舞台美術用語タ〜ト行

[タ]
【台付けワイヤー】
重量物を固定するためのワイヤー。

【ターポリン】
ビ二ール素材のシート。通常は仮設テントの屋根や横幕で使います。

【ターンバックル】
長ナットの一方に右ネジ、他方に逆ネジが切られていて、それぞれにフックがついている。
これをワイヤロープのを中間などに挿入し、長ナットを回転することによって張力を得る装置。

【大臣柱】
歌舞伎舞台では下手の下座(お囃子部屋)と舞台を仕切る柱を「下手(西)大臣柱」といい、これ
に対して上手のちょぼ床と舞台を仕切る柱を「上手(東)大臣柱」といいます。

【帯電防止剤】antistatic agent
通電処理剤ともいいます。合成繊維やプラスチックが、静電気により帯電するのを防ぐ化合
物。主に界面活性剤が用いられる。スプレーなどにより表面に付着させ、発生した静電気を逃
がす。静電気によってホコリが付かないようにできます。アクリルシートに有効。
(製品名、コートロン、コルコート、サンクリンなど)

【ダウンステージ】downstage
ヨーロッパの劇場の舞台の床は奥に行くに従って高くなっているのが一般的です。舞台奥方向
を「アップステージ」、舞台前方向を「ダウンステージ」といいます。

【高足】(たかあし)
高さ二尺八寸(約85cm)。1尺4寸の高さの二重舞台を「常足(つねあし)」、2尺1寸の高さの二重
舞台を「中足(ちゅうあし)」といいます。二重は「平台」と「馬(足)」の組み合わせで高さが決まっ
ています。

【集りロープ】(たかりロープ)
小屋にフライギャラリーがないときや、ギャラリーで鎮を積めないとき場合で、バトンに重量物
を吊るときと撤去するときに必要です。

【竹羽目】
能舞台の鏡板上手側の壁面で、竹を描いた羽目板のことをいいます。歌舞伎舞踊の場合は
下手・上手の袖の妻に、この「竹羽目」を使います。

【タコ足ボード】
スチロールに厚紙の張ってあるボード。

【足し】
定式の寸法の張物に付け足す小さな張物のことをいいます。

【足し妻】
舞台装置の定式線と平行の張物(正面)に、定式線に対して直角に接続させる張物を「妻(つ
ま)」といいますが、その定式の「妻」に屋体の奥行を深くするために付け足す物のことをいいま
す。

【タタキ】
大道具等を作る作業。

【タッチアップ】
塗装工事における、部分的な再補修塗り。塗装面の傷を補修すること。

【建端/立端】(たっぱ)height
大道具の高さ。もしくは舞台面から天井までの高さ。身長など、高さを指すこと全般
にも使われる。もとは建築用語らしい。劇場の入り口のたっぱもきちんと測っておか
ないと、仕込みの時に大道具が入らなくなったりもする。

【タッパロープ】
電動バトンで飛びタッパと降りタッパが設定できない小屋では、操作盤側に近いバトン端にタッ
パばみり用のロープを垂らしておきます。

【タッピング】
ピアスビスっで揉むこと。タッピングビス、鉄ビスともいいます。

【足袋】
足に履く布製の袋状の衣料。。親指とほかの 4 本の指を入れる二つの部分に分かれており,
かかとの上をこはぜで留める。
足袋には、舞台用、祭り用、作業用とあります。

【ダブル滑車】
もうバトン操作泣かせの綱元です。通常の綱元システムの途中にもう一つ滑車設置してあり、
マニラロープもその分長い。鎮枠に積むウエイトは通常積む道具や照明の重さの2倍。

【玉掛け】
ワイヤーロープやチェーンその他の用具(クランプ、ハッカー、つりビームなど)を用いて、荷を
クレーン等の吊り具に取り付けたり、取り外す作業をいう。

【駄目黒】
袖幕の奥が見切れるときに、見切れを防ぐために、袖幕の外側に袖幕と直角に張る仮設の黒
幕のことをいいます。「駄目幕」ともいいます。

【垂木】(タル木)
30ミリ×40ミリの材木。

【段返し】
居所換えの手法。舞台が明るいままで数場面にわたって舞台転換をすること。
五段返し、八段返しなどと呼びます。
側面に張物を取り付けて置いて上下のあおりによる『がんどう返し』、『田楽返し』と併用される
パターンもあります。

