=イタリア記=
             (三)



    


 旅客機は順調に飛行していた。
特に揺れもなく安定した水平飛行だ。
ほんとに時々ガタガタっと揺れることがあっても、
それほど恐怖ということもない。
気象条件が安定してるのかな・・・。
それにしても暗くいなった機内は何もなく、
時差があるから寝ようとしてもまず無理。
12時間の時差があるからあまり寝てしまってもついてからが影響しそうだ。
ま、結果は眠ることはできなかったというところだ。
本を持ってはきたが、
数ページ読んで終わり・・・。
なんだか暗いので目が疲れる。
根気もなくなってる。
反対側の通路に座っている女の子はこの条件で、
イタリア語の辞書と首っ引きで勉強し続けている。
若さってのは凄いと感じざるおえない。



 モスクワ過ぎてミンスクに向かっている映像が出ていた。
それにしてもロシアは広大だ。
12時間のほとんどをロシア上空を飛んでる感じ・・・。
アンカレッジ経由というのが以前の認識だったが、
今は聞かない名前になっている。
子供のころの海外旅行番組ではよく聞く名前だった。
「兼高かおる世界の旅」という番組で時々聞いた名前だ。
まだ海外旅行が夢のまた夢の時代の時代の世界旅番組だった。
日曜の朝放送されていてよく見た。
この時は世界が今ほど身近になるとは思ってもいなかった。
なんとも古~~~い話ではありますが・・・。
今はロシア上空を飛ぶルートが一般的ですね。
使用料が経済低迷のロシアのいい収入になってるということかな。



 目的地まで2時間をきった。
予定到着時刻も表示されている。
なんだかグッと身近になった気がしてほっとした。
「もうすぐだ」という気分がなんだか気持ちを楽にしてる感じ。
とにかくトイレを我慢しながら身動き一つせずに座ってきた。
1時間をきる表示は最大のお助けって感じ・・・。



 このくらいのところで夕食が出た。
お昼も2時間くらい飛んだところで出た。
夕食も残すところ2時間くらいのところで出た。
だいたい決まってる時間ということか。
この客室アテンダントの制服のデザインって、
この時はわからなかったが、
バチカンの衛兵の制服と似ている。
ミケランジェロのデザインといっていたから、
そのデザインの雰囲気を取り入れてる感じする。
ミケランジェロといえば世界のビックネームだから、
一番わかりやすいということかな。



 
 夕食を食べてしばらくすると、
画面にローマの文字が見えてきた。
なんだか気分が一気に軽くなった。
どんよりしていた気分がローマの文字を見たらいきなり軽くなった。
もう目と鼻の先って感じだ。
固定された椅子の上でなんだかホッとしてる。




  いよいよローマが目の前に迫ってきた。
ようやくこの狭い空間から解放されるという安堵感と、
いよいよイタリアへ来たという、
日本を離れて3000里じゃないですが、
ずいぶん遠くに来たという気はする。
今の時代、田舎者の感慨というのかな・・・。



            topへ