小説

著:やまももけんじ

『 方舟がキミを運ぶね 』

第二十一章 サマートライアングル

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第二十一章 〜 サマートライアングル 〜
P.3 

夏の大三角について図書室で色々調べた。

夏の大三角って星座の名前じゃないのも分かったし、一つ一つ別の星座を作ってる星だって言うのも分かった。

「はくちょう座」「こと座」「わし座」この三つの星座を作る星で夏の大三角を作っている。はくちょう座を作るデネブ。こと座を作るベガ。わし座を作るアルタイル。

調べながら部屋の電気を消して夜に星を見ることも多くなった。

よく見ると本に書いてある星の形も空によく見えるのに気付いた。今まで考えもしなかった星のこと。夏の大三角の一つ一つが僕ら。みたいな内容を書きたいんだけど、どう書いていいかまとまらない。決められた文字も無いし、決められた答えも無い。テストとは全然違う、答えの無い宿題。

夜になってギターを弾けなくなる時間にはいつも窓の外の星を眺めては、書いては消して書いては消してを繰り返してた。

僕らまるで星の子、3人で星座を作ろう。夏の大三角のように。

駄目だ、かっこ悪い。何度書いても気持ちってうまく文字に出来ない。何か違う。僕の気持ち。本当は、本当の書きたい気持ちは、いつきとカンナのこと。二人が世界ズで初めて演奏をした時、二人のことを歌詞にしたい。それを僕は応援したい。二人の幸せが僕の幸せだって書きたい。でも、僕は知らないことになってるし、そんなこと恥ずかしくて書けない。でも何とかこの気持ちを書いてみたい。

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