Easy Blog





USA, 2000.5.20 - 6.20
text & photo by Sasami
photo (MSG & NASSAU) by Michi

← Prev | 1 | 2 | 3 | 4 | Next →

5月1日 旅立ち

 DL56便 成田16:20 ― アトランタ15:50。予定通り到着、入国審査後、3時間の乗り換え便待ち。猛烈に眠い。
 DL4584便 アトランタ19:25 ― ウースター21:50、のはずが離陸1時間半後、機体トラブルでアトランタに戻る。 飛行機に乗ったまま修理待ち40分、ウースター到着は深夜1時過ぎ、運良くタクシーがつかまりホテルに向かう。途中ドライバーに翌日のライブ会場について尋ね、ホテルから歩ける安全な場所にあることを確認。



5月2日 マサチューセッツ州 ウースター
WORCESTER CENTRUM CENTRE


 昼から下見をかね街をぶらぶら、というものの、ホテルで貰った地図はA4のコピー1枚、見るところは少ない。





『さっき会場を下見に行きました。集まっている子達はやはり少しゴス入ってました。また報告します。行ってきます。ひゃっほー!!』

 夜ライヴ、徒歩でホテルに帰る。

『NIN追っかけ1日目終了しました。まず前座のAPC、ギター2人、ベース(女性)、ドラム、そしてメイナードという5人組でした。ヘヴィーなサウンドの上を漂うきれいなメロディー、メイナードの声が印象的で、惹きつけられるものがあります。体をくねらせて漂うように歌っていました。なんだか「漂う」という言葉がライヴ中何度も頭に浮かびました。
 そして、NIN。ライヴ自体の印象は、日本の時と比べて何かサラリとしています。2階でステージのほぼ真横という席で見たせいもあるんでしょうが、フロアだけが盛り上がっているように見え、あっという間に終わりました。こちらの観客の“THE FRAGILE”の曲に対する反応の鈍さには驚きました。それなのにインストを2曲も演奏する、トレントの頑固さと大胆さ。そんなトレントを他のメンバーがみんなで支えているんだという事が分かりました。
セットリストは

pinion/terrible lie/sin/march of the pigs/piggy/the frail/the wretched/gave up/la mer/the great below/the mark has been made/wish/complication/suck/get down make love/ closer/head like a hole
【アンコール】
the day the world went away/even deeper/starfuckers.inc./hurt

 私が1番かっこいいと感じたのは“the mark has been made”です。
 V1.0との違いはやっぱり映像で、3本の大きな細長いスクリーン(トレントの後ろにある真ん中の一本が少し幅広)が最初天井のように水平にぶら下っていて、“the wretched”では嵐の前の雲のような映像を映し、それが途中で斜めになって照明の役割をし、“la mer”からの3曲の時に完全に立ちあがり水の波紋、海岸の波打ち際、花、水中に飛び込み漂う人、炎といった映像が流されました。大きなイメージはV1.0と変わりませんが、もっと具体的に撮られた映像で、カラフル。V1.0が全てを受け入れる受動的な深く広い海のイメージだったのに対して、V2.0は何かを生み出すエネルギーが感じられる能動的なイメージ。“complication”(サイケなコンピューターグラフィック)、“closer”(滝のように流れる炎)、“even deeper”(抽象的な波か雲のよう)の時にも、このスクリーンは使われています。照明もまったく新しくなっていました、正面 から見た時に報告します。NINのライブとしては、初めて客観的に見ました。トレントは何も諦めていないんだなと、私には強く感じられました』



5月3日 ロードアイランド州 プロヴィデンス
PROVIDENCE CIVIC CENTER


 グレイハウンドバス3165 ウースター9:40 ― プロヴィデンス10:45。予定通 り到着。ウースターのバスターミナルは『地球の歩き方』に書いてあるように45分前に行くものの、閑散としていて緊張する。 プロヴィデンスのバスターミナルは会場の目の前、調べる手間が省けた。タクシー全然通 らず、近くのホテルで宿泊客のふりをして呼んでもらう。ホテル到着、お昼前にもかかわらずチェックインできた。地図を貰い下見&街をぶらぶら、教会が多い静かな大学街。途中トレント達のツアーバスを発見。夜ライヴ、会場近くのホテルが取れなかったため不安でしたが、外に出てみると交通 整理の警官多数、安心。通りかかったタクシーでホテルに戻る。

『NIN追っかけ2日目、今日は純粋に楽しみました。やっぱり“the mark has been made”はメチャクチャかっこいい! そして今日はさらにインストを増やし“just like you imagined”も演奏しました。“la mer”(トレントはキーボードに専念)も数えると“THE FRAGILE”から4曲もインストを演奏している、この心意気、トレント本当にかっこいい! 凄い!
 今日は陸路を移動しました。同じ道を数時間違いでトレント達も通り、同じ景色を見たんだなと思えるだけでもアメリカに来た意味があった(ちょっと感傷的)。フロアで見れるニューヨークが待ちどうしい』



