●はじめてのえふぇくたぁ講座(講師:大脇裕一) |
↑HOME |
1.はじめに
やっとの思いで手に入れたEWI!早速アンプに接続して、さあ音出すぞ!ってな具合で吹き始めたものの「なぁんか・・・違う・・・」色んな音を試してみるけど「何かが違う!!壊れてんのかな??」なぁんか”寒い音”に聞こえた方、貴方の楽器は壊れていませんよ!(多分)
「このWXの音、この響き方じゃないのが良いな!」「エフェクター使えばカッコいい音になるらしい!」「エフェクターって良く聞くけど・・・何??」「何が出来るの??」疑問に思う方沢山いらっしゃるでしょう。このコーナーでは様々あるエフェクターについて、その「第一歩」の部分から、とりあえず使えるまでの部分のお話しを致しましょう。
2.”エフェクター”って何??
2-1. いろいろあっていろいろ出来ます!
「エフェクターとは何ぞや???」一言で言って”音の演出器”とでも言いましょうか?音に含まれている要素を加工したり、色々な要素を付加したりして音に様々な表情を作りだす事が出来ます。
■「エフェクターでどんな事が出来るの??」と思う方、沢山でしょうね。
例えばこんな事です
・音を響かせる・・・あたかもホールで鳴っているような壮大な響きをつけてあげる事が出来ます。
・音を増やす・・・・・・幾つも幾つも同じ音を重ねたり、追いかけっこさせたり、色々な方向から聞こえる様にさせる事も出来ます。
・音の”性格”を変える・・・大人しい音を荒々しくしてみたり、地味な音をきらびやかにしてみたりする事が出来ます。
等々、ここに挙げたのは数多いエフェクターの使用例のほんの一部です。
■実際の例では
例えば
みぃんな全部「エフェクター」が何らかの形で力を発揮しています。今自分が手にした音、その音が「どうあって欲しいのか?」、その為に「どのエフェクターが有効なのか??」次のコーナーでは実際の場合に沿ってそれぞれのエフェクターのお話しを進めましょう。
2-2. あんな事もこんな事も!
「この音どうやってんのかな??」かなりの上級者でも日夜悩む処ではありますが、ここでは例を挙げ分析しながら”それっぽい音が作れる”であろうエフェクターの名前や種類についてお話し致しましょう。それぞれ”似てる音”をあらかじめ選んで待ってて下さい。
■実例1) ”「NEWS」の「LITTLE LEAGUE STAR」の音にしたい!!”
成る程!T−SQUAREのEWI史上最も過激なあの音ですな!!
■実例2) ”「S・P・O・R・T・S」の「PASSAGE OF CLOUD」の音にしたい!!”
そーですか!非常に幻想的な広がりのある響きのリリコンの音ですねぇ。
ヘッドフォンなどで「そのまんま」の音を聞いていて「なんでこんな音出ないんだろうか??」なんて悩んでいた皆さん、もう大丈夫です!こう言ったエフェクターなるものがあればこれらの”音”はあなたのものに!なる訳です。
「他にどんなエフェクターがあるの?」「こんな事ってエフェクターで出来るの?」って処はこの次のコーナーへ!
