[MENU TOP] [CASSETTE] [INDEX] [TOP PAGE] [HOME] [INTRO] [LINK] [OPINION]

MAIN MENU :[UK ROCK]   OTHER MENU :[POP FREAK]


artist : THE MABUSES
title : 『 THE MELBOURNE METHOD 』
release : 1994年
label : ROUGH TRADE RECORDINGS
tracks ( cd ) : (1)MY BRILLIANT WAY (2)GLASS OF BOURBON (3)TONGUES (4)KEELER JOINS THE JOYCE GANG (5)WHOSE PARTY IS THIS? (6)ROOMS (7)PAPERPLANE (8)LYNCHED (9)PICNIC IN THE RED HOUSE (10)FETCH THE HAMMER (11)OSCAR (12)NARC FEARS (13)SHE WENT WILD
tracks ( analog ) : 未確認
all songs written arranged and performed by KIM FAHY.
guest musicians : B.J. COLE,pedal steel ; CHRIS WILSON,bass,backing vocals ; NICK GRIFFITHS,clarinet.
producer : KIM FAHY & NICK GRIFFITHS
related website : 未確認




(1)MY BRILLIANT WAY  ▲tracks
 何かを乞うように泣く男のS.E.からクールに始まる(1)。歌にいくまで暫くかかるのだが、そこでの悲鳴と共に繰り出される歪んだギターのインパクトが凄い。ヒンヤリとしたマイナー・コードとの対比が効果的。更に、暗闇の中に尾を引いてたゆたう光のようなスティール・ギター。その間も小さなスピーカーから聞こえてくる、無線のようなS.E.は流れ続けている。このサウンドに、ヘロヘロになったデイヴィッド・ボウイのような歌声が乗っかってくる。1曲目からして「こいつは他とはワケが違う」と思わせるに足る衝撃。


(2)GLASS OF BOURBON  ▲tracks
 何となく、ヨーロッパに古くからあるダンス音楽に出てきそうなギターのフレーズが連発され、そして歌メロにはアラブ音階のようなものまで出てくる、という不思議な曲(2)。後半バウハウスのピーター・マーフィーのようなシャウトあり。


(3)TONGUES  ▲tracks
 怪奇音楽のサントラのような現代音楽的なS.E.の直後、クールなコード・ストロークをアーミングしてユラユラと、そしてスピーディーに疾走する(3)。中古レコード店にいる時、これをかけた瞬間、1発で「これ何ですか?」との質問あり。僕もこれを聴いた時は「あぁ〜、ヤられた〜!」と思ってしまった。でも、均質で直線的なドラミングは日本のビート・パンク・バンド〜アンジーのようだ(笑)。


(4)KEELER JOINS THE JOYCE GANG  ▲tracks
 様々な仕掛けが施された奇妙で惨めなワルツの(4)。「これでもか」とばかりに、様々な楽器による様々なフレーズが飛び出してくる。歌メロの出だしは日本の子守唄のような感じがする。時折、ラウンジ・リザーヅやトム・ウェイツ、エルヴィス・コステロ、そして自身の“偽キューバ人たち”とのバンド等の活動で知られるギタリスト〜マーク・リーボウを思わせるギター・スタイルも聴かれる。ギター、ベース以外は主に打ち込みのようだが、意匠の方に気を取られるため、シンセ〜シーケンサーで作ったと思しきチューバやアコーディオンの贋物っぽい音もそれ程気にならない。むしろ明らかに作り物っぽい「ズダーン」というドラムの音の方がいい意味で気になる。


(5)WHOSE PARTY IS THIS?  ▲tracks
 明るくまどろむような(5)。特殊な処理を施した女声コーラスやテープを逆回転させたギターが鳴る中、歌が進行していく。そんな中わずかにファンクも登場する。そこで登場するピアノの低音が、何となくヨーロピアンな感じ。エンディングにかけての繰り返しは、太陽の光が差し込む海面を見上げながら海の中をたゆたっているような気分にさせてくれる。


(6)ROOMS  ▲tracks
 異次元空間を抜けてきたかのようにスタートする(6)は幾分ブラーっぽくポップな曲ながら、不安感を誘う終わり方が印象的。やたら“ジャキジャキ”としたギターのカッティングがいい。


(7)PAPERPLANE  ▲tracks
 ハワイアン・ミュージックをモロに彷彿させる(7)。サンプリングによるピアノのイントロや、スティール・ギターが更に雰囲気を盛り立てる一方、ここで曲に不似合いなS.E.が入ってくる。飛行機の爆撃音やガラスの割れる音等、何を意味しているのだろうか?真珠湾攻撃のことだろうか。タイトルは「PAPERPLANE」。ウ〜ム、謎だ。


