組曲」は4つの楽章から成る組曲で、イギリスの民謡や舞曲がモチーフになっています。
第一楽章 行進曲
 冒頭は春の到来を祝う五月祭の踊りで、スタッカートの軽快で素朴な旋律が可愛らしい「モリス・ダンス」です。続いて、ユーフォニウムのソロがウェールズの港町に伝わる海の男の歌「スウォンシー・タウン」を歌い始めます。三曲目の民謡「クラウディ・バンクス」ではがらりと拍子が変わり、アイリッシュな6/8拍子の旋律が歌われます。
第二楽章 無言歌
 “I’ll love my Love” (私の愛しい人) という民謡で、恋を引き裂かれた少女が深い悲しみの心情を窓辺で歌うという内容です。嘆きと悲しみのこもった美しい旋律がオーボエのソロによって奏でられます。
第三楽章 鍛冶屋の歌
 ハンプシャー地方の民謡で、3/4拍子と4/4拍子がコロコロと入れ替わるリズムの上に、鍛冶屋のユーモラスな歌が響きます。次第に盛り上がってゆく歌にパーカッションの叩く金床の「カン、カン」という音が加わり、活き活きと仕事をする鍛冶屋の姿が描かれます。
第四楽章 ダーガソンによる幻想曲
 冒頭でサックスにより奏でられる軽快な旋律は、16世紀に流行した6/8拍子の舞曲「ダーガソン」です。この旋律が各楽器へと受け渡されてゆき、合計26回の繰り返しの中で種々の装飾が施されてゆきます。やがて「ダーガソン」の旋律に交じって「グリーンスリーヴス」の旋律が現れ、クライマックスを迎えます。(M.M)

トッカータとフーガ ニ短調
 ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685-1750)は、町の教会や宮廷の楽団でオルガン奏者として務め、当時最大の音楽家であったブクステフーデのオルガン演奏に感銘を受けて、1709年頃にこの曲を作曲しました。トッカータとは、イタリア語で鍵盤に触れるという意味で、即興的に躍動する感じの音楽を指しています。
 このオルガン曲を管楽器で演奏することは、それぞれの音色を各楽器で分担し更に鮮やかに表現することで、演奏すればする程、また聴けば聴く程、各楽器が奏でる旋律のつながりに面白さを感じる、まさにウインド・アンサンブルの絶好の見せ場といえます。鋭く突き刺すような主題に始まり、オルガン独特の熱い和音をつみあげたり、即興的な旋律をつづりあわせて壮大なクライマックスを築き、やがてフーガに流れ込んでいきます。最後に再び即興的な旋律が自由奔放に駆け回り、熱い和音を輝かしく響かせて終わります。(M.K)

第二部
 今回は映画特集をお送りします。いずれの曲も一度は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。映画館で映画を観るような気分で、どうぞ最後までごゆっくりお楽しみください。
 一曲目はグレート・ムービー・マーチズです。「戦場にかける橋」(1957年)、 「ジャングル・ブック」(1968年)、「スター・トレック」(1980年)、 「レイダース 失われたアーク《聖櫃》(インディ・ジョーンズ)」(1980年)に登場するマーチをお送り致します。元気に演奏致しますのでご期待ください。
 二曲目は「ハリー・ポッターと秘密の部屋」(2002年)です。ハリー・ポッター第二作になります。主人公のハリーが叔父さんの家に閉じ込められているところを、親友のロンとその兄弟が空飛ぶ車で助けに来て、再びホグワーツ魔法魔術学校に向かうストーリーですね。不思議な世界をお楽しみください。
 三曲目は映画「ミッション」(1987年)です。「ガブリエル」という宣教師の物語で、この曲は劇中で大事な役割を果たす曲になっております。「ガブリエル」が布教を行うため、いままで多くの宣教師が殉教していた地区に入り、オーボエでこの曲を吹いたところ、先住民たちに受け入れてもらえたというシーンです。オーボエにご注目ください。
 最後にお送りするのは映画「タイタニック」(1997年)です。セリーヌ・ディオンの歌うマイ・ハート・ウィル・ゴー・オンの印象が強いですが、出港や船内のダンスパーティーで挿入されるテンポが速く楽しい曲も数多くあります。これより皆様を豪華客船にお連れ致します。(Y.A)

【第68回定期演奏会曲目解説より】
マーチ「ハロー!サンシャイン」
 吹奏楽編成の楽曲を多く作曲していることで知られる、松尾善雄(1946-)の作品で、1987年度の全日本吹奏楽コンクールの課題曲でした。タイトルの通り、とっても明るく爽やかな曲で、細かい動きもあって、楽しいマーチとなっています。まさしく、今回から団名を変更した私たちサンシャイン・ウインド・オーケストラにピッタリの曲!!
 オープニングに相応しく、皆さまへの「初めまして」と「これからもよろしくお願いします」のご挨拶として演奏致します。団長の挨拶にもありましたように、いつまでも明るく、希望を持ち、輝くようなサウンドを目指して!!(M.K)

ウエディング・マーチ
 ヤン・ヴァンデルロースト(1956-)が作曲したこの曲は、彼の友人で作曲家のヨハン・デ=メイの結婚を祝って、2007年に作曲されました。結婚式当日は、デ=メイのたくさんの音楽仲間が楽器を持って出席し、密かに式の進行をつかんでいたヴァンデルローストは、自ら指揮を振って演奏し、新郎へのサプライズ・プレゼントとして大成功しました。華やかなファンファーレと荘厳な美しさが特徴で、フィナーレの高らかなテーマが、二人の幸せを祝福しています。
 この幸せな曲を、幣団の新しい出発のお祝いとして演奏したいと思います。(M.K)

陽はまた昇る
 2011年3月11日、かつてないほどの大地震と津波が日本を襲いました。この曲は地震の直後、日本の知人から依頼を受けたイギリス人作曲家のP.スパーク氏が、被災された方々を元気づけるための復興支援チャリティーとして書いたもので、楽曲の出版印税を含めた全販売収益は日本赤十字社の緊急支援基金に寄付されます。この曲に対してスパーク氏は「このプロジェクトを通じて、世界中の吹奏楽団から日本の被災された方々へ温かな支援が寄せられることを願っています」とコメントを寄せています。曲自体はもともと金管バンド用にスパーク氏が作曲した「カレンティーナ」という曲を吹奏楽用に書き直したものですが、タイトルには日出づる国に敬意を表して新たに「The Sun Will Rise Again 〜陽はまた昇る〜」が付けられました。タイトルの通り、優しさと希望に満ち溢れた曲です。本日は、被災地の一日も早い復興をお祈りして演奏致します。(M.M)

ドラゴンの年
 この曲は、イギリスのウェールズを代表する金管バンド、Cory Bandの創立100周年記念委嘱作品として1984年に作曲されたものです。(ちなみに、1985年の映画「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」とは関係ありません。)タイトルにあるドラゴンとは、ウェールズ国旗に描かれた赤い竜(レッド・ドラゴン)のことです。ウェールズに古くから伝わるケルト伝承では「大地ができた頃、地中には地震を起こし厄災を招く黒い竜がおり、それを水の神である赤い竜が倒してこの地に平和をもたらした」とされています。イギリス建国後、イングランド・スコットランド・アイルランドとともにウェールズはイギリスを構成する非独立国となりましたが、帰属心の強いウェールズの人々にとってレッド・ドラゴンは今でも国民の象徴とされています。スパーク氏がこの曲に込めた思いは想像するしかありませんが、ドラゴンの伝説やそれに対するウェールズの人々の思いを想像しながらこの曲を聴いてみるのも、面白いかもしれませんね。曲は以下の三楽章から成り、第二楽章と第三楽章は切れ目なしに続けて演奏されます。
1.トッカータ
 スネアドラムと金管楽器の鋭い16分音符で始まり、続いて登場する低音楽器の不穏な旋律をバスドラムが受け止め、曲の緊張感が一気に高まります。途中、素朴な舞曲風の木管アンサンブルを挟んで曲は再び不気味さを取り戻し、最後は徐々に静かに、消え入るようにして終わります。
2.間奏曲
 冒頭に押し寄せる壮大な下降音型の波はすぐに引き、イングリッシュホルンの物憂げなソロが現れます。まったりとした物憂い旋律は次第に温かみを帯び、クライマックスに向けて徐々に盛り上がっていきます。最後は再びイングリッシュホルンのソロに戻り、夢見るようなまったりした雰囲気のなか楽章の終わりを向かえますが、突然これを打ち破るようにして第三楽章が始まります。
3.終曲
 冒頭から速いテンポで16分音符が続き、木管楽器にとってこの曲一番の山場と言える楽章です。途中、ソリスティックなパッセージが各パートに交錯しながら現れ、次々と音色を変えながら展開していきます。やがてバスーンによりファンファーレが歌われ、曲は次第に厚みを増して一気にエンディングへと向かいます。(M.M)

第二部
今回の選曲テーマは太陽(サンシャイン)と竜(ドラゴン)です。サンシャイン・ウインド・オーケストラが辰年にスタートすることから太陽と竜をテーマに選びました。サンシャイン・ウインド・オーケストラの船出にふさわしい曲を用意しましたので、どうぞ最後までごゆっくりお楽しみください。
 一曲目は皆様ご存知「太陽にほえろ!」(1972-1986年)のテーマ曲です。それまでの刑事ドラマでは事件と犯人が中心でしたが、「太陽にほえろ!」は石原裕次郎扮するボスやマカロニ、ジーパン、テキサスなど特徴的なニックネームを持った刑事たちが中心に活躍するドラマです。また、殉職シーンが多いことでも有名です。テーマ曲はスパイダースのメンバー大野克夫が担当しています。ちなみに、アニメ「名探偵コナン」のメインテーマと「太陽にほえろ」のテーマ曲はかなり似ていますが、こちらも大野克夫が作曲しています。
 続きまして、二曲目は映画「燃えよドラゴン」(1973年)のテーマ曲です。この映画は、日本でブルース・リーが流行るきっかけとなった作品です。1974年に日本で公開され、その年の洋画興行収入二位を獲得。同年に「ドラゴン危機一髪」と「ドラゴン怒りの鉄拳」も公開され、この二作品も同率で四位となり、ブルース・リーの叫び声「アチョー」は、誰もが口にする程ヒットしました。この「アチョー」は怪鳥音と言われ、北斗の拳のケンシロウが戦う時に発する「アタタタタ」と共に怪鳥音に分類されています。最近は、この曲にのせて映画をパロディし、言い方を「アチョー」に似せたガムのCMにも使われました。テーマ曲はラロ・シフリンというアルゼンチン出身の作曲家が担当しており、映画の舞台である香港に合うように東洋の音楽をイメージして作曲されています。
 三曲目は童謡「手のひらを太陽に」です。誰もが知っている童謡の一つでしょう。一度は学校で歌ったことがあると思います。作曲は「いずみたく」、作詞は「やなせたかし」です。「やなせたかし」はアンパンマンの生みの親として有名ですが、「手のひらを太陽に」の歌詞とアンパンマンはあまり関係がないように思われます。しかし、「それいけ!アンパンマン てのひらを太陽に」(1998年)という映画が公開されており、タイトル通り「手のひらを太陽に」をテーマとし、アンパンマンが世界を暗闇から守るという内容になっています。ここではいつもと違う楽器を使っての演奏となりますので是非注目してください。
 四曲目は「ひまわり」のテーマです。映画「ひまわり」(1970年)は戦争による悲哀を描いた作品で、作中に登場するひまわり畑の美しさと、哀愁を感じさせるこの曲により、更にもの悲しさを誘います。作曲はヘンリー・マンシーニで、その他に「ティファニーで朝食を」や「ピンクパンサー」、「刑事コロンボ」のテーマを作曲しています。ひまわりの名前は太陽に由来することからこの曲を選びました。ひまわりの属名はヘリアンツスと言って、「太陽」と「花」という意味を持つ2つの言葉からなっています。ちなみに、ひまわりは太陽の動きに合わせて花が太陽の方を向くと言われていますが、実際はそのようなことはなく、咲いた花は一方向を向いています。
 最後の曲は「ドラゴンクエスト」です。ドラゴンクエストはシリーズ10作品まで続く人気のゲームソフトです。今年の8月にはドラゴンクエスト10が発売されました。5人組の国民的アイドルがCMに出演していたのは記憶に新しいですね。今回演奏する曲は、ドラゴンクエスト1-3(1986-1988年)のテーマ曲をまとめた作品です。このゲームをプレイされた方なら、聴いたことのあるフレーズが登場します。ファンファーレの序曲から始まり、広大な冒険ストーリーをコンパクトにまとめた曲ではありますが、難易度が高く、その中でドラゴンクエストの魅力がドラマチックに展開していきます。作曲者のすぎやまこういちは、ドラゴンクエスト1から最新作であるドラゴンクエスト10まで全作品の作曲をしています。約26年間同じシリーズの作曲に関わるというのはすごいですね。(Y.A)

【第47回定期演奏会曲目解説より】
喜歌劇「こうもり」序曲
 喜歌劇「こうもり」序曲は、1874年に音楽の都・ウィーンを代表する作曲家であるヨハン・シュトラウス2世が作曲したオペレッタ(=喜歌劇)「こうもり」の、オープニングを飾る序曲です。オペレッタはイタリア語で「小さいオペラ」という意味で、笑いの要素を強調したハッピーエンドの作品が多いのが特徴です。
 タイトルの「こうもり」とは、オペレッタに登場するフォルケ博士に付けられた不名誉なあだ名のことです。ある晩、こうもりの仮装で仮面舞踏会に出かけたフォルケ博士は、舞踏会ですっかり酔っぱらってしまい、帰り道の広場で寝てしまいます。翌朝広場で目を覚ました博士はこうもりの仮装姿を近所の人達に見られ、「こうもり博士」というあだ名をつけられてしまったのでした。実は友人のアイゼンシュタインも一緒にいたはずなのですが、彼は博士を置いて自分だけ帰宅。腹をたてた博士は、自分を置き去りにしたアイゼンシュタインへの仕返しとして、いたずらを企てます。そして3年後の大晦日、計画実行の日がやってきて…。大晦日の晩の出来事がオペレッタの題材となっていることから、ウィーンの歌劇場では「こうもり」が大晦日恒例の演目となっています。本日お送りする「こうもり序曲」には劇中に演奏されるワルツやポルカ、アリアが登場し、親しみやすいメロディーとともに愉快で賑やかな劇の始まりを予感させる曲となっています。(M.M)

