2001年3月31日(土)
京王線仙川駅前に、見事な2本のソメイヨシノがあって、毎年見事な花をつける。樹齢60年だという。だが、いつもの場所にある桜は、この春から1本だけになってしまった。もう1本は、整備された駅前広場の反対側の方に場所を移している。
調布市はそもそも、駅前整備計画の一環として、2本とも切ろうとしていた。これに僕の署名も含む1万4千人もの反対署名が集まった。昨年、市と住民の討論会が実施され、残すべきか伐採か、激しく意見が交わされたという。実は市は、その前に2度にわたる地元への説明会を開き、出席者は少ないながらも伐採の了承を取りつけ、予算措置も終えていた。しかし、市長らは討論会に真摯に臨み、反対派の意見を丁寧に聞いた。
2時間半に及んだ議論の末、市長はマイクを握りこう語ったという。
「一本は今の場所に残し、一本は近くに移植します」
「十年ともたないかもしれないが、枯れていくのを見届けるのも、また人生です」
こうして市が大幅に譲歩した結果が、この駅前広場だ。移植された桜の方は、まだ新しい風景に慣れていないみたいだけれど、仙川の住民は早くもこの駅前広場に馴染みはじめている。時期外れの雪がちらつく中、今日も駅前の桜が少しずつ満開に近づいていく。
2001年3月30日(金)
今日は今月2度めのオフィスお引っ越し。40F→11Fへと大移動なので、箱詰めその他で大忙しながら、合い間をぬって本日限りで退職や異動の職員のご挨拶などもあり、ちょっとしんみり。
職場を出ると吉祥寺に直行。井の頭公園で夜桜としゃれこむつもりが、あまりの寒さに断念。方向転換して軽く腹ごしらえに回転寿司をつまむ。回転寿司って、隣の人がどんなネタを選ぶか、ついつい気になる。彼/彼女が「つぶ貝ください」と頼んで出てきたつぶ貝がつやつやして美味しそうだった日にゃ、自分も食べたくてたまらなくなり、つられてオーダーしてしまう。「つぶ貝ください!」 そして、つい気恥ずかしくなって余計なものまで一緒に頼んでしまうのだ。「…あと、ビントロも…」 隣の彼/彼女の冷たい視線を感じなくもない一瞬である。
アーケードをしばらくぶらついた後はコーヒーを飲みたくなる。いつもならスターバックスだが、今日は趣向を変えてシナボンに入る。何せ日本第1号店ということもあって、数ヶ月前までは常に店外まで長蛇の列ができていたものだが、今やガラガラ、ブームなんて虚しいものである。ラ・ブームのソフィー・マルソーは可愛かった…
オーダーは期間限定・アップルボンとコーヒー。激甘のシナボンにはやはり薄めのアメリカンコーヒーだよね… と思っていたはずが、何を血迷ったのかカプチーノのLサイズをオーダーしている自分。思いっきりシナモンかぶりまくり。トホホ。
吉祥寺バウスシアターにはロングランになったビョークの『ダンサー・イン・ザ・ダーク』が来ているようだが、少なくとも今夜は再びあの映画と向き合うだけのエネルギーが残っていないと判断、家路につく。
もうバスがない時間なので、京王井の頭線で明大前まで戻って各駅に乗り換えようとしたところ、聞き慣れないアナウンスが。「次の準特急の停まる駅は…」 準特急? そう、いつの間にかダイヤ改正が行われていたのだった。そして、続いて到着した快速電車は、これまで停まらなかった仙川駅にしっかり停車するようになっていた。ちょっとだけ帰宅がスピードアップして、何だか得した気分。
仙川駅に到着してみると、駅前が!(以下、明日に続く)
2001年3月29日(木)
香川130kg。懐かしい響きだ。
最近気になっている新聞コラムは、朝日朝刊の「仕事の風景『球場去りし後(のち)』。言わばプロ野球界の「あの人は今」だが、今朝は元南海・ダイエー選手の香川伸行氏が取り上げられていた。「浪商のドカベン」といえば思い出す人も多いだろう。79年夏の甲子園大会で3試合連続ホームランを打つのを、小学生だった僕も興奮しながら見ていたものだ。グラウンドで巨体を揺らす彼に、日本中から熱い視線が向けられていた。
南海ホークスに入団し、一軍初打席初本塁打で華々しくデビューしたものの、130kgにも達する体重増もあって、その後は順風満帆とはいかなかった。プライベートもそうで、スチュワーデスだった最初の奥さんとは2年で破局、数年後OLと再婚し、子供もできたが結局長男を引き取って離婚。そして数年前、香川氏は運命の再会を果たした。相手は20年前に全日本高校野球選抜チームの一員として遠征したハワイのマウイ島で、偶然すれ違ったソフトボール日本代表の女子高生。出会いから20年経っての偶然の再会だったが、二人は結局結ばれることに。5月には赤ちゃんも生まれる予定という。
彼にとっては3回目のこの相手が、本当に出会うべき人だったのかもしれない。最初から運命の相手と出会うことになる人もいるし、そのことに気づかずうっかり通り過ぎてしまう人もいる。結局、ひとりで生きるのが一番性に合っているという人もいるだろう。
春のセンバツ高校野球の結果を眺めながら、ちょっとだけ昔を懐かしく思い出した。
2001年3月28日(水)
薬害エイズ訴訟「帝京大ルート」の東京地裁判決が出た。安部元副学長に無罪判決だ。エイズによる血友病患者の死亡という結果発生の予見可能性はあったが、その程度は低く、感染を防がなかった過失があったとはいえない、ということのようだ。
当時の水準に照らしてみて、過失があったとまで言いきれるほど非加熱濃縮血液製剤の危険性が認識されていたのかどうか。そこに軸足を置きつつ、処罰を求める声に応えようとするあまりに犯罪の範囲を勝手に動かし、言わば「魔女狩り」になってしまうことに警鐘を鳴らす判決だったと言えるのではないか。
もちろん薬害自体は非常に悲惨な結果であって、極力避けねばならないものだ。しかし、治療時点において明らかに「誤り」と言いきれるかどうかが微妙な治療を行ったとして、その場合の医療側の過失を極端に大きく認めるとすれば、医療側に与える萎縮効果も大きいだろう。まだ第一審だし、判決そのものの是非についてここで論ずるつもりもないが、日々進歩していく医学の最前線で「命」を扱う仕事は、あまりにも切実で、重いものに違いない。
