Random Tape Selection #5 (Robert Wyatt 'Covers')

趣味で作る編集テープシリーズ、時代の趨勢により今回からテープに変わって CD-R になりました。Random Blast from the Past では既にいくつか披露してますが、ジャケ写真入りの特集は久しぶりです。

今回は、ロバート・ワイアットが自分のアルバムやシングルでカヴァーした曲を集めてみました。この他にモンキーズ("I'm A Believer")やシック("At Last I Am Free")、世界各地の歌謡民謡労働歌など多数ありますが、他の曲と雰囲気がそぐわなかったり、音源を持ってなかったりで、ここには入れませんでした。結果的にジャズが多くなり、前半は物悲しい雰囲気で後半は少しおとぼけ気味に、と絶妙な流れを構築できたのではないでしょうか。(約58分) -> YouTube
  1. Gil Evans - Las Vegas Tango
  2. Charlie Haden - Song For Che
  3. Billie Holiday - Strange Fruit
  4. Miles Davis - 'