George
Harrison / |
おすすめ度★★★★ |
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金銭的なトラブルこそ続いたのものの、史上初の救済コンサートを終えてから勢いに乗るGeorgeが発表した自身2ndソロアルバム。 プロデュースは前作に続いてGeorgeとPhil Spectorのクレジットとなっているが、この時のPhilは精神的に不安定であり仕事が出来る状態ではなかった為、実質的にはGeorgeのセルフプロデュースとなっているようである。 英米両国のミュージシャンが混在する70年代初期の美しきUK Rockの道しるべを作った意味でとても重要だった前作にその存在感こそ劣ってしまっているが、それだけで本作の魅力を忘れてもらっては困る隠れた名盤だ。 Ringo Starr、Klaus Voormann、Jim Keltner、Nicky Hopkins、Jim Horn等、相変わらず気心の知れた仲間達が大挙して参加。特にココでのRingoの活躍は目覚しく、タイトル曲を含んで随所で彼の独特のグルーヴが作品を覆っている。 またギターのクレジットがGeorge一人というのも嬉しく、本作で聴かれるギターがほとんど全て彼自身による演奏だと思うだけで何となくウキウキする。美しいギターを弾く人です。 地味な印象がどうしても付いてくる本作ですが(ジャケのせい?)、作品自体はとてもまとまってて彼の良さが良い形で収められている。個人的には前作よりこちらの方が好んで愛聴しております。 本作の成功を機に、更に積極的に活動を続けるGeorgeは自身のレーベルの立ち上げに走り、翌年には初の大規模なアメリカンツアーの計画を練る事になります。 しかしその多忙さが仇となって喉の調子を崩したGeorgeは、目の前に迫ったツアーをキャンセルするか強行するかの洗濯を迫られ、強攻策を選択。結果的に散々の評価を得てしまった74年のツアーを最後に、彼は90年代までツアーを行わないこととなってしまうのです。勿体無い。
〜特にお気に入りな曲達〜 大ヒットとなったMy Sweet Loadの続編のようなGive Me Loveでアルバムは華麗に幕を開ける。重ねられたアコギの中から浮き上がってくるスライドギターとNicky Hopkinsの仕業であろう美しいピアノが聴き所。 ちょっと弱々しい内容の詩ですが、Georgeなら納得してその美しさに浸ってられるのも彼の不思議な専売特許。素直に聴き惚れましょう。 元Taj Mahalバンドでバングラディッシュでも共演したJesse DavisにプレゼントされたSue Me, Sue You Bluesは不思議なグルーヴを持ったブギーナンバー。何となくBeatlesっぽいダブルトラックのヴォーカルが、Georgeの弾く泥臭いドブロギターに乗って響き渡る。カッチョ良い。 Nicky Hopkinsのピアノが堪能できるThe Light That Has Light The Worldは本作に収録されている美しいバラードナンバーのひとつ。じっくりと聴かせる曲調に乗ってのGeorgeのカスれた声がとても心に染み渡り、間奏でのスライドギターもいつもの輝きを放つ。 テンポの良いアコギのカッティングが爽やかなDon't Let Me Wait Too Longは、その曲調とは裏腹に最後を迎える直前だった妻パティへの想いをつづられたモノのようだ。 Ringoのバスバスとした重くも軽快に進むドラムがとても印象的。(Keltnerとのダブルドラムかな?)何にせよ、Gerogeらしさの出てる好トラック。 こちらもRingoのドラムが決まりまくっているタイトルナンバーLiving In The Material Worldも何だか好きなナンバー。JohnやPaul、そしてRingoの実名まで登場するその歌詞や中盤部分でインド調になる展開などはなかなかCoolな仕上がり。 ちなみに「Richard」の名前の後にすかさず本人のドラムソロをチラっと挟むようなセンスはBeatlesそのもの。こういうパロディ精神って好きだな。 モロな宗教ソングであるThe Lord Loves The Oneも、その内容を度外視してカッチョエエぇ〜!っと叫びたくなるようなナイスなRockナンバー。ミディアムテンポなリズムに乗って快調に伸びてくるスライドギターやホーン隊にはすっかり夢中になる。 アルバムの最後を飾るのはPaul並みの美しいバラードナンバーのThat Is All。どちらかと言うとLondon Town辺りに入ってそうなナンバーだけど、こういう究極のメロメロバラードも結構好きだったりします。染みますね。
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74年USツアー中のGeorge でも理解してやれよ! |
(2001.2.25 更新)
〜ちょっと禁断のブート話〜
George Harrison & Ravi Shankar / Fort Worth Express
74年、大失敗に終わってしまったというアメリカンツアーの模様を
収録した2枚組みブート。この頃の音源がこれだけの音で聴ければ充分。
イマイチ不評だったRavi Shankarの演奏をコンサートの頭から
中盤に構成を変更した頃だからツアーも終盤に差し掛かったところかな?
Georgeは喉の不調からか、Dylanバリにメロディを崩したり
While My Guitarで「オイラのギターって笑い疲れたとさ」と歌詞を変えてみたりと
いたらん事を連発。この辺も不評の要因のひとつだったんじゃねぇの?
しかしBeatlesのIn My LifeのカバーやメンバーであるBilly Prestonにソロを取らせたり
(これが一番カッコ良かったりして...)もちろんRavi Shankarの演奏が入ったりと
その演奏振りやLiveの構成は決して悪いものではない。
Somethingをレゲェ調にアレンジして演奏しているのも聴き所のひとつだ。
時間のある時に、じっくりと、暖か〜い気持ちで聴くと
とても良いLiveだったことが理解できる。
順路はこちら
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〜関連アーティスト/アルバムへのリンク〜
The Rolling Stones / Exile On Main ST.
Nicky HopkinsとJim Hornも活躍したStonesの名盤
Jesse Ed Davis / Ululu(工事中)
本作収録Sue Me Sue You Blues収録。彼の深い味わいに触れられる