第二十一章 〜 サマートライアングル 〜
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「ねぇ、今日工事の人と話したんだけどさ。大きな道路が出来るの?」
「そうなんだよ。知らなかったのか?正式には、つい数日前に決まったんだけどな。今は工場の中では大騒ぎさ。工場長も大喜びだよ。どんな精密な部品を作っても、このあぜ道だろ?トラックも大変でな。ずいぶん昔から町に申請していたんだ。この町を支えているのは工場だし、町も県に申請していたんだ。上手い具合に、ここ数年、景気も上がってきただろ、国もついに動いたんだよ。ようやくだけどなぁ。でも、きっと町は変わるぞ。母さんだって、デパートに行けるんじゃないか?それに我が家もついに車を手に入れるチャンスだ。」
「バスがあるでしょ。そんなお金どこにあるのよ。」
「そう言ってるけどな、内心は欲しがってるんだよ。」
「聞こえてますよ。」
部屋に戻って外を眺める。
この町に大きな道路・・・今の景色が変わってしまうのか。このカエルたちもいなくなっちゃうんだろうか。いつきはどう思ってるんだろう。でも町が変わって楽器屋さんが出来たりしたら、僕もいつか自分のギターを買えるかも知れない・・・。
そんなことを思いながら気付いたら朝になってた。