【単管】(たんかん)
直径48.6mmの鋼製丸パイプ。標準長さは1.0mから6.0mで50cmピッチ。

【段床】

【段幕】    
紅白横縞に縫いあわされた幕。振落としや張り幕に用いられる。

[チ]
【チェーンモーター、チェーンブロック】
重量物をモーターを使って引き上げます。
代表的なメーカーは、コロンバス・マッキノン、二ッチ、KITO、ユーロ。
鎖歯車・滑車・鎖などを組み合わせて重量物を巻き上げる機械。

【蓄光テープ】
 光りをためるテープ。暗転のときの転換などの場合、普通のガムテープでは見えなくて
 困るようなところはこの明かりが消えてもかすかに光る蓄光テープを使ってバミる。

【蝶番】 (ちょうばん)hinge
 “ちょうつがい”とも言われ、開き戸などが開閉できるように取り付ける金具の総称。 蝶が羽
を広げた形に似たことから由来した。英語では hinge (ヒンジ)

【チョボ床】
舞台上手(向かって右側)の壁がくるっと回転して何やら高床が出現したと思ったら、あれあれ
演奏しはじめた。というとき、あらわれた高床をチョボ床と言うらしいです。んでもって、そこで演
奏されているのが義太夫節とゆー音楽なんだそうな。

【散り】(ちり)  
隣接する二つの平面のわずかなずれ。壁の柱の、わずかに壁から出た部分。

【チル・ホール】
チル・ホールはドイツ発祥。荷役機械・揚重機械。500キロ〜4トンまで。
手動式ワイヤーロープウィンチです。

【中足】 (ちゅうあし)
馬足の中間の高さのもの。高さ二尺一寸(約64p)(平台を乗せて約70センチになる)

【沈下床】
スライディングステージを移動させるときに、床の厚み分だけ移動先の床部分を昇降させる機
構を持つ床のこと。

[ツ]
【束】(つか)
短い柱の意味。梁や桁などを支える。
補強材。

【使い回し】
一つの舞台で使った舞台装置や機構、大道具をまったく違う舞台で使うこと。

【掴み金具】
平台を二つ以上並べて飾るとき、平台同士をつなぎ、固定させるためのコの字形の金具のこ
とをいいます。

【突き棒】
パネルや張り物を起こすときに、支える棒。

【ツケ】
バタバタッという歌舞伎独特の効果音。見得や立ち回りなどの場面で、拍子木で床を叩いて音
を出します。なお、ツケ打ちする場所は舞台上手の幕だまり(幕をためておくとこ)のところと決
まっている。

【付帳】
演目に必要な諸道具を項目別にまとめて書き付けたもの。
略して(付)ともいう。
 
【綱元】fly loft
吊物昇降用の「引き綱」の設備がまとめられている所のことをいいます。この吊物昇降機構に
は、「美術バトン」や「暗転幕」、「中割幕」、「一文字幕」などの幕類と、「照明バトン」が含まれて
いて、手動で操作するものと動力で操作するものがあります。手動操作の場合は、吊物の重
量と錘のバランスを取ることが大切です。また引き綱をしっかり固定する必要があります。ま
た、電動のものでも錘でバランスをとる必要のあるタイプの物があります。
この綱元の上部の簀の子近くに、吊物機構の重量バランスを取るための錘(おもり)を掛け外
しするための作業スペース(ローディング・ギャラリー)がある場合があります。
綱を操作するスタッフのことを指すこともある。

【褄】(つま)
舞台装置の張物のうち、定式線と平行な物つまり「正面」に対して、直角に(または斜めに)飾
られる張物(パネル)をいいます。襖や障子が取り付けられる場合もあります。日常的な意味で
は〔端(つま)の意〕着物の裾(すそ)の左右両端の部分。

【常足】(つねあし)
馬足(開き足)の低いもの。一尺四寸(約42p)。

【艶消し】
ガムテープなどの光沢がないもの。

【つら】
舞台の一番前。

【吊り枝】
季節感を表すために、「一文字」を付けたバトンに桜や松、藤の花、柳、紅葉などを吊ったもの
をいいます。

【吊り点】rigging point
梁やすのこから道具やモーターを吊る位置。
 
【吊物機構】fly system
吊物を観客の視界外に吊り上げて、「フライズ(舞台上部空間)」に収納するための機構をいい
ます。一般的な吊物機構のシステムは、吊物の重量を滑車を通る複数のワイヤーによって「カ
ウンター・ウェイト」でバランスを取り、それを「引綱」による手動または動力によって昇降の操
作を行なうものです。カウンター・ウェイトの昇降する場所を「綱元」または「綱場」といいます。
またウィンチで巻き上げる方式の物もあります。

