第十九章 〜 スタート 〜
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結局、その後しばらくして僕はギターを手に入れることが出来た。もちろん借りたんだけど。誰に借りたかって・・・なんと、お爺ちゃん。昔、ギターを弾いてたってことで、使っていないアコースティックギターを借りることが出来た。これにはいつきも驚いてた。「おじい、いや、先生ギターやってたの!じゃぁ世界ズで・・・」と言ったところで僕が止めた。なにがアダムにイブだ。結局自分の気に入った人だったら誰でもいいのか。って後で少し喧嘩になったっけ。でもそのお陰で、家でも練習出来るようになった。お父さんもお母さんも驚いていたけど。
それから僕らは夏休みまでの少しの間、ガムシャラに練習した。僕はまだまだ曲を弾ける段階には行かなかったけど、カンナは少しずつ、いや目に見える程上手くなっていってた。いつきがベースを持ってきた日から、ピストルズの曲に合わせてゆっくりとだけど叩けるようになっていった。自分がこんな女の子と一緒にバンドをやるなんて入学した時には想像出来なかった。ずっと見た顔の中、エスカレーター式に卒業して方舟で働くだけの人生だと思っていたあの頃の僕。少しずつだけど、世界ズは動き出していた。