2-3.”一個”のやつと”マルチ”ってやつ
実際にエフェクターを導入しようとした時、楽器屋さんに行って見るとエフェクターだけでとんでもなく沢山の機種がある事に驚かれるでしょうね。しかし、よく見ると大きく2つの”形”に分けられるでしょう。
■1つめは”単体型”とでも呼びましょうか
”1台1機能”とでも言いましょうか、リバーブならリバーブ専用、コーラスならコーラス専用と言った具合です。
■2つめは”複合型”とでも呼びましょうか。いわゆる”マルチエフェクター”ですね。
1台の中に色々なエフェクターが入っています。
■最初に選ぶものって・・・?おすすめ導入パターン
最近はどちらを選ぶにしても価格的にはそれ程差が無くなっていますし、安価な物も多くありますのであくまで必要に応じ選ばれるのが宜しいでしょう。
「いずれ沢山使うから・・・」と言う事で最初から上級者向けの大規模マルチエフェクターを導入してしまうと、一つのセッティングを作るのに膨大な時間と労力が掛かってしまい、結果挫折するケースは後を絶ちません。
○そこでおすすめ導入パターンです
・確かに幾つも幾つも揃える、というのは現実的ではありませんし、世の中「予算」ってものもあります。そこで
「単機能型×1台といわゆるマルチ系×1台=2台体勢」をおすすめ致します。
・単機能型はご自分のセッティングの中でメインになり得るエフェクターを1台、「魂の一品」を選んでみるのは如何でしょう?「とにかく綺麗な”響き”が欲しい!」とか「あのギターに負けない最高に強烈な”歪み”が!!」とか機能が特化したもの、を導入する事で自分の欲しい基本的な音作りが出来ると思います。
・とはいいつつも「流石にそれだけでは厳しいよね・・・」と言う状況も。その為にとりあえず何にでも使えるタイプ、いわゆるマルチ系を導入する事で状況に応じた音作りが出来ると思います。
○でも最初に買うものは何が良いんでしょう??
本当に最近はエフェクターの価格もかなり安くなり、複数導入も手軽に出来るようになりました。しかしながら山あり谷あり人生、そうも行かない現状も。では何を優先して?迷ったら「ディレイ」をお奨め致します。「エフェクターにあんまし気もお金も使いたくないなぁ」とおっしゃる方でしたら「リバーブ」でしょう。どちらも”残響・・・響きの成分”を人工的に作りだす、エフェクターの基本の様なものです。「ディレイ?って・・・何?」「リバーブって??」次のコーナーでは沢山あるエフェクターを”効果の種類”別に分類し、紹介しましょう。
2-4. 何がどれよ?!
ここでは代表的なエフェクターの種類を大雑把に分類し、名前と”効果”を紹介しましょう。
■残響系・・・”響き”をつけたり、”空間的な広がり”をつけるもの
・ディレイ・・・ | 音を遅らせてしまうエフェクター。音をコピーして遅らせて出します。幾つもコピーを作って出すと繰り返し同じ音が聞こえてくる訳です。良く言う”エコー”というのはこの仲間です。 |
・リバーブ・・・ | ”響きをつける”エフェクター。「ホール」で演奏してるような感じ、とか「”お風呂場”感」とか音が鳴っている場所を作ってしまうエフェクターです。設定次第では「現実に無い場所」も作ってしまえます。 |
■変調系・・・音をうねらせたり、ゆらしたりするもの。音に広がりをつける事も。
・コーラス・・・ | 同じ音が重なってる風に聞こえて音に”広がり”を加えてしまうエフェクター。 |
・フランジャー・・・ | シュワシュワ言いながらうねってるちょっと過激な音を作るエフェクター。微妙な設定がミソ! |
*ここまでの2つはよくGM音源などに搭載されてたりしますよね。
■補正系・・・音質や音量を整えたりするもの。設定次第では過激にする事も!
・イコライザ・・・ | ”音の重さ”や”音の堅さ”を変えてしまうエフェクター。音に含まれる成分を足したり引いたりする事が出来るので、ある程度なら「モコモコ」を「キラキラ」に、「カッチカチ」を「ふんわり」にする事も。 |
・コンプレッサ・・・ | 音の大きさの幅を狭めてしまうエフェクター。安定した音量を作り出します。 |
■加工系・・・元の音に違うものをくっつけて、音の”性格”を変えてしまいます。
・オーバードライブ・・・ | エレキギターみたいに歪んでる過激な音を作るエフェクター。もっと過激な音をご希望なら”ディストーション”がおすすめ。 |
・エンハンサ・・・ | 音がパキパキ元気になるエフェクター。目立たない奴を思いっきり目立たせてしまいます。 |
*ディストーションなどはエレキギターなどでは普通に使われていますし、GS,XG音源などでは”インサーションエフェクト”として持っている機種が殆どです。
色々な分類の仕方、”○○系”という言い方はありますが、おおむねこんな風に分けてみました。なんとなくイメージだけでも伝わりましたでしょうか??
