肩当てについて


 肩当てとは下記のような楽器に後付けする器具です。



特に理由付けがいらない方は。。中級以上の技術習得を望む人は普通つけるものだ。。と思って
現在持ってない場合は(つけた方がいい事が多いので)買ってあげてください。
¥2000前後くらいからあります。高価なものでなくても構いません。
ただし、3-4歳くらいの子は嫌がって取ってしまう子も多いのでつけないか、
あるいはタオルなどで高さを出してあげるといいでしょう(ヘアゴムなどで固定してあげてください)

5歳以降くらいの子や、取らないようであればつけてあげましょう(ただし、
ある程度サイズがあるので楽器サイズにあうものを買いましょう)
・・というところで終わりでもいいのですが。。一応理由付け・つけた方がいいか
なくても大丈夫か。。が以下です。興味がある方・お時間のある方は読んでみてください。


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肩当ては現在、おおよそ日本ではプロ演奏家の10人中9人くらいは最低でも使用している感じです。
(むしろプロレベルになると、なくてもきちんと構えられる技術が出来てきているため、
あえて不利・利点などを理解した上で取る事を選択する人もいます)
=つまりバイオリン演奏をする人、それなりなレベルの技術習得段階の人は特にほとんどがつけているという事です


では何故つけるか・・ですが、バイオリンは楽器の基本的な作りや形、部品などがおおよそ
1500年代からほとんど変わっていません。
というのも、1500年代時点ですでに後から改造の余地がほぼないほど完璧な形をもって
存在してしまっている為です。
突如として完璧な形で音楽史上に現れたその姿は奇跡とも呼ばれています。


が、「構え方」 や「技術」は歴史の中で変化をしていきました。
まず、下記の絵画を見てみてください。中世ヨーロッパ時代後期に描かれた絵画です。



こちらに限らず、バロック以前くらいの時代の作品では天使がこのようにヴァイオリンをはさまずもって
けだるそうに弾いている絵がたまにありますが(笑)
絵が下手なわけでも、モデルがバイオリンの素人だったわけでもありません。
天使の態度が悪いわけでもありません。

当時はこのようにアゴで挟み込む事をせず、上記の絵画のように手でもったり、体に当てて弾いていました。
@現代のバイオリンの先生の前でこのような弾き方・構え方をしたらこっぴどく叱られる事でしょう(笑)


また、あご当て(下記③の部品)がついていないのに気づいた方も居るかもしれません




実はこのあご当てこそ、後からくわえられた数少ない改良なのです。

パガニーニ(ヴァイオリンの歴史上、現代まで含め、もっともその技術と魅力を
高めた演奏家・作曲家として有名かつ、最も現代のバイオリン演奏技術を向上させた人物でしょう)
このころの時代、よりヴァイオリンの演奏力・魅力・運動性を向上させるため、楽器をあごで挟み込み、左手を自由にし
より左手を自在に動かす技術、また左手を自由にする事でビブラートなどの技術が生まれてきました。

そこで、そのままでは挟み込みにくい、また楽器にダメージをあたえてしまうなどの理由から、
あご当てという部品をどの楽器にもつける事が定着しました。
(同年代の作曲家・ヴァイオリニストのシュポーア(Spohr, Louis 1784–1859)
が現在のあご当てを発明・装着したといわれています。)


少し筋肉量が多かったり肩の形状が発達している西洋の人たちはこちらのあご当てのみで
挟み込む事がそれなりに難しくないようですが、日本人を含むアジア人はやせ型の人も多く
また西洋人より肩が華奢な事が多いので、あごあてだけでは高さが足りない事が多いです。

また、裏側は何の加工もされていないため、ニスなどで特に現代の化学繊維の衣服などでは
ツルツル滑ってしまう事も多いです。

というところで、高さを出す事と滑り止めを兼ねて生まれたのが 「肩当て」 という器具です。
(…長くなりました(笑))