やや観点が異なるが、「よきサマリア人(びと)法」についての議論がある。聖書をお読みになる方はご存知だろうが、新約聖書にあるこのストーリーは、強盗に襲われ倒れていたあるユダヤ人を、通りかかった祭司や人々が見てみぬふりをして通りすぎる中、あるサマリア人だけが、彼を介抱し、宿屋に運んで宿代まで負担したというものだ。
そこでこの法律だが、緊急状態にある人をボランティアが手当てした場合、仮にその手当てによって状況が悪化したとしても、民事責任を免除するというもので、米国のすべての州に存在するという。
国際医療福祉大学教授の高橋 泰教授が語るところによれば、国際線の飛行機の中で急病人が出て、「お客様の中でお医者様、看護婦さんはおられませんか」とアナウンスがあった場合、かなりの割合で医師たちは名乗り出ないという。なぜか。「もし患者さんが悪くなった場合、その責任が問われかねないから」というのだ。確かに、善意で行った治療の結果、運悪く容態が悪化してその責任を問われるとするならば、名乗り出たくない気持ちも分からなくはない。もっとも民法第698条(緊急事務管理)は、悪意または重大な過失がなければ損害賠償の責任を免れる、としているから、そうした事態は想定しにくい、という見方もできるかもしれない。
だが、振り返って自分がその場にいたらどうだろう。道端で倒れて苦しんでいる人を見て、すぐに手当てできるだろうか。そしてまた、参審制が導入されていたとして、本日の薬害エイズ訴訟の場に裁判員として参加していたらどうだろう。果たして有罪/無罪判決の一端を担えるだろうか。
…今日もまた、自分自身の当事者意識の決定的な欠如を痛感せずにはいられない。
2001年3月27日(火)
世の中すっかりマイライン。
CMで連呼される「マイラインは○○でしょ」や「△△でOK、OKよ」や、ひっきりなしに画面に登場する大根抱えた松坂慶子にも食傷気味。
先日の途中経過報告ではNTTグループが圧倒的なシェアだったので、各社大慌てなのだ。でも、まだ全国6,000万近い固定電話回線のうち、登録されたのはほんの数%で、まだまだ勝負はこれから。元「通信屋」のひとりとして、やはり動向が気にならずにいられない。
ここでふと思い出すのは、祖母の何気ない言葉だったりする。当時マルチメディア部門配属だった僕に対し、ポツリと言ったのだ。
「でも、そんな画像とか何とかオンデマンドとか、こんな田舎で使いこなせる年寄りはあまりいないんじゃないのかねー。そんなことにお金を注ぎ込むより、普通の電話が安くなる方がありがたいんだけど」
やられた!と思った。ユーザの本音を聞かぬまま、送り手が勝手にプランニングしていたその頃の「マルチメディア」なるものの危うさの本質を、見事に突かれた思いだった。
日本テレコムは参入する市内電話料金を3分8.5円に値下げし、他社も一斉にこれに追随する動きだという。こうなるともはや消耗戦で、誰かが倒れるまで闘い続けることになるだろう。「電話会社は安定してていいねー」などと言われていたのは大昔の話である。
だが祖母はこうも言った。
「でも、安くなるのはありがたいことだけれど、利用者の側に引っぱられてタダまで値下げしちゃったら、この世の中はおかしくなるよ。ちゃんと少しは利益が出るところで止めないと。働いている人にも家族があるんだし、支払う側も気持ちよく支払わないとね」
デフレスパイラルの危機も叫ばれる昨今、もう少しじっくりかみしめたいコトバである。
2001年3月26日(月)
今年も、東急ハンズや無印良品の大きな袋を抱えた新人くんや新人さんたちを見かける季節がやってきた。春は新生活を始める季節。そして別れの季節でもある。
前の会社の同僚から電子メールが届いた。この春で会社を辞め、渡米してビジネススクールに通うという。同期の中でも人一倍デキるヤツだったけど、遠くに行くとなるとやっぱり寂しい。幸多かれと祈るばかり。
マンションの隣の部屋が引っ越して、空っぽになっていた。自分の部屋も、今日でちょうど丸1年。いろいろあったけれど、何とかやりくりしながらあっという間に過ぎた12ヶ月だった。時が経つのを忘れたってことは、それだけ快適な部屋だったということかもしれない。
独り暮しが長くなると、その快適さにも慣れっこになってしまう。でも自分だけの空間と時間は、本当はとても貴重なものだ。今夜の夕食に生まれて初めてのモツ煮込みにトライしてみたり、それに赤ワインを合わせちゃうような展開も、他人にサーブするのであればちょっとためらうに違いない。でもとりあえず、煮込みはもうちょっとみりんを足すべきだったかな。
近くの中学校の校庭の桜が咲いていて、ちょっとまぶしい。無印の新生活キットお買い上げの新人さんたちも、焦らず力まず、気楽にいきましょう。世の中そんなに捨てたもんでもないよ。最近、どうもそんな気がしています…
2001年3月25日(日)
テレビ東京で映画『恋する人魚たち』("MERMAIDS")を観る。
シェールとウィノナ・ライダー、ボブ・ホスキンスらが出演。まだまだ幼いウィノナの可愛い演技が見所だが、シェールの妖しさもスゴイものがある。バブルバスに入りながら読書しつつも、全然化粧が崩れていない。うーん。
続いてビデオ屋から借りてきた『俺がハマーだ!』を観る。
80年代にこれまたテレビ東京系で放送されていた米国TVドラマ。ところ構わずマグナムをぶっ放す正義の刑事、スレッジ・ハマーが繰り広げるコメディ(というかナンセンスギャグ?)で、思いっきり笑う。
***
今日も三食、しっかりと健康な食事をいただく。
朝ご飯はブロッコリーとレタスのサラダ+目玉焼き。もずく酢。黒ごま豆腐。ご飯。ジャガイモとワカメのお味噌汁。
昼ご飯はキツネうどん。ズッキーニのバター炒め。
晩ご飯はエビとマイタケのチリソース。枝豆。かき玉汁。あわびの浅漬け。