アルメニアン・ダンス パート1,2
 アルメニアは、トルコ東隣にある共和国です。アルメニア民族で大半を占められ、民俗音楽の宝庫とされています。この「アルメニアン・ダンス」は、アルメニアを祖国としたゴミダス・ヴァルタベッド(1869-1935)によって収集された、4,000曲以上もあるアルメニア民謡を素材にして作曲されました。吹奏楽でも特に人気の高いアルフレッド・リード(1921-2005)の代表的作品の一つです。
 この曲は、楽譜の出版が2回に分けられたため、パート1とパート2に分けて呼ばれ、特にパート1は単独で演奏される機会が多く、それだけで完成された曲のようでもありますが、実際はパート2も含めた全4楽章からなる組曲であり、一体となって演奏されることで、アルメニア地方の民謡や美しい景観に恵まれた山岳風景、人々の暮らしが伝わってきます。
 パート1=第1楽章は、5つの民謡のメドレー形式で作られています。「杏の木」と題された1つ目は「杏の木よ、失恋の悲しみを揺り動かさないでくれ」と嘆く恋歌ではありますが、民謡の原曲を用いたファンファーレは輝かしく表情豊かに歌い上げ、一気にアルメニアン舞曲に引き込まれます。オーボエのソロの後から、山鶉のよちよち歩きを描いた愛らしい旋律の「ヤマウズラの歌」へと続き、3つ目の「おーい、僕のナザン」では、愛しい女性ナザンへの若者の愛の歌を変拍子のエキゾティックなリズムで刻みます。一呼吸おいて始まる「アラギャズ山」はテンポを落とし、その息の長い旋律は、古くよりアルメニアの人々に愛されてきた標高4,090mの高山のように威容を誇っています。最後の「行け、行け」は、そのタイトル通り速いテンポの中を少女の笑い声を模倣する旋律で進み、更にテンションを上げて全速力でゴールへと駆け込んでいきます。
 パート2は3つの楽章からなり、2楽章にあたる「農民の訴え」は、若者が山に向かって自分の悩みを吹き飛ばしてくれ、と懇願する抒情的な曲です。3楽章にあたる「結婚の舞曲」は「クーマー(=アルメニアの女性の名)」とも題され、若い恋人達が出会い結婚する、そんな喜ばしくうきうきとした農村風景を描写する軽やかな曲調となっています。そして最終楽章にあたる「ロリの歌」は、ロリ地方に伝わる農民の農耕歌を素にして、トランペットの悲劇的な響きで始まり、それに木管の鋭い音形が応えて緊迫感を持って進みます。中間部にはテンポを落とし哀調ある旋律が奏でられますが、再び力強い圧倒的なクライマックスを築き、農民の苦しみよりも喜びを歌い上げ、この組曲を締めくくるのにふさわしい曲となっています。
 紀元前から続く歴史ある美しいアルメニアの民謡を愛し、ゴミダスは守ろうとしました。リードがそれらの曲を素に約10年かけて作曲し、今私たちの身近にアルメニア民謡が吹奏楽曲としてあることは、そのゴミダスの遺志も引き継がれていると言えるのではないでしょうか。(M.K)

第二部
1曲目のタイトルは日本語で「世界一周」、そう、今回のテーマは「音楽で世界一周!」ヨーロッパにアジア、アメリカ、そしてアフリカを一晩でお楽しみいただける音楽の旅にご案内いたします。どうぞ最後まで、ごゆっくりお楽しみください。
アラウンド・ザ・ワールド
 この曲は、1956年の映画「80日間世界一周」のテーマ曲です。なぜ80日間なのか?答えの舞台は1872年、ロンドンのとある社交クラブ。世界一周に3箇月かかると言われていたこの時代、大富豪フィリアス・フォッグは「私なら80日間で世界一周できる」と宣言します。社交クラブのメンバーはこぞって無理なほうに賭けますが、フォッグは可能なほうに全財産を賭け、自らそれを実証する旅に出ることに。かくして、気球に乗って世界一周の旅に出たフォッグ。果たして彼は、約束の日・約束の時刻までにロンドンへ戻ることができたのでしょうか?
オー・シャンゼリゼ
 フランスといえばパリ、パリといえば凱旋門。そして2つの凱旋門をつなぐのが、シャンゼリゼ大通りです。原曲はイギリスの「ウォータール・ロード」というロックで、これをフランス人がフレンチポップス・シャンソンにアレンジしたものが、皆さんご存じの「オー・シャンゼリゼ」です。日本ではダニエル・ビダルが来日して歌ったことで人気となり、学校でも教えるようになったほど。今日は是非、シャンゼリゼ大通りを歩いている気分でお聴きください!歌詞のとおり、何か素敵なことがあなたに起こるかも?!
あの日聞いた歌
 フランスの次は、私たちにとって最も馴染みのある日本から。「故郷」「浜辺の歌」「椰子の実」「赤とんぼ」「春の小川」「花」をメドレーでお送りします。いずれも、子供の頃から耳に馴染んだ懐かしい曲ですよね。この曲のなかには、昔の日本のようにゆったりと流れる時間、そして忘れかけていた大切なものが詰まっています。今夜は、他の国にはない、日本の良さを感じていただけるような演奏をお届けできたらと思います。
ハリウッド万歳
 さあ、太平洋を横断してやって来たのはアメリカです!次にお送りするのは、1937年にアメリカで公開されたミュージカル映画「ハリウッドホテル」より「ハリウッド万歳」です。映画の冒頭、スターを夢見て旅立つ主人公を見送るシーンで歌われるこの曲は、ラジオやテレビ番組のほかアカデミー賞セレモニーでも使われていました。レッドカーペット上を、ライトを浴びながら歩くハリウッドのスター達とそれを見て湧き立つ観客達…そんな光景がぴったりの、華々しい曲です。
アフリカン・シンフォニー
 最後にお送りしますのは、アフリカをテーマにしたこの曲です。1987年、夏の甲子園で智辯学園和歌山高校がこの曲を応援に使用して以来、日本では毎年聞かれるようになりました。タイトルを知らなくても、聴き覚えのある方は多いのではないでしょうか。原曲はアメリカの音楽プロデューサー、ヴァン・マッコイの作品で、1977年に岩井直博氏がこれを吹奏楽版にアレンジしました。弱肉強食の厳しいアフリカの大地で力強く生き抜く動物たちが目に浮かんでくるような、躍動感あふれる曲をお楽しみください。(M.M)

【第46回定期演奏会曲目解説より】
ミュージックメイカーズ
今回の演奏会のオープニング曲は、アルフレッド・リード博士誕生90周年を記念して選曲いたしました。リード博士は、吹奏楽経験者なら誰でもがご存じの通り、今日の吹奏楽の発展に大いに貢献された方です。私達も今までいくつもの博士の曲を演奏してまいりましたが、数ある作品の中から、本日は「ミュージックメイカーズ」をお送り致します。この曲は、イギリスの詩人アーサー・オショーナシーの音楽を生み出す人をテーマとして書かれた詩より影響を受けて作曲されました。七つのモチーフからなり、その一つがメインメロディを奏で、他の六つのモチーフが勇壮にあるいは抒情的に曲に変化を与えて、華やかなクライマックスを作り上げています。音楽を生み出す喜びを心から伝える活気あふれた序曲であり、私達もこの演奏会で音楽を奏でられる嬉しさを、皆様に伝えられるよう演奏致します。(M.K)

バレエ組曲「仮面舞踏会」より
まだ記憶に新しい2010年開催のバンクーバーオリンピック、フィギュアスケートの浅田真央選手がショートプログラムで使用したのがこの曲です。作曲者であるアラム・ハチャトゥリアン(1903-1978)は、旧ソビエト連邦時代に活動したグルジア出身の音楽家で、ミハイル・レールモントフの戯曲「仮面舞踏会」を題材に、全14曲からなる劇音楽「仮面舞踏会」を作曲しました(1941年)。後に、ハチャトゥリアン自身の手でここから5曲を選び、演奏会用にまとめた組曲「仮面舞踏会」を発表しています(1944年)。本日はこの組曲より、3曲を抜粋してお送りします。
仮面舞踏会とはその名の通り、仮面をつけて顔を隠した男女が、お互いの素性も知らぬまま謎のパートナーとして踊り明かす舞踏会のことで、中世ヨーロッパの宮廷で行われた余興や催しが起源とされています。題材となった物語のあらすじは、妻のニーナが仮面舞踏会で無くした腕輪をきっかけに、主人公のアルベーニンが嫉妬し、勘違いとすれ違いの末にニーナを毒殺してしまうというものです。この物語にあるように、素性が見えない者同士の仮面舞踏会は歴史的にも悲劇の舞台になることがあったようで、ハチャトゥリアンはこの曲に当時の貴族社会に対する批判の念を込めています。
T. ワルツ
 劇中では最後の仮面舞踏会に使用された曲です。優雅ながらもどこか暗さを漂わせた重量感のあるワルツは、一見きらびやかな舞踏会の仮面の下に渦巻く、悲劇を予感させます。
V. マズルカ
 マズルカとは、やや早い3拍子で演奏されるポーランドの民族舞踊の意味です。全体的に明るく軽やかなメロディーですが、物語の行く末を暗示しているのか、時折もの悲しい旋律が顔をのぞかせます。
X. ギャロップ
 ギャロップとはもともと馬の早駆けの意味です。曲もまさに駆け足のようなテンポで展開してゆきますが、緩急のメリハリがあり、中間部にはゆったりとしたクラリネットとフルートのカデンツァが演奏されます。活気に溢れたこの曲が悲劇の組曲の最後に配置された理由はよくわかりませんが、ハチャトゥリアンが演奏会としての華やかな締めくくりを意図したのでは、と言われています。(M.M)

バレエ組曲「ロミオとジュリエット」より
 プロコフィエフ(1891-1953)は、近代ロシアを代表する作曲家の一人であり、七つの交響曲をはじめとした、管弦楽曲からピアノ曲まで様々な曲を残しています。バレエ曲も7曲残しており、その中でも一番有名になったのがこの「ロミオとジュリエット」でしょう。題材はタイトルのとおり、他の作曲家も取り上げたシェイクスピアの戯曲であり、内容はここで述べるまでも無いでしょう。もともとは1935年にバレエ用として作曲され、その後管弦楽版としての再編がされ、三つの組曲とバレエ版が作られました。この吹奏楽編曲版では、バレエ版、組曲版の双方から選ばれています。
1. モンタギュー家とキャピュレット家
 組曲第二番より。冒頭の重々しい響きが「今後ヴェローナの平和を乱す者は死刑とする」という趣旨の大公の宣言。このテーマ、どこかで聞いたことあるはずです。ちょっと前のSoftBankのCMでも使われていましたが、CMで良く使われるテーマなのです。
2. 朝の踊り
 バレエ版より。ロミオがヴェローナの夜明けを眺めていた後、街が活気に満ちてきた様子が表現される踊りです。
3. 喧嘩
 バレエ版より。賑やかな朝の街でモンタギュー家とキャピュレット家のそれぞれの召使いが出会い、言い争いを始める。やがてタイボルトなどの主要な人物も加わり、更には両家の当主まで現れ、喧嘩になる。
4. 少女ジュリエット
 組曲第二番より。仮面舞踏会の準備が進むキャピュレット家におけるジュリエット初登場のシーン。チャーミングで気まぐれな少女の姿が描写される。
5. タイボルトの死
 組曲第一番より。もともとはバレエにおける第二幕の最後の4曲が連続して再構成されている。「タイボルトとマキューシオの決闘」「マキューシオの死」「ロメオはマキューシオの死の報復を誓う」そして「第二幕の終曲」と続く。キャピュレット家のロメオへの糾弾、ヴェローナ大公の事情聴取、決闘、斬り合いの動機などのテーマが入り乱れる、非常に聴き応えのある曲です。(I.H)

第二部「ミュージカル音楽特集」
 今回の第二部は、ミュージカル音楽特集をお送りいたします。  1曲目は「ドレミの歌」です。この曲は、多くのヒット曲が生まれた『サウンド・オブ・ミュージック』の中で、主人公・マリアが子ども達に音名(ドレミ)を教える場面で歌われる曲です。小さい頃に歌って歌詞を覚えている人も多いと思います。有名な日本語の歌詞は、歌手のペギー葉山氏が付けた「ドはドーナツのド」ですが、その他にも「ドラム」や「甘いドロップ」「どこまでも」なんていう歌詞も存在するようですよ。今回演奏するこの曲のアレンジは、各楽器が演奏するメロディがつながって、次第に盛り上がっていきます。聴いていて楽しい雰囲気ですので、一緒に歌ってみて下さいね。  2曲目にお送りするのは、こちらも有名なミュージカル『マイ・フェア・レディ』より「踊りあかそう」です。1956年にブロードウェイで初演され、6年6カ月のロングラン公演。1964年には、オードリー・ヘップバーン主演で映画化もされました。下町で花売り娘として過ごし言葉使いも乱暴な主人公・イライザが、立派なレディになる為に、言語学者ヒギンズ教授の教えで上流階級の話し方やマナーを身に付け、初めて上手く話をすることが出来た事に興奮した時の曲です。すでに真夜中だというのに興奮が醒めず「夜通し踊れるわ!」と瞳を輝かせて、その喜びを体いっぱいに表現して歌い上げます。イライザの嬉しさが、聴いているこちらにも伝わり自然と笑顔になれる素敵なナンバーです。楽しんでお聴き下さい。  3曲目は、1935年アメリカの作曲家ガーシュウィン作の『ポーギーとベス』です。この作品は、デュボース・ヘイワード作の小説『ポーギー』を原作としています。1920年代初頭の南部の町に住む貧しいアフリカ系アメリカ人の生活を描き、奴隷制度解放後も、なお存在する根強い人種差別や偏見、貧困の中に生きることを強いられた黒人たちの、精一杯生きる人間模様や生活、愛情、犯罪などを扱い、奥深いものを感じる作品となっています。「あれ?この作品はオペラだよね?」と思った方もいらっしゃると思います。その通り、この作品はオペラとして上演されました。ですが、曲はジャズや黒人音楽の作風を用いて作曲され、伝統的なヨーロッパのオペラとは一線を画しています。様式としては、後のミュージカルに大きな影響を与えており、今日のミュージカルの先駆者的な存在の作品として、本日の特集に取り上げました。今回は「サマータイム〜もうすぐニューヨーク行の船が出る〜俺らにはないものだらけ〜主よ、私は出発します」のメドレーでお送りします。代表作の「サマータイム」はマイナー調でありながら、劇中では子守唄として歌われ、貧しい現実とかけ離れた夢のような世界と子どもへの想いを綴っています。その後ジャンルを問わず、多くの歌手によってアレンジを変えて歌い継がれています。  4曲目にお送りする「夢やぶれて(I dreamed a dream)」は、日本でも繰り返し上演されているミュージカル『レ・ミゼラブル』の中で、ファンティーヌが男に捨てられ、娘とも引き離され、生活の道も断たれてしまった哀しみと絶望を唄い上げる曲です。2009年イギリスのオーディション番組でスーザン・ボイルがこの曲を歌い、一躍有名になりました。日本でも、NHK紅白歌合戦にゲスト出演しています。このアレンジにはボーカルの譜面もあり、今回幣団でもスーザン・ボイルをゲストとしてお呼びしました!…とはいきませんが、ソプラノ・サックスが彼女の歌声を上回る素晴らしい音色を聴かせてくれることでしょう!  ミュージカル音楽特集最後の曲は、1975年に初演され15年にも及ぶロングランを記録した『コーラスライン』です。この作品は、ブロードウェイの劇場でオーディションに参加するダンサー達を描き、「この仕事が欲しい!」と歌う力強いオープニングから、ラメ入りの輝く衣装で華やかに踊るフィナーレまで、彼らが舞台に賭ける真摯な思いが伝わるストーリーとなっています。2009年には22年ぶりに来日公演を行い、筆者も観に行き感動しました。なんと!今年7月に再び日本での公演が予定され、あの感動に触れる機会があるようです。今回演奏するメドレーは、有名な曲「One」から始まります。これを聴くと某生ビールのCMを思い出す人も多いでしょう。演奏が始まってビールが飲みたくなっても、最後まで聴いて下さいね。演奏会の最後の曲として、『コーラスライン』のように美しくそして華々しく演奏いたします。(M.K)
【第45回定期演奏会曲目解説より】
トレイルブレイズ
 作曲者のゴフ・リチャーズ(1944-)はイングランド南西部のコーンウォール地方生まれ。トロンボーン奏者としても有名な氏は、ジャズバンドでの演奏や、作曲家、編曲家、指揮者として様々な舞台で活躍しています。また氏の作品はポップスからクラシックまで非常に幅広く、世界中で支持されています。特に金管アンサンブルとブラスバンドの世界ではプログラムに良く取り上げられており、人気の高さを誇っています。曲のタイトルでもある「トレイルブレイズ」とは「道を切り開く、開拓する」という意味があり、新世代の音楽を切り開く、快活でわくわくする音楽に仕立てられています。
 2006年5月に開催された第37回定期演奏会で演奏されたこの曲、4年ぶりで若干メンバーも代わり、どのような演奏になるでしょうか。お楽しみください。(I.H)

