第二十章 〜 ライト&シャドウ 〜
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二人が話すのを聞くのが失礼のような気がして、鳥居に戻って寄りかかる。
でも、そうだよ。本当そうだ。いつきとカンナが笑ってるなら一番いいかも知れない。それが一番いい。二人が幸せならいいじゃないか。僕になんの関係があるんだよ。・・・そうだよ。僕が出来るのは世界ズで唄を作って一緒にやることだ。そしたら二人がもっと笑ってくれるんだもん。そうだよ。
ずっと立っていると手に持った二つの杏飴のうちの一つからモナカが落ちた。拾おうとしてると二人が戻ってくる。
「はは、なにしてんだよ。」
「あっ、おかえり、どこ行ってたの?あ・・・カンナ、これ、杏飴。あげる・・」
「ひ、み、つ。なっ、カンナ。」
そう言うとカンナはいつきを見ながらメモを取り出すしぐさをした。いつきはそれを見て笑う。僕はまだ気持ちの整理が付いていない顔のまま、モナカの落ちていない方を渡す。少しおじぎをしてカンナも一緒に食べた。
僕らは神社に腰掛けながらお祭りの様子をジッと見ている。3人横に並んでお祭りを見る。周りの大きな音も提灯の色んな色も全部が嬉しかった。二人が笑ってくれること、二人といられるこの時、この時間が永遠に続けばいいって思った。