Easy Blog








← Prev | 1 | 2 | 3 | 4 | Next →

ではここで、あなたが今お勧めのサンディエゴのバンドを幾つか紹介してください。

John:Beehives & The Baraccudas、Go Go Go Airheart、Locust、それにBlack Heart Procession。サンディエゴには素晴らしいバンドが大勢いるよ。すごくフレンドリーなシーンだし、みんなお互いのことを知ってるんだ。

参考までに、サンディエゴ以外で今あなたが気に入ってるバンドも教えてください。

John:Clone Defectsっていうバンドがすごく好きだ。めちゃくちゃクールなバンドだよ。あと、Mr. Quintronっていうのも好きだね。ソロ・ユニットなんだけど、変なドラム・マシーンを使っててさ。言葉では説明しにくいんだけど、観たらブッ飛ばされるはずだよ。B-52'sとスイサイドを足して割ったような音なんだ。

ありがとうございました。じゃあ話を戻しまして、ピッチフォークの後にドライヴ・ライク・ジェイフー、そしてロケット・フロム・ザ・クリプトが結成され、さらには、サルタンズ、ホット・スネイクス、バック・オフ・キューピッズなどなど――

John:まあ、サルタンズはどっちかっていうとサイド・プロジェクトでしかないんだけど。アルバムを1枚作っただけで、ライヴはやってないし。

でも、とにかくたくさんのプロジェクトをやってますよね。

John:そうだね、サルタンズはちゃんとしたライヴはやらないんだけど、RFTCを始めたのと同じ理由で立ち上げたバンドなんだ。とにかくパーティーとかで演奏して、みんなで楽しむだけのバンドなんだよ。RFTCだって今でもそのつもりでやってるんだけど、なにしろ6人だから。6人いるとどうしても人ん家でいきなり演奏するわけにはいかないんだよね(笑)。とても現実的ではないんだ。だけどサルタンズはどこでも演奏できるんだよね。それがボーリング場だろうと、ハイスクールの学園祭だろうと、誰かん家のリヴィング・ルームだろうと、どこでだって演奏できるんだよ。だからサルタンズはパーティー・バンドをやろうぜっていう軽いアイディアが実現したバンドなんだ。

何故そうやって一つのバンドに固執しないで、様々なプロジェクトをやろうと思うんですか?

John:なんでだろう? 色んな人とやるのが楽しいからなんじゃない? 色んなサウンドに挑戦したいしさ。だけど、やっぱりRFTCが最も大切なバンドであり、そこに最大の責任を感じている。それは他のメンバーと交わしている契りでもあるんだ。例えばホット・スネイクスにもすごく真剣に取り組んでるけど、1年間のうちどうしても1ヵ月ぐらいしか活動できないバンドなんだ。だから、楽しいバンドなんだけど、そこまで時間をコミットする必要はないんだよ。

1ヵ月だけ?

John:うん、1年間で1ヵ月ってとこだね。実は1枚目を作った時、ホット・スネイクスが本格的なバンドになるとは考えていなかったんだ。これもただのプロジェクトに過ぎなかったんだよ。ドラムと2人で全ての音を作って、そのテープをリックに渡して歌ってもらったって感じでさ。だけど、2枚目はみんなで4日間ほど集まって、全曲一緒に作って、レコーディングしたんだ。

しかもツアーもしてましたよね。

John:うん、やったよ、1回だけだけど。

日本には来ないんですか?

John:まあ、来たいのはやまやまなんだけどね。

本業が忙しいって感じなんでしょうか?

John:いや、実はドラマー1人の都合がつかないって感じなんだ。メジャー契約したバンドとやっているから、そっちの方が忙しくて、いつもツアーしているから、ホット・スネイクスに費やす時間がまったくないんだよ。他のメンバーはそれなりに余裕があるから、実現してみたいんだけどね。

先ほど言ってたようにRFTCはあなたのメインのバンドだと思うんですが、それぞれのプロジェクトへの接し方は異なるんでしょうか?

John:まずホット・スネイクスは本当に居心地いいんだよね。というのも、俺は自分のことを第一にギタリストだと思っているからさ。RFTCで歌ってるのは他のメンバーが歌いたがらなかったからなんだ。俺はギターを弾くのが何よりも好きで、あれこそ自分の手馴れた武器って感じなんだよ(笑)。だからホット・スネイクスではRFTCとはまた全然違う満足感を得ることができるんだよね。変な話、言葉を使って歌うと聴く方も何でも文字通りに捉えてしまうけど、ギターを使って歌うとコミュニケーションの枠が広まるような気がするんだ。

バック・オフ・キューピッズとかはどうでしょうか?

John:バック・オフ・キューピッズはドライヴ・ライク・ジェイフーが解散した時に、あのバンド用に書いた曲が残っていたんで、それを友達のガレージに置いてあった8トラックを使って録音したものに過ぎないんだ。なにしろ発散するところがなかったんでね。ああいう曲はとにかく外に出して頭を一旦リセットさせる必要があるからさ。そうじゃなきゃ前へ進めなくなっちゃうんだよね。

わかりました。ではRFTCについて訊いていきたいと思います。RFTCのライヴを観るとみんな揃いの衣装を着てたりしていて、どうしてもシリアスなハードコアっていうより、快楽的なパーティー・バンドという印象を受けてしまいます。

John:うんうん。

あなたがRFTCを始める時、「パーティー・バンドをやりたい」という思惑はあったんでしょうか?