古いアメリカ舞曲による組曲
 この曲の作曲者、ロバート・ラッセル・ベネット(1894−1981)は、アメリカ、ミズーリ州カンサス生まれで、父からヴァイオリンとトランペットを、母からピアノを習いました。そして、カンサス・シティー交響楽団の指揮者カール・ブッシュに作曲を学び、その後ニューヨークで作編曲者として活躍。1926年から6年間パリに留学し、帰国後はブロードウェイ・ミュージカルの編曲者として「マイ・フェア・レディ」や「南太平洋」等々を手がけています。特に、映画化もされた「オクラホマ!」では、1955年のアカデミー賞ミュージカル映画の音楽部門でオスカー賞に輝き、黄金時代のブロードウェイ・ミュージカルの音楽を支えました。
 そんなベネットは、世間が行進曲やクラシック等のオーケストラ曲の編曲物ばかりを演奏していた時期に、吹奏楽の世界で興ったオリジナル運動に協力した一人でもあります。その為、吹奏楽作品もいくつか残しており、特に「バンドのためのシンフォニック・ソング」と、今回演奏する「古いアメリカ舞曲による組曲」(1949年)は彼の代表作です。この作品は、古くからアメリカで親しまれていたダンス音楽をベースに構成された組曲となっています。
T.Cake Walk
タンゴに似たリズムを持ち、西部劇時代の黒人たちがたしなんだダンス。一説には、ケーキを賭けて巧みさを競い合って踊ったという話もあります。
U.Schottische
元々は、ドイツ語で「スコットランドの」という意味。男女が向かい合って手を取り、回りながら踊る舞踏の一種。
V.Western One-Step
アメリカ合衆国の中西部で開拓者やカウボーイ達の民謡などを起源とする踊り。
W.Wallflower Waltz
「壁の花ワルツ」と訳され、舞踏会で踊りに誘われず壁に寄りかかり花のようになっている女性を描いたワルツ。
X.Rag
19世紀末の黒人ピアニストによって案出されたピアノスタイルを元にした、初期のジャズリズムによる舞曲。シンコペーションを生かした軽快なテンポの曲。

 以上の、スタイルの異なる5つの曲から成り立っています。ベネットがこの曲に対して、「この組曲は、特に何か意識や目的を持ったものではなく、私の若い頃の古いダンス音楽の楽しさを味わってほしい」と述べているように、アメリカの古き良き時代を思い起こさせる様な、それぞれの曲が持つ楽しさや切なさを、是非感じて下さい。(Mi.K)

亜麻色の髪の乙女
 「亜麻色の髪の乙女」の原曲は、ドビュッシーのピアノ曲集「前奏曲集」の第1巻(1910年)に収められている小品です。本日はこのピアノ曲を、スパークによる吹奏楽のためのアレンジでおおくりします。クロード・ドビュッシー(1862-1918)はフランス生まれの作曲家で、ピアノ曲や管弦楽曲のほか、歌曲やバレエ音楽、オペラなども作曲しています。「亜麻色の髪の乙女」は、ドビュッシーがフランスの詩人ルコンド・ド・リールの詩に着想を得て作曲したとされており、ピアノ版の作曲以前に、この詩に歌を付けた歌曲(未発表)も作曲しています。(ちなみに亜麻色とは「黄みを帯びた茶色」と辞書にありますが、茶色がかった金髪のようなイメージがこれに近いのではないかと思います。)リールの詩は次のような美しい情景描写で始まります。
 『ムラサキウマゴヤシの花畑で 朝早くから歌うのはだれ? それは亜麻色の髪の乙女 さくらんぼ色の唇をした美しい乙女 明るい夏の太陽の下で ひばりとともに愛を歌っていた ・・・・・・』(古代詩集「スコットランドの歌」より)
 そして詩の続きでは、語り手(リール自身?)の少女に対する熱い恋心が歌われています。少女を木陰かどこかからこっそり見つめる少年が愛を歌ったような、素朴な詩です。
 今回のアレンジでは、曲はクラリネットによるソロから始まります。これは詩の中に出てくる少女の歌声でしょうか。曲は全体を通して優しく穏やかな雰囲気ですが、詩と同様に、時に感情が高ぶるような盛り上がりを見せながら進み、最後は再び冒頭のソロと同じ旋律が静かに歌われて終わります。印象主義音楽の作曲家と称されるドビュッシーらしい、色彩豊かで透明感のある世界が表現できればと思います。(Ma.K)

サン=サーンス「交響曲第3番」の主題による交響的変容
 第一部のメインには、スパークによる『サン=サーンス「交響曲第3番」の主題による交響的変容』をお送りします。この曲はタイトルにもあるとおり、サン=サーンスの交響曲第3番ハ短調作品78『オルガン付き』をモチーフにして作曲されたものになります。ところでサン=サーンスと聞きますと皆様はどのような曲を思い浮かべるでしょうか。作曲家でピアニスト、オルガン奏者であった彼はクラシック音楽のあらゆる分野に多くの曲を残しました。組曲『動物の謝肉祭』(特に白鳥は有名)、交響曲第3番『オルガン付き』、交響詩『死の舞踏』などは特に有名で代表作となっています。この代表作の一角を占める交響曲第3番『オルガン付き』ですが、この曲は1886年に作曲されたサン=サーンスが円熟期に手掛けた代表作の一つであります。特徴としては二つ以上の楽章で共通の主題・旋律が登場する循環形式を取り入れ、さらにピアノ及びオルガンを各所に巧妙に取り入れた点にあるでしょう。
 そして、このサン=サーンスの大曲をスパークは見事にアレンジしております。この曲はアメリカ・ネバダ州にあるシエラ・ビスタ高校シンフォニックバンドの委嘱で書かれ、2007年に初演されました。曲は第1楽章から第5楽章までがほぼ切れ目無く続く形で構成されています。冒頭はスパークらしい導入部で始まり、交響曲の主題が随所にちりばめられながらもスパークらしいテンポの良い雰囲気で進行します。最後の第5楽章は、モチーフとなった交響曲第3番における第4楽章でのパイプオルガンを彷彿させるティンパニにより始まり、金管楽器の低音による有名な主題が現れ一気に最高潮に達し、さらにフーガに移り力感に富んだ終結部によって頂点を迎えます。特に聞き所は第3楽章でクラリネット、フルートそしてバスーンのカデンツァが入り、前半と後半の転換点となっています。曲全体を貫く「スパークらしさ」と共に、この三者の美しい音色も是非ご堪能下さい。(Y.N)

【第44回定期演奏会曲目解説より】
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲
リヒャルト・ワーグナー(1813-1883)は、数多くの有名な歌劇(歌劇(オペラ)を書きましたが、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」はその中でも後期の作品です。皆様も歌劇そのものは知らなくても、この前奏曲は単独で演奏会で演奏される事も多いので、どこかで聴いたことがあると思います。私自身も、大学の入学式の時の入場の際の定番曲で、毎年入学式のお手伝いをする中聴いていた事が思い出されます。物語自体を知りたい方は別の文献等で調べて頂くとして、一つだけ豆知識。「マイスタージンガー」というのは日本語に訳すと「親方歌手」すなわち、マイスター=職人の親方+ジンガー(英語ではシンガー)=歌手という言葉です。日本の歌手とは全くイメージが違いますね。ヨーロッパでは、職人の親方でありながら、作詞作曲家として、更に歌手としても師匠格である人がいたのですね。
 歌劇の一番よいメロディをてんこ盛りにしたのが前奏曲。様々なマイスタージンガーの「歌」のメロディを堪能してください。

「キャンディード」序曲
クラシック音楽好きなら、少なからず知っている、昨年「世界一長寿のクラシック音楽番組」としてもギネスに認定された「題名のない音楽会」。2008年4月に司会者が指揮者の佐渡裕氏に変わってから、この「キャンディード」序曲が番組のテーマ曲にもなったことで、この曲を知っている人が格段に増えたと思います。レナード・バーンスタイン(1918-1990)は、あの「ウエスト・サイド物語」が代表作の、作曲家でかつ偉大なる指揮者でもあります。佐渡氏はバーンスタインの最後の弟子とも言われており、ご自身のテーマソング的にこの曲を使われているようです。
ミュージカルともオペラとも言われている「キャンディード」そのものは、バーンスタインの作品で一番の失敗作とも言われており、ほとんど上演される事がありませんが、この序曲は吹奏楽の演奏会などでもしばしば演奏される人気のある曲です。ちなみに「キャンディード」というのは物語の主人公の青年の名前。大変短い序曲の中に、様々なメロディで主人公の一生が描かれています。非常に元気があって、スカッとする曲ですので、初めて聴く方でも、好きなクラシック曲になること間違いなしです。

ファンタジアとフーガ ハ短調 BWV537
ヨハン・セバスチャン・バッハ(1685-1750)は、18世紀に活動したドイツの作曲家で、「近代音楽の父」とも称される偉大な音楽家です。皆様も小学校の音楽の授業でその肖像画を見たことがあるはずです。バッハはバロック時代の音楽家で、オルガン音楽や宗教音楽を思い浮かべる人も多いでしょう。音楽の授業ではそのオルガン曲の「トッカータとフーガ ニ短調 BWV565」「小フーガ ト短調 BWV578」なども聴いたことがあるはずです。本日お送りする「ファンタジアとフーガ ハ短調 BWV537」もオルガン曲で、吹奏楽界の巨匠ハンスバーガーの編曲による、とても難易度の高い曲となっています。
曲は"神の栄光を讃える独奏曲"というタイトルが付けられており、48小節のファンタジアと130小節のフーガで構成されています。ファンタジアでは3つの主題が、フーガでは2つの主題がそれぞれ単独で、または組み合わされて登場してきて、まさにフーガの妙味が堪能できる作品となっております。フーガは掛け合いがとても難しいのですが、うまくはまると大変格好いいのが演奏していても非常に楽しいところ。一人のオルガン奏者が演奏しているくらいに呼吸ぴったりで演奏出来るか否か、その辺もお楽しみ頂ければと思います。

組曲「惑星」より「火星」「木星」
第一部のメインにはホルスト「惑星」より「火星」・「木星」をお送りします。「惑星」は1914-1916の2年の歳月をかけて作曲されたホルストを代表する作品です。組曲として、太陽系の惑星のうち「地球」を除く7つの惑星が取り上げられています。7曲は火星-金星-水星-木星-土星-天王星-海王星の順番で演奏されます。あれ?順番が違う?と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。私達が覚えさせられた順番は水・金・(地)・火・木・土・天・海ですね。これは間違ってるわけではなく、ホルストは天文学ではなく占星学に基づく順番で描いたためにこのような順番になっています。また全ての曲には、占星学に基づいて各惑星の象徴である神にちなんだ副題がつけられています。今回演奏する2曲は「火星-戦争をもたらすもの」「木星-快楽をもたらすもの」となっています。「火星」は戦争時の不安感を表現するように不安定な五拍子の曲です。第一主題はホルン・ユーフォニウム・バスーンから始まります。「木星」はホルンによって演奏される3つの主題から曲が始まります。第三主題である民謡風の中間部は特に有名で、近年では平原綾香さんによって”Jupiter”の名で大ヒット、紅白出場も果たしました。これを機に国内で再び「木星」の人気が高まったのは言うまでもありません。
さて、惑星というとクラシック業界で以前話題となったトピックスがあります。組曲「惑星」の完成後に冥王星が発見されました。そして発見から70年経った2000年にコリン・マシューズによって「冥王星-再生をもたらすもの」が作曲され、最後の第8曲目に追加されたのです。長年に渡って人気のある曲ですので、これだけでも話題になるのですが・・。2006年、衝撃が走りました。「国際天文学連合は惑星の定義案を大幅に修正、冥王星を惑星からはずした」との報道がなされました。というわけで、やはり7曲からなる「惑星」が現在は正しいことになってしまいました。組曲「惑星(冥王星付き)」はどうなってしまうのでしょうか!?

