=イタリア記=
             (二)



    


 成田飛び立ってしばらくすると、
なんだかそわそわしていた気分もだいぶ落ち着いてきた。
乘り慣れてない飛行機ということもある。
足が地面についてないという感覚がいま一つって感じもする。
まあ、そこまで繊細ということもないはずではあるのだが・・・。
窓から見える景色も畑ばかりになってなんだかのどかだ。
もうすぐ日本列島ともおさらばってことだ。



 今どきの飛行機は飛行案内みたいなのが見れるんですね。
今飛行機がどこを飛んでるかが分かる。
これはなかなかいいサービスだ。
この飛行機は北上してる。
札幌というローマ字が見える。
ロシア上空を飛んでいくということか・・・。
なんとなくイメージにあるのは、
ヨーロッパ航路というとアラスカのアンカレッジ経由。
以前の花形航路だったはず。
そういうことを言うこと自体古いということのようだ。
今や直行便といえばシベリア経由なんですね。
ロシアもこれでだいぶ稼いでるんじゃないかな。
画面を見てると刻々と飛行機が移動していくのが分かる。
なんだかちょっと演歌っぽい気分になる・・・。



 成田から2時間くらい飛んだところで、
遅い昼食timeとなった。
客室乗務員の方が飲み物とお弁当を配り始める。
どうにも言葉が分からないので何か聞かれるとどうしようかと、
若干緊張してきていた。
飲み物も何を注文するのかなぁ・・・と、
いろいろ慣れないところで緊張してる。
変に客室乗務員の方に話しかけっれるとやばいという感じ・・・。
一番手前の女の子は常にイタリア語の辞書片手に勉強している。
時期的に留学組なのかな。




 隣の通路側で飲み物を配っている女の人がなかなかきれいで、
こちら側でないのが残念っていう気分・・・。
お姉さんというより少し上だと思うが、
イタリア美人って感じ・・・。
しっかり写真に撮るところがまたなんというかオジサン度が高い。
この人、一番美人だった気がする。
ま、反対側の通路なんですけどね。



 
 下の写真が今日の昼食。
なかなか種類が豊富でいい感じだった。
けっこうお腹いっぱいになった。




 一番手前のお兄さんというかなんというか、
この人はイタリアのいくつかの都市を回って、
宝石の買い付けをするといっていた。
そんな仕事があるんだとちょっと驚いたが、
もう結構長くやっているらしい。
宝石類は中国とか東南アジアの安いという観念からは外れてるから、
そこそこいいらしい・・・。

このお兄さんがここに座っているということは、
トイレのたんびにお退きいただくことになる。
なんだかなぁ・・・という気分になる・・・。



 飛行機はかなりの高高度を飛んでるのか、
雲が下でさらにその下は見えない。
まだまだ先は長い・・・。
とりあえず今は天上界を旅してるということか・・・。



 この女の子は飛行機が飛んですぐからずっと休むことなく勉強を続けている。
イタリア語の辞書が置かれてるから、
イタリア語を勉強してるのが分かる。
しかし、この狭いエコノミーの席で勉強し続けるというのは若さだな。
こちらは本を持ってきたが読む気にもなれない・・・。
本を買うときは一冊は読み終えるだろうと思ったが、
いざこの狭い座席に座ると、
とても本を開く気にはなれない。
なんだか暗いということもあるし目も結構ショボくなってくる。
こういう状況の中で勉強をし続けるというのは、
なによりも若さだな・・・。
イタリアへ留学してからもこの感じで勉強するんだろうな。
若いというのは羨ましい。

隣のお兄さんはビールを飲み始めた。
なんだかトイレに行くときに寝てられると、
起こすのも気が引ける・・・。
いやはやなんとも・・・。



 ほんとに狭っ苦しい客室内・・・。
なんだかおしゃべりする人もなく、
シンとしてる。
人の頭はあまり見えてはいないが、
まあ、満席なんですね。
かの国の人も乗っているのだが、
声も発することもなく静か・・・。



ロシア上空を飛び続けて、
モスクワ近くまで来た。
この間トイレに行くために寝ている隣のお兄さんを起こすこと三回。
しかし、いやな顔もせずにパッと席を立ってくれる。
いやはやすいませんねぇ・・・と、心で言いながら、
トイレに通うわけです。
それにしてもこのお兄さんこんなに飛行機の中で寝てしまって、
現地に着いてからからどうするんだろう。
夜に着くわけだけど眠れないんじゃないかな。
ま、人のことより自分のことの心配がまず先だ。
日本とは縁もゆかりもない時間について眠れるのかな。
着いた翌日からハードな歩きが待っているだが・・・。



なんにしてもモスクワの文字が出てきたということは、
だいぶ目的地には近づいてきたということだろう。
もう少しの我慢だと思うとだいぶ気分は上向き。
なにしろ12時間はやはり長い・・・。



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