第二十章 〜 ライト&シャドウ 〜
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『 ありがとう。私、自分を変える。 』
「う、うん・・・初めて世界ズやる時に・・・よかったら・・・」
セミとカエルに負けそうなくらい小さな声で言った。言い終わるか言い終わったかくらいでカンナはおじぎをして家まで駆け足で向かって行った。玄関の戸に手を当てた時、振り向いてこっちを見た。そして目があったら中へ入って行った。
その瞬間から、全力で走った。一度も止まること無く、一度もスピードを緩めることなく家まで走った。頭の中では、もう僕の気持ちに整理はついていた。いつきとカンナが幸せならそれが一番いい。二人が笑うなら一番いい。カンナが笑えるんだ。一番いいに決まってる。走りながら空を見ると、夏の大三角が家の方に見えたんだ。そうだよ、あの三つの星は僕らだ。この気持ちを作ればいいんだ。
僕はもう迷わない。