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自爆シリーズF

第17回
Re:
' We're All Alone '
From:
mack
Dated:
'01/07/26


大学に入った僕が、必修科目の教科書を買うよりもまず先にしたことが入るべきサークルの選定だった。

なんせ、高校時代にあんな監獄のような寮にずっといてオ●ニーにも不自由していたのだ・・。ここは、ひとつバンドサークルにでも入って、ロックやって酒のんでオンナこまして精一杯楽しまねば、と18歳なりの妄想を膨らませ
(今にして考えると妄想自体がステロタイプだったところに問題の一端があったようにも思うが)
僕はキャンパスに足を踏み入れたのだった。

音楽系のサークルは腐るほどあった。それぞれが教室の机をキャンパスの中庭に持ち出し、手作りの幟などをたて新入生を勧誘している。仮設ステージでは(新人勧誘のために駆り出されたのであろう)バンドが 何やらフュージョンちっくな曲を演奏している。

とりあえず食堂にイチバン近いところに伊勢正三似の口髭をたくわえた柔和そうなヒトが勧誘の机を構えていたので、資料でも貰うべえか、と思い声をかける。

僕「あの〜」

髭「あ、入部希望かな?」(勢いこんで)

僕「いや、とりあえず資料でも貰おうと思って」(心中:おいおい、まだ決めちゃいないよ)

髭「それじゃね、ここに学部と名前と楽器パートをとりあえず書いてくれるかな」

僕「あ、はい」

 (書き込まれた内容をみて)
髭「なんだギターかぁ・・、ねぇドラムやらない?」

僕「へっっっ?」(出鼻を挫かれる)

髭「あのね、オレも入学時はギターだったの。でもねギターって多いじゃん?
  それで上手い奴も一杯いるしさ、すぐバンド組みたかったから
  俺ドラムに転向したんだよね。
  うん、それが1年前の話。いや、ドラムはいいよ〜。うん、バンドのカナメだしね」

僕「・・・」(心中:ちっ、ここは大したこと無いかも・・・他に行くかな・・・)

髭「あのね、ウチのサークルはいいよ〜
  他の●△■研とか×□研と較べてもみんな上手いしね〜
  いろいろ教えて貰えるしね。新人でもすぐライブとか出れるよ。
  あ、あと先輩が(バンドの)コーチしてる関係で、
  S心女子大のオンナの子が多いんだよね〜

僕「・・・入ります

髭「でさ、ウチのサークル出身のミュージシャンには●保×とか竹●▲●□とかいるしね、
  歴史もあるわけよ。え?何って言った?」

僕「入ります

髭「あ、そう入る?」

という殆ど冗談のようなやりとりがあって、その音楽サークルに入った僕だった。

どんな音楽が主流なのか・どんなヒトがいるのか・どういう活動をしてるのか髭は説明してたが
全く上の空で聞いていなかった。

S心女子大・・・

あくまでイメージ映像ですアタマのなかはその甘美な響きでおっぱい、もといいっぱいだったのだ。

また、その髭と一緒に座ってたオンナの子(Tさんって言ったかな確か)がまた白石ひとみのようなお嬢系の美少女でオレは(もう僕とかいってらんない-笑)鼻先に人参をぶら下げられた馬のようだった。今にして思えば、Tさんはオレみたいな馬鹿な魚を釣るための「餌」だったのね(苦笑)

Tさんに先導されて食堂の一角に向かうと
そこはいわゆる「溜り場」だった。

ふーん、こんなとこで溜まってんのかぁ、部室とか無いんだなぁ、ちょっとショボイね、こりゃ、と思ってると、

T「mackくんは何か飲む?」

俺「あ、ハイ、いや、自分で買えます」(アタフタ)

T「いいのよ、今日初日だもんね、奢っちゃうわよ(ニッコリ)」

俺「あ、そ、そっスか?んじゃ、コーラ」

T「はーい、コーラね(またもやニッコリ)」

自販機に向かって遠ざかるTさんの後姿を見つつ、炸裂する妄想・・・

本当に愚かだったと思う、根本は今と変わってないが・・・(泣)

ギターを弾くオレ → Tさんはそのバンドでキーボードを弾く → スタジオでの練習が終わる → 素晴らしいフレーズを弾くオレに対して尊敬と憧れの視線を向けるTさん → 「送っていこうか?」(オレ) → 「あ、嬉しい・・・」(頬を赤らめ喜びを隠せないTさん) → 疾走するオレのRX7(オマエまだ免許も持ってないだろっ?!) → カーステから流れる音楽は We're All Alone♪ BOZは俺のお気に入りだ → 「いいだろ?」(第3京浜沿いにあるラ●ホを顎で示し言葉少なに迫るオレ) → 「・・・」(無言で同意するTさん)
 → (以下大自粛)

 

T「ハイっ、コーラ(ニッコリ)」

俺「は、ハイィっ!」(妄想を中断され声が裏返るオレ)

T「いっぱい、新人入るといいね♪ mackくんもいっぱい同期のヒト欲しいでしょ?」

俺「・・・」(妄想を反芻している)


それから30分後、俺は髭と一緒に新人の勧誘をしていた。
新入生らしいオンナの子に声をかけながら「見事な攻撃だ、タケ●ゃんマン」と俺は呟いていた。


(多分、続く)


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