小説

著:やまももけんじ

『 方舟がキミを運ぶね 』

第二十一章 サマートライアングル

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第二十一章 〜 サマートライアングル 〜
P.9 

「へー・・・道路出来たら町って変わるのかな。」

「変わるんじゃないか?他の町にも行きやすくなるし、色んなお店も出来るだろうしさ。もしかしたらライブハウスとかも出来るかも知れないぞ!」

「えー?この町に?」

「そうだよ、そしたらもっともっとバンドが増えてさ。楽器屋だって出来るし、シドが着るような服だって売ってるお店出来るかもだぞ!」

「うーん、僕のうちは車無いし、特に変わらないかな・・・」

「カンナも楽しみだよな?」

ドラムの練習をしているカンナの方を見ると、顔を横にして特に興味なさそうにしている。

ギターを弾きながら窓を見ると、方舟と畑が広がった町が見える。
遠くの方で小さな子が網を持って走ってる。小魚を捕まえるのか、セミを捕まえるのか、何人かで追いかけっこをしている。

ずっとあるから不思議に思わないけど、やっぱり変だよなぁ。この景色の真ん中に工場があって、それが町を支えている。

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