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artist : WILCO
title : 『 SUMMERTEETH 』
release : 1999年3月
label : REPRISE RECORDS
tracks ( cd ) : (1)CAN'T STAND IT (2)SHE'S A JAR (3)A SHOT IN THE ARM (4)WE'RE JUST FRIENDS (5)I'M ALWAYS IN LOVE (6)NOTHING'SEVERGONNASTANDINMYWAY (AGAIN) (7)PIEHOLDEN SUITE (8)HOW TO FIGHT LONELINESS (9)VIA CHICAGO (10)ELT (11)MY DARLING (12)WHEN YOU WAKE UP FEELING OLD (13)SUMMER TEETH (14)IN A FUTURE AGE
secret tracks : (15)(無音) (16)CANDYFLOTH (17)SHOT IN THE ARM
tracks ( analog ) : 未確認
regular members : JEFF TWEEDY,vocals, electric guitar,acoustic guitar,12-strings guitar,baritone guitar,bowed guitar,tremelo guitar,bass,synthesizers,harmonica,toy harp,tambourine,claps,backing vocals ; JAY BENNETT,piano,organ,keyboards,electric guitar,baritone guitar,e-bow guitar,lap steel,slide bass,bass,banjo,moog,synthesizers,drums,tiple,farfisa,bells,tambourine,claps,percussion,backing vocals ; JOHN STIRRATT,bass,piano,backing vocals ; KEN COOMER,drums,timpani.
guest musicians : DAVE CRAWFORD,trumpet ; MARK GREENBERG,vibes ; LEROY BACH,piano.
producer : WILCO
related website : 未確認




(1)CAN'T STAND IT  ▲tracks
 CDをスタートさせると、高らかな鐘の音のバックに鳴っているのは確かに“ブリティッシュ・ロックの代名詞”メロトロン!クレジットには“keyboards”としか書いていないので、「メロトロンを弾いてるなら弾いてるで、ちゃんと“mellotron”と書いといてくれ!」と言いたくなってしまう。“オルタナ・カントリーの雄”といううたい文句に惹かれ、気まぐれな好奇心を持って聴いてみたら、大好きなメロトロンによる気持ちのいい裏切りですっかり嬉しくなってしまった(1)。しかし、Aメロに入るや否や、ビートルズの「THE WORD 【愛の言葉】」 (『 RUBBER SOUL 』 に収録) のベースのフレーズを遅くしたようなリズムのリフに。この部分は乾いた雰囲気でとてもアメリカン。サビはイントロと殆ど同じ雰囲気で、乾いているのだけれどもどこか潤っているような絶妙な感触。


(2)SHE'S A JAR  ▲tracks
 (2)もアコギの次にメロトロン。曲が始まった瞬間、なんとなくボブ・マーリーの「NO WOMAN, NO CRY」 (『 NATTY DREAD 』 に収録) やビートルズの「A DAY IN THE LIFE」 (『 SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND 』 に収録) を思い起こさせる、和みの1曲。途中でフルート/リコーダー系のメロトロンが「ピュゥ〜ワァ〜」と上がってくるところや、ストリングス系のメロトロンの音程が不安定な感じの気持ち良さと言ったらない。その後で鳴り渡るハーモニカがアメリカを呼び戻す。


(3)A SHOT IN THE ARM  ▲tracks
 何かの始まりを予感させるシンセ音の後、出発を促すようなピアノで滑り出す(3)。そしてルート弾きのベースが快適なタイヤの振動を感じさせ、ティンパニがそれを力強く後押しする。まるでドライヴしているような曲だが、歌詞を見ると全然そんな曲ではなく、何やらヘヴィーな内容らしい。それを暗示するかのように、ノイジーな音で終わる。


(4)WE'RE JUST FRIENDS
(5)I'M ALWAYS IN LOVE
(6)NOTHING'SEVERGONNASTANDINMYWAY (AGAIN)  ▲tracks
 ピアノをメインにした伴奏で「別れても僕らはただの友達さ」と切なく歌うバラード(4)の次は、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「I'M WAITING FOR THE MAN 【僕は待ち人】 」 (『 THE VELVET UNDERGROUND & NICO 』 に収録) を髣髴させる出だしのパワー・ポップ(5)。“ゴイン・ゴイン”とヘヴィーな音でグルーヴに貢献している弦楽器は“バリトン・ギター”というヤツらしい。続く(6)もパワー・ポップで、これもドライヴに最適なサウンド。サビでの開放感が爽快だ。途中、“腕時計”について歌っているところで「ジリリリリリリリ...」という“目覚し時計”の音が鳴るのが可笑しい。


