~第二十二章 オリジナル~
P.8
言えなかった。お祭りで聞いたこと。聞いてしまったから言えなかった。僕は知らないことになっているし、二人のことを書いているなんて、絶対に言えなかった。
いつきもカンナも目の前で僕の書いた歌詞を読んでいる。目の前の二人が僕にとっては、アダムとイブ・・・いつきの言うとおり、七夕の二人に見えたんだ。
「じゃぁ、カンナの見せてよ。」
バッグからノートを出す。それはとても綺麗な字でとても綺麗な歌詞だった。なんて言うか、カンナが文字になった。そんな感じだった。本当にそんな感じだったんだ。