3.”つないで!つないで!”
3-1.つなぐ!って言われても・・・
■繋ぎ方?ってあんの?
さあ、いよいよエフェクターを使ってみましょう!その前に!ただ”積んだり””並べたり”踏んだり”するだけではエフェクターは働きません!”つなぎましょう!”・・・で、どことどこ?
○エフェクターを繋ぐ場所の”パターン”としては、このような2つの例が挙げられます。(矢印は音の流れです)
1)音源の音の出口(LINE OUT,OUT PUTなど)と再生機器(アンプなど)の間に直接繋ぐ
2)音源の音の出口と再生機器の間にミキサーを繋ぎ、エフェクターはミキサーからSEND/RETURNさせる
どちらの場合でもエフェクターを繋ぐ事は出来ます。ここでは1)のパターンでエフェクターを使う場合についてお話しして行きます。
■並べ方には「ルール無用」!でも・・・
使うエフェクターが一つの場合は単純に”音源”と”再生機”の間に挟んでしまえば良いんですが、幾つかを併用する場合”どちらを先に”繋げば良いのか判らない事も多いですよね。特別に繋ぐ順番のルールはありません!ただし、それではとっかかりも何もありませんので「一応の基準」を紹介致しましょう。
*一応の基準・・・ 補正系(加工系)→加工系(補正系)→変調系→残響系
「補正系」で元々の音を整えておき「加工系」で性格をいじり「変調系」で表情を変え「残響系」で空間を演出する。これが極一般的なエフェクターの接続順です。一般的なギター用マルチエフェクターでは、このように内部で接続されています。
*一応の基準・・・ 「残響系は一番後ろ(音の出口に近い方)」
一般的に(エレキギター業界では)「変調系」「残響系」をまとめて「空間系」なんて言ったりします。どちらも音が鳴っている”空間そのもの”を演出出来るもの、だからなんですが、極めて一般的には音の出口に近い方に接続します。そこに至るまでに十分に音を加工しておき仕上げとして空間演出をする、方が音のまとまり感が良い、とされています。勿論これにもルールはありません。あくまで「欲しい音優先」と言う姿勢はお忘れ無きように。しかしながら普段耳にする極一般的なメロディー音はこのセッティングを覚えておかれると作り易いでしょう。
*一応の基準・・・ 「リバーブは更に一番後ろ(音の出口に近い方)」
リバーブは残響系の中でも特に直接”空間そのもの”を擬似的に作り出すものです。なので最終的な音の印象を担っている、とも言えるでしょう。よって、極一般的には一番後ろに接続する事が多いです。
*一応の基準・・・ ”でも最後に歪ませるのも、あり!”