【吊物】flying
舞台上部から緞帳に平行に、舞台上部の各部に昇降可能なように設備された、舞台間口一
杯のパイプのことをいいます。用途により、美術(大道具)バトン、照明バトンなどと区別した呼
び方をします。

【吊物バトン】
舞台上部から緞帳に平行に、舞台上部の各部に昇降可能なように設備された、舞台間口一
杯のパイプのことをいいます。用途により、美術(大道具)バトン、照明バトンなどと区別した呼
び方をします。

【鉄管】pipe batten
舞台の吊物昇降装置のうち、主に大道具用吊物パイプのことをいいます。「バトン」ともいいま
す。

【吊り物表】fly list 
幕やパネル、道具や照明器具、仕掛け物を仕込む為のリストが書いてある平面図や側面図。
  
【吊り物ロープ】fly line 
装飾ロープやパネル、幕を吊るロープ。重量物は、ワイヤーロープを使います。
 
[テ]
【てぐす】
釣り用の透明な糸。

【テクリハ】
テクニカルリハーサルの略。美術、音響、照明、転換などのきっかけ合わせとその練習。

【梃子・梃】(てこ)
重いものの下に差し入れ、動かすための棒。 
作用点や力点の位置をかえて重い物体を小さな力で動かしたり、小さな動きを大きな動きに変
えたりするのに用いる。

【テレコ】
物や言葉を逆にすること。互い違い、交互。上下(かみしも)のセットをテレコに置く。
江戸歌舞伎が文政時代(1820年代)に二つの出し物を交互に上演することを「てれこ」と呼んだ
ことからきているとも言われています。

【鉄管】pipe batten
舞台の吊物昇降装置のうち、大道具用吊物パイプのことをいいます。「バトン」ともいいます。

【てっぽう階段】
蹴込み部分がないはしご状の階段。

【手引き 】
 手動の吊り物類のこと。
手引きのロープはたいていがマニラ麻製なので、トゲが刺さらな いように必ず革手袋をはめて
作業する事。 

【出臍】(でべそ)
@本来の舞台端の前方に付け足して拡大されたスペースのことをいいます。
A歌舞伎の二重屋体飾りで用いられる手法で、通常は欄間と床の前端を揃えますが、下手・
上手側の客席にも演技が良く見えるように、床の部分だけ舞台前に張り出した部分。。

【田楽返し】
舞台場面転換の一手法で、張物の一部を方形に切り抜いてその縦、中心に軸を設けてその
軸を芯にして裏返して道具を換える、舞台情景を一変させることをいいます。

【転換】
場面転換。舞台装置を入れ替えたり、降ろしたり飛ばしたりしたりすること。

【テンション】
ワイヤーやロープに荷をかける。引っ張る。

【点吊り】spot line
吊もの装置の一種で、バトン方式に対して、一本のロープやワイヤー・ロープで吊る方式のこと
をいいます。
最近は舞台に対して平行に点吊りを移動出来たりする劇場もあります。

オブジェやシャンデリアなど単体で吊るような物から、縦横、斜めなど複数の点吊りをシンクロ
駆動させて舞台転換を図るものまであります。定置型と可動型、またその併用の方式がありま
す。

【天地】(てんち)up and down
道具などの上下(じょうげ)の関係を指す時、舞台では、"うえ" "した"と言わず天地と言う。

【天板】lid
平台の表面に張るベニヤなどの板。(ケコミの上に来る部分の覆い)

[ト]
【導線】
役者やミュージシャン達が本番中やリハで通る通路。
導線には機材や資材を置くことができません。

【道具調べ】
舞台や演劇では舞台稽古、リハーサルを順調に進行させるために、舞台稽古、リハーサルに
先立って、大道具・出道具を飾って手落ちがないかを点検することをいいます。
最近は音響・照明などを含めたテクニカルリハーサルもこの言葉が使われます。

【道具帳】
舞台装置のデザイン・プランのことをいいます。各シーンごとの舞台面透視図(色彩立面図)が
基本ですが、各場面平面図・各部分詳細図など、大道具製作やセッティングの上で必要なもの
すべてを総称していいます。

