第十九章 〜 スタート 〜
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「せいたろう、磯野さん、おはよっす。」
「・・・おはよう」
「なんだよ、せいたろう元気ないじゃん。あっ、磯野さんの教科書届いたんだ、良かったじゃん。これでいつきと机並べなくてもよくなるもんな。はは」
「お、おい、変なこと言うなよ。」
「そうそう、お爺ちゃんに聞いたらさ、今日の放課後、音楽室使っていいって言ってたから行こうぜ。二人とも平気?」
「僕はいいけど・・・」
『 遅くまでは無理ですけど、いけます 』
内心ホッとした。磯野さんがもう一緒にしてくれないかって心配してたから。その日は、授業も頭に入らなかった。一緒に机をつけることの無いことで、僕は話すタイミングが分からなかった。結局、お昼休みになるまで二人で話すことは無かった。