Ronnie Wood / Now Look <1975>

おすすめ度★★★★


WoodyがFacesとしての活動を継続する望みとThe Rolling Stonesへ参加する憧れの念を抱きながらも人生最も積極的に活動していた年に発表した彼自身のソロ2作目。

前作で聴かれた白人ニューソウルフィーリングをより消化させたような見事な仕上がりとなっており、共同プロデューサーには当時ニューソウル界でメキメキ頭角を表しつつあった若手ソウルマンBoby Woamackを起用。

全編に漂うクールなソウルフィーリングを絶妙なビートスタイルで料理した本作は、まさしく白人ソウルアルバムの金字塔である。

メンバーは共同プロデューサーのBoby Woomackを始め、リズム隊は前作に続いて名うてのソウルコンビAndy Newmark、Willie Weeksを起用。キーボードはFacesの戦友Ian McLagan、ゲストにStonesのKeith RichardsとMick Taylorが参加している。

75年にこの面子で録音したと聞いただけで悪いわけも無く、ガッチリと組んだ彼らの鉄壁ながらもどこかラフと言う自由なグルーヴがアルバム全体を包んだ、愛すべき宝石の様なサウンドが詰まっている。

選曲の方も幅広く、3と初めとする彼の自作ソウルナンバーからBobyの持ち歌4、完全なソウル畑のヒットナンバー9や初期のLinda Ronstadtのバックも勤めたカントリーロックバンドのSwanp Waterのナンバーをソウルカバーした3などなどそのスピリッツは当たり前の様にフリーそのもの。彼らの好きなナンバーを彼らの好きなフィーリングで取り上げるスタイルはWoodyの独壇場だ。

本作はWoodyがサポートメンバーとして参加していたStonesの北米ツアー中にリリースされ、ツアー終了後に他のStonesのメンバーがオフに入るのを尻目に今度はFacesのメンバーとしてツアーをこなす。

Facesのツアーを終えた彼はStonesのニューアルバム「Black & Blue」の製作スタジオを訪問。数曲の録音に参加した後、ついにアルバムのジャケット撮影にも参加。Rod Stewartは遂にFacesの解散を宣言する。

本作のグルーヴを堪能した後に「Black & Blue」を聴くと、彼のStonesへの参加が如何に自然な流れであったかが納得できる。Mick Jaggerは白人ソウルフィーリングを体現したこの陽気な男が欲しくて溜まらんかったんでしょう。

そう、その判断が大正解だった事は現在のStonesの活発かつ楽し気な様子を見れば一目瞭然ですよね。

 

〜特にお気に入りな曲達〜
(って、長くなったらどうしよう.....^^;)

オープニングはI Got Lost When I Found Youでクールにスタート。BobyとWoodyが共作したこのニューソウルビートナンバーはいきなりアルバム全体のトーンを決定付ける名曲。クールなリズムの上を浮遊感一杯に歌い続けるオルガン、ソウルフルなRockin'ギターとどれをとっても絶品のグルーヴが曲全体を包み込む。

素晴らしきソウルアルバムへの出会いを祝福してくれるかのようなサウンドは、いつ聴いても感動的ですらあります。おぉー!カッチョエエぞぞー、Woody!!

続いてはRodも翌年のソロアルバムで取り上げているSwanp WaterのオリジナルナンバーBig Bayou。オリジナルの方は聴いた事ないが、何となく想像できちゃうカントリーRockin'ナンバーなのでしょう。

Woodyのスライドギターをタイトルから想像した通りに目一杯フューチャーしたダウントゥアースなRockin'ナンバー。やはりこういう曲をやらせても、アルバムの中では何処かソウルフルな顔色をしているのは不思議。アルバムにも見事に溶け込んでいる。

Woodyの自作ソウルナンバーBreath On Meは自身でもかなりお気に入りの名作。バックコーラスにKeithの声が聞こえる所がまた泣かせる切ないナンバーだ。後年でも再録してみたりLiveで度々取り上げたりしている。良い曲ですね。