上記にもあるように、パガニーニ以降の現代のヴァイオリン演奏技術は、「極力左手で楽器を持つのではなく
アゴで挟み込む形」 を基本技術として使うものが多くなっています。

まず、下記のようにアゴのみでヴァイオリンを挟んでもって手を放してみてください
・・・と、ちょうどいい写真が見つからなかったためティッシュボックスを挟んでいる写真ですが(あとで作成します・・)



が、こちらいい練習ですね。 最初から楽器でやると慣れていないと落としたりが最初危険です。。
まずは上記のようにティッシュボックスで練習。。いいかもしれません。

実際の楽器でやる場合は、万が一落下しても大丈夫なように、最初は布団の上や
ごくやわらかいカーペットの上などで練習するといいでしょう。。
(あるいはいつでも受け止められるように保護者様が手を空中に用意した上で行いましょう)
フローリングなどに立った状態から落下させると非常に危険です。。気を付けましょう。。
まあそちらの手を放す練習は別項で書くとして。。

肩当てがなくても十分このような形をとり、完全に手を放してもバイオリンが床と水平になるくらいに
長時間綺麗に構えられるようであれば、肩当がなくても構いません。

出来ない場合(十中八九出来ないと思います。。)肩当てをつけましょう。。
(あるいは、タオルなどを重ねて高さを出して、ヘアゴムなどで楽器に固定してみましょう)
持ちやすくなった!というのであれば肩当をつけるべきだと思います。

買うのが面倒。。などであればタオルのままでもいいですが、ある程度の高さを出した場合だと
つけたままだと楽器ケースに入らず毎回つけなおすのは面倒になると思います。。
やはり市販品の方が色々便利です。。

肩当てはKUNというブランドのものが形状・作り的にも世界的に最も有名でしょう



ただし、カナダ製なので少し高いです(¥5000前後くらい)
今はもっと安く作れる国でもっと安いブランドなどもあるので、
特にこだわらなくてもいいです。(¥2000前後であります)

また、下記のように色々な形や材質のものもあります

「バイオリン 肩当て」 google画像検索


KUNタイプの他に丸形やスポンジ型などもあるようです。

こればかりは体のつくりや筋肉の付き方は人それぞれなので、何が使いやすいかは
実際フィッティングしてみないと分かりません。。

ので、面倒なければ自分の楽器を持って楽器屋さんに行ってみて色々つけて
実際に構えてみましょう。

面倒であれば、基本KUNタイプがほとんどの人にフィッティングするようなので、
上記タイプの中から納得いった値段・デザインのものをとりあえず選んでみましょう。

実際に少し使った事がある中で、それなりに安価で上記タイプに似たものとしては
FOMというメーカーのもの。。がよく普及しはじめているようです。
(¥2000前後の価格設定が多いようです)

Google検索 FOM 肩当て

何がいいか分からない。。実店舗に行くのは面倒だからネットで買いたい。。
などであればとりあえずの1品目としてはこちらがいいかもしれません。
プラスチック製のものは少しKUNより作りがチャチな部分もなくはありませんが、
試しに使ってみる分には悪くないでしょう。 よく普及しているので
部分破損した場合の修理用部品なども売っているので場合により安く直せたりもしやすい利点もあります。

※ 肩当にもサイズがあります。ご使用のバイオリンのサイズにあうものを買うようにしましょう!!

FOMでしたら、 1/4~1/16 用というのがあるようなので(それぞれのサイズ楽器にすべてあうように
調整できる部品がついています)基本的に(小学4年生以下くらい?は)こちらを買う事になるでしょう。
木製のものは豪華で堅牢ですが、3/4以下の分数サイズの楽器には残念ながら
あうものはないようなので気を付けてください。


お手元に届きましたら、下記をよみ、お持ちの楽器サイズにあうように調整してください
肩当ての調整

幅の調整が終わったら下記を参考に取り付けてみてください

肩当てのつけ方




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