5月4日 コネチカット州 ハートフォード
HARTFORD CIVIC CENTER


 グレイハウンドバス3165 プロヴィデンス11:00 ― ニューヘイブン13:30、は20分遅れで到着。
 グレイハウンドバス2038 ニューヘイブン13:55 ― ハートフォード14:55、に乗り換えるはずが、サーカスのパレードのため大渋滞、乗り換えるバスが全然来ない。不安になり係員に聞くと「次に来るバスが、あなたが乗る便。ここで待っていれば間違いない」と言われる。炎天下独りぼっち、じっと待つ。30分後やっと来たバスに乗る。ハートフォード到着、タクシーでホテルへ。今日のホテルは会場の隣。この日あたりからアメリカ東部異常気象、連日30℃を超える暑さに。一応下見、この街も教会が多い大学街、そしてマーク・トゥエインの街らしい。夜ライヴ、今日の会場はショッピングモールと同じ建物の中。


『NIN追っかけ3日目、今日は圧倒されました。きれい、素晴らしい、曲もサウンドも本当に美しい! トレント・レズナー=NINであったとしても、NIN=トレント・レズナーではないと感じられるぐらいバンドとして熟しています。メンバー全員が自分のやるべき事を全力でやり尽くしてくれてる。感謝! 昨日と今日はカーテンの中、シルエット状態で演奏する“somewhat damaged”から始まり、“get down make love”、“even deeper”はなし。照明のことは私の文章では説明できない。さらに明暗のコントラストが強くなって、(“la mer”では映像のみでライトは使われない)上下、左右、斜めあらゆるところから照らしています。ライトの種類も多い。スクリーンの登場も多くスクリーンをライトとしても使う。ライヴを見ている時に浮かんだ言葉と思いをそのまま書いています。頑張ってアメリカに来てよかったと、今、本当に感じてます』


5月5日 ペンシルベニア州 フィラデルフィア

 US995便 ハートフォード11:32 ― フィラデルフィア12:41、予定通り到着、タクシーでホテルへ。タクシーのメーターが動いてないのでクレームをつけると、空港からダウンタウンまでは統一料金$20とのこと。フィラデルフィアは2泊するのでのんびり出来るよう、ちょっと良いホテルに宿泊。夕方少し観光、リバティベルを見て、インデペンデンス国立公園辺りを歩く。

5月6日 ペンシルベニア州 フィラデルフィア
FIRST UNION SPECTRUM


 昼、フィラデルフィア美術館へ。美術館から直接会場の下見に行くつもりだったけど余りの暑さにホテルに戻る。夕方ホテル前の駅から地下鉄に乗り下見へ。これは失敗。駅は工事中のように暗く、車内もガラガラ、怖い。会場前の駅(終点)で降りる、改札に向かう階段でちょっと変な人にじろじろ見られる。下見を終え駅に戻ると、さっきの人がまだ改札にいる、待ち伏せされているのかも。時間潰しがてらタクシーを探すためうろうろするが見つからない。タクシー会社の番号を調べたメモをホテルに置いて来るという、自分の間抜けさにあきれる。しばらくして仕方なく駅に戻るとさっきの人はいない、他の乗客が入って行ったのも確認して改札を通 る。ホテルの辺りは一番の繁華街なのに、駅で降りたのは他に1人だけ、その人に続いて地上に出る。やっと安心。
 7時、会場に向かうためタクシーに乗る。ドライバーに11時に迎えに来てくれるよう頼むが、電話をくれれば誰かが行くからという返事。ライヴ後、外に出ると警官が一杯。いざとなれば警官に泣きつこうと考えつつ何気なく駅を見ると人が溢れている、これなら大丈夫と地下鉄で帰る。






『NIN追っかけ4日目、満員、観客のノリ良し。全てがかみ合ってた。今日は言葉に出来ない。NINのライヴ体験9回目にして初めて泣いた、うれし泣き。こんな素晴らしい感情と経験を与えてくれて、ありがとう。感謝のことばが浮かぶだけ』

『落ち着いたのであらためて。トレントは自分のしていることに強い「自信」を持っています。そしてそれと同じくらい、分かってくれるはず、という強い「信頼」をオーディエンスに対して持っています。そして他のメンバーも全力を出し切ってプレイすることで、その「信頼」を支えています。だからこそ全てを分け与えるライヴが出来るんだと思います。今日のライヴはその「信頼」を、多くの人が受け止めたんだと思います。終了後の今日の会場は本当に良いエネルギーが満ちていました。そういえば、会場を出るとき後ろにいた男の子は“the mark has been made”のカッカーンていうギターの音をずっと口ずさんでました。伝わっているんですね確実に。今日は観客の年齢層が今までで一番揃っていました。田舎はいろいろな人が来るからその分、反応がばらばらなのかも』


← Prev | 1 | 2 | 3 | 4 | Next →

Special Issue | Interviews | Articles | Disc Reviews
Core BBS | Easy Blog | Links

© 2003 HARDLISTENING. all rights reserved.