(7)PIEHOLDEN SUITE  ▲tracks
 ここでついに最もブリティッシュ・ロックっぽい“組曲”(7)の登場!シミジミと始まり1コーラス終わったところでピンク・フロイドの「ATOM HEART MOTHER 【原子心母】 」 (『 ATOM HEART MOTHER 【原子心母】』 に収録) の尻尾が出てくる。コード進行や雰囲気がソックリなのだ。そして2コーラス目や間奏が終わりエンディングに近づくと、またもや「原子心母」の尻尾。オルガンが鳴る中、バンジョーが入ってカントリー・フレイヴァーを振り撒きつつも、ビートルズに出てくるような柔らかいホーン・セクションが出てきてサーカスでも見終わった気分にさせてくれる。クレジットを見ると、どうやらこのブリティッシュな趣味は、バンジョー、ピアノ、メロトロン、シンセサイザー等の様々な楽器で雰囲気作りをしているマルチ奏者ジェイ・ベネットのもののようだ。


(8)HOW TO FIGHT LONELINESS  ▲tracks
 (7)で夢見心地になった後、一気に現実に引き戻すかのような悲しげなアコギのコード・ストロークが印象的な(8)。繊細で美しいピアノ・ソロや、最後の「トゥールル、トゥールル...」というリフレインもいい。悲しい旋律に乗せて「常にニコニコしていることだ」と「HOW TO FIGHT LONELINESS (孤独との戦い方)」を説く様が皮肉だ。


(9)VIA CHICAGO  ▲tracks
 のんびりしたサウンドからは想像もつかないような恐ろしい夢について歌った(9)。しかし、その夢を暗示するかのようにノイジーなギターが鳴り始めたり、時空が歪んだようなサウンドに変化したりする。そうかと思うとまた綺麗なピアノが登場したりして、まるで夢と現実の間を行き来しているような、そんな曲になっている。


(10)ELT
(11)MY DARLING  ▲tracks
 乗りのいいパワー・ポップの(10)を挟んで、メロトロン他の様々な楽器によってサイケデリックで苔むしたような“ブリティッシュ・ロック”な世界を作り上げている(11)。どうやら、これから離婚しようとしている主人公が、恐ろしい夢のせいで目を覚ましてしまった自分の子供に話しかけている歌らしい。ここでもマルチ奏者ジェイ・ベネットが大活躍で、エレキやアコースティック・ギターはもちろん、バリトン・ギター、E-ボウ・ギター、スライド・ベース、ピアノ、メロトロン等を駆使してサウンド作りに貢献している。ホントにユニークな人材だ。直接的な比較はできないが、日本の“伝説のロック・バンド”ジャックスにいた木田高介のような存在だ。彼もまたマルチ奏者で、ドラム、ヴィブラフォン、サックス、フルート等の楽器を操り、早川義夫という強烈な個性を様々なカラーでサポートした。


(12)WHEN YOU WAKE UP FEELING OLD
(13)SUMMER TEETH  ▲tracks
 アコギやピアノがとても爽やかなシャッフルの(12)の次に、小鳥のさえずりや川のせせらぎのSEを挟んで、いきなりザ・スミス的なギターのフレーズが飛び出すタイトル曲(13)。途中に出てくる、キラキラと目映い木漏れ日か、はたまた川面に反射する日差しかのような幻覚的なピアノが、もう素晴らしいの一言。


(14)IN A FUTURE AGE  ▲tracks
 アルバム最後を締めくくるのは、日差しを浴びながらまどろんでいるような(14)。しかし途中からだんだんとサイケ度を増していく。


(15)(無音)  ▲tracks
 このアルバムの本編は一旦ここで終了。23秒間の無音部分 (15) を挟んでシークレット・トラック(16)(17)が始まる。


(16)CANDYFLOTH
(17)SHOT IN THE ARM  ▲tracks
 この(16)がまた最高にカッコいいパワー・ポップで、曲が進むごとに転調していく高揚感がたまらなくイイ!「この曲も本編扱いで収録すれば良かったのに」と思わずにはいられない程の曲。そして次の(17)は(3)のリミックス・ヴァージョン。


 本作には夢や夢にまつわる現実、そしてシュールな歌詞の曲が多い。ウィルコというバンドがそれを表現するためにはマルチ奏者ジェイ・ベネットが不可欠であり、またそのジェイがそれを表現するためには幻想的な側面を持つブリティッシュ・ロックの、とりわけメロトロンが不可欠だったのではないだろうか。


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