舞台労働災害事故例


1989年
「フライング」作業で疲労が蓄積し死亡
7月25日、東宝舞台の社員で大道具操作係りとして新宿コマ劇場に勤務し、「ピーターパン」
や「オズの魔法使い」などの「フライング」作業に従事していた山川定義さんが、前日から続い
た残業を終えて早朝帰宅した直後、心臓発作を起こし、救急車で病院に運ばれたが間もなく
労作性心筋梗塞で死亡した。
 「フライング」作業は精神的にも肉体的にも極度の緊張状態が求められているにもかかわら
ず40日間休暇は取得できず、連日残業を強いられるなど長期間、過酷な労働の結果、疲労
が蓄積したことが原因で疾病に及んだもので業務上の疾病死亡。

1993年(平成5年)
黄家駒(ウォン・ガー・クィ)さん死亡事故
6月24日、香港のロックバンド「ビヨンド」の歌手・黄家駒さんが、テレビ番組出演中の転落事
故で重傷を負い1週間後に死亡。事故があったのはフジテレビ局内スタジオで、バラエティ番
組「ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!」の収録中、斑背景のベニヤ板がはずれ、黄
さんとウッチャンこと内村光良さんが2.3メートル下に転落した。フジテレビでの度重なる事故
に、局の安全対策に関する態度が問題になった

1994年(平成6年)
新宿コマ劇場の転落死亡事故
8月、新宿コマ劇場で舞台の照明器具の撤去作業をしていた舞台照明会社の石井清さんが、
握っていたロープとともに約7メートル吊り下げられ、ロープをはなして床に転落、首の骨が折
れ間もなく死亡。

舞台の階段より転落、骨折
11月3日、俳優Aさんが帝国劇場の舞台の階段上でスタンバイ中、スタッフがAさんが居るの
を知らずに階段を動かしたため転落、骨折し入院。

1996年(平成8年)
照明技師転落死亡
12月10日、愛知県芸術劇場大ホールで舞台照明をローリングタワーにて調整中に照明技師
が転落し死亡。

1997年(平成9年)
◇郷ひろみ氏転落し重傷
2月11日、名古屋御園座で「愛・時をこえて ドラキュラ・イン・ジャパン」の座長公演を努めて
いた歌手・郷ひろみ氏が昼の公演中にステージ上約3メートルの仕掛けから転落、右手骨折
および肋骨を骨折するなど全治約1カ月半の重傷。

新国立劇場の中劇場で建具が落下、操作係が怪我
10月14日、新国立劇場中劇場で、仕込み作業中に2階から窓建具が落下し、下で作業中の
操作係の鈴木明人氏の額を直撃した。14針縫ったほか、頸椎損傷の怪我。

1999年(平成11年)
歌手の藤あや子さんが公演中に怪我
6月5日、新宿コマ劇場に出演していた歌手の藤あや子さんが、次のステージのための衣装替
えに戻る途中で転び、舞台の支柱に足をぶつけて負傷。

通訳スタッフ青柳香代子さん奈落に転落し死亡
7月27日、新国立劇場でミュージカル「新ピーターパン」リハーサル中に、フライングを担当す
るアメリカ人技術者の通訳を務めていた女性スタッフ、青柳香代子さんが舞台から15メートル
下の奈落に転落して死亡。

2000年(平成12年)
俳優座劇場で劇団俳優座の有馬理恵さんが公演中に舞台
に落下、大怪我
1月28日、劇団俳優座の公演中に、女優有馬理恵さんが、ロープに掴まり舞台面に降りてくる
場面で手を滑らせ4メートル下の舞台に落下し、左手首粉砕骨折、左足小指骨折の重傷。俳
優座はこの事故を労災事故と考え、三田労働基準監督署に申請した。一年余にわたる調査
の結果、2001年2月、労災と認定され補償された

2001年(平成13年)
6月16日、CM撮影中、クレーン車倒れ、スタッフが怪我
6月15日、テレビコマーシャル撮影中、高所作業者がバランスを崩し、倒れ、クレーン先端の
ゴンドラにいたカメラマンなど制作会社の契約社員4名が、約8メートルの高さから地面にたた
きつけられて怪我。

10月16日、TBSテレビ音楽番組「うたばん」で人気歌手グ
ループ「モーニング娘」のひとり紺野あさ美さんがスタジオの
溝に落ちて右足膝上を強打し約6センチの切り傷を負い、1
2針を縫う大怪我。
10月16日午後8時頃、番組収録中、「大玉ころがし」を行っていたときスタジオ内のホリゾント
と呼ばれる深さ90センチの溝に転落。大怪我を負った。

10月23日、フジテレビ番組、セットが倒れ美術スタッフ下
敷きになり頭部を打ち死亡
10月23日午後6次40分頃、東京都港区台場のフジテレビ本社スタジオ内で、バラエティ番組
の準備中にセットのアルミトラスのゲート(高さ3メートル、重さ100キロ)が突然倒れ、作業中
の美術会社社員松井信幸さんがその下敷きになり頭を打ってまもなく死亡。警視庁東京水上
署は、安全管理に問題がなかったか関係者らから事情を聞いている。松井さんはフジテレビ
の仕事を請け負っている美術会社の社員。

12月21日、東京都北区王子の区立「北とぴあ・さくらホー
ル」で、上るセリと舞台にはさまれ、作業員5人が死傷する
大事故
12月21日午後2時半ごろ、東京都北区王子の区立イベント施設「北とぴあ・さくらホール」で
舞台のセリ装置を定期点検していたメンテナンス会社「横浜技術サービス」(横浜)の社員上矢
進さんら5人が舞台とセリの間にはさまれ、上矢さんは頭蓋骨骨折で即死、その後2人が病院
で死亡、2人が重傷を負った。通常は舞台の一部が横にスライドし、開いたところにセリが上
昇する仕組みであり、舞台の床下1.5m〜2mで停止する機構になっていた。上矢さんらはセリ
に載って下から舞台に近づき転落防止用ネットを調べていたところ、突然セリが上昇しだしし
かも止まらず、そのため上矢さんらは舞台の床下との間に挟まれたという。



 
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