Mike Oldfield


THE COMPLETE MIKE OLDFIELD


1985 Virgin Records
Disc 1
The Instrumental Section
1. Arrival
2. William Tell Overture
3.
Cockoo Song
4. In Dulci Jubilo (UK#4/75)
5. Portsmouth (UK#3/76)
6. Jungle Gardenia
7. Guilty (UK#22/79)
8. Blue Peter (UK#19/79)
9. Waldberg (The Peak)
10. Wonderful Land
11. Etude (Theme from The Killing Fields)

The Vocal Section
12. Moonlight Shadow (UK#4/83)
13. Family Man (UK#45/82)
14. Mistake
15. Five Miles Out (UK#43/82)
16. Crime of Passion (UK#61/84)
17. To France (UK#48/84)
18. Shadow On The Wall

Disc 2
The Complex Section
1. Excerpt from Ommadawn
2. Excerpt from Tubular Bells
3. Excerpt from Hergest Ridge
4. Excerpt from Incantations
5. Excerpt from The Killing Fields (Evacuation)

The Live Section
1. Sheba
2. Mirage
3. Platinum
4. Mount Teide


 タイトルが間違ってます。これはマイク・オールドフィールドの「不完全」ベスト。むしろ The Incomplete Mike Oldfield。それでも企画としては非常に面白いし、僕自身はたいへん気に入っている編集盤です。

 マイク・オールドフィールドはご存知のように、ひとり多重録音で作り上げたデビュー作 "TUBULAR BELLS" が世界的に大ヒットして、ヴァージン・レコード隆盛のきっかけを作ったアーティストです。しかし、同作を含む初期の大曲にはとっつきにくいという人もいるでしょう。一方で、後期のポップなヴォーカルものも紛れもなく彼の一面。そこで、もともとはアナログ2枚組のこの編集盤においては、1面ずつ「インストもの」「ヴォーカルもの」「組曲もの」「ライヴもの」に振り分けて収録されています。そもそも初期の大作を抜粋ヴァージョンでしか収録できないという限界を認識した時点で、このように割り切った編集を行ったのが大正解。特にインストセクションとヴォーカルセクションに多数収録されたUKシングルヒット曲はとても嬉しい。後にホール&オーツがカヴァーして大ヒットした "Family Man" のオリジナルテイクが聴けるのもいいね。

 もし "TUBULAR BELLS" 1枚で 「難解な音楽をやる人」 という印象を持っているようであれば、ぜひこのディスク1を聴いてみてください。基本的には、トラディショナルなスコットランド/アイルランドの音楽や文化をテーマにして、分かりやすく美しいメロディを書く人です。一聴すると派手ではないかもしれませんが、じわじわと聴き手の感性に訴えてくる旋律や言葉が散りばめられています。そんなポップな側面を認識してから再び "TUBULAR BELLS""OMMADAWN" に戻ると、きっと新しい発見があるでしょう。これまで難しいと思っていたアルバムが、豊かな自然と風景を描写したメロディに溢れていることに気がつくと同時に、湿り気のあるギターの音が心に染み込んでくるはずです。

 組曲セクションの抜粋の仕方にもひと工夫あるし、最後のライヴセクションは発売時点での未発表テイク。そうした意味で、マイクを十分聴き込んでいる熱心なファンにも、とりあえず何か聴いてみようかなという初心者にも、同じくらい楽しめるのではないかと。美しいジャケットのアートワークもお気に入り。これを入口に、僕もまだまだ聴いたことがないたくさんのマイク・オールドフィールドの世界をさまよってみようと思います。

お気に入りベスト3
1. "Guilty" (笑うな〜(笑)。マイクですらディスコしなくてはならなかった79年。カッコ良すぎる…)
2. "Wonderful Land" (静謐なトラックに染み渡るギターが次第にクレッシェンド)
3. "Moonlight Shadow" (素晴らしいマギー・ライリーのヴォーカルを堪能しませう)
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