~第二十二章 オリジナル~
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「・・・あの・・・」
何度も書き直して、前に書いた文字の形も見えて、消しゴムでうまく消せなかった残りも見えるノートを二人は無言で見つめている。笑顔でも無く、真顔で。1秒1秒がとても長くて扇風機の風が吹いているのに汗が顔を流れていく。
「・・・ねぇ・・・どうなの・・・何か言ってよ・・・」
「なんか・・・すげぇいいかも・・・」
「やめてよ・・・って、ほ、本当に?」
「うん・・・なんか・・・うまく言えないけど。」
「カ、カンナは?」
『せいたろう君の世界ってこんな感じなんだね。』