ヘルメットの取り扱い

※ヘルメットの必要性
最近の舞台、コンサートは会館やホールのみならず、体育館やアリーナ、スタジアムやドーム
と規模も拡大して舞台装置も大掛かりになってきています。
それとともに機材、装置の設営中や撤去中の労災事故も年々多発しています。

舞台上やタワー上からの人身転落事故、機材の落下、セットや機材の倒壊など。自分の身は
守れても外的なものは、注意が足りないと直撃します。経験豊富なスタッフは、なんとなく危険
なにおいをかぎ分けれますが、経験不足や状況判断が遅いと事故災害に巻き込まれます。

人間は、頭が大事です。頭をぶつけたり、転落落下すると障害が残ったり、即死の場合もあり
ます。そのために衝撃から身を守るヘルメットが必要です。

※ヘルメットの取り扱い方
ヘルメットは、外側からヘルメットの外殻「シェル(帽体)」と、衝撃エネルギーを吸収するための
「ライナー」から成り立っています。

シェルには、近年色々な材質が用いられており、使われる用途などで大きく分類され、「FRP
(強化ガラス繊維)」や「ABS樹脂」などが使われていますので、取扱やお手入れ時など、色々
な事に注意して扱わなければなりません。

●ヘルメットは1度きりの衝撃で、使えません。
ヘルメットのライナーは、発泡スチロールから出来ており、強い衝撃が加わるとへこむことによ
り、衝撃エネルギーを吸収します。
一般にある発泡スチロールを指などで強く押してみてください。
へこんだ所は2度と戻らないはず。

万一ヘルメットに一度でも強い衝撃を受けてしまったら、二度と衝撃を吸収することが出来なく
なり、大変危険なのです。また、強い衝撃を受けても外観上全く無傷に見えることがあります
が、ほとんどの場合内側のライナーに損傷が生じています。
万一、落下や転落事故などで衝撃を受けてしまったら、そのヘルメットを使い続けずにすぐに
交換するようにしましょう。
当然、ヘルメットを投げつけたり、ヘルメットの上に座ったりなんて、絶対にダメ!ヘルメットは
優しく扱いましょう。

●ヘルメットは熱にとっても弱い!
ヘルメットの部品等にはプラスチック材質(熱可塑性樹脂)が多く使われています。プラスチック
は、熱にはとっても弱いため、保管やメンテナンスにも気をつけなければなりません。ヘルメッ
トに熱を与えると、ヘルメットのあらゆる材質が変質してしまい、ヘルメットの性能が発揮されな
くなります。厳冬期の暖房機のそばや、車中などの異常に温度が上がる場所(50℃以上)、真
夏の直射日光が当たる場所などには、絶対に保管してはいけません。また、メンテナンスの際
も、50℃以上の熱湯を用いて丸洗いしたり、洗浄するのも良くありません。

ヘルメットの耐用年数は、FRP強化プラスチック(熱可塑性
樹脂)で5年、
ABS樹脂で3年です。
ヘルメットは使用にともない、老朽・劣化等の経時変化によって、新品の時と同じ性能を維持で
きないこともあります。このため、ヘルメットの耐久性を考慮して、製品安全協会と日本安全帽
工業会により、ヘルメットの有効期間を「購入後3年間」と定めています。

有効期間を過ぎたヘルメットは、事故の際に十分な保護性能を発揮しないおそれもあ
りますので、十分にご注意ください。
また、有効期間の3年の間も、粗末な扱いをすると、寿命はさら縮まります。それを避けるため
にもしっかりとメンテナンスをしましょう。

●使い終わったら、しっかりお手入れを!
海や川に浮かんでいる、ゴミの発泡スチロールを見たことがあると思います。風雨にさらされ、
波におされて表面がボロボロになった発泡スチロール。

ヘルメットの要である「ライナー」にもそれと同じ発泡スチロールが使用されています。

粗末な扱いをしていると、保護性能のキーポイントであるライナーが傷んでしまい、万一の時に
役立ちません。野外で雨天中の作業後や、大量に汗をかいた時など、しっかり水分を取り除い
てあげることが必要です。

また、雨ざらしなんてとんでもない!湿気によりヘルメット内部にカビなどが発生する原因にも
なり、衛生的にも良くありません。ヘルメットをしっかり乾かしてあげる事が大切です。

ヘルメットの正しいかぶり方。
ヘルメットは、真っすぐにかぶり、アゴヒモをしっかり締めることにより、はじめてヘルメットとして
の機能を発揮します。「ちょっとそこまで…」とか、「面倒くさいから…」は、絶対にダメ!ヘルメ
ットはきちんと正しくかぶりましょう。

●あごひもは正しく正確に!
ヘルメットのアゴヒモは、厳しい規格試験が行われるほど、ヘルメットの重要な部分。
万一の落下や転落事故の際、その衝撃で脱げてしまわないようにするための保持装置で、あ
なたの大事な命を守る大切な部分ですので、必ずしっかり締めましょう。

現場自分で使用するヘルメットは、すぐにアゴヒモの調整をしましょう。
人の頭の大きさは非常に個人差があるため、ヘルメットの出荷時のアゴヒモの長さは、標準で
調整されています。いくら正しくあごひもを締めても、アゴヒモが緩かったら全く意味がありませ
ん。ご使用前には必ず長さの調整をしてください。

 
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