If You Don't Want My Loveはクラビネットもフューチャーした本格的なソウルナンバーで共同プロデューサーのBobyのオリジナルナンバーだ。浮遊感のあるヴォーカルとコーラスに誘われながら展開していくクールなアレンジがたまらない。こういう曲の中でもギターがしっかり存在感を示すあたり、ギタリストWoodyの素晴らしさですね。

こちらもBobyのオリジナルながらもパワフルにRockするソウルナンバーI Can Say She's Allrightもまたカッコイイ。連譜を連発するソウルギター、攻撃的なオルガン、ラフなヴォーカルと後期Facesのカッコ良さを消化し切ったかのような仕上がりが最高だ。

何となく愛してしまって止まないソウル小品とも言えるCaribbean Boogieはまたお気に入りナンバー。そして間髪入れずに始まるNow Lookと合わせてアルバムも中盤に差し掛かった辺りでこういうジャム的なナンバーが顔を出す辺り、非常にWoody。

このラフなスタイルがたまらない。

Woodyのギターもイントロから終始冴え渡るSweet Baby MineはソウルフルかつRockin'なバラードナンバー。ミディアムテンポで展開される当時のWoodyの独壇場のようなサウンドは本当に素晴らしい。彼のヴォーカリスト、ギタリスト、プロデューサーとしての才能が光り輝く名曲。

I Can't Stand The Rainはメンフィスソウルの大ヒットナンバー。今度はこのドソウルなナンバーを逆にブルースっぽく演奏している点はとってもユニーク。そのブルースフィーリングを誘い出すKeithのラフなカッティングが素晴らしい。ま、多分彼にとっては「いつも通りにやった」んでしょうけど。。。結果オーライの素晴らしきカバートラック。

Mick Taylorのスライドが大活躍するIt's Unholyもラフなブルースソウル。WoodyのギターにTaylorのスライドが絡むという組み合わせもココでしか味わえない貴重モノで、それがしっかりと溶け込んでいる所が素晴らしい。後半にかけてジャムっぽく展開していく様が、何ともカッコイイのだ。

ラストナンバーは本作をサポートしたBoby、Ian、Jean Rousselの共作によるソウルナンバーI Got A Feeling。Bobyのバックコーラス隊も参加している本格的なソウルナンバーで1と見事に調和する素晴らしきトラック。

クールなリズム、ギター、オルガン、ラフなヴォーカルなどなど本作の魅力を集大成したかのような素晴らしきラストナンバー。ブリッジにおける地味だがクールな展開など、楽曲的にも素晴らしい出来上がり。もう駄目、俺このアルバム好き、もう一回聴く!っと言いたくなりますねー。最高、最高。

 


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1 . I Got Lost When I Found You
2 . Big Bayou
3 . Breath On Me
4 . If You Don't Want My Love
5 . I Can Say She's Allright
6 . Caribbean Boogie
7 . Now Look
8 . Sweet Baby Mine
9 . I Can't Stand The Rain
10 . It's Unholy
11 . I Got A Feeling

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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当時多分世界で一番
忙しいアーティストだったんでしょ

華ですよ、旬ですよ

 

※Big Bayouのオリジナルアーティストに関してはRockin’ Obi氏よりご指摘を頂きました。ありがとうございます。

(2004.8.30 再更新)

 

 

 

 

 

 

 

順路はこちら
The Rolling Stones / Black & Blue へ!

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〜関連アーティスト/アルバムへのリンク〜

Faces / Oh La La
Facesのラストアルバムとなった名盤。

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Marc Benno / Minnows
Boby Womackが活躍したスワンプシンガーソングライターの名盤

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Linda Ronstadt / Linda Ronstadt
後にSwanp Waterもバックを勤めたカントリー畑出身の歌姫

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Geroge Harrison / George Harrison(工事中)
Woodyと肩を並べるソウルフィーリングを持ったのは彼だけ!?
Andy&Willieはこちらも参加