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そうだったんですね。さて、ジェフとクリフは、ISISとしての前作『パノプティコン』と今回の『イン・ジ・アブセンス・オブ・トゥルース』の間にニューロシスのメンバーと「レッド・スパロウズ」というバンドを始めてアルバムも発表していますが、そこでの体験がISISの新作に生かされたりしたようなこともあったでしょうか?

Jeff:僕はもうそのバンドには参加してないんだ。クリフォードがやっているよ。

Cliff:うん、他の人と作業すれば必ず新たな経験や発見をするから、おそらく気づかないうちに今までよりも成長を遂げているだろうとは思う。ただ、それがどんな形でISISでの創作に反映したかは、まだ自分じゃ分からないな。レッド・スパロウズでは、僕はギターしか弾かないし、ちょっと違ったソングライティングや楽曲の構築を試みたから、その経験が今回のISISのアルバムに何かしら良い意味で作用していれば嬉しいけどね。だから、具体的な作用や貢献が「これだ」とは言い表せないにせよ、僕個人の成長は確実にあるとは実感してる。

レッド・スパロウズとISISのソングライティングの違いは、どんなところにあるのでしょうか?

Cliff:まったく違うというわけでもなくて、むしろ類似点の方が多いかな。大体の作曲プロセス――みんなでセッションして、そこから出てきたアイデアをいかに構築していくかを考えながら、曲の中にダイナミクスをつけたり――とかいうのは、どちらのバンドでもほとんど変わらないんだ。だからむしろ一緒にプレイしているメンバーの個性だとか嗜好の問題が大きいんじゃないかな。

なるほど。ちなみにレッド・スパロウズのファースト『アット・ザ・サウンドレス・ドーン』は、京都を訪れた時の経験が反映されているそうですが、具体的にはどういうことだったのでしょう?

Cliff:最初のアルバムは確実に京都に行った際に受けたインスピレーションを元に作られたものだね。前回ISISで来日したときにはレッド・スパロウズのメンバーのジョシュ(・グレアム=ニューロシスのメンバー)も一緒に来ていて、休みの日に何人かで京都に出かけたんだけど、僕だけじゃなくて行った全員すっかり京都に魅了されてしまったんだよ。それでジョシュは、あの日の経験をもとにして最初のアルバムの曲を書いたんだ。

では、アーロンから、レッド・スパロウズのアルバムに対する感想を聞かせてもらえますか?

Aaron:もちろん、とても良いアルバムだと思ったよ。みんな素晴しいミュージシャンだし、友達でもある。僕は、自分の身近に素晴しいミュージシャンが大勢いて、その友達が、それぞれ常にクリエイティヴな作業をしているということがスゴくクールに感じられるんだ。レッド・スパロウズもそうした仲間達のひとつだし、良い音楽を作って他の仲間にも刺激を与えていると思う。

わかりました。ところで、先日のクアトロでの公演の最中、マイケルがギターの弦を切ってしまうトラブルに見舞われていましたが、その間の繋ぎ方がさすがだと思いました。ああいう時の対処はもう慣れたものっていう感じなんですか?

Jeff:時々あるよね。

Cliff:そうだね。幸運にもそんな頻繁には起こらないけど。昔に比べれば、みんな多少まともに機材も扱えるようになったから(笑)トラブルを起こす回数は減ったけど、それでも起きる時は起きるんだから、その時はとにかくどうにかしようと心がけてる。

Aaron:誰かがトラブったら、他のメンバーが何かしら音を出してそれをカバーするようにはしているね。とにかく沈黙だけは避けたいからね(笑)。10年も一緒にやってきたおかげで、そういう時には瞬時に反応できるようになったかもしれない。

では、今後の活動に関して、現時点で何か特に考えていることなどはありますか? 例えば、こんな人達とやりたいとか、次のアルバムはこういう感じにしたいとか。

Jeff:今の時点では全く無いね。もしかしたら各自「このリフは使えそうだぞ」とか、ちょっとしたアイデアの断片くらいはあるかもしれないけど、そうしたものも全ていったん家に帰ってからあらためての作業になるから、やっぱり現時点では全く無いと言っていいと思う。

Aaron:あと、ツアーやレコーディングで共演したいと思うようなバンドっていうのも、もうすでに夢に描いてたことが十分やれているから、これ以上の望みは無いと言っていいくらいさ。もちろん、これからも自分達の好きなバンドと競演していきたいし、自分達がやっている音楽を可能な限り大勢の人々に聴いてもらいたいという気持ちはずっと変わらないけど、今のツアーも、アルバムのセールスも自分達の理想通りになっているし、なによりバンドを続けるうえでいちばん大事な「楽しい」という気持ちを存分に感じてるから、僕達は本当にラッキーで幸せなんじゃないかな。

わかりました。では最後にもう1問。最新アルバムのコンセプトは「人によって真実とは違うものだから、はたして本当の真実なんてものはあるのだろうか?」というような内容になっているわけですけども、そういった作品ごとのテーマに関して、メンバー全員で話し合ったり意見を交換する機会は持つようにしていますか? あるとしたら、それはどんな感じで行なわれているのでしょう。

Jeff:間違いなくレコーディング前に、コンセプトについてのミーティングはするよ。というのも、アートワークがレコーディングと同時進行で同じスタジオの中で行われることも多いからね。厳密には、全てがレコーディングと同時進行で出来上がっていくといった方が正確かも。

Aaron:多くの人が「コンセプトがあって、そこから音楽を作る」という流れが普通だと思っているだろうけど、実際はその逆で、ある程度曲のアイデアや構成が出来てから、それに合わせてコンセプトをより細かく明確にしていくんだ。確かに、歌詞とアートワークはコンセプトの上で成り立つものだから、大まかなイメージが先に出来てなければいけないけど、コンセプトや歌詞もレコーディングと同時進行で進められていると思ってくれていいよ。

Cliff:先にコンセプトを完全に打ち立てて、それに合わせて音楽を作っていくよりも、自分達のムードがリアルタイムで反映された音をまずは組み上げることの方が、音楽的には大事だと思うからね。

その過程で議論になったりすることもあるのでしょうか?

Aaron:常にみんなが意識の片隅にコンセプトを思い描きながら作曲を進めているから、特に話し合いということにはならないな。その作品の「最後の一筆」となるのがコンセプトだと思ってくれていいと思う。あとレコーディングのムードを作るのにコンセプトが助けてくれるっていうこともあるね。

Cliff:練習の段階の方がレコーディングをしてる時よりも、頻繁にミーティングが行なわれるよ。レコーディングの段階までくれば、ほとんどの曲は構成が出来上がっているから、あとはある程度コンセプトが固まってくることでレコーディングの雰囲気もハッキリしてくるからね。

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