Bon Jovi


CROSS ROAD : THE BEST OF BON JOVI


1994 PolyGram Records
1. Livin' On A Prayer
2. Keep The Faith
2. Someday I'll Be Saturday Night
4. Always
5. Wanted Dead Or Alive
6. Lay Your Hands On Me
7. You Give Love A Bad Name
8. Bed of Roses

9. Blaze of Glory
10. In These Arms
11. Bad Medicine
12. I'll Be There For You
13. In And Out of Love
14. Runaway
15. Never Say Goodbye

 ベスト盤を編集するのは難しい。
 実際、このボン・ジョヴィのベストも日米欧でそれぞれ微妙に収録曲が異なっているが、それでも「あの曲が入っていない!」というファンの気持ちが解消されることはない。バンドにとってもバラード寄りの選曲になることへの抵抗感があるだろう。(ちなみに自分が持っているのは欧州盤)

 とはいえ、上の選曲・曲順をご覧いただければおわかりのとおり、これは概ねよく出来た編集盤だと思う。オープニングからいきなり "Livin' On A Prayer" の史上最強のコーラスパートでがんがん歌わせ、"Always" "Wanted Dead Or Alive" あたりではややテンポを落として熱く聴かせる。中だるみしそうな中盤は要所に "You Give Love A Bad Name" "Bad Medicine" といったフックの強いロッカーを配しつつ、終盤では "In And Out of Love" "Runaway" という 2nd & 1st の代表曲にさらりと触れて初期からのファンをねぎらう。そして大ラスはアルバム "SLIPPERY WHEN WET" から、アルバムカットながらファンの間では絶対外せないライヴでの定番曲 "Never Say Goodbye" を…

 確かによく出来てます。やや低迷しかけていた彼らのセールスが、このベスト盤で一気に盛り返し、マルチミリオンの大ベストセラーになったのもうなずけるところ。

 もちろんこのベスト盤だけでボン・ジョヴィのすべてが伝えきれるわけもなく。例えば1stは、全編通して産業ポップ/ロックアルバムとしての魅力溢れる1枚だし、大出世作 "SLIPPERY WHEN WET" にはアルバム邦題となった "Wild In The Streets" や Desmond Child 絡みの隠れた名曲 "Without Love" があるし、だいたい "NEW JERSEY" "Blood On Blood" を欠くベストに何の意味があるのか、という声もあるはず。

 待った待った。ちょっと待った。

 ベスト盤はコアなファンたちだけのモノじゃない。どれから聴いていいか分からないっていう初心者のための大事な入り口でもあるのだから。まずは飛びついてもらうこと。先入観なしに聴いてもらって、それから個々のアルバムに入っていただきたく。"KEEP THE FAITH""Dry County" に出会ってもらうのは、それからで十分。それまでの間、僕は "Always""Someday I'll Be Saturday Night" の2曲の素晴らしい新曲を聴きながら、バンドとそれまでのベーシスト、アレック・ジョン・サッチとの別れとなったこのクロスロードに腰を下ろしてもう少し物想いに耽ることにしましょう。


お気に入りベスト3
1. Livin' On A Prayer (やっぱり抵抗不可。デズモンド先生恐るべし)
2. I'll Be There For You (もちろん全部歌えます)
3. Runaway (すべてはイントロの16連。産業魂ここに極まる)

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