野菜が安くて美味しい季節になってきました…
2001年3月24日(土)
駅からの帰り道、毎晩同じところで猫に会う。全体として黒いんだけど、手足は真っ白。僕は勝手に「クロちゃん」と呼んでいる。実は「毎晩」というのはウソで、寒い夜には出てこない。きっと暖かいお部屋でぬくぬくと丸くなっているのだろう。猫って現金な生き物。 クロちゃんは、ある家の玄関の門のところにきちんとお座りして、暗闇から通行人をじっと観察している。僕と目が合うと、大きな声でニャンニャン鳴き出す。きれいな透き通った美声でニャンニャン鳴きながら、僕が門の前にしゃがんでも一歩もたじろがずにじーっとこちらを見つめている。
きっと、誰かこっそり夜に食べ物をあげるご近所さんがいるのだろう。ここにきちんと正座してニャンニャン鳴いていれば、またあの人が来てくれるということをちゃんとわかっているのだろう。だから僕はクロちゃんに別れを告げる。オヤスミナサイ。おいしい夜食にありつけるといいね。
ニャンニャンニャンニャン。クロちゃんの鳴き声は今夜も続く。
2001年3月23日(金)
異動の内示があった。年に1度の本格的な人事シャッフルだけに、お役所はこの日、最大級に盛り上がる。
朝から内線電話で噂話をチェックする人々、あちこちでヒソヒソ立ち話する人々。いったん内示がされると、今度は様々なルートで情報が飛び交い、新組織体制のドラフトが完成していく。当然、噂話にも拍車がかかる。
「…今度の新しい課長って、どんな人?」
「なんかねー、○○○って噂だよー」
「えーっ、本当??? そっちから来るこの女の子は?」
「それがねえ、ちょっと×××なのよねー」
「ふうん、そうなんだー」
異動なしを宣告された自分は、そんな喧騒をよそに淡々と業務をこなすのみ。
今夜はカレーでも作ろうかな。ニンジン/ジャガイモ/タマネギあたりは定番として、その他何でも放り込んでしまえるところがカレーの魅力。ナスだったり、マイタケだったり、余ったキャベツの芯だったり。
落ち込んだ日はカレーに限る。そしてBGMは、『日本印度化計画』に限るのだ。
2001年3月22日(木)
グリーンスパン、といえば米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)の議長を13年半も務めているわけだが、景気減速に伴って彼の神話にも陰りが出てきた。大統領よりも影響力が大きいとまで言われたグリーンスパン議長だが、成果主義の社会は株価の下落を捉まえて、彼を容赦なく責め立てる。
まあ、そんなことより目にとまったのは彼の経歴。
マンハッタン生まれの生粋のNYっ子で、何とジュリアード音楽院で学び、サックス奏者としてプロのバンドに加わったという。ジュリアードといえばまさに名門音楽大学。よっぽど音楽が好きだったのだろう。しかしグリーンスパンはプロとしての才能に限界を感じ、ニューヨーク大学で経済学を学んで大きく方向転換するわけだ。
こういう転身が、こっちの国でももっともっと認められればいいのにな。もちろん逆もアリだ。日銀の管理職が「どうしても音楽をやりたかったんです」と音大に入り直したっていい。自分の人生は自分で羅針盤を見ながら舵を取る。FREEWILL で。
***
ちょっとしつこい「今日の清水宏保のコトバ」。
研ぎ澄まされた感覚って何?
「何も見えない、何も聞こえない。なのに体が、すごくすごく感じる。指の先、つめの先まですべてに神経がいっていることが認識できる、その神経がすべて立ち、指先まで痛くなるような。どんな小さなことも何もかもを感じてしまう、そんな感じなんです。すべてが見えていて、でも真っ白な世界になっている」
イチローはとても慎重に言葉を選ぶし、新庄は見てのとおりだ(それはそれでよひ)。
しかしこの清水宏保の語りぶりはいったいどういうことか。
そこへいくと、フィギュアの本田くんはいつまで経っても本番の重圧に弱い。リンクに入る前に「まるでアイスホッケー(NHL)の試合みたいだ」と完全に雰囲気に飲まれたモード宣言。もちろん、自分には清水宏保より本田武史の方がはるかに感情移入しやすいわけですが…
で、世界フィギュアの行方はというと、順当にエフゲニー・プルシェンコとアレクセイ・ヤグディンが争っている。2人の滑りを初めて生で見てからまだ1ヶ月、鮮明な記憶が脳裏によみがえる。
よきライバルを持つということは、何より幸せなことでもある。
2001年3月21日(水)
吉本隆明が新聞に面白いことを書いていた。『引き出し症候群』だ。
具体例は「ランチメート」症候群。OLや女子高生の間に広がっている症状で、昼の食事をひとりでとることができず、同僚と一緒にとるために、無理にも仲間を求めずにはいられないというものだ。理由は独りぼっちで食事をとるのが淋しい、さらには職場の同僚から疎外されていると思われたくない、ということらしい。そんな理由で前の日から携帯電話などで明日の昼食を一緒にとってくれるように約束をとったり、昼食仲間に加えてくれるよう頼んだりするまでになっているという。
実際、自分の職場でもそういう人をたくさん見かけるのだが、ちょっと理解に苦しむ。
もちろん自分だって、誘われれば喜んで一緒に食事に行くし、たまには上司と飲みに行ってコミュニケーションを図るのが(かったるくても)結果として自分の意見を伝えるチャンスになることくらいはよく分かってるつもり。でも、そういう場合でなければ、できればお昼くらいはひとりで静かに食事を味わいたい、という気持ちの方が強い。
ただ単に、午後の仕事の段取りをぼんやり考えたり、お店の内装を眺めたり、食後に気が変わって急にスターバックスにコーヒーを飲みに行ったり、そういう時間と自由がほしいのだ。必要なのだ。
でも、世のトレンドはそうではなく、内線電話は鳴り続ける。
「ねえねえ、今日のお昼空いてる?」
吉本隆明は、「引きこもり」の対極にあるこの状態を「引き出し症候群」と呼び、健全な常識や内省力を持ち得ない危険なあり様だという。御意!