第二部 DISCO音楽特集
まず、はじめにお送りするのはノーランズの「ダンシングシスター」。私自身、邦題のダンシングシスターよりも”I'm in the Mood for Dancing”の方がしっくりきます。そして、この曲なにかのCMで聴いたことある!となると思います。それはおそらくSoftBankのCMで使われていたものだと思われます。20色のカラーバリエーションを揃えたPANTONE 812SHです。キャメロン・ディアスを採用し、颯爽と歩く姿を「ダンシングシスター」がさわやかに演出していますが、この当時からSoftBankのCMが面白くなってきましたね。キャメロン・ディアスのほかにブラッド・ピットをCMタレントとして採用したり、白戸家の面々がでてきたのもこの頃からです。また、CMに採用する曲も今回お送りする「ダンシングシスター」といったPOPな洋楽から「ロミオとジュリエット」といったどっしりしたクラシック音楽まで多岐にわたってます。今後もSoftBankのCMから目が離せません。
続けて2曲目にお送りするのはアース・ウインド&ファイアの「宇宙のファンタジー」です。1977年に発表された曲で本国アメリカよりも日本で大ヒットし、アース・ウインド&ファイアと言えば「宇宙のファンタジー」というほどになりました。その当時としては生のホーンセッションにエレキ・シンセなどの電子楽器を組み合わせた非常に豪華な構成のバンドでした。この曲はフジテレビ系ドラマ『電車男』で挿入歌として使われたほかに、最近では野島伸司の脚本で玉木宏・香里奈が主演したTBS系ドラマ『ラブシャッフル』の主題歌でもありました。今回第二部でお送りしている曲は全て1970年代後半〜1980年代前半の曲になります。選曲段階でDISCO系の曲を聴きまくった結果がこの時代です。カバーやタイアップが30年近くたっても全く絶えずに次々にされている理由が分かるような気がします。この時代のコンピレーションアルバムも多数ありますので、みなさんこの機会に聴いてみてください。お勧めですよ。
3曲目にお送りするのは「愛のコリーダ」です。元の曲名は?というとそのまま”Ai No Corrida”です。不思議ですね。この曲は同タイトル「愛のコリーダ」という日仏合作映画がきっかけで作られました。映画の舞台は昭和初期に実際に起きた「阿部定事件」。監督・脚本は巨匠・大島渚が手掛けました。あまりに過激すぎる内容のため当時の世論では是非が問われました。そして現在でさえもオリジナル版は見ることができません。そしてこの映画に影響されたクインシー・ジョーンズがプロデューサーとなりチャズ・ジャンケルによって曲が作られました。その後、クインシー・ジョーンズ自身がカバーをしてヒットしたのがよく耳にする「愛のコリーダ」です。曲からは想像もつかない背景には驚きですね。ちなみに資生堂UNOのCMではAi no corrida 〜 ♪をUno corrida 〜 ♪とアレンジしてオーランド・ブルームが出演していたこともありました。
4曲目にお送りするのは「ナイト・バーズ」です。この曲はイギリスのファンクバンド・シャカタクによって1982年に発表された作品です。シャカタクと言って何かの略だと思った方いませんか?私自身、最初そう思いました。曲自体は知っていましたが、キムタクみたいに・・お恥ずかしい限りです。そんなシャカタクの代表曲ともいえるのが「ナイト・バーズ」です。今回は吹奏楽版らしくグロッケン・アルトサックス・ピッコロのソロをまじえてお送りします。
最後は”ABBA GOLD”で締めくくりたいと思います。ABBAといえばDancing Queenが有名ですね。このABBA GOLDもDancing Queenから始まり、Mamma Mia - Fernando - The Winner takes it allの4曲で構成されます。2曲目のMamma Miaは国内で劇団四季によって「マンマ・ミーア!」の名で公演されていますね。「マンマ・ミーア!」は2002年電通四季劇場の柿落とし公演として日本に上陸し、私も実際に見に行ってきました。カーテンコールではほとんどの方がスタンディングオベーションをされていて、手拍子の方もいれば踊ってる方もいました。ABBAの人気ぶりを肌で感じられました。今回お送りする”ABBA GOLD”は同名のベスト・アルバムの中から抜粋された曲をメドレー化したものです。ダンスナンバーからバラードまで、多彩なABBAの魅力をお楽しみください。


【第43回定期演奏会曲目解説より】
今回の演奏会では、第一部・第二部ともに、ちょうど30代・40代の吹奏楽経験者が泣いて喜ぶ(と思われる)「懐かしの吹奏楽名曲選」をおおくりします。吹奏楽経験者にとっては、中学高校時代を思い出される曲が1曲はあるはず。また、どの曲も大変聴きやすく、覚えやすいので、全く聴いたことがない方でもきっと楽しんで頂ける自信のあるプログラムです。吹奏楽という音楽の魅力を十分引き出せるような、そんな演奏会をおおくりしたいと思います。

春のよろこび
 吹奏楽名曲選の1曲目はアルフレッド・リード(1921-2005)の「春のよろこび」をおおくりします。日本では1970年に「音楽祭のプレリュード」が吹奏楽コンクールの課題曲となったことをきっかけに、リードの作品がたくさん演奏されるようになりました。今や吹奏楽においては欠かすことのできない作曲家の一人といえるでしょう。リードは親日家でもあり、たびたび来日しては客演指揮をとるなど非常に幅広い活動をしていました。「春のよろこび」は天理高校創立55周年の記念として1991年に作曲されました。典型的な序曲形式(速−遅−速)をとり、厳しい冬を乗り越えて訪れた暖かい春に心躍らす様子をリードらしいメロディーで描いています。

カンタベリーコラール
 「カンタベリーコラール」はベルギーのブラスバンド、ミドゥン・ブラバントの委嘱作品として1991年に作曲されました。ヤン・ヴァン=デル=ロースト(1956-)の曲はブラスバンド版と吹奏楽版の両方で演奏できるよう編成を変えたものがいくつもあります。カンタベリーコラールも元々はブラスバンドの曲でしたが、1993年に吹奏楽版が編曲されました。この曲はヴァン=デル=ローストがイギリス南東部にある世界遺産、カンタベリー大聖堂を訪れた際の印象をもとに描かれています。大聖堂にある大きなパイプオルガンで演奏しているかのような大変優雅な旋律の名曲として、広く愛されています。

第三組曲
 1曲目に続きましてアルフレッド・リード作曲の「第三組曲」をおおくりします。リードは生涯で200曲以上の吹奏楽作品を発表してきました。そのうち組曲は「第一組曲」から「第七組曲」と「小組曲」の八曲があります。参考までに「第四組曲」から「第七組曲」は日本の吹奏楽団のために作曲された委嘱作品です。
 リードはいくつかの組曲に副題をつけました。第二組曲:ラティーノ・メキシカーナ、第四組曲:シティ・オブ・ミュージック、第五組曲:インターナショナル・ダンス、第七組曲:センチュリー・オブ・フライト、そして今回演奏します「第三組曲」には「バレエの情景」という副題がつけられています。「第三組曲」は、ミネソタ州のトマス・ジェファーソン高校の委嘱で作曲され、初演は1981年作曲者自身による指揮で行われました。曲はファンファーレと序奏、 パ・ドゥ・ドゥ、 風変わりなポルカ、全員の踊り、の四楽章で構成されます。バレリーナの入場からクライマックスでの全員の踊りという物語の始終を約10分間という短い演奏時間のなかで描いています。

祈りとトッカータ
 ジェームズ・バーンズ(1949-)は「祈りとトッカータ」をはじめとして「パガニーニの主題による幻想変奏曲」や「アルヴァマー序曲」などが代表作の作曲家です。「祈りとトッカータ」はニュー・メキシコ州立大学の委嘱作品で1982年に発表され、バーンズの名前が一躍有名になるきっかけを作りました。独特なリズム感と変化に富んだ楽器の使い方が特徴です。曲はティンパニ、ピアノ、低音楽器に支えられた5/4拍子の重々しい”祈り”から始まります。呪文めいた神秘的なメロディーを様々な楽器が受け継いでいきます。”トッカータ”部分は打楽器から始まり7/8拍子や5/8拍子などの変拍子をリズミックに展開しながら盛り上がっていきます。クライマックス部分にはSENZA MISURA(拍子にとらわれず、自由に)と書いてある小節があります。ここでは低音楽器がテンポで呪文的なリズムを繰り返し、木管楽器やトランペットは指定された音を使って即興演奏をしています。その中で指揮者の合図によりトロンボーンのユニゾンが現れ、さらに中低音金管楽器も加わって再び”祈り”へと曲を戻し、曲は一気に終わりを迎えます。

シーゲート序曲
 スクールバンドの経験者なら誰しもスウェアリンジェンの曲を1回は演奏したことがあるのではないでしょうか?ジェームズ・スウェアリンジェン(1947-)は「インヴィクタ序曲」「狂詩曲ノヴェナ」「センチュリア」などスクールバンドにとって非常に取り組みやすく、親しみのある曲を数多く発表してきました。今回は数あるスウェアリンジェンの名曲の中から「シーゲート序曲」をおおくりします。シーゲート序曲は1988年オハイオ州トレドで開かれたオハイオ州音楽教育者協会の総会のために作曲されました。この会議は、開催地であるトレドがエリー湖に面していて海へつながる港として知られていることから別名シーゲート会議と呼ばれていました。この会議名称をとってシーゲート序曲の名がつけられました。フルートのソロからはじまり、スウェアリンジェンが得意とするシンコペーションを利かせた軽快なリズムが随所に散りばめられているのが特徴です。

風紋
 「風紋」は吹奏楽コンクールの課題曲として1987年に発表されました。保科洋(1936-)は1976年「カンティレーナ」、1987年「風紋」、1996年「アルビレオ」と現在までに3曲もの課題曲を作曲しています。1970年代から1980年代のコンクール初期の課題曲は「ディスコキッド」や「高度な技術への指標」などに代表されるような名曲が多く、発表から数十年たった現在もあらゆる団体がコンサート等で繰り返し演奏をしています。「風紋」はその中でも特に人気のある課題曲となっています。「風紋」には今回演奏する「課題曲版」と「原曲版」の2種類があります。コンクールでは規定時間が定められているため、課題曲として使用する際に大幅な省略をしました。省略された「風紋」が吹奏楽の定番曲として定着したにもかかわらず、1999年に当時の構想どおりに作者自身によって改訂されたのが「原曲版」となっています。

大草原の歌
 大草原の歌はミズーリ大学ローラ校の学生会創立25周年を記念して1985年に発表されました。レックス・ミッチェル(1929-)は「曲の解釈はきく人それぞれに委ねられるべき」という考えをもっているので作品に関する解説をほとんど残していません。しかしながら、ミズーリ大学の委嘱作品であることから、アメリカ中西部にひろがる大草原をイメージして作曲したと思われます。「大草原の歌」は「海の歌」とともにミッチェルを代表とする作品となっており、前半のゆっくりとした雄大なメロディーと後半の歯切れのよいリズムが特徴です。

バンドのための民話
 本日最後の吹奏楽名曲選ではジム・アンディ・コーディル(1932-)の「バンドのための民話」をおおくりします。今から45年前の1964年に発表されました。通称「バン民」「民話」として親しまれているコーディルを代表する作品です。この曲を音出しした際に多くの団員から「懐かしい」との声があがっていました。この曲がかつて大人気だった1960-70年代はどこのスクールバンドでも演奏される定番曲でした。あまり音源が残らないまま楽譜は絶版となり、過去の名曲となっていましたが、2008年になんと楽譜が再販されました。40年以上たっての再販は非常に珍しく、国内100万人の吹奏楽大国である日本での市場を狙ったともいわれています。狙い通りなのか再販と同時に多くのCDに収録されるようになり、様々な団体で再び取り上げるようになってきました。当時演奏したという懐かしさにあわせて、この曲が元来持っている懐かしいニュアンスが現代にも受け入れられたからこその大復活劇といえるでしょう。


【第42回定期演奏会曲目解説より】
 本日の演奏会では、第一部にて吹奏楽のために書かれたオリジナル曲を2曲、そして当団としてはかなりの挑戦でもある、ショスタコービッチの中でも異色の交響曲である第九番を全曲版でおおくりします。また第二部では「SFアニメ音楽特集」と銘打って、日本を代表とする、宇宙を舞台にしたアニメの音楽を、原曲に近いシンフォニックな形でおおくりします。曲数は少ないのですが、いずれの曲もかなりの難曲ばかりであります。未熟な部分もあるかもしれませんが、皆さまに楽しんで頂けるよう練習を重ねてきましたので、印象に残る演奏をお届けできればと思います。

コンテストマーチ「マーキュリー」
 この「マーキュリー」、実は本日と同じ会場である「中央会館(当時はまだ銀座ブロッサムという名前はついていませんでした)」で、ちょうど10年前の1998年5月23日に第16回ファミリーコンサート(ファミリーコンサートは2002年をもって定期演奏会に統合されました)のオープニング曲として演奏されました。10年前を振り返ってみると、パートによっては、ほとんど全てのメンバーが入れ替わっている所もあれば、ほとんど変わっていないパートもあるのが面白いところでもあります。
 さて、この曲は、吹奏楽界で最も人気のある作曲家の一人であるヤン・ヴァン=デル=ロースト(1956-)によって、自身の金管バンド(Brass Band Midden Brabant)の15周年を記念して、1990年に作曲され、すぐに吹奏楽版に編曲されました。オーソドックスなスタイルのマーチであり、第一テーマから、中間部のトリオのメロディ、そしてその後の金管のファンファーレのコントラストが印象深い曲です。

ザ・レッド・マシーン
 吹奏楽の曲では楽譜カタログに通常1〜5の難易度(数字が大きいほど難しい)が記載されているのですが、この「ザ・レッド・マシーン」の作曲者である、ピーター・グレイアム(1958-)は通常の難易度では、はかりしれない6や7の曲を作曲することでも有名で、この曲も難易度6に位置する難曲です。
 この曲のタイトルは、イギリスはバッキンガム宮殿といえば誰もが思い浮かべる、真っ赤な制服を着て外周警護をする近衛兵の機械のように正確で美しいパレードの模様がモチーフになっています。その近衛兵の音楽隊でもある、有名な「コールドストリーム・ガーズ・バンド」のために作曲されました。そして、同バンドによって2003年9月にロンドン・ロイヤル音楽アカデミーのDuke'sホールにてロンドン交響楽団と共演したコンサートにおいて初演されました。
 曲は急−緩−急の構成を持ち、様々な吹奏楽曲でよくテーマとして用いられる、コラール「神はわが堅きとりで "Ein feste Burg ist unser Gott"」が主題となって展開されます。また曲の大きな特徴としては、攻撃的で機械的な冒頭の部分と、とても美しいメロディが奏でられる中間部の感傷的なフランス風ワルツ、そして冒頭の再現としての終結部の鮮やかなコントラストが描かれている部分であり、一度聴いただけでも非常に印象に残る曲となっています。難易度は確かに高い曲ですが、一生懸命演奏したいと思っております。