【道具幕】(波幕、網代幕、浅葱幕、かすみ幕、雲幕)
幕自体を動かしたり、それを大道具として使用したりすることを目的としたものに歌舞伎 などで
用いられる諸幕があります。波幕や雲幕は文字どおり、波や雲海を表現します。 また、網代塀
を模した網代幕、慶事を表現した段幕(紅白幕を横にしたような幕)など それらの幕を使うこと
で、装置や劇的表現に多様な表情を添えることが出来きます。

【東西幕】(見切れ幕)
舞台の横面、奥から手前に吊る幕。舞台の下手・上手のギャラリーに沿うように舞台の側面に
吊り下げる黒幕のことをいい、袖幕の見切れを無くすために使用します。「駄目黒」、「駄目幕」
ともいいます。

【動力線】(どうりょくせん)
200Vの電線。

【通し稽古】
幕開きから幕切れまで通しで稽古すること。

【遠見】
野遠見、山遠見、町屋遠見、波遠見、宮遠見、庭遠見など遠くの景色をあらわすパネルや幕
にかかれた絵。

【特殊効果】
舞台で使うスモークマシン、スノーマシン、ドライアイス、炭酸ガス、キャノン砲をいいます。

【飛ばす】go up
バトンやサスに吊っている物が観客からから見えないようにバトンを上げること。
幕類・大道具などの吊物を「フライズ空間」に吊り上げることをいいます。舞台準備中に照明器
具を吊り上げる時などにも使われます。

【トラス】Truss
トラスという言葉は建築用語から来たもので、もともとは桁組(けたぐみ)のような物の事を言い
ます。トラスは基本的にパイプをラチス(LATTICE)状に組んで強度を上げた形状をしていま
す。この形状によって、より長いスパンを少ない支持で使用することが出来るのです。また、材
質は一般 的にアルミニウムが使われ、軽く丈夫です。
平トラス・三角トラス・ボックストラスなどがあります。仮設舞台などでバトンが無い場合使用さ
れることが多く、その組み方によって一文字トラス、口の字トラス、日の字トラス、あるいは目の
字トラスといった呼び方をします。
イギリスの照明会社『トータルファブリケーション』が世界で初めてコンサートに取り入れた。

【ドライアイスマシン】Dry Ice Machine
人工的にかすみ(雲)を発生させる装置。
地面に低くたなびく霧の状態を作り出す。スモークと違い空気より重いため地を這うように広が
り幻想的な演出となる。
冷えると水になるため、舞台上の敷物によっては滑りやすくなるので注意が必要。ドライアイス
を熱湯に入れることにより急速に気化し自噴する力を使って舞台に送り出す。

【トラ縄】=トラロープ
重量物を移動する場合に、物が倒れないように重量物の反対の方向からロープで引いておく。

【ドレープ】
幕に意図的についているたるみ。

【ドロップ幕】
背景幕。通常、舞台のタッパ×間口の大きさなのでとても重い。「書き割り幕」と同意。

【どん】
端っこの意。「平台はツラにどんして」と言えば平台は舞台の一番前に来る。
上限、加減、突き当たりの事。

【緞帳】(どんちょう)
舞台と客席を仕切る幕。会館ごとに違うデザインがされている。防音機能に優れていて、これ
を閉めると舞台で何をしても客席には分からない。種類は昇降・斜め絞り・絞り上げなどがあり
ます。原則として、上下に開閉する幕を緞帳といいます。防火シャッターとしても使われます。

とばし上げ式   フライズの高さが十分とれる舞台で、1面の緞帳をフライズ部分にそのま
  の状態で格納できる方式です。豪華な緞帳に最適です。 

絞上げ式(定型)   フライズの高さが十分でない舞台で使用し、絞り上げ度を随意に変えるこ
  とにより、変化のある輪郭開口をつくることができます。 

絞上げ式(変形) 単独ではなく、使用目的・舞台模様により、色々な緞帳・幕類を組み合わ
            せ開閉することにより、舞台演出上の自由度を高めることができます。 

たたみ上げ式 フライズのタッパが足りない場合、緞帳を折りたたんで昇降させる方式。
  昇降頻度により、緞帳の折り目がいたむ場合がありますので、折りたたみ 
  に適した裂地を選ぶことが必要です。 

ドラム捲き上げ式  フライズが足りない場合の方式で、緞帳をロールに捲き上げます。小規模
            な舞台に適し、ホテルの宴会場などにも広く使われています。 

引割式(開閉式)  左右に引き分ける方式です。学校施設・体育館・公共施設などに、巾広く
  使われています。 


【緞前】(どんまえ)
緞帳より前。






  



舞台美術用語ナ〜ノ行