これくらい冒険心あふれている方が結果面白い音作りが出来るでしょうし、エフェクター接続の好き嫌いも判ってくるようになるでしょう。結果的に好きな音が出ればOKな訳ですから。(場合により”勘違い”もあるでしょうが、それはそれとして”財産”になり得る事です)
3-2.使っちゃおうか!?・・・実際の”効果”
ここからは代表的なエフェクターの効果を実際に”音”で確認して行こうと思います。サンプルのMP3を聞いて、ご自分の”方向性”を探ってみて下さい。
*それぞれ”素”の音で1フレーズ、エフェクト音を足して1フレーズ演奏しています。
*それぞれの細かいパラメータの設定の紹介は割愛させて戴きます。
なお使用している音色はAKAI EWI3020mプリセット29番”simple”、エフェクターはSONY HR−MP5です。
■ディレイ・・・・ディレイには”遅れ時間(ディレイタイム)”を設定出来るものが一般的です。そのディレイタイムによって、それぞれ得られる音の”印象”が変わってきます。比較してみて下さい。
1)原音+かなり短いディレイ(50ms) 2)原音+ちょっと短いディレイ(150ms) 3)原音+割と普通の”いわゆるディレイ”(300ms) 4)原音+割と長い”ディレイ”(500ms、つまり0.5秒) |
・・・SAMPLE1 ・・・SAMPLE2 ・・・SAMPLE3 ・・・SAMPLE4 |
又、ディレイには”繰り返し(フィードバック)”を設定出来ます。フィードバックの入り方によって又印象が変わります。ここでは 2)のセッティングを使って実験して見ましょう。
5)原音+ちょっと短いディレイ(150ms)フィードバック1〜2回 6)原音+ちょっと短いディレイ(150ms)フィードバックごく普通 7)原音+ちょっと短いディレイ(150ms)フィードバックすごく沢山 |
・・・SAMPLE5 ・・・SAMPLE6 ・・・SAMPLE7 |
■リバーブ・・・・リバーブには”空間の種類(リバーブタイプ)”を設定出来るものが一般的です。そのタイプによって音の”印象”が変わってきます。比較してみて下さい。
8)原音+劇場っぽい感じ(”HALL”) 9)原音+”部屋”とYシャツとEWI(”ROOM") 10)原音+よく判んない場所だけど、なんとなく響いてる(”PLATE”) 11)原音+”お風呂”っぽい(?) |
・・・SAMPLE8 ・・・SAMPLE9 ・・・SAMPLE10 ・・・SAMPLE11 |
又、リバーブでは”響いてる時間(リバーブタイプ)”を設定出来ます。この時間でもかなり印象が変わります。ここでは 8)のセッティングを使って実験して見ましょう。
12)原音+劇場っぽい感じ(”HALL”) 0.5秒 13)原音+劇場っぽい感じ(”HALL”) 2.0秒 14)原音+劇場っぽい感じ(”HALL”) 4.5秒 |
・・・SAMPLE12 ・・・SAMPLE13 ・・・SAMPLE14 |
■ディレイ+リバーブ・・・・ディレイとリバーブを同時に掛けてしまいましょう。気持ち良いですよ。
15)原音+かなり短いディレイ(50ms) +部屋っぽい感じ(”ROOM”) 1.5秒 |
・・・SAMPLE15 |
16)原音+割と普通の”いわゆるディレイ”(300ms)フィードバックごく普通 +劇場っぽい感じ(”HALL”)2.0秒 |
・・・SAMPLE16 |
■コーラス・・・・コーラスには”広がりの幅(デプス)”を設定出来るものが一般的です。
17)原音+幅狭め+部屋っぽい感じリバーブ(”ROOM”)1.5秒 18)原音+幅広め+部屋っぽい感じリバーブ(”ROOM”)1.5秒 |
・・・SAMPLE17 ・・・SAMPLE18 |
■オーバードライブ・・・気分はギタリスト!!
19)”素”の音 20)原音+オーバードライブ+ディレイ”(300ms)フィードバック3回 21)上のセッティングに若干コーラスを混ぜてある |
・・・SAMPLE19 ・・・SAMPLE20 ・・・SAMPLE21 |
4.まとめ・・・欲しい音ありました?
沢山のエフェクターの中からほんの一部ですが、幾つかのモノを紹介しました。さあいかがでしょう?欲しかった音、出来そうですか?もし、そう思ったら使ってみましょう!つなぎましょう!自分の欲しい音、その為には音源のEDITも奏法の研究も必要です。しかし「もう一味!」と思ったら、おそらくエフェクターは最高のパートナーになってくれるでしょう。
尚、もっともっとエフェクターの詳細を知りたい!と思われた方、ちゃんと別コーナーが用意してございますです。
●はじめてのえふぇくたぁ講座(講師:大脇裕一) |
↑HOME |