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artist : LOVE
title : 『 FOREVER CHANGES 』
release : 1967年11月
label : ELEKTRA RECORDS
tracks ( cd ) : (1)ALONE AGAIN OR (2)A HOUSE IS NOT A MOTEL (3)ANDMOREAGAIN (4)THE DAILY PLANET (5)OLD MAN (6)THE RED TELEPHONE (7)MAYBE THE PEOPLE WOULD BE THE TIMES OR BETWEEN CLARK AND HILLDALE (8)LIVE AND LET LIVE (9)THE GOOD HUMOR MAN HE SEES EVERYTHING LIKE THIS (10)BUMMER IN THE SUMMER (11)YOU SET THE SCENE
tracks ( analog ) : 未確認
members : ARTHUR LEE,guitar,vocal ; JOHN ECHOLS,guitar ; BRYAN MACLEAN,guitar,vocal ; KEN FORSSI,bass ; MICHAEL STUART,percussion.
producer : ARTHUR LEE & BRUCE BOTNICK
related website : 『 LOVE WITH ARTHUR LEE OFFICIAL TOUR SITE 』(公式サイト)、『 Bryan MacLean Official Website 』(ブライアン・マクリーンの公式サイト)




(1)ALONE AGAIN OR  ▲tracks
 “ピッ”と背筋が伸びるようなアコギのアルペジオで始まって、フラメンコ的なコード進行に乗ったソフトなヴォーカル/コーラスに包まれたかと思うと、“恋人と別れて孤独になる歌”なのに“パリッ”と明るいホーンが高らかに鳴る。そしてスペインの闘牛士を思わせるようなトランペット・ソロ。この曲の有無で本作の評価が一変してしまいそうな名曲(1)。この曲を始めとする本作に出てくるホーンのアイディアは、ハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラスがヒントになったそうだ。因みにこの曲は意外にも、“最も早くアルバムをリリースした”パンク・バンド〜ダムドの'86年のアルバム 『 ANYTHING 』 や、“哀愁のギタリスト”マイケル・シェンカーが在籍していたハード・ロック・バンド〜UFOの'77年のアルバム 『 LIGHTS OUT 』 でもカヴァーされている。


(2)A HOUSE IS NOT A MOTEL  ▲tracks
 ヒンヤリとフォークなアコギをバックに、「ドンタカタッ、ドッタドト」と繰り返されるドラムのフレーズがヤケに印象的な(2)。このドラムのフレーズがこの曲の魅力を決定付けていると言っても過言ではない。“メケッ”とサイケなエレキ・ギター・ソロがいい。そのソロの前のアーサー・リーのシャウトが、レーベル・メイト〜ドアーズのジム・モリスンのそれと似ている。


(3)ANDMOREAGAIN  ▲tracks
 (3)は優しく美しいストリングスを伴って表現される、なんとなく虚ろな曲。「ラン・パン・パン・パン」という歌詞の後の空虚な感じがとてもいい。ヴォーカルがちょっと不安定なのもこの雰囲気には合っているかも。


(4)THE DAILY PLANET  ▲tracks
 “つわものセッション・ドラマー”〜ハル・ブレイン他が演奏しているという(4)。歌メロ、リズム他どことなくザ・フーを思わせる曲調だ (あるいは逆の可能性もあり) 。アレンジでニール・ヤングが関わっているらしい。


(5)OLD MAN
(6)THE RED TELEPHONE   ▲tracks
 (1)の作曲者ブライアン・マクリーンが作曲し歌う(5)。コード進行が聴き手を翻弄する様が、ある意味でサイケデリックだ。続く(6)もサイケデリックなコード進行で、ちょっと初期のピンク・フロイドっぽい感じ。


(7)MAYBE THE PEOPLE WOULD BE THE TIMES OR BETWEEN CLARK AND HILLDALE  ▲tracks
 アズテック・カメラの「OBLIVIOUS 【思い出のサニー・ビート】」のギター・ソロのヒントになったトランペット・ソロが聴ける(7)。「OBLIVIOUS」が収録されている 『 HIGH LAND, HARD RAIN 』 のライナー中のインタヴューで、アズテック・カメラのロディー・フレイムは「(1)にインスパイアされた」と発言しているが、これはどう考えても(7)の間違い (というか勘違い) 。「OBLIVIOUS」と(7)を聴き比べれば“一聴瞭然”。また、この曲はドアーズの「BREAK ON THROUGH」 (『 THE DOORS 』 に収録) と同じで、ボサ・ノヴァのリズムを巧くロックのリズムに溶け込ませた“擬似ボサ・ノヴァ”。ホーンだけでなく、こんな所にもハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラスを始めとする A & M レーベルの影響が見受けられる。


(8)LIVE AND LET LIVE  ▲tracks
 フォーク・ロックから一転、サビがフラメンコっぽいコード進行になり、そして唐突にサイケなギター・ソロが入ってくる(8)。


(9)THE GOOD HUMOR MAN HE SEES EVERYTHING LIKE THIS  ▲tracks
 歌詞にあるような正に“爽やかな夏の朝”といったイメージを、A & M 〜バート・バカラックっぽいホーン・アレンジやストリングスが巧みに表現している(9)。楽曲の2/3くらいをインストゥルメンタルが占めている。聴き手が気持ちよくなったあたりで、針が飛んだようなエンディングにビックリ。


(10)BUMMER IN THE SUMMER
(11)YOU SET THE SCENE  ▲tracks
 ちょっとザ・フーっぽいなと思って聴いていると、一瞬ニュー・オーリンズ系のリズム・ヴァリエイションが顔を出したりする(10)の次は、アップ・テンポで飛ばしたかと思うと途中でスピード・ダウン、A & M っぽいホーンがさり気なく入ってくる(11)。それがどんどんシンフォニックになってフェイド・アウト。こんな所が「'68年の (ビートルズの 『 SGT. PEPPER'S 〜 』 周辺の) アルバムだなぁ」と思わせてしまう由縁か。


 こうして聴いてくると、本作がイギリスで高い評価を得ているというのがよく分かる気がする。どこかウェットで憂いのあるアコースティック・ギターの響き。マジカルなアレンジ。折衷主義的な音楽性。いかにもイギリス人が喜びそうな感じだ。何回か“ザ・フーに似ている”と書いたが、これは逆で、ラヴにザ・フーが影響を受けたのではないかとも思われる。他にも、前述のアズテック・カメラやペイル・ファウンテンズ、エルトン・ジョンの曲のヒントにもなっているようだし、ダムドやUFOといった音楽性を異にする連中からもカヴァーされたり、エコー&ザ・バニーメンやティアドロップ・エクスプローズ、モノクローム・セットらが本作を愛聴盤としてあげていることからも、ラヴのイギリスでの人気ぶりを窺い知ることができるだろう。


 しかし、このことはそのままアメリカ人受けしない理由にもなると思う。ポップなことは確かだが、明るい曲でもどこか暗い感じが付いて回るし、どうしても歌が前に出てこない。これはポップスの一つとしてのロックではなくて、アートとしてのロックだと思うのだ。それ故に30年以上たった今でも不変の輝きを放っているのではないだろうか。


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