Bob Dylan / Nashville Skyline <1969> |
おすすめ度★★★★ |
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69年に発表された復活Dylan2作目。前作に続いてカントリーミュージックの聖地Nashvilleで録音され、バックのミュージシャンも大々的に地元のミュージシャンを起用。Dylanのヴォーカルも一層洗練された物に変化しており60年代中期に見せていた毒々しいまでのテンションは存在していない。 更にデビュー当時からDylanの良き理解者であり続けていたカントリー界の大スターJohney Cashとの共演も含まれていることから一般には「Dylanによるカントリーアルバム」といった過小評価が下されている作品である。 本作には確かに以前のようなギラギラした革命精神こそ皆無であるがそこに横たわるのはまぎれもなくDylan、人間Bob Dylanがそこにいるのである。 純粋なラヴソングが溢れ、Nashvilleのミュージシャンとのセッションを楽しむDylanの横顔を間近で感じることの出来るDylan版「Good Music」がココに刻まれている。 アルバム全体を包む腕利きのローカルミュージシャンによるアコースティックでCoolなテンションも最高の味わい。時折見せるスケールの大きな演奏振りには正直驚かされるばかりである。 しかし美しい友情の結晶として収録され、アルバムに花を添えたJohney Cashとのデュエットトラックが全体の味わいから異彩を放ってしまい残念ながらマイナス点。っが、それを1曲目に持って来ておいて「本当のアルバムはこれからだよん♪」ってな感じで2のインストでつないでるセンスは流石。 ミュージシャン、ヴォーカリストとしてのDylanを十分に味わうことの出来る小品アルバム、僕はこのアルバムをたまらなく愛している。ジャケの笑顔を見た時、何故か不思議とこっちにも幸せな感情が溢れてくるのだ。
〜特にお気に入りな曲達〜 曲のタイトルからしても、本作はNashville Skyline Ragから幕を開けていると捕えて問題ないだろう。 手作りなリズムに乗ってユラユラ浮遊しているかのようなハープの音色と、抑え気味に鳴り響くカントリーギターとドブロ、そして最後はピアノまでが交互に呼応する心地良いインストナンバーだ。正にDylan版Good Musicの幕開けに相応しいナンバー。心が躍るね。 続くTo Be Alone With Youも抑え気味のリードギターとホンキートンク調のピアノが絡むご機嫌カントリーナンバー。セッション的にスタートするイントロも最高だし、途中のブレイクも含めて数少ない楽器の数々に耳を移せば決して彼が音楽に対するテンションを失っていなかった事が伺える最高のトラック。カッコいいです!こりゃ。 60年代中期からのファンもぶっ飛んだであろうベタなラヴソングPeggy Dayも最高の味わい。夢心地気味のイってるDylanのヴォーカルも最高だし、それを引き立てるバックのノホホンとした演奏も素晴らしい。あっという間に終わっちゃうイさぎ良さも良い感じだ。 こちらもストレートなカントリーソングのOne More TimeもDylanのヴォーカルが素晴らしい。これ程味わい深く歌うDylanは後にも先にもこの時が最高の様な気がする。Songwriter Dylanを上回るSinger Dylan、それに触れてみるのもまた良しです。 アルバム中最も楽し気に演奏されているCountry Pieは個人的もアルバム中のハイライト。転がるピアノに乗って抑えながらも怒涛のヴォーカルを聴かせるDylanと、アバンギャルドに突き抜けるリードギターのせめぎ合いが最高! 1分半という超短時間で僕らの前からあっという間に走りぬけるスタイルも最高にCoolだ。 Jeff Beck GroupにもカバーされたTonight I'll Be Staying Here With Youはアルバム中、最もRockを感じるトラック。重心の低いグルーヴに乗って展開され、間奏ではスティールギターが浮遊感いっぱりに広がる。そして最高のブレイク!!それに続くDylanのRockヴォーカル!! あぁこの3分半という短い時間に、ココまでドラマチックな展開を持たせた曲が他に存在するでしょうか?もう僕はこのトラックにメロメロなのです。カッチョエエですよねぇー。その一言だ、うん。
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1 . Girl From The North Country
裏ジャケにはCashのコメントまで! 彼らの友情の深さを見せ付ける |
(2003.3.23 更新)
順路はこちら
Bob Dylan / Planet Waves へ!
〜関連アーティスト/アルバムへのリンク〜
Jeff Beck Group / Jeff Beck Group
通称Orangeと呼ばれる第二期Jeff Beck Groupの名盤。Tonght〜のカバーバージョン含む