交響曲第九番
 ドミトリ・ショスタコービッチ(1906-1975)は、マーラー以降の最大の交響曲作曲家としての世界的に認知されており、15曲の交響曲の他に、弦楽四重奏曲やオペラ、バレエ音楽、映画音楽など多数の作品を残しています。氏の作品の中でも、吹奏楽界では特に有名なのが交響曲第五番「革命」の第四楽章であり、コンクールでもしばしば演奏されます。また当団でも昨年取り上げたジャズ組曲なども代表的な管弦楽曲でしょう。
 さて、この交響曲第九番は1945年、ちょうど第二次世界大戦終戦後に作曲され、初演されました。ベートーベン以降、多くの作曲家にとって第九番にあたる交響曲は特殊な観念をもって迎えられるようになっていました。それはベートベンの「第九番」のもつ大規模で壮大で、かつ超人的なものというイメージに誰しもが影響されがちで、民衆からも他の曲以上に第九番となると期待をされていたからです。また、第九番の曲を未完成のままに残したり、また、第九番で精力を使い果たして、作曲後間もなく世を去ってしまった作曲家も少なくありません。
 そのような中で、ショスタコービッチは、一般の人達が期待していたものに反して、新古典主義な、かなり小規模の作として第九番を発表しました。当時のソビエト独裁者でもあるスターリンや共産党中央委員会からは、勝利の賛歌には物足りず「堕落した西欧的ブルジョワジー傾向」として批判もされましたが、ショスタコービッチ自身は、第九番に関しては「この曲は小さく楽しい物で、音楽家達はこれを演奏するのを喜び、批評家達はこれを呪うことに喜びを感ずるだろう」と述べています。確かに戦勝を讃える交響曲としては物足りなくても、ショスタコービッチらしい、優れた室内楽的交響曲としての一面を見せている曲とも言えます。曲は五楽章から成り立ちますが、三〜五楽章は切れ目無しに演奏されます。交響曲としては小ぶりの曲ではありますが、吹奏楽の編曲としても非常に出来の良い作品です。特に木管楽器の高度な演奏技法に期待をしてください。

第二部 SFアニメ音楽特集
 今回の第二部はSFアニメ音楽特集と題しまして、日本が世界に誇るSFアニメ名作の中から選りすぐりの3作品にスポットをあてておおくりします。
 まず第1曲目におおくりするのは交響組曲「機動戦士Zガンダム」です。ガンダムというとほとんどの方は「機動戦士ガンダム(以下ファーストガンダム)」を思い出されるのではないでしょうか?ファーストガンダム(1979〜1980年)は主人公のアムロ率いる地球連邦軍とシャア率いるジオン軍との戦い(一年戦争)を描いた作品です。Zガンダムはファーストガンダムの完全続編として1985〜1986年にTV放映されました。一年戦争終結から7年後の世界を舞台にカミーユを主人公としてエゥーゴとティターンズの戦いを描いた作品です。音楽は三枝成彰氏が担当しました。三枝氏は数々の楽曲を手がけており、ちょうどZガンダムと同時期に放映された大河ドラマ「宮本武蔵」(1984〜1985年)のテーマも作曲された事から、双方の曲は良く似ているともいわれています。さらに全日本吹奏楽コンクール1985年度課題曲「Overture "FIVE RINGS"」は「宮本武蔵」をもとに作曲されたためにこちらもかなり似た作風となっています。残念ながら「宮本武蔵」のサウンドトラックはCD化されていませんが、「Overture "FIVE RINGS"」はたくさんの演奏がCDとしてありますので機会があれば聞き比べてみてください。
 2曲目におおくりする「銀河鉄道999」は漫画の連載からスタートし、TVアニメは3年という長い年月をかけて全113話が放映されました。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をもとに作られ、列車や運行システムは旧国鉄をモデルとしています。物語は、主人公の星野鉄郎が永遠の命を手に入れるため、メーテルと共にアンドロメダ星を目指しながら少年から大人へと成長していく姿を描いています。今回演奏する曲は1979年に公開された劇場版「銀河鉄道999」の主題歌としてゴダイゴがリリースした曲です。今年EXILEがカバーして発泡酒のCMに起用されたことでブーム再来となりました。
 最後におおくりする組曲「宇宙戦艦ヤマト」は、1974〜1975年にTVアニメとして放映されました。物語の舞台は西暦2199年。地球はガミラスからの侵略を受け、遊星爆弾による無差別攻撃にさらされていました。全人類の絶滅まであと一年余りと迫る中、放射能除去装置を手に入れるためイスカンダルに向けて発進したヤマトの死闘の旅を描いた作品です。今では多くの人に親しまれている作品ですが、当時は裏番組として放映されていたアルプスの少女ハイジの人気に負け、途中で打ち切りとなりました。本日演奏する吹奏楽版は、作曲が宮川泰氏で編曲は宮川彬良氏と、親子コラボレーションによって生み出されています。  吹奏楽作品にはアニメ音楽を編曲した曲が数多くあります。その中からSFアニメばかりを演奏するのは珍しいのではないでしょうか?あえて「マニアック」な選曲にこだわった第二部をお楽しみください。


【第41回定期演奏会曲目解説より】
 本日の演奏会では、第一部で吹奏楽のために書かれたオリジナルの曲から3曲を、そして第二部は、TVドラマのテーマ音楽をちょっと昔のものから最近のものまで集めてみました。  第一部のオリジナル曲は、マーチ(行進曲)、序曲、交響曲と代表的な楽曲形式のものを揃えています。普段はほとんど聴く機会がない曲ではないでしょうか。その中でも今回の曲は非常にわかりやすいテーマが盛り沢山ですから、演奏会終了後に皆様の心に残るような演奏をしたいと思っています。また第二部では、当団としては久しぶりの企画となるテレビドラマのテーマ音楽特集をおおくりします。これらのドラマをご覧になっていた方にとっては、おなじみのメロディですが、現在もバラエティ番組等で良く使われている音楽ですので、ドラマをご存じない方もどこかで聴いたことがあると思われることでしょう。当時の映像を思い浮かべながら聴いていただければ幸いです。

五月の風
 この曲は1997年の全日本吹奏楽コンクール(以下:コンクール)の課題曲として作曲され、その後も長く演奏されているマーチ(行進曲)です。吹奏楽経験者は、ほとんどの方がコンクールに出場したことがあるでしょう。ヤマハ池袋吹奏楽団は、コンクールには出場していませんが、筆者がその昔、学生時代のコンクールの思い出から、コンクールが恋しくて他の団体に浮気(掛け持ち)をして、社会人で初めて出場した年の課題曲がこの曲です。その年の課題曲の中で、ほとんどの団体がこの曲を選び、また多くの素晴らしい好演奏がされました。10年以上たつ今でも色褪せない名曲と言えるでしょう。  作曲者の真島俊夫氏は、1949年生まれで、3曲のコンクール課題曲を始め、数々の吹奏楽のためのオリジナル曲、また、管弦楽曲やポップス音楽の編曲をされています。当団の演奏会でも数年に1回は真島氏の曲を取り上げており、また今後も取り上げていきたいと思います。  曲は、非常に特徴的な6/8拍子。導入部は軽快なリズム、中間部は優しいメロディ、最後のトリオはTuttiのゴージャスな響きで構成されています。タイトルにもあるように、五月の爽やかな風を感じていただけたら幸いです。

ジュビリー序曲
 スパーク(1951年-)はイギリスの作曲家。現在もブラスバンド(木管楽器が編制にいない文字通りの金管バンド)及び吹奏楽編成の作曲活動を中心に、編曲家・指揮者として幅広い活動を行っています。国内でも大変人気のある作曲家のなかの一人であり、ブラスバンドや吹奏楽団のメンバーの方なら、どなたも演奏経験があるのはないでしょうか。当ヤマハ吹奏楽団の過去数年間の演奏会を振り返ると計五回演奏していました。
第23回定期演奏会(1995年)「ドラゴンの年」
第16回ファミリーコンサート(1998年)「祝典のための音楽」
第19回ファミリーコンサート(2001年)「オリエント急行」
第36回定期演奏会(2005年)「バンドワゴン」
第38回定期演奏会(2006年)「二つの流れのはざまに」
 作曲者は英国の出身だけあってブラスバンドのために作曲した作品が多いのですが、そのうち相当な曲が吹奏楽団向けに編曲されています。ジュビリー序曲も、その一つです。  この作品は1933年創設のノーサンプトンシャー州ケッタリングの名門ブラスバンド「リジット・コンテナーズ・グループ・バンド(G.U.S.バンド)」の指揮者をしていたケネス・ウィルキンソンの依頼により、創立50周年記念委嘱作品として作曲されました。1983年に同ブラスバンドの「ゴールデン・ジュビリー」という演奏会で初演され、その翌年に吹奏楽用の楽譜が出版されました。曲は、金管楽器のファンファーレと木管楽器のコラール風の旋律のかけ合いで始まります。続いてアレグロの主部ではスピード感のある旋律が次々と現れます。中間部分は、ホルンや木管楽器による旋律が歌われ、続いて、トランペットやフルートも旋律に加わります。その後アレグロ冒頭の旋律が再び現れ、最後はファンファーレを再現して、盛り上がって終わります。  ちなみに、主部に移るつなぎ部分の3つの音程=ソ・ド・ミ♭を「G」「Ut(ドイツ語階名のド)→U」「Es→S」と読み替えると、「G.U.S」のバンド名が浮かび上がってきます。

交響曲第三番
 ジャンニーニ(1903-1966)は、イタリア人系のアメリカ人。吹奏楽界では最も有名な作曲家の一人であるアルフレッド・リード氏の恩師でもあり、現代吹奏楽の古典を学ぶには忘れてはならない作曲家の一人です。  もともとジャンニーニは吹奏楽の作曲家というよりは、オペラ、管弦楽の作曲家であり、オペラでは「じゃじゃ馬ならし」が代表作。また交響曲も4曲(第一番、第二番、第三番、第五番)を残しています。その中で第三番のみ、現代吹奏楽の編制に合わせて作曲されていて、数少ないロマン派の吹奏楽のための交響曲です。吹奏楽の古典としても学べる部分がたくさんあり、多くの吹奏楽団が挑戦してきた曲でもあります。  曲はオーソドックスな作りで、ソナタ形式の第一楽章"Allegro energico"で始まり、主題を印象づけられます。第二楽章"Adagio"では、オーボエのソロで始まり、フルート、クラリネットが旋律を引き継ぎます。第三楽章"Allegretto"では、パートによって3/4拍子(三拍子)と6/8拍子(二拍子)が入り交じって不思議な音楽が展開され、そして第四楽章"Allegro con brio"では、とても早いテンポで金管楽器、打楽器も混じり駆け抜けるように曲の最後まで突っ走っていきます。  演奏時間が長く、演奏者はかなりの体力と集中力を要する曲です。演奏される機会はそれほど多くは無いのですが、とても良い曲ですので、是非とも印象に残る演奏ができればと思います。

第二部 TVドラマテーマ音楽特集
 この第二部のTVドラマテーマ音楽特集、単なるTVドラマというだけの特集ではありません。一見すると「脚本が同じ人」とか、「主演がジャニーズ事務所」とか思うかもしれません。正解は、本プログラムをちゃんと見るとすぐにわかるかとは思いますが、今回取り上げるドラマの音楽担当が服部隆之氏なんです。  服部隆之氏は祖父に服部良一、父に服部克久を持つ、作曲家エリート一家に生まれ、数々のドラマ、映画、アニメ、ゲーム等の音楽を手掛けています。特に近年の活躍はめざましく、たくさんの良い曲を発表しています。今回の演奏会では、特に吹奏楽で演奏すると効果的な曲を集めてみました。  まず一曲目の「HERO」は2001年にフジテレビでドラマとして大ヒットを飾り、2007年には映画化もしています。非常に軽快で、かつ激しい曲。二曲目の「総理と呼ばないで」は三谷幸喜脚本で1997年にフジテレビで放映されました。皆様の記憶にも薄いかもしれないのは、比較的視聴率が悪かったから。珍しく政治の世界を舞台にしたドラマでした。金管群の勇壮なコラールで始まる曲です。三曲目も同じく三谷幸喜脚本の大河ドラマ「新選組!」から。2004年放映のため記憶にも新しいことでしょう。原曲では、ジョン・健・ヌッツォがテノール独唱をしていた事も話題になりました。  四曲目はちょっと変わって「のだめカンタービレ(2006):フジテレビ」から。このドラマは皆さんご存じの通り、クラシック音楽を舞台としていますので、オリジナルの曲はないのですが、音楽監修とアレンジは服部隆之氏が行っていました。ドラマの中で使われていた曲をちょっと変わったメドレーでおおくりします。そして五曲目は「王様のレストラン」から。本日演奏する曲の中ではいちばん古い1995年フジテレビ放映。このドラマも三谷幸喜脚本で有名なドラマです。高視聴率だったので、聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。最後におおくりするのが「華麗なる一族」のメインテーマ。2007年にTBSの開局55周年記念番組として放映された超大ヒットドラマ。実は1974年にもドラマ化されていたもののリメイクでもあったりします。ドラマのオープニング、エンディングでは一部分しか聞くことができなかったメインテーマを本日は完全版でおおくりします。重く暗い曲ではありますが、部分部分に明るい日差しが差すようなメロディもあり、一つの物語として聴くことができる名曲です。  非常に盛りだくさんではありますが、どの曲も聴きやすくわかりやすいと思いますので、どうぞ最後までお楽しみください。


【第40回記念定期演奏会曲目解説より】
 今宵は「ジャズの夕べ( Jazzin・the night )」と銘打って、ジャズにちなんだ曲を特集しました。第一部では、ジャズそのものではありませんが、オーケストラ曲と吹奏楽曲からジャズをモチーフにした曲を、第二部ではシンフォニックジャズとしての定番、「ラプソディ・イン・ブルー」を、そして第三部では4大ビックバンドの代表曲と言われる曲をお送りします。たいへん盛りだくさんなメニューとなっていますが、最後までお楽しみ頂ければと思います。

