第二十章 〜 ライト&シャドウ 〜
P.3
最近、母さんが買い忘れたお豆腐を商店街に手に入れるために行った時、福引をやってた。家から渡された回数券3回分をやった時、ティッシュ2つとオモチャ選び放題というのが当たった。オモチャって言っても、バザーのような何でもある中で一つ選ぶっていうのだった。
でもその中に、銀色の星が一つ付いてる髪留めがあった。
星は小さくて目立たなくて、パチンて止めるだけの簡単な髪留めだったけど、僕はそれを選んだ。理由なんて分からない。目についた時からそれだけを目指して手を伸ばしてつかんだ。
「それに目をつけるなんてお兄ちゃんいい目してるよ。それだけ一つしか無いんだ。妹かお母さんにプレゼントしたら喜ぶぞきっと。」
って受付していた八百屋のおじさんが言ってたっけ。
でも僕には渡したい人がいた。そうだよ、髪留めすればいいんだ。そしたら皆絶対に驚く。だって、カンナの顔みたら絶対に皆今より振り返る。だって・・・。それに顔を出すようになったら、お父さんがもう・・・もう、あんなことしないかもしれない。
自分の本当の気持ちがどれだったかは忘れた。・・・うそついた。本当は分かってたけど、分からないことにしてた。いや、ただ、渡して話をするキッカケが欲しかったのかもしれない。