第二十章 〜 ライト&シャドウ 〜
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お祭り当日は夕焼けが方舟をオレンジ色に染めるとても綺麗な日だった。方舟の前で僕が待っていると、警備員ゲートからいつきが出てくる、白いTシャツにバッジが沢山ついていた。
「なんだよそれ、もしかしてピストルズのバッジ?」
「当たり前じゃんか、一個やろうか?一緒にやるメンバーがダサかったらイヤだろ?せいたろう・・・は、オシャレとは絶対言えないよな。Tシャツに短パンにスニーカーってさぁ」
「僕なんかいいんだよ、この町でオシャレなんて出来ないよ。それに・・・」
「おっ、カンナー!こっちこっち!」
振り向くと向こうの方にカンナが歩いてきていた。初めて見るカンナの私服は、それは不思議なものだった。長袖のシャツはどう見ても大人の服。シャツの腕の部分が大きく余っている。きっとお父さんのお下がり。それにヒザの部分が薄くなってる紺色のジーンズ。でもそれは大人っぽくも子どもっぽくも見えて、カンナにとても似合っていた。初めて見る私服に僕はドキドキした。