産業Night on 31/Jan./2003
もうすっかりお馴染みになった下北沢Revolverでの「産業Night」。産業ロック/ポップをメインとしたDJイベントです。ありがたいことに今回も声をかけていただき、僕は次のような曲をかけてみたのでした。 1. Why Can't This Be Love -Van Halen (US#3/86) サミー・ヘイガー加入後のヴァン・ヘイレンは楽曲が洗練され、驚異的に安定した作風に突入します。この曲はアルバム "5150" 中でも特に光るヒット曲。イントロの低い鼓動みたいな響きが一気に弾けてシンセがなだれ込むオープニングといい、激しく展開する中間部といい、歌いやすいコーラスといい、サミーとバンドの化学反応は最高潮。何故これが恋ではないのか。つまり、これは恋であるという反語。恋したことがある人なら、この曲全体を貫くもどかしさを身体で実感できるよね。 2. Four In The Morning (I Can't Take Any More) -Night Ranger (US#19/85) ナイト・レンジャーは産業の定番です。いやそんなこというとファンに怒られるのかもしれませんが、これは誉め言葉のつもり。バラードも良いけれど、こうしたミディアムのポップ/ロックにも味があります。ジェフ・ワトソンは早弾きできなくて欲求不満かな? 3. Living In Oz -Rick Springfield (US#-/84) リック・スプリングフィールドは以前 "Souls" をかけたことがあります。一番好きなのも "Souls" なのですが、今夜は負けず劣らずカッコいいこいつを。アルバムタイトル曲ながら非シングル曲。この時期のリックは怖いものなしというか、打つ手がすべて当たりまくる驚異的な時代でした。 4. Sunglasses At Night -Corey Hart (US#7/84) この夜2人に「これ誰だっけ?」と尋ねられ、僕を大いに落ち込ませた1曲。いや確かに印象は薄い。同じカナダ出身のロッカーでも、ブライアン・アダムスをヒマワリとすればコリー・ハートは月見草。ですが僕は初ヒットに当たるこの曲でハマって以来ずいぶん彼を追いかけ、次作の "BOY IN THE BOX" なんて今でもほとんど全曲歌えるくらいに聴き込んでしまいました。最大のヒットは "Never Surrender" (US#3/85) 。奥さんは日系人のエリカさん。 5. Find Another Fool -Quarterflash (US#16/82) この曲を分かってくれた方がいただけで嬉しい。クォーターフラッシュは決して「ミスティ・ハート」の一発屋ではありません。3曲もある全米トップ40ヒットのひとつ、「別の馬鹿を探しなさい」。要するに、私はもう貴方に騙されるお馬鹿さんじゃないのよと。スピーディでソリッドなロック、ソロも絶妙のアレンジなり。 6. Seventeen -Winger (US#26/89) 何回聴いても飽きない曲というのがあります。僕の場合、これもそのひとつ。驚異的に芸達者な4人がガチンコでぶつかり合い、適度にポップで適度にテクニカルな路線を極め尽くします。少なくとも自分は、ビリー・アイドルの "Sweet Sixteen" や スキッド・ロウの "18 And Life"、ポール・ハードキャッスルの "19" より好きらしい。 7. She's A Beauty -The Tubes (US#10/83) 出た! デヴィッド・フォスター制作の問題作にしてチューブス最大のヒット曲。実はこれを産業Night でかけるのが長年の(といってもまだ1年も経っていませんが)夢だったのです。お客さんにはあまり受けてないようでしたが、いいんです。完全に自己満足の数分間。 8. Notorious -Loverboy (US#38/87) ラヴァーボーイをかけるに事欠いてこれかよ!という感じですが… いいじゃーん。産業っぽいんだもーん。ジョン・ボン・ジョヴィ&リッチー・サンボラが共作してるもーん。「ナナナ…」って歌う曲はいつだって名曲か駄曲かの両極端なんだもーん(笑)。個人的には "Queen of The Broken Hearts"(US#34/83) が一番好きなのですが、たまたま音源を切らしてて。 9. High On You -Survivor (US#8/85) サヴァイヴァーも産業の定番。正確には産業Night の定番というべきか。僕自身、以前 "Poor Man's Son" (US#33/81) をかけましたし、この夜も Hatch さんが "How Much Love" (US#51/87) をかけました。皆に愛され続ける産業界の生存者。特にこの "VITAL SIGNS" アルバムはアップからバラードまで粒が揃いまくっているので超オススメ。 10. After The Rain -Nelson (US#6/91) 彼らの美しいブロンドの長髪はどこへ行ってしまったのだろう。それはさておき、双子のネルソンが歌う曲は定番の「雨降って地固まる」テーマ。このアルバムもまた強烈に産業なのでした。リリースから12年、中古店では500円を割ることも珍しくありませんが、悪いことは言わないから黙って買っとけ。マジ素晴らしすぎるコーラスとメロディ。 11. Send Her My Love -Journey (US#23/83) ジャーニーには好きな曲がありすぎます。表ベストを "Who's Crying Now" あるいは "Don't Stop Believin'" とした場合、裏ベストにはこいつが来る。どこまでも切ない名バラード、特にニール・ショーンのギターソロがむせび泣く後半には号泣必至。 12. Just When I Think of You -1927 (US#100/89) この曲は主に3つの理由によって僕の心に記憶されている。ひとつは、アーティスト名が全部数字であること。もうひとつは、ご覧のとおり全米シングルチャート最高位100位であること。しかもチャートインはわずか1週。つまり、89年のある週に100位に初登場し、次の週には僕らの前から忽然と姿を消していたという驚異的なチャートアクション。さて3つめの理由は何でしょう?。 13. If Looks Could Kill -Heart (US#54/88) 視線で人を殺せたら大変です。テロリストの無法地帯だ。絶好調だった時期のハートにしてはマイナーなヒットですが、ハードなギターリフがカッコいいロケンローなので◎。オールタイムには "Never" を入れちゃったし、CBS時代の荒削りなロックも大好きだけれど、たまにはこんなのもね。 14. Daylight -Asia (US#-/83) エイジアで最も好きな曲のひとつなのです。シングル "Don't Cry" のB面にしてアルバム未収録曲。かつては "ALPHA" のカセット版に入っていた程度で、CD化が待たれていましたが、いい編集のベスト盤が出て入手が容易になりました。ジェフ・ダウンズのハモンド&パイプオルガン音が印象的。もちろんジョン・ウェットンの運命的なブリティッシュ・ヴォイスも! 15. Turn Me Loose -Loverboy (US#35/81) 前の曲がカットアウトで終わることからもお分かりのとおり、本当は14曲で終わるつもりだったのです。が、ふりーまん田中さんに「どうしてもかけて〜」とおねだりされては断れません。かけてさし上げましょう、それ行けラヴァーボーイの記念すべき初ヒット! しかしじわじわ来るこのイントロといい、徐々に力入ってくる展開といい、実にカッコいい曲です。改めて良さを見直しました。というわけで、僕のセットリストはこれでおしまい。 さてさて。今回もたくさんの皆さんにお越しいただきました。本当にありがとうございます。 当たり前のことですが、音楽は僕だけのものではありません。とすれば、僕がこれまでめぐり合った素晴らしい曲たちを、独り占めしておいて良いはずがない。そもそも僕のお気に入りの音楽は、自分だけで見つけることができたのではありません。多くの人にお勧めしていただいたり、聴かせていただいたりして出会うことができたもの。だから聴きに来てくださった皆さんに、少しでもそのおすそ分けをしたくって。僕にとっての「産業Night」の意義はここにあります。 次回は2003年5月の予定。それではその日まで、皆さん御機嫌よう。 |