ジャズ組曲 第2番より
 全8曲からなるこの曲は、正確には「ステージ・オーケストラのための組曲」であり、楽譜の紛失等の理由から、つい2000年まで「ジャズ組曲 第2番」と誤って同一視されていました。(今では全く別の曲とされています。)なぜこのような誤解が生じたのかは専門的な書物に任せるとして、ショスタコーヴィチは10代の終わりからジャズに非常に興味を示し、多くのコンサートに通い詰めたと言われており、その流れでジャズ組曲第1番、第2番、そしてこの曲が1930〜1950年代に作曲されたと言われています。ただ、その当時のソヴィエトにおけるジャズは、本場アメリカのものとは全く異なり、サクソフォンなどが編制に組み込まれるも、一般的には「軽音楽」と言われるジャンルの曲でありました。どちらかというと大正〜昭和初期のムード音楽といった哀愁ただようテイストになっているのが特徴です。どこかで聞いたことのあるようなメロディであると思うのは、きっとそのせいでしょう。本日は原曲8曲のうちから特に有名な6曲をセレクトしておおくりします。

スクーティン・オン・ハードロック
 ホルジンガーは1945年アメリカ生まれ。個性的な打楽器の使用法やドラマティクな作風が人気を集め、日本でも多く演奏されています。この作品は1999年に作曲されました。この「ハードロック」とは作曲者の住んでいる街に実際にある、「ハードロック通り」のことで、タイトルは「ハードロック通りを走り抜ける」という意味です。この通りはかつて街の中心として賑わっていましたが、現在では近道をする時にしか使われない、寂れた通りになってしまいました。この町のかつての活気に思いを馳せた作品といえるでしょう。サブ・タイトルに「3つの即興的ジャズ風舞曲」とあるように、ジャズ・テイストあふれるライト感覚な作品となっています。

ラプソディ・イン・ブルー
 「ラプソディ・イン・ブルー」はポール・ホワイトマンからの委嘱により、1924年ニューヨークのエオリアンホールで初演されました。当初はピアノとジャズ・バンド用に書かれましたが、「グランド・キャニオン組曲」でも有名なF・グローフェによってピアノとオーケストラ用に編曲され、現在の形にとなりました。シンフォニック・ジャズと呼ばれる新しい音楽領域を開拓した記念すべき作品です。タイトルの「ブルー」はジャズのブルースの語源である「憂鬱」「哀愁」を意味しています。また、「ラプソディ」は「狂詩曲=叙事的、民族的な楽曲」を意味することから、ジャズをアメリカの民族音楽としたガーシュインの意図が伺えます。初演から80年程たった現在でも、数々のCMやテレビ番組のテーマ曲として起用され大変人気のある作品となっています。

イン・ザ・ムード
 1939年サックス奏者のジョー・ガーランドによって作曲されたこの曲は、グレン・ミラー楽団の最大の当り曲で1940年のベストセラーを記録しました。ビッグバンドの代表的な楽曲として知られ、アンドリュー・シスターズ、デューク・エリントン、ベニー・グッドマン、ブライアン・セッツァー、ビル・ヘイリー&コメッツ、シカゴもカヴァーしたことでも有名です。この曲を聴くとシーフードが食べたくなる人がいると言われるくらい、レッド・ロブスターのCMで使われていたことでも有名です。

A列車で行こう
 1941年にデューク・エリントン楽団のピアニスト兼作編曲者であったビリー・ストレイホーンが作詞・作曲して大ヒットし、以来デューク・エリントン楽団のテーマ曲として広く知られています。タイトルにある「A列車」とは、ニューヨーク市地下鉄の、ブルックリン東地区からハーレムを経てマンハッタン北部を結ぶ8番街急行線の名称であり、A列車に乗る、すなわち「ハーレムに行こう」という意味が込められています。本日はトランペットとソプラノサックスのソロを交えておおくりします。

シング・シング・シング
 シング・シング・シングは、1936年トランペット奏者のルイ・プリマによって作曲され、スウィング・ジャズの代表曲の一つとして知られています。1938年にベニー・グッドマン楽団がカーネギー・ホールでのコンサートで演じて以来、同楽団の代表曲として知られており、1955年の映画『ベニー・グッドマン物語』で大ヒットしました。以後も数々のビッグバンドによってカバーされています。日本においても映画『スウィングガールズ』でも象徴的に取り上げられていて、また近年では吹奏楽向けのアレンジもなされ、吹奏楽の曲の一つとして取り上げられることも多くなっています。

ワン・オクロック・ジャンプ
 カウント・ベイシーといえばこの曲、カウント・ベイシー楽団のテーマチューンとも言える「ワン・オクロック・ジャンプ」。1936年頃、まだ無名のベイシーがカンザスのラジオ局で放送終了直前にピアノを演奏する仕事をしていた時にいつも弾いていた曲で、アナウンサーが曲名を尋ねると、彼は腕時計を眺めながら「ワン・オクロック・ジャンプ」と、とっさに答えたという所から曲名が決まったと言われています。今回は角田健一さんのスペシャルアレンジでお送りします。


【第39回定期演奏会曲目解説より】
 今回の演奏会では、第一部は著名な作曲家の有名なメロディを変奏曲にしたものを、また第二部ではディズニー音楽を特集しました。第一部の曲はどの曲も多くの変奏から成り立っており、少々長めではありますが、それぞれ特徴あるメロディが印象に残る事でしょう。そして第二部のディズニー音楽では、おなじみの音楽を様々なアレンジでお楽しみいただきたいと思います。

ハイドンの主題による変奏曲
 この作品は当初、オーケストラ版と2台のピアノ版が同時に出版されました。オーケストラ版は1873年11月3日にブラームス自身の指揮で、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で初演され、大きな成功を収めています。タイトルにある「ハイドンの主題」とは、作曲の当時においては、ハイドンの作とされていた「6つのディベルティメント」の第6番のコラールの事を指しています。が、しかしその後の音楽学研究においてハイドンの作ではない事がわかり、現在では「聖アントニーのコラールによる変奏曲」という補足が付けられることがあります。しかし、ブラームス自身がハイドンに対して敬意を持って付けた作品名をあえて変更すべきでは無いであろうと言うことから、現在でも同題で呼ばれるという何とも複雑な経緯を持つ曲です。
 冒頭にオーボエなどで奏でられる主題は大変有名なコラールですので、皆様もどこかで聴いたことがあるのではないでしょうか。曲は最初の主題に引き続き8つの変奏とフィナーレで成り立ちます。一部分をカットしての演奏となりますが、古典の良さを感じて頂ければと思います。

ロバート・シューマンの主題による変奏曲
 この作品は、ドイツのロバート・シューマンの「子供のためのピアノ曲集」の中の「楽しき農夫」の主題に基づく、6つの変奏曲です。「楽しき農夫」はピアノを習ったことがある人は必ず聴いたことがある主題。非常に特徴のある変奏で楽しむ事ができます。初演は1969年、ワシントンで開かれた全米音楽教育者協会の東部支部大会においてワーレン・マーサの指揮、ピッツバーグのノース・ヒル高校バンドによって行われました。古い曲ではありますが、作曲者のジェイガーのお気に入りの曲であり、また今現在でも非常に新しい響きのする曲だと思います。曲の途中に様々な楽器のソロを交えておおくりします。

パガニーニの主題による幻想変奏曲
 この作品は、世紀のヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニが作曲したヴァイオリン独奏曲「24の奇想曲 作品1」の第24番「主題と変奏」を主題にした変奏曲です。パガニーニは、自身がヴァイオリンの名手だったので超絶技巧を用いた難曲を作曲しました。そのためもあってか過去に多くの作曲家がこの主題を用いて変奏曲を作っています。代表的なものとして、リストのピアノ独奏曲「パガニーニによる超絶技巧練習曲集」、ラフマニノフの「ピアノと管弦楽のためのパガニーニの主題による狂詩曲」などが良く知られていると思います。
 さて、吹奏楽界でも様々な名曲を残しているジェームズ・バーンズは、この作品をアメリカ海兵隊バンドと、その第25代の音楽監督であるジョン・R・ブージェワー大佐の委嘱によって1988年に作曲しました。オーボエによって演奏される主題とそれに続く20もの変奏で構成されています。アメリカでも有数の実力を持つ海兵隊バンドの高い演奏能力を披露するために、各変奏では全ての楽器が主役となるソロなどが含まれているのが特徴です。はたして当バンドでちゃんと演奏できるかどうか、ハラハラさせながらの演奏になると思いますが、暖かい目で見守って頂ければと思います。

スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス
 タイトルの「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス(Supercalifragilisticexpialidocious)」は造語ですが、最も長い英単語(34字)のひとつとして知られています。これはミュージカル映画「メリー・ポピンズ」の中で使われたおまじないの言葉。これを唱えれば、願いごとがかなえられるというありがたい言葉なのです。
 「メリー・ポピンズ」は1964年、ウォルト・ディズニー・カンパニー製作のミュージカル映画。米アカデミー賞5部門を受賞していますこのミュージカルはこの曲以外にも「チム・チム・チェリー」「お砂糖ひとさじで」など佳曲がそろっていることでも有名です。今回はスウィングバージョンでお楽しみください。

星に願いを
 1940年に上映された「ピノキオ」の主題歌「星に願いを」は、ネッド・ワシントン作詞、リー・ハーライン作曲で、コオロギ役のジミニーを演じたクリフ・エドワーズが歌い、その年のアカデミー賞の歌曲賞を獲得した名曲。また、アメリカ映画協会による、映画史における偉大な歌百選の第7位(ディズニー関連作品ではなんと最高位)に入っていることからもディズニー音楽には欠かせない曲の一つです。
 今回は、その「星に願いを」を、サミー・ネスティコのアレンジでお送りします。ネスティコは、カウント・ベイシー楽団の末期の作曲家、編曲家としても名前を知られており、またそれ以外にもテレビドラマ、映画音楽などを数多く手がけています。非常におしゃれな編曲で、各楽器が効果的に使われているのをお聴き頂ければと思います。

ミッキーマウス・マーチ
 ディズニーソングの中でも最も有名なこの曲は、元々はアメリカの1950年代TV番組「Mickey Mouse Club」で使われていました。最近ではパラパラで踊る、ユーロビートバージョンでもおなじみです。今回演奏するアレンジではほぼ全パートにおなじみのテーマのソロ、ソリが出てきます。それぞれの楽器のキャラクターの違いをお楽しみください。

ホール・ニュー・ワールド
 1992年に製作された映画「アラジン」から、「ホール・ニュー・ワールド」をフルートとトランペット、アルトサックスのソロを交えておおくりします。この曲も非常に有名で、ピーボ・ブライソンとレジーナ・ベルによるデュエット曲でアカデミー賞最優秀主題歌賞やグラミー賞ソング・オブ・ザ・イヤー等を受賞しています。皆様も幾度となく耳にされていることでしょう。
 「アラジン」は「千夜一夜物語」の「アラジンと魔法のランプ」を元にしたアニメーション映画で、主題歌である「ホール・ニュー・ワールド」は魔法のじゅうたんで世界中を旅するときに流れる曲です。この映画「アラジン」にはディズニー作品キャラクター達が登場してきます。ピノキオや「リトル・マーメイド」のセバスチャン、「美女と野獣」の野獣、ミッキーマウスのシルエットやグーフィーが登場しているとのこと。これを機会にちょっと視点を変えて見てみるのも面白いかもしれません。

ファンタジア
 ファンタジアは、1940年に上映されたディズニーのアニメーション映画です。ステレオが利用された最初の映画として知られています。1940年度のアカデミー賞では、ウォルト・ディズニーと指揮者を務めたレオポルド・ストコフスキーが特別賞を受賞しています。
 魔法使いの弟子に扮したミッキーマウスは、ファンタジア上映から60年後に製作された続編の「ファンタジア2000」でも使用されており、今もなお、多くの人に愛され続けているキャラクターとなっています。この魔法使いの弟子の師匠である魔法使いの先生はイェン・シッド(Yen Sid)と名付けられており、Disneyのつづりを逆から読んだものです。
 本日は、このファンタジアで使用されている曲の中から、トッカータとフーガ ニ短調、組曲「くるみ割り人形」より「こんぺい糖の踊り」・「アラビアの踊り」・「ロシアの踊り」、交響詩「魔法使いの弟子」、歌劇「ジョコンダ」より「時の踊り」、交響詩「禿山の一夜」をメドレーにしておおくりします。この映画ではアニメーター達がクラシック音楽を聴いて浮かんだイメージをそのまま描いています。皆様も曲を聴いてイマジネーションの世界を描いてみてください。


【第38回定期演奏会曲目解説より】
 今回の演奏会は「海・山・川・空」というテーマのもとに、第一部は吹奏楽の為に作曲されたオリジナル曲を、また第二部は映画音楽を取り揃えてみました。「海・山・川・空」というこのテーマ、それぞれの曲の主題であったり舞台であったりするのですが、どの曲も大自然を感じることのできる曲であり、その情景が色鮮やかに想像できることでしょう。曲中のメロディで作曲者の意図を感じて、皆様の頭の中にもイメージが膨らむような良い演奏ができればと思います。

大空を越えて
 ロバート・シェルドン(1954-)は、アメリカのフロリダ州に生まれ。この曲は、シェルドンがフロリダ州立大学で教師をするかたわら大学の吹奏楽団の指導をしていた時期に、ニュージャージ州のテバフライ中学校バンドとその指揮者ワルター・C・シュナイダーのための委嘱作品として1999年に発表されました。
シェルドンは、アメリカ国内で数多くのバンドの指揮をしており、その経験を生かしてスクールバンド向けの作品を数多く出版しています。代表作としては「マナティリリック序曲」や「ロングフォードの伝説」などがあり、現在も積極的な作曲活動とスクールバンドの指導にあたっています。
 今回演奏する「大空を越えて」は非常にシンプルな手法でかかれていて、全体的に明るく大らかな曲想であり、中間部の抒情的な雰囲気も魅力の一つです。また、タイトルにもなっている「大空」をイメージした開放的で華々しい曲の始まりは演奏会の1曲目としてふさわしい曲であるといえるでしょう。

行進曲「山辺の道」
 タイトルにもある「山辺の道」とは、奈良県天理市の東の山裾を南北に走る古道です。日本最古の官道(公道)とも言われており、この自然歩道をテーマにした作品は、大阪府枚方市在住の作曲家、酒井格(1970-)が奈良ウィンドコンサートファミリーの創立20周年を記念したコンサートのために作曲され、2002年に初演されました。
当団では2001年の演奏会で、氏の「大仏と鹿」をとりあげましたが、今回の「奈良シリーズ」は我々にとってかなりの難曲でした。万葉が薫る優美なメロディーが随所に流れ・・・と思いきや、実際はとてもエキサイティングなマーチで、古道脇の神社の神々も、そのパワフルな曲想にびっくりするかもしれません。