…とか言ってるそばからネットに日記書いたり、掲示板に書きこんだりしている、症候群該当者な自分がいたりいなかったり。のらりくらり。
***
今日の『生まれて初めて』。それはYAHOO!オークション体験。
3アイテム出品して、ひとつが出品翌日に落札されました。値付けが甘かったのかもしれません。
でも、取引成立でまずは一安心。残る2アイテムも、買い手がつくといいんだけど…
2001年3月20日(火)
ずっしりと重い感触。今、机の上には図書館から借りてきた3冊の本が並んでいる。
ひとつは J.K.Rowling "HARRY POTTER AND THE PHILOSOPHER'S STONE"。大ベストセラーの第1作目だ。某Sさんの年賀状で、昨年のベスト10リスト中第2位が「ハリー・ポッター」のシリーズだったのが大きい。第5位の Sting ライヴ、第7位の Def Leppard ライヴ、第8位の Bon Jovi ライヴや第9位の The Tea Party ライヴ(in Germany)を差し置いての第2位である。1位の Thunder 解散公演にかなうわけはないから、これは実質的に2000年で最も優れたエンターテインメントだったと言っているのと同じことだ。図書館に予約しておいたハードカバーの原書が入ったので、やっと読むことができる。
あとの2つは上下巻もので、これも昨年末に出版界の話題をさらった、スティーヴン・キングの『ザ・スタンド』邦訳だ。ファンなら知ってのとおり、1978年発表の作品に、当時削除されていた部分を復元するなどして大幅に加筆の上で1990年に再リリースされたキング渾身の作品だ。だってハードカバーで、上巻790ページ・下巻654ページだよ。ダンベル体操にも使えて便利だという噂もあるくらいだ。(ないない)
深町眞理子さんは個人的に好きな訳者だし、これまでの訳本から察するに、キングに対して十分な敬意を払って翻訳作業をしていらっしゃるようなので、今回も安心して読むことにする。
おっとページをめくる前に。
身も心も清めてから臨む必要があるのではないか。まあ「汚れつちまつた」(中原中也風)心の方は今さら無理として、せめて身体くらい清めてから表紙を開く、それくらいの礼儀は必要だろう。自分にとって本当に大切な作者の本であるならば。塩までまかなくてもいいけどさ。
〜しばしシャワータイム〜
音楽も止め、静寂に浸りながら『ザ・スタンド』上巻のページをめくる。
無理にBGMを流す必要ない。なぜならキングはちゃんと冒頭にブルー・オイスター・カルトの歌詞を引用して、最適なサウンドトラックを用意してくれているから。あとは溢れ出る言葉の海に身を任せてどこまでも泳いでいくだけだ。
「さあおいで、メアリー。
恐れちゃいけないよ、死神を!」
("(Don't Fear) The Reaper" より)
2001年3月19日(月)
遥洋子『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を読む。
タレント活動をしながらジェンダー論の上野ゼミに3年間参加した筆者のレポート。前半はあまりの環境の激変に戸惑い、右往左往する姿が面白おかしく描かれているが、回を重ねるにつれ、次第に深まる思索の様子が読者に無理のないペースで展開される。「タレントだから」でひと括りにできない、遥洋子の学問に対する真摯な姿勢がよく伝わってくる文章だ。
生半可な議論を容赦なく切り捨てる上野千鶴子のコワさもさることながら、そこからしっかり10ヵ条のケンカの鉄則を盗む筆者もたいしたもの。正直言って、読みながらすごく羨ましかった。またガッコに通いなおしたいって痛切に思った。大学4年間、基本的に選択した授業にはほとんどすべて出席したし、それ以外の時間もかなり図書館などで過ごしたつもりだったけど、そんなんじゃ全然足りない。「知」への渇望感は尽きることがないのです。
そんなわけで毎週流して買ってるロト6、当たったらさっさと仕事辞めて大学に戻るぞ、と誓いを新たにする。てゆーかその前にちっとも当たんねーよ。(てゆーか誓いを立てるならもっと他のことにしろ)
ちなみに、この本に描写される東大の女の子のダサさは今や必ずしも真ではない。遥洋子の目に、化粧っ気なしのダサダサ女ばかりが映ってしまったのは、上野ゼミに参加している院生の子たちが今ちょうど30歳前後の世代だからだろう。しかし、今どきまかり間違って駒場キャンパスなんかを歩いてみたりなんかすると、10年前とは異なる垢抜けた可愛い女の子たちが闊歩している様を観察することは十分に可能だ。それがどうした。僕ドラえもん。
2001年3月18日(日)
京王線の千歳烏山駅すぐそばの、RAG TIMEというジャズ喫茶/BAR。
小さなビルの3階、屋根裏の隠れ家のようなスペースに、カウンター5席、テーブル5つ(約14人)の小ぢんまりとしたお店。暗い店内に入ると、左手すぐに年代モノの大きな大きなスピーカーが鎮座していて、どこか優しく温かいアナログな音が溢れ出している。
15:00開店だから、まだ開いたばかりなのに、もう馴染みの客が少しずつ集まってきては、ビールを注ぎながら本を読みふけったり、目を閉じて紫煙をくゆらせたり。マスターがじっくり淹れるブレンドコーヒーは、コクがあって深い味わいだが、酸味が全くなくて飲みやすい。
誰にも邪魔されない週末の午後。
いいお店を見つけた。
2001年3月17日(土)
朝からお天気が悪い。しかも花粉症なのか鼻腔が大洪水。
そんな中、南大沢のアウトレットパーク「ラ・フェット多摩 南大沢」に出向く。
さすがに悪天候だけあって、お客さん少なめ。お店もゆっくり見て回れる。でも結局何も買わず。どうもあのような場所で買い物をするのはちょっと苦手。何だか急き立てられているようで、自分のペースで品物を見定めることができないから。
そんなわけで、駅前にそびえ立つイトーヨーカドーに惹かれてフラフラと入る。とにかくデカい。新しくてキレイ。こういう大ショッピングセンターをぶらぶら見て回るのは大好きだ。小腹がすいたら店内のイートインコーナー「ポッポ」で関西風お好み焼き\380などを食す。子供のころ住んでいた街にあったダイエーで、やはりこうして買い物途中でアイスクリームを食べたりするのが大好きだったのを思い出す。
店内の女性服ショップのディスプレイを見て愕然とする。
「水玉がキている!」
よく分からないが、どうやら水玉スカートに白くてぶっといベルト(もちろん丸くて大きなバックル)みたいなスタイルが大ブレイクしそうな気配だ。この冬の千鳥格子ブームとか、数年前のアニマル柄流行とかに近い異様なテンションを感じずにいられない。
思いっきり80年代にタイムスリップしたような、めまいのする土曜の昼下がりだった。
アレルギー性鼻炎薬を購入して服用するも効き目弱し。
明日は暖かく、花粉飛散量はたいへん多いでしょう。天気予報は悪魔の囁き。
2001年3月16日(金)
朝から夕方までオフィス引っ越し作業。箱詰め、ゴミ捨て、什器移動。
夜は引っ越し打ち上げ宴会幹事。新宿センタービル地下の銀座ライオン安具楽で1次会、カラオケ館で2次会。何とかこなして Ally McBeal までには部屋にたどり着く。
Ally はますます脇役になっていく。今夜はネルがクライアントを盗んで事務所から独立騒ぎ。エレインの引き抜きには失敗したものの、どうやら本当に出ていったみたい。金がすべてのアメリカ訴訟業界恐るべし。
今夜もワインとビールをたっぷり飲んでしまった。
ここ数日の歩数と消費カロリーを整理しておこう。
ちなみにしっかり歩数とは10分以上連続した歩数のことで、有酸素運動としての効果があったと考えられる歩数のことだ。
歩数 しっかり歩数 消費カロリー
今日 13,761 2,378 442
1日前 6,343 1,025 205
2日前 8,141 1,289 267
3日前 8,026 0 263
4日前 7,469 1,294 240
5日前 1,943 0 66
6日前 6,460 1,284 204
7日前 7,781 1,282 246
こうしてみると、相当意識しないと1日に1万歩以上歩くのは困難だということがわかる。多少カロリーを消費しても、発泡酒1本でパーだ。それでも1日の終わりにはほろ酔い気分でありたいもの。
Geordie in Winter Wonderland...
