George Harrison / Thirty Three & 1/3 <1976>

おすすめ度 ★★★★


自身の33歳という年齢とレコードの回転数を掛けたタイトルからして彼らしいユーモアに溢れているGerogeのソロ5作目のアルバム。

この時期はBeatles時代から連れ添っていたLyalaことPattiとの不仲や自身のヒット曲「My Sweet Load」に盗作疑惑が浮上して裁判沙汰にまで発展する等、彼の周辺は最悪の状況だったようだ。

プライベートにおいて様々な問題を抱えていた時期の作品だけに彼自身の評価まで余り良くなかったように思える本作であるが、内容の方は彼のアルバムの中でも指折りのモノに仕上がっている。

前作から仕事を共にするようになったDavid Fosterの影響からか、サウンドは新境地を開拓しながらもそのアレンジはしっかりと固められている印象。ファンキーに響くリズム隊を導入しながらも、それをしっかりと受け止めるGeorgeのしなやかなヴォーカルとスライドギターが頼もしい。

また上記のような裁判沙汰までパロディーしてヒット曲にしてしまった等、相変わらずのブラックユーモアも披露。何とも彼らしい快作である。

全体としてやや統一感に掛ける様に思えるが、それを包み込む彼の唯一無二の個性が何とも頼もしい隠れた名盤、時代の音と真正面から向かい合いながらもそれをサラリと自分のモノとして回答した最後の作品のように思える。

 

〜特にお気に入りな曲達〜
(ってほとんど全部だったりして...^^;)

ノッケから奥さんとの別れソングのようなWoman Don't You Cry For Meでアルバムは爽やかに(?)幕を開ける....だって爽やかなんだモン!サウンドが。Alvin TaylorにWillie Weeksという黒いリズム隊に乗るスライドギターの浮遊感が何とも魅力的なオープニングナンバーだ。

肩の力が抜けたGeorgeのヴォーカルも何とも朗らかで...こんなに優しく歌われるとPattiさんも別れるしかなかったんでしょうねぇ。個人的には爽やかなオープニング。

Dear Oneはシンセにアコギという組み合わせが何とも斬新なお馴染みLoadソング。正直この手の曲はあまり好みでなかったのですが、12月の悲報を聞いてからこういうのが妙に胸に染みるようになってしまいましたね。

続くBeautiful Girlは後に結婚して最後まで共にする事になるOliviaさんの事を歌ったナンバー。前曲から続くシンセに乗って響き始めるギターの奏で、そして歌いだしのメロディがとにかく美しいナンバー。

間奏におけるスライドも含めてGeorgeの魅力を心行くまで堪能できる名曲です。素晴らしい。

盗作疑惑の裁判沙汰までパロディーしたThis Songは、とにかくイタズラ心いっぱいの楽しいRock'n Rollナンバーだ。ココではBilly Prestonが奏でるピアノとキーボードが縦横無尽に活躍し、その楽し気な音色は本作のハイライトのひとつなっている。

パーカッションの響きも楽しいIt's What You Valueはドライブ感溢れるリズムにシャッフルビートが溶け込んだユニークなサウンドが魅力。Gerogeらしい歌詞もなかなかハマっている。良い曲だな。

Cole Porterという人のカヴァーというTrue LoveもGeorgeのスライドギターが大々的にフューチャーされた爽やかな仕上がり。アルバム中唯一のカバーとなるが、そんな事言われないと全く気付かない程アルバムによく溶け込んでいる。Oliviaさんへの想いが込められたナイスなトラックだ。

ミディアムテンポのソウルナンバーPure Smokeyは個人的には本作のハイライト。ちょっとAORっぽいCoolな音作りにホンワリ香るファンキーな感覚がとても心地良いトラックだ。例えスライドを用いなくても十分素晴らしい彼のギターソロも堪能できる。

トロピカルなアレンジが妙にハマるCrackerbox Palaceも彼の新境地。余裕とも受け取れるポップな音作りが楽曲の楽しさ引き立てる。


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1 . Woman Don't You Cry For Me
2 . Dear One
3 . Beautiful Girl
4 . This Song
5 . See Yourself
6 . It's What You Value
7 . True Love
8 . Pure Smokey
9 . Crackerbox Palace
10 . Learning How To Love You

 

 

 

 

 

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George Harrison 33歳
まだまだその音楽活動は盛んでした

(2002.1.14 更新)

 

 

 

 

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