ベスト盤の快楽。


 気がつくと、自分のCDラックはベスト盤だらけになっていました。

 CDをガンガン買い始めた当初はアルバム志向でした。アルバムを通して聴くことこそが本道だと思っていたのです。シングルカットされていない隠れた名曲などを見つけて、とても嬉しかったものです。ベスト盤は収録曲がどうしてもアルバムとダブりますから、わざわざ買おうとはあまり思わなかったのですね。

 しかし、ヒット曲に重点を置いて聴くようになってからベスト盤を買うようになり、その魅力に気付きました。私見ながら、その魅力とは次のようなものです。

(1) アーティストの歩みを、ヒット曲を中心にコンパクトに眺めることができる。
(2) アルバムとは異なるヴァージョンで収録されることが多い。(シングルヴァージョンだととても嬉しいが、どうでもよいリミックスヴァージョンのこともある)
(3) そのベスト盤でしか聴けない新曲や未発表曲が収録されていることがある。(出来は必ずしも良いというわけではない…)
(4) ベスト盤編集にあたってリマスタリングが施され、音質が向上していることが多い。
(5) 新たなライナーノーツなどが付加され、資料的価値が増していることが多い。


 初めて聴くアーティストの入門盤としてベスト盤を手に取ることも多いと思います。でもご注意! ベスト盤に収録されている曲は「ヒット曲」が中心であって、それは必ずしもそのアーティストのもっとも出来の良い曲というわけではありません。その意味で、あくまでも参考にとどめ、より深く突っ込んで聴きたい場合には個別のアルバムに手を伸ばすことをお勧めします。

 …その上で再びベスト盤に戻ってくると、面白さは倍増します。
 ライナーノーツで明らかにされる、大ヒットの舞台裏。いい曲が小ヒットに終わり、割と冴えない曲が大ヒットしてしまったりした事実。プロデューサーや音の傾向の変遷。細かいバージョンの違い。意外なソングライターやプレイヤーの参加。必ずしもリリース順に並んでいるとは限らない曲順にこめられた含意。自分だったらどういう選曲・曲順のベスト盤を編むか。

 などなど。よく知っていて、聴き込んでいるアーティストのベスト盤なんて要らないとお考えかもしれませんが、実はそっちの方がずっと面白かったりするのです(^^)

 そんな自分のCDラックから、お勧めのベスト盤を少しずつ CD Reviews のコーナーでご紹介していきたいと思います。

(February, 2001)

MUSIC / BBS / DIARY / HOME