2001年3月15日(木)
朝、出勤途中に貧血気味になり道端に倒れそうになる。
出社拒否症か? などと冗談をいってる場合ではない。これはまずい。
帰宅後、ゆっくりと食事をすることにした。
田舎のおばあちゃんが送ってくれた手作り味噌で、具だくさんのお味噌汁を作る。添加物なし、全部自然の材料だけでできた、何とも控えめな味。でもそれはどこか懐かしく、身体の温まるお味噌汁だ。田舎の漬物をご飯に添え、ほっけを焼いて完全和風な夕食をいただく。
おばあちゃん、どうもありがとう。
2001年3月14日(水)
貪欲な清水 宏保はさらに語る。
「スケートに対して素人になればいいんです。タイムに対する常識をなくす。この種目ではこのくらいという目安のタイムが、わからなくなってしまえば」
超えられない壁なんてものは自分たちが作ってしまうものであって、「自分の感覚をまひさせてしまえばいい」というのです。
彼のコーチ曰く「清水君は、テレビを見ていて突然、チーターはなぜ速いのか、と聞いてくる」そうだ。先日世界記録も出した清水だが「冷静に見れば、もっと縮められた。この記録はすぐに破られる。僕もすぐに塗り替えたい。33秒台は確実に視野に入ってきた」と分析し、「限界を破っているのが常に自分でありたい」と語る。
根拠のない自信じゃないだけに、すがすがしく頼もしい響き。
***
16日(金)は職場のフロア移動日。現26Fからいったん40Fへ動いて、2週間後には11Fへ玉突き再移動です。荷物の整理と不要文書の廃棄と箱詰めの日々。箱の重さに、ペーパーフル社会に生きる自分をいたく実感。
2001年3月13日(火)
2泊3日のにわか『feel H"』ユーザになりきってみた。
DDI Pocket社が、ヨド○シカメラのような量販店などでPHS『feel H"』のモニター利用キャンペーン中。1世代前の端末 SANYO J80使いの自分としてはトライせずにいられない。端末はSANYO、TOSHIBA、KYOCERA、PANASONICから選択できるが、ここはやはり2インチカラー大型液晶搭載の第1号機、SANYO J90を手に取る。
最大の話題は、リアルサンプリングPCM音源100音色12和音の「feelsound」だろう。梅宮アンナのCMでもお馴染みの『幻想即興曲』を着メロで鳴らしてみる。これまでの携帯端末の常識を覆すリアルなピアノ音にたまげる。
もうひとつの売りは、携帯デジタルカメラユニット『Treva』を使って写真が撮れ、しかもメールに添付してそのまま送れちゃうところだ。イヤホンジャックに挿してボタンを押すだけで簡単にスナップが撮れる。とはいっても、画質やサイズは全然おもちゃレベルなので、過剰な期待はしないこと。合コンで一発ウケを狙うくらいのつもりでなくてはならない。
ウォークマンみたいなリモコンとヘッドホンも貸してくれる。PHSで音楽をダウンロードしてそのまま聴ける、ということだが、DLに時間がかかるのと、結構いい料金を取るので、頻繁には利用しそうにない。ラジオ好きの自分としては、むしろFMチューナー内蔵の方が嬉しいんだけど。
…でも結論からいうと、機種変は見送ろうかな。
機能が増えた分、操作手順も複雑になっていること、256色STN液晶はどうしても暗さが気になること、電池の消耗も早いこと、プライベートウィンドウがないことなどが理由。だがそれよりも、手持ちのJ80の完成度の高さが見えてきたことも大きい。電話をかける、メールを送るといった基本操作についてはヒューマンインタフェース抜群だし、電波感度と音声品質も文句なし。電池の持ちも1週間に1度充電するかどうかの素晴らしさ。
さまざまな意味で今のH"は過渡期にある。自分自身はPHSのよさをすごく買ってるつもりなのだけれど、シェアでは i-mode に遠く及ばない。ちょっと残念。それでもこれから128kデータ通信やパケット化などの展開を見せるというH"を、陰ながら応援して行く予定。
明日、J90をお店に返してきます。ありがとう。そしてさようなら、J90。元気でね。
でもその足でカメ○のドイからTOSHIBA端末を借りてきたりして。
***
寒い。3月だというのにまるで LONG COLD winter に逆戻りしたように寒い。
そして本当に大事なものは、失って初めてその価値がわかる。
失ったものに気づいたら、ジプシー・ロードを故郷に向かって一歩一歩、最後の1マイルまで歩いていくことだ。その先のハートブレイク・ステーションに、僕を守ってくれるシェルターがあるはずだから…
2001年3月12日(月)
日本版「VOGUE」誌の発行人である斎藤 和弘さんは言います。
「30万部とか50万部とか売る雑誌はもう成立しない。一定部数以上になると、雑誌というメディアを通じて読者に発するメッセージは希薄にならざるをえないし、読者に迎合してしまう」
だから10万部でも成り立つ新しいビジネスモデル、例えば単価の高い広告を目指すというのです。思わずポーン!と膝を打ってしまうこの明快さ。
何かに依存してたらこんな発想は出てこない。自立しなくちゃ意味がない。フェアに、ハングリーに生きるところに勝手に道ができる。そういう生き方をしたいなあ。
***
ところで最近ちょっと凝っているのが「地図」だったり。
あの帝国書院とかの地図です。本屋さんでたまたま手に取って、あまりに面白かったのでそのまま買ってきてしまった「地歴高等地図」。副題は「−現代世界とその歴史的背景−」。
高校のころ使ってたあの帝国書院の世界地図の上に、世界史を重ねてみたようなものです。つまり、基本的に現代の世界地図としてそのまま使えるのですが、例えば歴史上の重要な地名(例えば「**の戦い」の**とか)が上から書いてあったり、例えばアレクサンダー大王の征服進路が記されていたり、例えばイギリスの地図でハリファクスという町に「1733年、ジョン=ケイが飛びひを発明」とか書き込まれてたりするわけです。
これぞ世界史と地理の美しい結婚。どのページを開いても面白い。高校時代に出会えていれば、その後の自分のコースにもう少し違った展開があったかも…。
ところで「飛びひ」っていったいどんなのだろう? 産業革命習うと必ず出てくるんですけど…
2001年3月11日(日)
外務省の機密費流用疑惑で、外務省の元室長がついに逮捕された。
まあ捜査の方は警視庁捜査二課にお任せするとして、どうしても気になるのは所有していた15頭もの競走馬の名前の方だ。大きく分けて、2つの系統がある。
(1)「女性の名前(アケミ)+花の名前」シリーズ。
●アケミボタン
●アケミダリア
●アケミタンポポ
(2)「サウンドオブ+3文字単語」シリーズ。
●サウンドオブパワー
●サウンドオブキング
●サウンドオブダンス
(→このあと異様な展開を見せ、詳細なダンスの種類が命名されていく)
●サウンドオブワルツ
●サウンドオブサンバ
●サウンドオブルンバ
●サウンドオブマンボ
そして、系統立てられるほどではないが、リストの末尾にあっていろいろと考えさせられる名前が
「ハーバードボーイ」
