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artist : THE STONE ROSES
title : 『 THE STONE ROSES 』
release : 1989年5月
label : SILVERTONE RECORDS
tracks ( cd ) : (1)I WANNA BE ADORED (2)SHE BANGS THE DRUMS (3)WATERFALL (4)DON'T STOP (5)BYE BYE BADMAN (6)ELIZABETH MY DEAR (7)(SONG FOR MY) SUGAR SPUN SISTER (8)MADE OF STONE (9)SHOOT YOU DOWN (10)THIS IS THE ONE (11)I AM THE RESURRECTION
tracks ( analog ) : side A...(1)〜(5) / side B...(6)〜(11)
members : IAN BROWN ; vocals,JOHN SQUIRE ; guitar,GARY MOUNFIELD ; bass,RENI ; drums,backing vocals.
producer : JOHN LECKIE (1〜3,5〜11),ANOTHER SCHROEDER/GARAGE FLOWER PRODUCTION (4)
related website : 『 THE STONE ROSES.CO.UK 』(公式サイト)、『 ian brown 』(イアン・ブラウンの公式サイト)、『 johnsquire.com 』(ジョン・スクワイアの公式サイト)、『 John Squire Art - Art prints of John's work 』(ジョン・スクワイアの公式サイト)




(1)I WANNA BE ADORED  ▲tracks
 「憧れられたい」などという、不敵であからさまなタイトルの(1)。もう、“ロック・スター”というものが憧れられる存在であることを知ってしまった世代ならではの言葉。そんな言葉を、ユッタリとサイケデリックなサウンド(何となくチャイニーズな雰囲気もある)に乗せて幾度も繰り返す様は、ある意味“自己暗示”とも取れなくもない。
 それにしてもこの曲、始まってから普通のヴォリュームになるまで時間がかかり、普段ならじれったいを思うのだが、休日の“目覚ましミュージック”には最適な気がする。


(2)SHE BANGS THE DRUMS  ▲tracks
 スリリングなハイ・ハットと、ワクワクするようなベース・ラインのイントロにゾクゾクさせられる(2)。この曲の骨格はこのベース・ラインでできていると言っても過言ではないくらいキャッチーで、しかもグルーヴィー。
 そんなベースに支えられたリズムから、メロディーの方へと耳を傾けてみると、サビのメロディー・ラインはサイモン&ガーファンクル(以後 S & G)の「HOMEWARD BOUND 【早く家へ帰りたい】」(『 PARSLEY, SAGE, ROSEMARY & THYME 』 に収録)のそれと似ていることに気付く。また、この2つの曲が「自分達の信じる人と音楽」という似通ったテーマを持つ点から見ても、サイモン&ガーファンクルにインスパイアされたことは間違いないだろう。


(3)WATERFALL  ▲tracks
 自分の住む家や町に嫌気が差し、そこを出て行く“彼女”を“滝”に喩え、密かに応援するような歌(3)。タイトルの如く瑞々しいギター・サウンドと滝の飛沫のようなヴォーカル・サウンドを聴かせてくれる。このヴォーカル・サウンドだけを掬い取ると、これまた S & G っぽく聴こえてくる。演奏はちょっとスミスっぽく、間奏などは特にそうだ。


(4)DON'T STOP  ▲tracks
 (3)を逆回転したトラックに別な歌詞を乗せたと思しき(4)。彼らなりのサイケデリックなアプローチなのだろう。しばらくはトラックのみで進行し、2分近くたってからようやく歌が出てくる。その登場の仕方も、“有耶無耶”な中から“ムニャムニャ”と現れる感じ。様々な感覚が麻痺したかのようなサウンドだ。


(5)BYE BYE BADMAN  ▲tracks
 サイケデリックな陽だまりの中で、マッタリとしたひと時を過ごしているような(5)。メロディーの甘酸っぱさもさることながら、曲中幾度も出てくるコード進行の“G→Gm”への流れがとても切なく心地良い。リズム面での“ドラム無し→ドラム入る→リズムが倍扱い”という流れも心地良い。それと、イントロからずっと刻まれ続けているリズム・ギターがゆっくりと左右に動いているのも、この心地良さの一因かもしれない。


