Easy Blog








← Prev | 1 | 2 | Next →

さて、バンド休業中に、ストロークスのアルバート・ハモンドJr.と仕事したことで、ギタリストとしての自分を再発見したそうですが、そうした経験を経て生まれた、新作でのお気に入りのギター・パートはどれか教えてください。

Steve:全部のギターパートが好きだけど……特に"シークレッツ・アー・シニスター"のギターは、たくさんのギター・トラックが重なっていて、それぞれ違うものを弾いてるんだけど、1つのムードをちゃんと作り上げていて、出来上がった時は皆に自慢したいほど、我ながら気に入っているよ(笑)。今回は今まで以上にギターソロを弾いてるんだけれど、それはまさに今の僕がどれだけギターを弾くという行為を楽しんでいるかの表れだね。

ロングウェイヴは、プレイヤーとしてもサウンド・メイキング面でも鋭い才能を発揮しているバンドですが、その中心にはやはりあなたの作る「歌そのもの」のクオリティの高さがあると思います。今作にも「良い曲」がたくさん入ってますし、例えば先日WRXPというラジオのセッションで披露した"サテライツ"を見ましたが、ウクレレで弾き語りをしても成立するような曲ですよね。これらの優れた楽曲はどのようにして生み出されるのでしょう。何かコツとか心がけがあったりするのでしょうか?

Steve:あはは! それが分かれば苦労はしないよ(笑)。でも、それが分からないのが創作の楽しみでもあり、ミステリーなんだと思うよ。ただ1つだけ言えるのは、今まで僕が書いたロングウェイヴの曲は全部、1本のアコースティック・ギターだけで演奏できるように作られている。どの曲も、子供の頃に母が教会のバザーで買って来てくれた、ちっぽけな箱みたいなギターで作ってるんだよ(苦笑)。それがいろいろアレンジされて、レコーディングが終わると全く違うもののように聴こえるけどね。だけど、いつもギター1本でもちゃんと良い曲として成立する作品を書くことが、僕の作曲上でのゴールなんだ。

なるほど。そういう楽曲に、凝ったアレンジメントやサウンド・プロダクションが施されていくわけですが、具体的にはどのようにそのプロセスが進行するのでしょうか? メンバー間でアイデアの善し悪しについて議論したりすることもあるのですか?

Steve:そういうケースもありうるね。基本的には僕が曲とアレンジを全て作ってきてから、みんなで合わせてみて微調整を加えるパターンと、サウンドチェックの時とか、何気なくスタジオでみんなが音を出している際に、僕の耳にひっかかったフレーズを繰り返しプレイしてもらって、そこに歌メロを思いつくまま歌ってみて、後日ちゃんとした構成を考えてきて曲として仕上げる方法のどちらかなんだけど、どちらも僕にとっては本当に楽しくてエキサイティングなプロセスだよ。

分かりました。ではここで少し、あなた個人の背景についても聞かせてください。両親がビートルズやローリング・ストーンズやドアーズをたくさん聴いていて、自然にそれに親しんで育ったそうですが、あなたが、いわゆる「良い曲」を書きながら、シンガーソングライターとしてではなく、あくまでバンドとしてそれを具現化させる方向に進んでいるのは、そうしたバンドが原体験になっているからでしょうか?

Steve: 単純に、友達と音楽を演奏するのが楽しくて大好きだからさ。もちろん大変な時もあるけどね……例えばロングウェイヴのメンバーは誰も技術的に決して優れたミュージシャン達ではないかも知れない。だけど、もし僕が"サテライツ"を他の一流ミュージシャンとレコーディングしたとしても、もしかしたら「正しい曲」には聴こえるかもしれないけど、僕は自分と友達が一緒に楽しんでいる音の方が聴きたいし、その方が自分らしいと思えるんだ。友達同士となら言葉が無くても音で伝え合うことができる。1人で特定のスタイルの音楽をずっとプレイするのも楽しいかもしれないけど、僕は色んなスタイルにチャレンジできるバンドの方が、苦労は多いかもしれないけど、報われた時の達成感は何物にも代えられないと思う。

ちなみに、10才の頃にはメタル系バンドにもハマっていたそうで、ギタリストとしてのルーツはそこにあるようですが、シンガーソングライターとしての自分と、ギター・プレイヤーとしての自分というのは、あなたの中で住み分けされていたりするものなんでしょうか?

