第十九章 〜 スタート 〜
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教室へ入っても相変わらずクラスメイトの反応は無い。こちらを見るけど、僕にも、もちろん磯野さんへも挨拶は無い。
お互いに机で準備をしていると、お爺ちゃんが教室へきた。
「磯野はもういるか?あぁ、磯野。教科書がようやく届いたから渡すよ。きなさい。」
そうか・・・そうだった。僕は今日も二人で授業が受けられると思ってた。話したいことはメモで話せばいいと思っていた。だけど、教科書が届くともう、一緒に机をつけて授業は受けられない。重たそうな沢山の教科書をバッグや机にしまっているところを見ながら、これからどうやって話せばいいのか、ますます僕は考えた。
「おっはよーっす」
いつきが教室へ入ってくる。女子や男子が何人かいつきに挨拶をする。土曜の夜に二人で話したことは夢だったみたいにいつも通りのいつきがそこにいた。