だった。ノンキャリアから上り詰めた元室長は、この馬にいったいどんな思いを託していたのか。そして取得資産200万円とされるこのハーバードボーイは、いったいどんな走りを見せてくれるはずだったのか。
♪...Who's gonna ride your wild horses...♪
***
今日の朝ご飯。
・昨日のカレーの残り。具はシーフードミックスとマイタケ、シメジ。
納豆をプラスすると怪しい美味しさ。お味噌汁は欠かせません。
今日のお昼ご飯。
・ニラ玉どっさり。野菜コロッケ。菜の花サラダ。お味噌汁。
今日のおやつ。
・おはぎ(きなこ、粒あん、こしあん)
食べながら、NHK教育で中国映画『ガジュマルの丘へ』を見る。一人暮しの老女と、その息子夫婦との亀裂。そこにお手伝いさんとしてやってきた出稼ぎの少女が、老女の心をしだいに開いていく… ハリウッド映画に慣らされた目を休める静かなストーリィと映像。こういう時間は大切にしたいな。
今日の晩ご飯。
・エビ餃子。豚肉と野菜の中華風あんかけ。お味噌汁。
・デザートはイチゴ。
調布市立図書館に予約していたスティーブン・キング『ザ・スタンド』が入りました、と電話連絡あり。来週までに借りに行く予定。ある意味でキングの最高傑作とも称される大作、とても楽しみです。
2001年3月10日(土)
「お客さま、カードの有効期限が切れております」
ファーストキッチンのレジ店員は冷たく言い放った。
同店には CLUB-FK という会員制度があって、100円の会費を払ってカードを作ると、以後の利用料金が1割引になる。通算1,000円以上利用すれば元は取れるわけで、3〜4回も使えばお得になる計算だ。しかし、有効期限なんてあったっけ? 確かにカード上には、入会日や累計ポイント数などが記載されている。でも有効期限はないよ。
「有効期限は、最終ご利用日から6ヶ月となっております」
カード裏のものすごく小さい説明書きを指差しながら、これまた慇懃無礼に言い放つレジ店員。確かにそう書いてある。彼はさらに畳みかける。
「このカードの累計116ポイントは無効になりますが、よろしいですね?」
…絶句。何もそんなにはっきりと言わなくても。
オリジナルTシャツやオリジナルクッション、さらにはお好きなハンバーガー2個やポテトS3個分などに相当する、コツコツ貯めた大事なポイントが全部パーだよー。
とはいえ、1年前に転職した後は所得の激減と自炊機会の急増のため、ジャンクフード業界から極端に足が遠のいていたのは事実。してみると無効なカードを提示して「白玉クリームぜんざい(デザートセット)」(セット単価¥400)×2をオーダーしかけていた自分に残された選択肢は以下の3つしかない。
(1) カードはなかったものと潔くあきらめ、税込み¥840を支払う。
(2) このカウンターでまず CLUB FK 新規加入を申し込み(¥100)、然る後に10%オフで購入する。
(3) 「えっ? こりゃまた失礼! とんだお邪魔虫でしたね〜。メンゴメンゴ!」
とか言って、踊りながら退散する。
一瞬の沈思黙考の後、おもむろに(3)…じゃなくて(2)を選択した自分は、店員との丁丁発止のやりとりの間に溶けかかった白玉クリームぜんざいセットのトレイを、相棒の待つテーブルに運んで行ったのだった。大いに脱力。トホホ。でも白玉クリームぜんざいは美味しいよ。つやのある3個の白玉団子と、甘さを押さえつつもとろけるような粒あんの絶妙のハーモニー。そして北海道ソフトクリームのまろやか&ひんやりした食感が、ほてった口と心を鎮めていく…
そしてその時、音もなく自分のテーブル横にすっと出現したのはさっきのレジ店員だった。まだ何か文句あんのかい! 戦闘体制を固めた自分に対し、彼は周りのテーブルにもはっきりと聞こえるように言い放った。
「お客さま、お会計がまだなんですが」
***
今日は吉祥寺で髪を切る。
お店のウェブサイトを見ましたよ、と振ってネット話で暫し盛り上がる。winter wonderland のURLも教えてよ、と言われるが「もう少しコンテンツができてから…」と逃げる。早く作らなくっちゃ。
お昼は、吉祥寺伊勢丹B1Fの小さな中華「妹妹」(メイメイ)にて「揚げ餃子定食」(¥750)を食す。ここの揚げ餃子はまさに絶品。からっとした揚げ具合といい、からまる甘酢あんの味加減といい、ふーふー言って食べている間は天国気分だ。
だが食後、店を出るとどうしてものどが渇く。のど渇いたなー、冷たいものでも食べて、コーヒーでも飲もうか。あっ、あそこにファーストキッチンがあるよ。俺割引カード持ってるんだ。白玉クリームぜんざいはどう? いいねえ! 俺が買っとくから、席取っといてよ。禁煙席ね。えーと、この白玉クリームぜんざいセットを2つください。
…冒頭に戻る。
2001年3月9日(金)
愛用の Thinkpad i1200 のキーボードをながめる。
いろいろな記号キーがある。#%&「*あたりは当然として、$や¢、¥や£なんかも揃っている。
でもまだキーボード上に存在しない通貨単位がある。それは「ユーロ」。時が経てば、これもどれかのキーに割り当てられて、+ Shiftキーとかですぐに出せるようになるのだろう。
ドルと円とユーロは、3大通貨単位と言ってもよいかもしれない。円はそのうち中国元に取って代わられるとかいう議論はこの際置いておくとして、3大通貨単位の字面はそれぞれ$を「S」と、¥を「Y」と、ユーロを「E」と読み替えることができる。この3文字を慎重に並べ替えると出てくるのは… 「YES」。
YES! YES! YES!
物質社会を丸ごと無批判に受け入れ、お金で何でも買えると信じて札束に群がる人々の声か、はたまた危機的状況に陥っているこわれものの如き世界経済の象徴なのか。俺たちにはチャンスも経験も要らない、黙って SHAKE YOUR MONEY MAKER!
…残念なのは、この「YES並べ」に気付いたのは私などではなくて、浅田彰だったということです。愚かなり、我が恋。こっちはブライアン・フェリーだったか。
***
今日は寒かった。耳が冷たくなりました。凛としたお月さまがとても綺麗な夜でした。
生まれて2度目のラーメン二郎仙川店(通称「仙二郎」)でラーメンを食す。寒い中、店の外に列を作って待つ常連たちの後ろについて、PHSでEメールを読みながら待つこと10数分。店長の松田さんは笑福亭鶴瓶 or ヤクルトの古田選手を思いっきりさっぱりさせた感じ? 愛想は必ずしもよくなくて、むしろおどおどした印象を受けます(失礼!)。だがそんなユーザの勝手な思いこみとは全く無関係に、今夜も素晴らしいラーメンがテーブルに並ぶ。「ニンニク+野菜多め」でいただく。ほどよく温かいスープが、五臓六腑に染み渡る。ちょっと用法が違うやね。
2001年3月8日(木)
J-PHONEの次世代携帯電話サービス開始が、当初予定から半年遅れて2002年6月からになった。対するドコモは、エリア限定ながら近くサービスを開始する。このタイムラグは「致命的」だという人もいる。
だが果たして本当にそうだろうか?