Steve:あるかも知れないね。だけど、アルバートとギターを弾いていて分かったんだけど、彼と一緒にギターを弾くことを楽しめたのは、僕がソングライターでもあるからなんだ。ソングライティングの経験があるからこそ、僕がどうすれば彼が気持ちよくギターを弾けるか、どうすれば彼をより引き出すことができるかが手に取るように分かったんだよ。もし僕が、ひたすらギターを弾くだけの男だったら、きっと彼の邪魔をするばかりだったと思う。両方の経験があるからこそ、自分もより良いギタリストに少しは近づけたんじゃないかと感じられるようになったね。

なるほど。さて、U2には一時期かなりのめり込んだそうですが、あなたにとって彼らの魅力とは? ついでに、最近のボノのバンド外での活動についてはどう思いますか?

Steve:あはは、確かに僕はU2の大ファンだよ。まずバンドについてだけど、いろんな人がU2のリズム隊について非難するよね。確かにもっと技術的に上手いプレイヤーはいくらでもいるかもしれない。ただ、もしあの2人(アダムとラリー)じゃなかったら絶対に僕が好きなU2のサウンドではなくなっているはずなんだ。多くの人々が、あの4人でしか出せないケミストリーがあることに気付いていないんだよね。だってもう30年近く一緒にいるんだよ!? すごい話だよね。曲も素晴らしい、声も素晴らしい、そして何よりジ・エッジのギター・プレイには物凄く影響を受けた。僕が若かった頃の同世代のギタリスト達は、みんなもっと早弾きだったりテクニカルなギタリストに夢中だったけど、僕だけはジ・エッジに夢中だったんだ。 で、最近のボノに関してはあまりよく知らないけど、彼がバンド以外で行なっている活動も、結局のところ彼はちゃんと今でも素晴しい曲を作り、素晴しいパフォーマンスをしているんだから誰も非難する筋合いは無いと思う。彼がちゃんとミュージシャンとしての結果を現在も残せている以上、誰も彼に文句を言えないと僕は思うけどね。

確かに、その通りですね。では、ここ最近のお気に入りでよく聴いているようなアーティストや楽曲は何か教えてください。

Steve:そうだなぁ……スウェーデンにリッキー・リーっていう女性シンガーがいるんだけど、最近は彼女の作品をよく聴いてる。あと新しいバンドでアルバータ・クロスっていうバンドがいるんだけど、ちょっとマイ・モーニング・ジャケットに似てて、僕はマイ・モーニング・ジャケットが大好きだから、そのバンドも結構いいね。それから、今回のアルバム製作の前に、僕とシャノンと、スプーンでドラムを叩いてるジムとで、アシュン・カイランと言う女性シンガーのアルバムのレコーディングを手伝ったんだけど、それもすっごくいいよ。実は彼女とは、僕がロングウェイヴを始める前にも一緒にバンドを組んだ時期があったんだけど、とても素晴らしいヴォーカリストなんだ。

最後に、今後の予定と、もう少し長期的なバンドの将来に関するヴィジョンについて教えてください。

Steve:全ては最新作の売り上げ次第だね。これは、シャノンとまたバンドを始める時に話し合ったことなんだけど、僕達は精魂込めてアルバムを作ったけれども、もし今作も前回のような売り上げに終わったら、もう(ロングウェイヴを)続けることは無理だよ。とりあえず、今のところは順調な感じだし、日本でもリリースされたばかりだから、これからどうなるか楽しみだね。だけど、まぁ……願わくば、これからも音楽を作り続けることができて、爺さんになってもポーチでギブソンのギターをかき鳴らせるような幸せな老後を迎えられたらいいね(苦笑)。

Follow Links:

← Prev | 1 | 2 | Next →

Special Issue | Interviews | Articles | Disc Reviews
Core BBS | Easy Blog | Links

© 2009 HARDLISTENING. all rights reserved.