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Interview -ISIS-



Tokyo, 2007. 2. 1
text by Yoshiyuki Suzuki
interpretation and translation by Stanley George Bodman


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ケイヴ・インとコンヴァージとアイシス−−この、ハードコア・パンクとヘヴィ・メタルを基盤に持つ3バンドが現在それぞれ全く個別に切り開き築き上げた音楽性にこそ、ここ10年のUSアンダーグラウンド・ミュージック・シーンにおける最も豊かな収穫を見る思いがする。2007年に行なわれたアイシスの来日公演は、本当に神々しいまでの領域に達していた。以下のインタビューは、この時いっしょに来日していたディーズ・アームズ・アー・スネイクスがヘッドライナーとなったショウに、アイシスのアーロン・ターナーとマイケル・ギャラガーがソロ形態で出演した時、残りのメンバーを相手に行なったもので、これを読んだだけでも、アイシスというバンドはメンバー全員が高い意識を持って創作活動に向き合っているのだということが分かると思う。

「このバンドの原動力の内部には、常に"上達"や"進化"、あるいは"自分達を突き詰めていく"という精神があると思う」

では最初に、今回の来日の感想を聞かせてください。

Aaron:順調だよ。日本に来るのはいつも楽しみだし、懐かしい顔もちらほらあって嬉しいよ。ここへ来ると、いろんな面でインスパイアされるから毎回楽しみにしてるんだ。

Jeff:アーロンが言ったように、ここへ来るのはいつだって楽しみだ。何度来ても毎日睡眠不足に悩むくらい寝る間を惜しんで楽しませてもらってる。

Cliff:今回のツアーのハイライトは念願のBorisとの対バンで、僕は昔から彼らのファンだったからとても嬉しい。そして、These arms are snakesとはここに来る前から一緒にツアーを廻っていて、本当にいい奴らだから、このツアーはとても楽しいよ。

今の話にも出た通り、今回はBorisとのツアーということで、彼らについてどう評価しているのか、また実際に競演してみてどう思ったか聞かせてください。

Aaron:あのギターの女性には特に驚かされたな。見た目には普通の小柄な女の子だと思ってたけど、ステージに上がったら物凄い爆音でプレイしていて、そのあまりのギャップにもっと彼らの「音の裏側」を知りたくなったね。大概は音を聞けばそのプレイしている人の容姿も想像出来るし、逆に容姿を見ればどんな音楽をやっているか想像がついたりするものだけど、Borisのメンバーは全員、見た目からは想像できないようなミュージシャンだった。あのダブルネックのベースも超クールだし。3人とも非常に才能あるプレイヤーだと言えるね。3ピースであれだけのことができるバンドはそうそういないし、非常にインスパイアーされるよ。

Cliff:僕は個人的に、かなり前から彼らのファンだったからね。今回こうして競演という形で直接知り合えたのは非常に嬉しいな。彼らもけっこう長いキャリアを持ったバンドだから、お互いに尊敬の気持ちが通じ合えたと思うよ。

共演は今回がまったくの初めてなんですか?

Jeff:そうだね。前回の来日時にはEnvyと廻ったからBorisは今回が初めてだ。Envyも素晴しいバンドだな。

わかりました。さて、私は今までのISISの来日公演はフジロックも含めて毎回観てきたのですが、今回のショウはさらに良いものになっていると感じました。バンドの音楽性がすでに完成しているようでいて、さらに成長を続けているというのは、なかなかスゴいことだと思うのですが、自分達でもこれだけのキャリアを積んできて、まだまだ成長しているという実感がありますか?

Cliff:もちろん、そうありたいと思ってバンドを続けているし、それができないのであったらバンドを続ける楽しみを失ってしまうことになると思うよ。

Aaron:このバンドの原動力の内部には、常に「上達」や「進化」、あるいは「自分達を突き詰める」という精神があるんだと思う。あと、今はちょうど新しいアルバムが出来上がって、ツアーも始まったばかりだから精神的にとてもフレッシュな状態で、世界に向けて僕達の音を伝えられていると思うよ。さらには、ここに来る前にToolのツアーに参加したことも大きく作用しているかもしれないね。あのツアーは、とにかく全てにおいて規模が今までとは比べようが無いくらい大きかったから、今のライブではその時の経験が役に立っているんではないかな。

Jeff:それに、周囲のスタッフとの関係性も長くやってきているうちに、どんどんこれまで以上に状況が良くなってきているという部分もあると思う。

単純に最新作からの曲が増えたことなどとは別に、今回のツアーから意識的に変えてみたところなどはありますか?

Aaron:「より良いミュージシャンになりたい」という意識以外には、レコーディングにおいてもライヴにおいても、特にグループとして意識的な変化やアイデアをつけ加えたりはしていないな。

もしかしたら、意識的に変えようとして新しいことをやってるのではなく、本当に自然な成長によって変わってきているから、その内容が説得力のあるものになっていると言えるのでしょうかね。

Aaron:その通りだね。君たちが観ているのは僕らそれぞれの成長の過程で、その集まりがバンドなわけだから。きっと君が僕達のショウを初めて見たのは4年くらい前だと思うけど、それ以降もISISは、メンバーそれぞれ「より良いミュージシャン」になるべく自分達のプレイを突き詰めていって、そういうやり方で成長してきている。もし成長がなければバンドを続ける意味も無いと思うんだよね。

わかりました。ところで、最新アルバム『イン・ジ・アブセンス・オブ・トゥルース』がリリースされたタイミングでは、アーロン・ターナーにインタビューしたんですが、レコーディングでパーカッションを入れることにして、ゲスト・プレイヤーを呼ぶことになり、そこでアーロン・ハリスがたくさんのアイデアを出したという話を聞いたのですが、具体的にはどういう内容だったのでしょう?

Aaron:そのゲストで呼んだプレイヤー(Troy Ziegler)は僕達の共通の友人なんだけど、彼はいわゆるマルチ・プレイヤーと呼ばれる、本当に何でもプレイ出来てしまう素晴しい才能の持ち主で、彼が触った音楽はすべて金色に輝くと言っていいくらい、とにかく天才的な、絶対の信頼がおける数少ないプレイヤーなんだ。で、今回のアルバム用に1曲、みんなで静かにセッションが出来そうなインスト・ナンバーを作って――今までのアルバムにも大体1曲はそういうセッション的な曲があるんだけど――今回は是非その曲に彼を迎え入れたいと思って誘ってみたんだよ。実際のレコーディングでは、ハンド・パーカッションとディジリドゥ、あとギターでも彼が参加していて、その才能にはただただ驚くばかりだった。僕らは本当に心から尊敬できるプレイヤーにしかゲストでの参加を依頼しないんだ。だからパーカッションのパートも全て彼に任せて、僕達は何もリクエストも打ち合わせもしなかった。そして、期待通りに完璧なプレイをしてくれたので、とても満足しているよ。

ちなみに、今回のアルバムからバスドラを2台に増やしたという話も聞いたのですが、これはどうしてだったのですか?

Aaron:実際にはバスドラは1台のままで、ツイン・ペダルを使ってみたんだ。過去にも挑戦してみたいとは思っていたけれど、あれは安易に手を出してはいけない機材だから今まで躊躇っていたんだよ。確実に効果的なポイントが見つかるまではやめておこうってね。だけどISISとして長年やってきて、次第に自信もついてきて、今回のレコーディングでようやく「ここだ」と思えるポイントがあったので、挑戦してみたんだ。

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