何だかんだで初期投資が膨大な額になってしまってる次世代携帯、たぶん端末も通話料も最初のうちは超高めですぜ。ただでさえ「学生さんは金がない」ってのに、一体誰が買ってそんな超高速データ通信なんかするんだろ?
でもやっぱり、別に必要ない女子高生まで「みんな次世代なのに、私一人だけ旧世代ケータイなんて耐えられないわ。援交してオヤジからお金巻き上げて機種変しなくちゃ」とか言って買っちゃうのかもしれない。そしてオヤジの小遣いは彼女を経由して携帯電話会社の懐へと流れ込む。金は天下の回りもの。あるいは食物連鎖というべきか。何だか全然意味違う。
そんな自分はDDIポケットのH"ユーザ。
「えーっ、ピッチなのぉ?」 おう悪かったな。こちとら音質の良さとメール環境の快適さには右に出る者なしでい。ついでに部屋にはNTT回線なしでこのPHS一本、NTT基本料という別名の税金なんて納めちゃいねえ。
と肩で風を切ってみるのはいいんだけど、ちょっと加入者数の伸び悩みは深刻なんだよね。会社自体が持たないようじゃそれこそお話にならない。頑張れDポ!
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今日、突然ある猫に目覚めてしまった。
Felix The Cat ってすごく可愛いキャラクターだね。SNOOPY や Hello Kitty にはあまり感情移入できそうにない自分だけれど、Felix なら長く付き合えそう。思えば子供のころから「フェリックスフーセンガム」を駄菓子屋でよく買っていたのでした。当たりが出たらもう1個、のくじ付きで、5個連続くらいで当たってしまい、お店のおばさんに疑われたこともあったっけ。
2001年3月7日(水)
スピードスケートの清水 宏保選手のコメントがいちいちとてもよい。
「記録に壁があるとすれば、それは人間が作る壁。僕にとっての進化とは、自分で自分を支配できるようになるということですね。つくづく自分を支配しきれていないと思います」
「(自分にとって最高の滑りだと感じられる瞬間は)自分の周りが真っ白になって、外部の音は何も聞こえなくなるんです。視野は30センチぐらいになって、滑るべきラインが光って見える」
真顔で言ってるからちょっとヤバい。
こないだの手帳の話もそうかもしれないけれど、どこまでそれを信じられるかということなのではないか? つまり、手帳やメモのスタイルなんて星の数ほどあるんだろうけど、その中で例えばポストイット型とか、あるいは時間軸型とか、ある理論の信奉者になれるかどうか、もっと言うと「どこまでなりきれるか」が問われているのではないかと。LECならLECを信じ切ってどこまでもついていくし、伊藤塾なら伊藤塾と心中するということです。例えばの話。
それはともかく、「自分で自分を支配する」という清水選手の力強い言葉からは、人間の肉体や精神が本来秘めている潜在能力の大きさを感じずにはいられない。
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今日は採用同期と飲み会。すなわち全員転職組なので、確定申告ってどうするの?とか、家を買ったとか売ったとか、異動がどうしたこうしたとかいうネタで盛り上がる。赤ワインがいい感じに効きながら帰宅。週末まであと2日なり。
2001年3月6日(火)
アフガニスタンのイスラム原理主義勢力、タリバーンが全世界の注目を集めつつ、我が世の春を謳歌中。
何でも、歴史的・文化的価値の高い大仏像を破壊しているという。高校生の時分に世界史で習ったところでは、イスラム教は基本的に他の宗教に対して寛容で、かつて何とか朝ペルシャが版図を広げた際にも、征服先の住民に無理やり改宗を迫ったことはあまりなかったような記憶があるんだけど…?
しかし、バーミヤンなんである。
その大仏があるアフガニスタン中部の地名らしいが、ニュースでその名が連呼されるたびに、頭の中は桃のマークでいっぱいになってしまう。
バーミヤン。バーミヤン。
さらに悪いことに、バーミヤンに桃太郎侍が出現してしまったから始末に負えない。
何とあの水かけで知られる松浪健四郎衆議院議員が、これからアフガニスタンに出向いてタリバーンと直接対話し、仏像破壊を止めさせようという。全然知らなかったんだけど、彼はアフガニスタン内戦問題について取り組んでいて、タリバーンにもコネクションがあるらしい。
期待される光景はただひとつ。
仏像を前にタリバーンの兵士にコップの水をかけ、大声で叱り飛ばすちょんまげ松浪健四郎。これを桃太郎侍と呼ばずして何と呼ぶ。
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鈴木光司『ループ』読了。
『リング』『らせん』となかなかいい展開を見せてくれたのだけれど、3部作の締めくくりはやや大風呂敷を広げすぎちゃったかな? 残念ながら文章が上滑ってる感じもしました。第1作のホラーっぽい雰囲気が気に入った読者だったりすると、このセンス・オブ・ワンダーぶりはあまりに荒唐無稽かもしれませんね。途中から展開が予想できましたが、かなり大げさに落とし前をつけてくれた点は誉めてあげましょう。
あとは外伝(?)『バースデイ』を借りてあるので、早速取りかかろうと思います。
2001年3月5日(月)
文房具店にてミニ6穴リフィルを購入する。手帳については迷うところで、リフィルにしてみたり能率手帳みたいなのにしてみたり、いろいろと試してみたのだけれど、どれも一長一短があってしっくりこない。
ミニノート型のメモ帳は、機動性は高いのだけれど、時系列にしかメモを取れないのが引っかかる。何冊か前のあの辺にメモしたような…?という記憶を元に探すのはたいへん。リフィルはスケジュールと住所録とメモ用紙を一括管理できて、差し替え可能なのはいいけれど、街中で気がついたことを立ったままさっとメモするにはゴテゴテしすぎている気も。ポストイットを携帯しといて何でもメモして、あちこち貼り付けていくのが一番実用的なのでは?という気もしてたりする。
結局、いくつかのメモ媒体を併用することになるのかしらん。
2001年3月4日(日)
今日のテレビ欄を見て凍りついた。
以前から気になっていた『パネルクイズ アタック25』の司会・児玉清さんのヤバすぎるセリフがはっきり記されていたのだ。…「なんで角を取らない」
ご存知のようにクイズとオセロを融合したようなこの長寿番組の見所の1つは、何といっても児玉さんの司会ぶりだ。まず気になるのは、微妙に左側にずれたネクタイの結び目。ほぼ毎回そうなのである。きっと撮影前に、気合いを入れてぐいっとタイを締めるのだろうけど、「中心からずれてますよ」と誰も指摘できないのだろうか? 児玉さんは『アタック25』内ではそれほどまでに神格化されてしまっているのだろうか。
もう1つは、番組中盤で訪れる逆転チャンス「アタックチャンス」のコールだ。ここで一旦CMにブレイクするという見せ場なので、急に児玉さんがアップになり「さあ、勝負を分ける大事な大事なアターックチャンス!」とか言いながら拳を握り締めるポーズを取る。この瞬間を目にしたいがために毎週この番組を見ている家庭も極めて多いことであろう。
そして最後は、ここぞというところで繰り出される児玉さんの厳しいコメントだ。前半飛ばしたものの後半どんどん陣地を奪われていく回答者や、出題を最後まで聞かないお手つき回答者に容赦なく浴びせ掛けられる児玉コメント。
中でも痛快なのが、正解して角(カド)を取れるはずの回答者が、緊張してか、うっかりしてどうでもいいパネルを取ってしまったときに、思いっきり力をこめて「なーんでカドを取らないかなあ!」と追い討ちをかける児玉さんだろう。
「どうしてここでカドを取らないんですか?」そんなこと聞かれても、そもそもうっかりして間違っちゃったのだからしょうがないのである。「じゃあ今の取り消して、やっぱカドにしてください〜」と言えるかといえばそんなことはない。取り直しのできない立場の回答者と、全知全能の司会者役・児玉さんとは明らかに不平等な力関係にあるのであって、取り返しのつかない自分のミスを全国民の前で侮辱される回答者にしてみれば、まさに悔しくて歯軋りしたいくらいであろう。事実、こうして児玉さんに刺された出場者は、往々にしてその後沈んでいき、再浮上することは極めてまれである。してみると、児玉さんが自ら昂揚するままに発するそのコメントが与える影響は無視できない。公正公平であるべき司会者がこんなことでよいのか?