海を征服する者
 W.フランシス・マクベス(1933-)といえば1970〜80年代に多く演奏された「マスク」という作品でご存知の方もいらっしゃるでしょう。
 この「海を征服する者」はアメリカ海軍兵学校の創立150周年記念委嘱作品として1995年に作曲された、マクベスにしては比較的最近の曲です。副題に「凪(なぎ)と嵐」とあり、それぞれの海の情景を描いた2つの部分から構成されています。曲中には、シップ・ベル(船の鐘)、レイン・スティック(雨や波の音を模倣する楽器)、ブレーキ・ドラム(自動車の部品)など普段はあまり使われない打楽器が効果的に活躍します。また、全体的に金管楽器が活躍する曲で、中低音を中心とした重厚なサウンドやトランペットのハイトーンが印象的な作品です。

二つの流れのはざまに
 この曲は、オランダはアールストのファンファーレバンド(注:ファンファーレバンドとは吹奏楽と異なり、金管楽器とサクソフォーンで構成されます)のプリンス・ヒンデリックが、2004年に100周年を迎えた際に委嘱され初演されました。タイトルの「二つの流れのはざまに」はアールストの街がドンメル川の二つの支流の間に位置することに由来しています。
 作曲者のP.スパーク(1951-)自身がとても気に入った作品なのか、すぐに吹奏楽版も出版され、2004年秋に大阪市音楽団により世界初演された曲です。よってまだ日本でもそんなに演奏されていない曲でもあり、当団としても今回の選曲にあたり、かなり挑戦的なものとなりました。
 曲の構成はサブタイトルにもあるように、賛美歌267番 (Ein' feste Burg:神は我がやぐら)の変奏曲となっており、主題の提示後に、彩り豊かな4つの変奏曲が演奏されます。曲の冒頭は、川面にキラキラとした日の光がさしてくるような映像が思い浮かぶ描写に始まり、様々な楽器のソロを交えて、最後は金管楽器による主題の演奏で終わります。非常に絵画的でかつメロディも印象深い曲です。ちょっと演奏時間は長いですが、飽きずに楽しんでいただけると思います。

「サウンド・オブ・ミュージック」メドレー
 元々はブロードウェイのミュージカルでもあったものを1965年に映画化された「サウンド・オブ・ミュージック」より、テーマ〜ドレミの歌〜一人ぼっちの羊飼い〜さようなら、ごきげんよう〜エーデルワイス〜すべての山にのぼろう、をメドレーでおおくりします。
 どの曲もとっても有名なメロディで、皆さんも一度は耳にしたことのある曲ばかりでしょう。演奏する私たちも何度演奏しても楽しい曲です。音楽は「王様と私」や「南太平洋」など数々のヒット曲を手がけた、当時のミュージカル音楽の定番コンビ、ロジャース&ハマースタイン。また映画は第38回アカデミー賞のうち、作品賞、監督賞、編曲賞、音響賞、編集賞の5つの賞を受賞しました。映画の内容はここで語るまでもなく、皆様も良くご存じの物語だと思います。良くテレビなどで放映されるものはかなりカットされているので、是非ノーカット版(4時間くらいあります)を一度見ていただきたい映画でもあります。

映画「天空の城ラピュタ」より
 日本アニメ映画界の至宝、宮崎駿監督作品の「天空の城ラピュタ」は1986年に公開されました。もう20年も前の映画とは思えない位いまだ色鮮やかな映画でもあります。公開当時は興行的にふるわなかったものの、宮崎作品の中でも根強いファンが多い作品でもあり、今でも映画のモチーフなどが様々な場面で利用されています。
 音楽は、宮崎作品といえばこの人、久石譲。映画の内容に負けじと良い音楽が揃っております。本来ならばもっとたくさんの曲をやりたいところではありますが、本日は映画のメインテーマでもある「君をのせて」と鉱山の街の雰囲気を描写している「鉱山町」の2曲を組み合わせた形でおおくりします。

映画「海の上のピアニスト」より
 ニュー・シネマ・パラダイスで有名なジュゼッペ・トルナトーレ監督は、この「海の上のピアニスト」で、またまたイタリア映画音楽界で有名なエンニオ・モリコーネと組んで1999年にこの映画を発表しました。
 映画の内容は、豪華客船で生まれ、一生をその船の上で終えてしまうピアニストの悲しい物語。メインテーマでもある「愛を奏でて」は本当に泣けるメロディです。この曲をソプラノサックスとトランペットのソロで、また続いて、劇中の舞踏会のシーンで使われる、ジョップリンの「ピーチェリン・ラグ」では、テナーサックスとトロンボーンのソロを交えておおくりします。

交響組曲「パイレーツ・オブ・カリビアン」
 ディズニーランドのアトラクションとしても有名な「カリブの海賊」。このアトラクションをモチーフにしたディズニー映画が2003年に発表された時には、あのほのぼのとした雰囲気とはまるで違う内容に衝撃を受けました。
 映画は大変なヒットとなり、第一作の「呪われた海賊たち」に引き続き、今夏公開された第二作の「デッドマンズ・チェスト」、そして来夏公開予定の第三作「At World's End(邦題未定)」と三部作の映画となりました。本日おおくりするのは第一作からの主題曲をあつめ、組曲形式にした作品となっています。どの曲も心に残るメロディ、息をのむテンポ、激しいリズムを持った曲であり、新進映画音楽家バデルトの力強い音楽を感じる事ができるでしょう。


【第37回定期演奏会曲目解説より】
 今回の演奏会では、当団では久しぶりの大曲「火の鳥」に挑戦いたしました。吹奏楽はもとよりオーケストラでも、アマチュアではなかなか挑戦できない難曲。せっかくの機会ですから印象に残る演奏をできればと思っていますがどんな演奏ができるかは本人達にとってもお楽しみ。また第二部ではイギリスをテーマに、金管バンド(イギリスではブリティッシュブラスバンドと言われます)ための曲をアレンジしたものと、ビートルズ、クィーンの名曲を織り交ぜて構成してみました。一風変わったイギリスの風を感じていただければ幸いです。

春の猟犬
 本日まず最初におおくりする一曲は、吹奏楽界での定番、A.リード博士(1921-2005)の「春の猟犬」です。A.リード博士の曲は当団でもほとんど毎回の演奏会で取り上げるのですが、特にその中でも吹奏楽の色彩感の良さを引き出す大変魅力的な曲の一つです。イギリスの詩人・文芸批評家でもあるアルジャーノン・チャールズ・スウィンバーン(1783-1909)が、1865年に出版した「カリドンのアタランタ」という古代ギリシャ悲劇を現代英詩で再構成した劇詩の中の、有名な合唱の部分にA.リード博士がインスピレーションを得て作曲されました。「春の猟犬が冬の足跡を辿る頃」という一説から始まる有名な詩より、伝統的なA-B-Aのパターンで構成される3部形式の序曲として非常に情感豊かに表現されています。初演は1980年5月8日。委嘱元であるカナダのオンタリオ州ウィンザーのジョン・L・フォスター中等学校シンフォニック・バンドと、作曲者自らの指揮によって演奏されました。発表されてから25年たった今でも新鮮で大変楽しく演奏ができる曲です。A.リード博士が昨年亡くなり、今後、氏の新曲が発表され、それに挑戦することがなくなるのは大変残念ではありますが、当団はこれからも引き続き氏の様々な曲にチャレジしていきたいと思います。

バレエ組曲「火の鳥」1919年版
 イゴール・ストラビンスキー(1882-1971)は、サンクト・ペテルブルグ郊外のオラニュンバウムに生まれ、1910年にこの「火の鳥」を作曲したことにより、大変有名になりました。ロシアを代表する作曲家の一人であると同時に、20世紀音楽の方向性を決めた音楽家の一人でもあるでしょう。この「火の鳥」は当初はロシア・バレエ団の為に作曲されたもので、その後様々な形で演奏会用に組曲が作られたのですが、1919年版はその中でも一般的に演奏される版です。
 物語の詳細はここでは割愛しますが、イワン王子と火の鳥を主役とするロシア民話で、それはリムスキー・コルサコフのオペラ「金鶏」や、手塚治虫のライフワークでもあった「火の鳥」シリーズで描かれている、「不死鳥」のイメージに通じる一連のモチーフでも有名な民話が主題となっています。
 大変多彩でロマンチックな旋律がちりばめられているこの曲は、一人一人のテクニックはもちろんのこと、高度なアンサンブルを要求され、難曲たる所以でもあります。曲は次の7曲から構成され、それぞれ休み無しに連続で演奏されます。

第1曲 序奏
 低音楽器により、魔王カスチェイの古い城のまわりの不気味な森の場面を描き出し、続く木管楽器による様々な動きが静けさの中の薄気味悪さを表現しています。

第2曲 火の鳥とその踊り
 わずか14小節の短いこの曲は、火の鳥の羽ばたきを表現しています。

第3曲 火の鳥のヴァリエーション
 木管楽器が火の鳥の羽ばたきを表現し、トランペットが火の鳥の鳴き声を模倣します。

第4曲 王女達のロンド
 フルートの導入部からオーボエのソロ、ホルン、サックスへ美しい旋律が引き継がれていきます。

第5曲 カスチェイ王の凶悪な踊り
 突然の大太鼓の一撃を伴ったTuttiで激しく始まります。この曲は組曲の中でも最も良く知られた部分でもあり、金管楽器や打楽器が効果的に使われています。

第6曲 子守歌
 カスチェイ王の踊りが静まり、眠ってしまった魔王に火の鳥が歌う「子守歌」をバスーンのソロで奏でます。

第7曲 終曲
 ホルンのソロにより始まり、最後は金管楽器が高らかにハッピーエンドを表現します。

トレイルブレイズ
 作曲者のゴフ・リチャーズ(1944-)はイングランド南西部のコーンウォール地方生まれ。トロンボーン奏者としても有名な氏は、ジャズバンドでの演奏や、作曲家、編曲家、指揮者として様々な舞台で活躍しています。また氏の作品はポップスからクラシックまで非常に幅広く、世界中で支持されています。特に金管アンサンブルとブラスバンドの世界ではプログラムに良く取り上げられており、人気の高さを誇っています。曲のタイトルでもある「トレイルブレイズ」とは「道を切り開く、開拓する」という意味があり、新世代の音楽を切り開く、快活でわくわくする音楽に仕立てられています。一度聴くと耳にいつまでも残っているわかりやすい旋律、いろいろな形で再現されるテーマを感じて頂ければと思います。

ハード・デイズ・ナイト
 ビートルズの1964年の作品。邦題は「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」。同年に公開された、ビートルズ主演映画のタイトル名でもあります。曲の冒頭の“ジャーン!”という印象的なギターのコード音が有名な曲であり、この曲がその当時の音楽シーンやティーンエイジャーに与えた影響は大きく、まさにビートルズによる音楽革命の開始を告げる曲だったといえるでしょう。吹奏楽での編曲も古くからあり、ポップスアレンジの巨匠岩井先生の初期作品でもあります。曲の後半にはベートーベンの交響曲第五番「運命」のモチーフも加えた興味深い響きを奏でます。フリューゲルホルンとトランペット、アルトサックスのソロをまじえてお聞き下さい。

イエロー・サブマリン
 続けて同じくビートルズの1966年の作品。この曲はポール・マッカートニーが「子供の歌」として作ったもので、同時にリンゴ・スターに贈る目的で作られた曲でもあります。リンゴの、ほのぼのとした歌いまわしと楽曲の内容とがマッチして大いにヒットしました。2年後ビートルズ自身が主人公となるアニメ映画「イエロー・サブマリン」の主題歌にもなり、また日本では金沢明子が「イエロー・サブマリン音頭」のタイトルで邦訳カバーし、1980年にヒットしています。本日演奏する吹奏楽でのアレンジでは、この楽しい曲がワーグナーの「ローエングリン」と合体し、壮大に盛り上がっていきます。

ボヘミアン・ラプソディ
 多くを語る無かれ、1971年にイギリスで結成されたクィーンの代表作であることは皆さんご存じのこと。最近、ビートルズの曲を抜いて、イギリスでは20世紀最高の曲に選ばれました。1975年に発表されたこの曲は、当時初めて聞いた時にはロックなのかどうかわからないというくらい個性のある曲だったようです。吹奏楽によるちょっと変わった響きでお聴き頂きますが、原曲の持つ良い雰囲気を醸し出す事ができればと思います。途中、テナーサックスとソプラノサックスのソロがフレディの7色の声と言われた旋律に挑戦します。

ゲイルフォース
 本日最後におおくりする曲は、タイトルこそ初めてお聞きになるかもしれませんが、曲そのものはどこかで聞いたメロディがきっとあるはず?です。作曲者のピーター・グラハム(1958-)はスコットランドのランカシャー生まれ。現在はソルフォード大学および大学院で、作曲、編曲、音楽史を教えると共に、1994年からは、自らの作品を出版する会社を運営している新進気鋭の作曲家です。曲は"The Rocky Road to Dublin","The Mistral Boy","Tossing the Feathers"の3曲のアイルランド民謡から成り立っており、吹奏楽の色彩と多様性を生かした編曲となっています。また、ゲイルフォースとはイギリス特有の「強い疾風」の意味で、本来強風を意味する"Gael"に更に強調するために"Force"をつけた言葉。このタイトルからも読み取れるように、アイルランド民謡を新しい音楽として生まれ変わらせたところに作曲者の強い意図があると思われます。また"Tossing the Feathers"は人気アイリッシュ・バンドのザ・コアーズが取り上げて演奏をしていたり、近年様々な所でアイルランド民謡が演奏されるようになってきており非常に身近に感じる事ができる一曲です。


【第36回定期演奏会曲目解説より】
 今回の演奏会の第一部は、吹奏楽の為に作曲されたオリジナル曲のうち、「変奏曲」というテーマでのプログラム構成になります。普段は滅多に耳にすることが無い曲だとは思いますが、非常に聴きやすい曲を集めてみました。皆様お好みの曲はあるでしょうか?また第二部はうってかわって、ジャパニーズポップス古今東西ということで、坂本九、山口百恵の曲を中心に集めてみました。吹奏楽で聴くとこんな感じになるんだなぁ、という所も含めて楽しんでいただければと思います。
バンドワゴン
 この曲の作曲者であるP.スパークは1951年にロンドンに生まれました。吹奏楽およびブリティッシュスタイルのブラスバンド(金管バンド)の曲を多数作曲しており、代表作としては「ドラゴンの年」「オリエント急行」などがあります。(当団ではどちらの曲も演奏した事があります。)近年の吹奏楽界で大変人気のある作曲家でしょう。 このバンドワゴンという曲は、スパークの友人でもある、西田裕氏の委嘱で2004年に作曲されました。西田氏は、現在も衛星デジタルラジオの放送局「ミュージックバード」を主催されており、またそこで「ザ・バンドワゴン」という吹奏楽やブラスバンドに関する番組のパーソナリティをされてます。この曲はその番組のオープニングテーマとして2005年1月より使われています。 (ちなみに「ザ・バンドワゴン」は毎週日曜日午前6時から8時まで放送されています。) 曲は明るく快活なマーチで、一般的なA-B-A(中間部に別のテーマを挟んで、最初のテーマに戻る)の構成となっております。非常に聴きやすく、一度聞くとそのメロディが印象深いこの曲、まだまだ日本で演奏される機会は少ない曲ではありますが、是非ともお楽しみ下さい。