John:うん、とにかくショウをやりたかったっていうのがあった。奇妙なことだよね。というのもパンク・ロックには、ロック・スターという概念を否定する傾向があるから。で、俺もそれには同意する。そういう形で人を奉ることは嫌だからさ。俺の好きなバンドは全て身近な存在で、ライヴとかでも気軽に話しかけられるようなバンドばっかりなんだ。俺はそういう姿勢にすごく影響されている。だけど同時にパンク・ロックはショウマンシップを端から放棄する嫌いもあるんだよね。演出は絶対的に悪とされている傾向があって。だけど、俺は高校では演劇を学んでたし、人前に立ってみんなを喜ばすのはごく自然なことなんだよね。自分でもすごく楽しいしさ。確かに「スピードー」というキャラクターはまるで違う人物だっていう、ファンタシーじみた側面もあるけど、やっぱり基本的にあれは自分なんだ。自分を演じているつもりなんだよ。まあ、ちょっと気取った感じもあるかもしれないけど、よく観察するとそこまで着飾ってないことがわかるはずだよ。それがまた混乱を招いたりするんだけどね。わけのわからない戯言を抜かしたすぐ次にすごく真摯で謙虚な発言をしたりするからさ。どうしてもそれが見抜けなくて、どっちがリアルなんだか判断しにくいから。白黒をハッキリさせたがる人もいるけど、別に全てを理解する必要はないんだよ。曖昧な感じでいいじゃん、って俺は思うんだ。

では、最初からショウマンシップを意識していたんですね。

John:うんうん。初めてやったRFTCのライヴでは、みんな全身真っ赤だったんだ。ギターやアンプも全部赤く塗ったしさ。最初の4〜5回はただのパーティーとかだったんで、普段着で演奏してたと思うけど、初めてツアーに出かけた時に、そういうスタイルでやろうってことになったんだ。さらにソウル、ジェイムス・ブラウンやテンプテーションズを発見するにつれて、それがどんどんと進化していったんだよね。ただのライヴにしたくなくて、派手なショウ、イヴェント感のある体験にしたかったんだ。同時に俺たちは、ブラック・フラッグやジェイムス・ブラウンみたいにきちがいじみた執念を込めて仕事に向き合うアーティストに惹かれるところもあったんで、死に物狂いで練習したよ。毎日8時間は練習してたな。とにかく常にベストを目指していた。自分たちのライヴを観に来てくれるお客さんのことは常に気にかけてるし、みんなが払ってくれるお金に対して最善を尽くしたかったんで、絶対に損をさせないショウにすることを心掛けてたんだよ。

『Circa: Now』からアポロやアトムがバンドに加入しましたよね。バンドが特別なものになったと確信したのはやはりこの時でしょうか?

John:そうだね。まさにあのアルバムになるな、何かが始まろうとしているというのを確実に感じ取ったのは。

RFTCが軌道に乗り始めた頃はちょうどグランジ/オルタナティヴが大ブレイクした時で、基本的にはシアトル周辺から始まったムーヴメントだったとはいえ、あなたも周りにいるバンドがメジャーに吸い上げられるのを目撃しているんじゃないでしょうか?

John:そう。メインストリームのメディアもみんなサンディエゴに注目していたしな。

当時はメインストリームもいい方向へ進んでると思ったりしましたか?

John:まあ、変な時期だったよね。なにしろメジャー・レーベルや新聞、あと『ローリング・ストーン』とかのメジャー誌がわんさかサンディエゴに集まってきて、シーンについて報道し始めたんだけど、誰も俺のお気に入りのバンドに触れることはなかった。それよりか、そこいらじゅうにもう既にいたようなバンドの真似っこみたいな連中ばっかりに注目しちゃってさ。だから、確かにいいことは少しあったと思うけど、俺たちにとってはただ人々を茶化すいい機会でしかなかったんだ。インタヴューとかを受ければ嘘ばっかり言ってたし、そうやって遊んでただけなんだよ。だから「これで成功できる」みたいなロックンロール・ドリームを夢見ることはなかったな。メジャー・レーベルがRFTCに興味を持ち始めた頃、俺はカーゴ・レコード――RFTCの最初の2枚をリリースしたレーベルで、郵便の整理とか電話番とかしてたんだけど、ゲフィン・レコードとかのA&R担当から、「RFTCというバンドに興味があるんだけど、音源もらえないか?」っていう問い合わせがしょっちゅうあった。そういう時は、とりあえず保留にして、ニューヨークの電話帳を引っ張り出してきて、相手の住所を訊いてから「だったらこちらのレコード屋でお買い求めになれますよ」って相手の近所にあるレコード屋を教えてたんだ(笑)。サンプル盤なんか送ったことないよ。

← Prev | 1 | 2 | 3 | 4 | Next →

Special Issue | Interviews | Articles | Disc Reviews
Core BBS | Easy Blog | Links

© 2003 HARDLISTENING. all rights reserved.