(6)ELIZABETH MY DEAR  ▲tracks
 S & G の「SCARBOROUGH FAIR/CANTICLE 【スカボロー・フェア/詠唱】」(『 PARSLEY, 〜 』 に収録)の替え歌(7)。セックス・ピストルズに続く王室攻撃。
 原曲「SCARBOROUGH FAIR/CANTICLE」は、S & G がイギリス民謡をパクッて(ポール・サイモンやボブ・ディランはイギリスのフォーク界からは“パクリ野郎”扱いされている)自作の反戦歌として仕立て上げたものだが、それをさらに替え歌にして英王室攻撃に使うとは、なんとも複雑なプロセス。しかしストーン・ロージズの場合、そこまで考えてやってるわけではなさそうだ。他の曲でも S & G っぽいサウンドを醸し出している以上、そうとしか思えない。…しかし、もしかすると“S & G 版”の替え歌ではなく“イギリス民謡”の替え歌としてやっているのかもしれない。


(7)(SONG FOR MY) SUGAR SPUN SISTER  ▲tracks
 空と草原が逆転したシュールな歌詞を、甘いメロディーとドリーミーかつサイケデリックなサウンドでくるんだ(7)。シンプルな2コードの繰り返しと、リヴァーブの海にギターのオブリガードがたゆたうサビがとにかく心地良い。
 僕は基本的に AOR やフュージョン他、'80年代のレコードで聴かれる無機質で冷たい残響感が苦手なのだが、こういった意識的に心地良さを志向した残響感は大好きだ。要は、スネアが“バシッ”と、ギターが“ザリッ”とキマルようなデッドなものか、ダビー&サイケデリックといった、時空を捻じ曲げたり、残響の海に溺れそうなモノのどちらかならO.K.ということ。


(8)MADE OF STONE  ▲tracks
 これまでのピースフルな雰囲気から一転、ちょっとシリアスな雰囲気を持ったメロディーの(8)。そのメロディーにはローリング・ストーンズの「PAINT IT BLACK」っぽい感じもある。後半にいくにしたがって、全体的にフランジャーが掛けられてきて、これまでの曲とは違った意味でサイケデリックな展開(ちょっとジミ・ヘン的?)を聴かせる。
 偶然かもしれないが、バック・トラックは日本のハードコア・バンド〜ガスタンクの「RUNNING TO THE SUN」(『 UNDER THE SUN 』 に収録)にちょっと似ている。ガスタンクの場合、ハードコアとはいえニュー・ウェイヴやジャズ、民族音楽からの影響もあるので、ストーン・ロージズ、ガスタンク双方のモデルとなるようなニュー・ウェイヴ・バンドがあるのかもしれない。


(9)SHOOT YOU DOWN  ▲tracks
 ブラシを使ったドラム&ウネウネのベースによる密かにグルーヴするリズム隊と、時にユラユラ&時にパーカッシヴなギターにヤられる(9)。初めはコッソリとスタートして、徐々に盛り上がりを見せる中で、ブレイク部の歌メロやギター・フレイズに出てくるチャイニーズな雰囲気もいい。
 あえて大雑把に聴いてみると、全体的にはローリング・ストーンズの「WAITING ON MY FRIEND 【友を待つ】」(『 TATTOO YOU 【刺青の男】』 に収録)タイプの曲が雛型になっているような気もする。また、フリッパーズ・ギターの「BLUE SHININ' QUICK STAR 【星の彼方へ】」(『 DOCTOR HEAD'S WORLD TOWER 【ヘッド博士の世界塔】』 )はこの(9)に似た雰囲気が感じられる(あくまで大雑把に聴けば)。


(10)THIS IS THE ONE  ▲tracks
 「これだよ、コイツなんだよ! 俺が待ってたのは!」と連呼し、自分が探し続けていた“何か”にめぐり逢えた喜びに溢れた(10)。中盤までは静かで煌びやかな雰囲気だが、それ以降はこれまでの曲のフンワリでボンヤリな演奏とは打って変わって、ドラムもギターも、そしてヴォーカルさえも力強さ漲る逞しい演奏を聴かせてくれる。しかし、その演奏の残響の奥ではギターの弦に何かを擦り付けたようなノイズが鳴り続けている。


(11)I AM THE RESURRECTION  ▲tracks
 本作のハイライト(11)。力強く、甘酸っぱく、ファンキーな名曲。歌詞にあるように戸を叩くようなビートで始まるものの、しばらくはウザッたそうな歌詞とは裏腹に、希望に満ちた演奏が続く。そんな中、幾度か甘酸っぱい瞬間もありながら、後半を迎え、そこからはダンス・バンドらしいファンキーな展開で攻めていく。
 ホンモノのファンク・バンドほど繊細でもなく、ジミ・ヘンほど豪快でもないギターのカッティングだが、この“オモチャっぽいファンクネス”という“型”は、これはこれでアリだなと思える。その後は煌びやかなギターのアルペジオに移りながら、何だかんだで8分近く経っている。


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