独立賛歌による変奏曲
 クロード T.スミスは1987年12月13日に55歳の若さで亡くなりました。まだまだこれからという若さで亡くなってから、もう20年近くたつと思うと早いものです。スミスの代表作には「フェスティバル・バリエーションズ」という、吹奏楽を経験した人であれば、誰もが一度はチャレンジしたいと思う難曲があります(この曲も当団では2度演奏しております)。今回演奏する「独立讃歌による変奏曲」は、その曲ほど難しくはないものの、やはり高度な技量を要する部分がたくさんあり、平均年齢の上がった団体にとってはかなり厳しい曲でした。 さて、この曲は、アメリカ野戦陸軍軍楽隊の隊長であるウィリアム・クラークの委嘱で作曲され、1987年9月にワシントンのケネディ・センターで開かれたアメリカ憲法制定200周年ガラ・コンサートで初演されました。(初演自体がスミスの亡くなる直前ということもあり、1988年12月に遺作として出版されました。) タイトルにもあるように、この曲の主題には1787年に出版された有名な聖歌「いかにして礎はかためられたか (How Firm a Foundation)」が用いられており、ホルンで奏でられる序奏から第6変奏まで、様々な形で主題が展開されていきます。

キラキラ星変奏曲 改訂版
 天野氏は1957年秋田市生まれ。吹奏楽のオリジナル作品もさることながら、近年では映画音楽「バトルロワイヤル」で日本アカデミー賞音楽部門最優秀賞を受賞されたのが記憶に新しい、日本でも指折りの作曲家です。 このキラキラ星変奏曲は、もともとはモーツァルト作曲の『「ああ、ママにいうわ」による変奏曲』を題材としています。変奏曲の変奏曲という、それでもって改訂版というちょっと複雑な成り立ちの曲ではありますが、曲はいたってシンプルです。最初に鍵盤楽器によってオルゴール風に奏でられる、あの有名な主題から、各楽器別のアンサンブル風の変奏部分につながっていきます。

エルサレム讃歌
 吹奏楽界に多大な功績を残し、また吹奏楽にかかわる人の中でその名前を知らない人はいないと言われるアルフレッド・リード博士は1921年にニューヨークに生まれ、そしてつい先日、2005年9月17日にフロリダで亡くなりました。享年84歳、昨年の来日時には、まだまだ現役で活躍されている姿をみせたばかりなので、突然その訃報を耳にした時にはちょっと信じられませんでした。ちょうど今回の演奏会の練習も中盤にさしかかったタイミングでのニュースであり、追悼の演奏になってしまうことが残念で仕方がありません。リード博士に捧げられるような悔いの残らない演奏ができればと思っております。 さて、この曲の内容についての解説をしたいと思います。「エルサレム讃歌」には様々な邦題があるのですが(エルサレム賛歌、エルサレム讃頌、エルサレム賛美)、元になっている賛美歌のタイトルを直訳すると「エルサレムを讃えよ!」となるようです。 インディアナにあるパデュー大学シンフォニック・バンドの創立100周年を記念して作曲され、1987年4月19日(イースターの日曜日)にハリー・ビジン指揮によって初演されました。ビジンは以前、イリノイ大学バンドの指揮者の時に、同じくリード博士の代表作である「アルメニアン・ダンス」を作曲してもらっていました。その後、1984年にパデュー大学の指揮者に就任したために、再びリード博士にアルメニアの主題による曲を作曲してもらったという経緯があり、アルメニアンダンスに続く力作となっています。 原曲は、7世紀頃のアルメニアの「ローマ教皇管区協会の典礼聖歌集」の中の賛美歌の一つで、その主題に基づく変奏曲になっており、曲は序奏、主題と5つの変奏曲、そしてフィナーレで構成されております。途中にソプラノ・サクソフォーンとフルートのカデンツァなどもあり、フィナーレはバンダ隊(舞台袖のファンファーレ隊)も加わって最後の最後まで輝かしく力強いエンディングを形作り、曲が終わります。

第二部
 ジャパニーズ・ポップス古今東西(といっても趣味が偏っていますが)ということで、まずは、日本を代表するロックバンド、サザン・オールスターズのデビュー曲「勝手にシンドバッド(1978)」を聴いていただきます。この曲は、今聴いても新鮮なフレーズです。しかも大変難しい!桑田佳祐の歌い方のフレージングを管楽器で再現するのは非常に困難です。 そして今年没後20年になる坂本九の代表作から「見上げてごらん夜の星を(1963)」「上を向いて歩こう(1961)」の2曲。日本人で唯一全米No.1になった坂本九の曲は、いろいろな人にいろいろな形でカバーされており、今でも愛されている曲です。いまだに色あせないメロディーが心地よいです。 続いての曲はジャニーズの名曲メドレー。全曲知っている人はいるでしょうか?「夜空ノムコウ(SMAP:1998)」「抱きしめてTonight(田原俊彦:1988)」「仮面舞踏会(少年隊:1985)」「WAになっておどろう(V6:1998)」「フラワー(KinKi Kids:1999)」「パラダイス銀河(光GENJI:1988)」「ギンギラギンにさりげなく(近藤真彦:1981)」20年以上もヒット曲をコンスタントに出せるジャニーズ事務所はすごいです。 「涙そうそう(2001)」は、夏川りみが歌った事によって有名になった曲ですが、森山良子やBEGINも歌っている名曲。いわゆる沖縄系の曲がヒットし始めたのもこの頃でした。 最後にお送りするのは、山口百恵の名曲メドレー。山口百恵が引退してもう25年。引退当時21歳だったというのは、今思い返してもちょっと信じられません。今時の21歳のアイドルにあの大人っぽさ、色っぽさが出せるのかな?なんてちょっとオヤジくさいコメントではありますが、その当時を知っている人は誰もがそう思っているはず。メドレーは「秋桜(1977)」「プレイバックPart2(1978)」「イミテイション・ゴールド(1977)」「いい日旅立ち(1978)」で構成されています。どの曲も今でもカバーされたりして、歌い続けられている名曲ですね。 古くは1961年から新しくは2001年まで、年代を問わずに愛されている曲をお送りします。曲が発表された年に何があったかな?なんて思い出しながら聴いていただけると幸いです。



【第35回定期演奏会曲目解説より】
 今回の演奏会のプログラムは、日頃皆さんがよく聴く、耳慣れたクラシック音楽を中心に企画してみました。題して「名曲アワー」。どの曲も、きっとどこかで聴いた事のある曲だと思います。どんなシーンやコマーシャルなどで使われていたのかを思い出しながら楽しんでいただければと思います。

633爆撃隊
 今回のプログラムの中では唯一の変わり種。1964年に公開された同名タイトルの映画のために作曲された曲です。映画は、第二次世界大戦下の英国モスキート爆撃部隊の活躍を描いた航空アクション映画の傑作であり、その映像が頭に思い浮かぶ非常に快活なフレーズが続きます。ちょっと古いですが、日本では「風雲たけし城」という番組のテーマとしても使われていました。オープニングにふさわしく、華々しい感じの音楽をお楽しみ下さい。

主よ人の望みの喜びよ
 バッハのオルガン曲の中でも「トッカータとフーガ」などに並ぶ代表作で、1723年に作曲された教会カンタータ第147番「心と口と行いと生活をもって」の中の第10曲にあたるコラールを原曲とした音楽です。吹奏楽でもしばしば演奏されますが、携帯電話の着信メロディにも良く使われており、非常に愛されている曲だと言えるでしょう。今回は、吹奏楽のオリジナル曲でも有名な、フィリップ・スパークのアレンジによる最新の楽譜での演奏をおおくりします。

ハンガリー舞曲 第5番
 ブラームスの作品でも最も有名ともいえるハンガリー舞曲は、もともとはジプシーの音楽に興味を持ったブラームスがピアノ連弾用に編曲して出版した21曲で構成される曲集です。その中でも第5番は一番有名で、皆さんも必ずと言っていいほど、どこかで聴いたことがある曲でしょう。曲中ではテンポがたびたび変わり、大変エキサイティングな展開が繰り広げられます。

「アルルの女」第二組曲 より
 ビゼーの代表作の「アルルの女」は、アルフォンス・ドーデーの戯曲の劇中音楽として作曲されました。その後ビゼーは4曲を選んで第一組曲として改編し、そしてビゼーの死後、彼の友人でもあるエルネスト・ギローが小曲を適当に組み合わせて編曲したのが第二組曲です。本日はその第二組曲より、3曲をおおくりします。
・間奏曲
第二幕の第一場と第二場との中間に奏される曲。はじめに荘厳な序奏があり、続いてアルトサックスによる賛美歌風のメロディが奏でられます。
・メヌエット
フルートの独奏曲としてあまりにも有名な曲。元々はビゼーの他のオペラで使われていた曲をギローが組曲中に配した曲です。現在では劇の第三幕第二場の前に演奏されるようになりました。
・ファランドール
第三幕中の2つの音楽を材料にしてギローが作り上げた曲。最初に奏でられる行進曲風のメロディは第一組曲にも使われている有名な旋律です。もう一つのメロディは2拍子のファランドールの踊りの部分で、最後には2つのメロディーが組み合わされて華やかに終わります。

バレエ組曲「ガイーヌ」より
 「ガイーヌ」はハチャトリアンの様々な作品群の中でも一番演奏される機会が多い曲の一つです。バレエの内容は、アルメニア国境に近いコルホーズ(集団農場:小学校の社会で勉強しましたね!)で働く貞淑な人妻ガイーヌを主人公とした作品であり、その音楽は民謡を巧みに取り込んだ地方色豊かな音楽になっています。本日はその中でも特に有名な3曲を取り上げて演奏いたします。
・剣の舞
第四幕第三場で演奏される、これまた、あまりにも有名な曲。聴いたことの無い人はいないと言えるでしょう。曲はクルト族が出陣の際に踊る戦闘舞踏を表現しています。
・子守歌
第二幕第一場で演奏される曲。オーボエの悲しげなメロディで始まり、ガイーヌが自分の子を寝かせる時に口ずさむ子守歌の旋律をフルートが奏でます。
・レズギンカ
第三幕の最初に演奏される曲。コーカサス山脈北東に住むレズギン族の郷土舞踏です。民族色溢れる小太鼓の強烈なリズムに導かれ、木管が奏でる明るい東方的な旋律とそして力強く重厚な金管のメロディの対比が特徴的です。

フィンランディア
 交響詩「フィンランディア」はフィンランドで起こった独立運動の資金集め策として上演された民族歴史劇「いにしえからの情景」の終曲として作曲され、1899年11月に初演されました。その後、シベリウスはこの曲を単独の曲として独立させ、管弦楽版は1900年7月2日にパリ万国博覧会で初演されています。曲には、シベリウスの祖国を思う激情と願望が込められており、当時のフィンランドが受けていたロシアからの「重圧」、それに対する「闘争」、そして輝かしい勝利の「賛歌」が美しい音楽で表現されています。

「だったん人の踊り」より
 古代ロシアの英雄叙事詩を題材に作曲された歌劇「イーゴリ公」の中でも一番有名な部分を抜粋でおおくりします。原曲では、オーボエとイングリッシュホルン(今回の演奏会ではクラリネット)が奏でるメロディはとても有名であり、ストレンジャー・イン・パラダイスという別名でも良く知られている曲です。

動物の謝肉祭 より「白鳥」
 サン=サーンスは、作曲はもちろんのことピアノとオルガンの名手として知られているほか、絵や詩作にも才能を発揮し、さらには天文学に関する本まで書いており、音楽史上まれにみる多芸多才の教養人だったと言えます。そんな彼の代表作である「動物の謝肉祭」は、友人のチェリストのルブークの依頼で謝肉祭最終日に催される音楽会のために作曲されました。この曲は14の小品から構成され、それぞれの曲にふさわしい動物の名前が付けられています。中でも今回演奏する「白鳥」は最も有名なメロディーで、チェロの名曲としても親しまれています。今回の演奏会ではユーフォニアムの音色でお楽しみ下さい。

「カルメン」組曲
 第一部の「アルルの女」と並ぶ、ビゼーの代表作です。もともとの歌劇全四幕の曲を再構成し、ビゼー自らが第一組曲と第二組曲の管弦楽曲としてまとめました。今回演奏会で取り上げるのは吹奏楽の編曲で著名な高橋徹氏が、曲の演奏順番まで再構成し、新たな一つの組曲としてまとめ上げた作品です。どの曲も非常に美しく趣深いので、飽きずに楽しめると思います。
・闘牛士
第一幕の前奏曲。歌劇の一番最初に奏でられる曲です。カルメンの中でも一番有名な曲でしょう。
・前奏曲
同じく第一幕の前奏曲の後半部分。非常に重々しい予言的なメロディで、幕の開く直前を飾る曲です。
・アラゴネーズ
第四幕の間奏曲。スペインはアンダルシア地方の民族舞踊が元になっています。
・衛兵の交代
第一幕の曲。衛兵のラッパが響き、その後鼓笛隊の行進曲が続き、街の子供達の合唱につながります。
・間奏曲
第三幕の間奏曲。非常に牧歌的な曲で、当初は「アルルの女」の為に作曲されたと言われています。
・アルカラの竜騎兵
第二幕の間奏曲。ドン・ホセがカルメンに会いに行くときに口ずさむ歌がバスーンとクラリネットで演奏されます。
・闘牛士の歌
第二幕の曲。原曲では独唱と合唱で演奏されます。今回の演奏会ではユーフォニアムとトランペットで演奏されます。
・ハバネラ
第一幕の曲。カルメンの色っぽい独唱の曲です。今回の演奏会ではアルトサックスをはじめとした木管楽器で演奏されます。
・ジプシーの踊り
第二幕は酒場の場面での曲。非常に早いテンポで演奏しなければならず、今回の演奏会の中でも一番難しい曲です。
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