小説

著:やまももけんじ

『 方舟がキミを運ぶね 』

第二十一章 サマートライアングル

目次はこちら

第二十一章 〜 サマートライアングル 〜
P.10 

町の人は方舟って呼んでて、大人になると皆そこへ吸い込まれていく。そこで知り合った二人が僕を生んだ。本当に方舟の話みたいだ。

・・・でも、僕はアダムじゃ無かった。いつきがアダムでカンナはイブ。

視線を戻すといつきとカンナが演奏している。この中で僕が歌う?このままで十分かっこいいのに僕が入るのか・・。

「ねぇ、本当に僕がギターやって僕が歌うの?」

「そりゃそうだよ。せいたろう以外いないよ。何いまさら言ってるんだよ。大丈夫、弾けるようになるって。」

「違くてさ・・・僕なんかでいいの?今のままでかっこいいのに・・・」

「せいたろうだからいいんだよ。なぁ、カンナ。」

カンナがうなづく。いつきがカンナを見ながら笑っているのを見ると、自分が置いていかれているような感じがする。

次のページ