(8)LYNCHED
(9)PICNIC IN THE RED HOUSE  ▲tracks
 パイプ・オルガンや鐘の音 (両方共おそらくシーケンサー) が鳴ることによって、厳かな雰囲気に包まれ、非常にヨーロッパ的なテイストがたっぷりの(8)に続いて、こちらも違う意味でヨーロッパ的な(9)の登場。“違う意味で”と言ったのは、(8)が何となく“西欧”を思わせるのに対して、(9)は“東欧”を思わせるからだ。“何となく東欧からロシアにかけての民族的なダンス音楽の雰囲気”とでも言ったら良いだろうか (コサック・ダンスとも少し違うニュアンス) 。イントロの右チャンネルで鳴るアコギのフレーズや、左チャンネルで鳴るクラリネットの感じ等特にそうだ。曲全体としてはサウンドこそ違え、トム・ウェイツの 『 RAIN DOGS 』 の「SINGAPORE」 (あの曲調でこのタイトルというのもちょっと変だが) を彷彿させる。


(10)FETCH THE HAMMER
(11)OSCAR  ▲tracks
 ダークでだるそうな R & R と思いきや意外に幻想的な(10)の後、「フアァァッ」というシブめの声でスタートする(11)。絶叫のような掛け声や、ズル賢そうな笑い声、そしてビートルズ風の「ラ・ラ・ラ・ラ」というハーモニーに思いっきりコーラス (エフェクターの) をかけたようなものが飛び交うダーティーな R & R 。しかしこの曲も(10)と同じく (いや、それ以上に) 、途中で雰囲気はガラリと変わり、ユラユラと危うく美しい展開に。それと、大鷹俊一氏のライナーにもある通り、曲の終わりの方でビートルズの 『 THE BEATLES 』 の「CRY BABY CRY」と「REVOLUTION 9」の間でポール・マッカートニーが歌っているフレーズが上手い具合に挿入されており、曲が終わると古いジャズのレコードからサンプリングしたと思しきS.E.が流れてくる。


(12)NARC FEARS  ▲tracks
 本盤3つ目の“東欧っぽい”曲(12)。このキム・ファヒー (ライナーにはこう書いてあるけど、“フェイヒー”かもしれない。しかし、“フェイヒー”だと“FAHY”ではなく“FAHEY”という綴りだし...) という人は、ホントこういうスタイルのギターが巧い。後半は彼のこういったフォーク・ダンス的なギターが堪能できる。彼はロックをやる前に、こういうギターを習うとか、地元のパーティーで演奏するとかしていたのではないだろうか。他の曲では、どちらかと言うとクールで直線的なスタイルなのに対して、こういった曲ではやたら演奏がこなれていて生き生きとしている。


(13)SHE WENT WILD  ▲tracks
 最後の(13)はブラーの「TROUBLE IN THE MESSAGE CENTRE」 (『 PARKLIFE 』 に収録) をダークにしたような直線的な R & R。途中右チャンネルから、INUの「つるつるの壷」 (『 メシ喰うな!』 に収録) のギター・ソロを彷彿させるフレーズが飛び出してきてちょっとビックリ。中盤で、ストーンズほどはっきりとしたものではないが、左右に分かれたギターのアンサンブルが幾分ポリリズミックな上に、パーカッションが入っていることによって、硬質なリズムながらもとてもグルーヴィーな仕上りになっている。


 本作には、様々な音・音楽が交錯する中、根っこにはイギリスの、と言うよりヨーロッパ音楽の影が見え隠れする。そして、ビートルズ〜XTC〜ブラー (あくまで本作から感じられるものであって、他にもポップ職人は沢山居りますので、あしからず) 等のブリティッシュ・ロックに脈々と受け継がれている“ポップ職人魂”が息づいている。そのあまりに凝ったサウンドゆえ、ダイナミズムはあまり望めないものの、きわめて個性的で面白い密室性があるので、彼の巧みなギター・ワークも含めて是非ともヘッドフォンで隅々まで堪能して頂きたい作品。おそらくギター、ベース、そして何曲かのドラム以外は殆ど打ち込みかと思われるが、あまりに目眩めく展開なため、ノリが直線的だとしても全く苦にならない。


[MENU TOP] [CASSETTE] [INDEX] [TOP PAGE] [HOME] [INTRO] [LINK] [OPINION]

MAIN MENU :[UK ROCK]   OTHER MENU :[POP FREAK]


Copyright© 2003-2008 Universal Phonograph. All Right Reserved.