…などと思っていたら、本日はその回答者が見事に逆転優勝に至った。「あの一言」が彼に勇気を与え、発奮させたのだ。何と感動的な日曜の昼下がり。児玉さんバンザイ!
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ところで『アタック25』の前の『新婚さんいらっしゃい』も毎回かなりヤバいっすよね。
2001年3月3日(土)
PHSに大学時代の某サークル後輩からお電話が。広尾の某洋楽カラオケへのお誘いを受けるも、野暮用にて残念ながら丁重にお断りさせていただく。ごめんなさい、なるべく顔を出したいと思いますので、どうかまた誘ってくださいね。
さて今日は「La Pausa」というイタリアンレストランについて記しておこう。昨年暮に仙川にもオープンしたチェーン店で、レストランというにはカジュアル過ぎるかもしれない。ピザもパスタも非常に安くて種類が豊富。パスタは12種類くらいあるが、いずれも\550〜\660くらいで、+\200でサラダとソフトドリンクのセットが付く。
しかし個人的にそれよりいいなーと思ったのは「パン食べ放題」セット+\200だ。6種類くらいのパンが食べ放題で、オーブンで自分で暖めて食べるのだけれど、これが美味しい! 軽く焼きたて風にしたパンにたっぷりバターを塗っていただく瞬間はまさに至福のひととき。我ながら安い男だとは思いますけど、美味しいものは大切にしていきたいのだ。「サンマルク」「神戸屋キッチン」のパンも美味しいらしいので、ぜひ行ってみたくなりました。
2001年3月2日(金)
いよいよ問題のボウリング大会の日がやってきました。
部をまたいだ局レベルでの企画ということもあり、普段見かけない人がずいぶんたくさん集まっています。もっとも、同じ部の中でも、隣の課の皆さんと一緒に飲みに行く機会はほとんどないし、なかなか縦割りなんですよねー。
さてゲームの結果はというと、練習の成果はあまり出ず、2ゲームでアベレージ103くらい。やはり付け焼刃ではダメでした。でも、投げる度に少しずつコツがわかって面白くなってきたので、それだけでも大収穫です。以前はボウリングと聞いただけで本当に苦痛でしかなかったから。ちなみに、自分の課で構成するチームとしては団体成績総合4位という大健闘を見せ、賞金ゲット! 大会後の授賞式/打ち上げパーティは大いに盛り上がりました。
同じく5位入賞で賞金をゲットした隣の課のメンバーらと合流して、ミラノボウル近くの飲み屋で2次会へ。「一緒に飲むの初めてですよね」とか言われ「毎晩たいていヒマなんで、誘ってくださいよー」とか返しつつ、楽しく飲む。
23時前に解散… と思いきやそのままつかまり若手の3次会へ。さらに他の部のメンバーが合流。バーのカラオケ個室で自己紹介モードになりつつ、楽しく語らううちに京王線のひときわ早い終電タイムが迫り、名残惜しくもお別れ。みんな朝まで歌ってたのでしょうか。職場の飲みにはできるだけ最後まで残りたかったけれど、昨日の昼夜逆転生活が祟って相当眠くなってたので、居残っていても多分周りに迷惑をかけちゃったに違いないと自己弁護。
帰宅してみたら当然 Ally McBeal は見逃すわ、空耳アワーもタッチの差で終わってるわと散々。それでもやっぱり、楽しい夜でした。おしまい。
2001年3月1日(木)
『ならず者国家』
何とかならんのか、この言い方?
…何ともならず。者。
米国政府はグローバル・コミュニティへの敵意と脅威を基に、ある種の国々をこう呼んで特別な扱いをしているそうな。グローバルっていうか米国への敵意と脅威でしょそれは。すり替えはイカン。
聞き慣れん言葉だなーと思ったら、元の英語もやっぱり聞き慣れん単語だった。ならず者国家=rogue states、だと? ロウグって一体何じゃらほい。老愚? はたまた漏具?
英和辞典には「(1)悪党、ごろつき、悪漢 /(2)腕白者、いたずらっ子、ちゃめ」とある。「呼びかけにも用いる」そうだが、呼びかけられたことなんてないっす(当たり前)。
「ヘーイ、you rogue」
「…俺はロウグじゃなくてロークだよ。猫パーンチ!」
『ランブルフィッシュ』も『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』も遠くなりにけり今日この頃、ほこりをはたいてミッキー・ロークを持ち出しても効果ゼロ。むしろ「ならず者」と言うたら "Desperado" なんではないかと思うのもまた、偏った考えかもしれず。
***
シアトル大地震。
皆様大変だったことと思いますが、巷の話題はすっかりビル・ゲイツ君。何でもシアトル市内のホテルで「ハイテクと教育」について講演中だったそうで、壇上で呆然と立ちつくす様が目に浮かぶ。警備員に抱えられ退場するどうにもこうにもミリオネアな情景。
今や完全に死語の「グランジ」時代を経験した身としては、一度は訪れたい街でもあります。いい街だって話もよく聞くし。
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諸事情により1日オフを取って各種調整。…したつもりが昼夜逆転。
明日のボウリング大会、本当に大丈夫なのか?
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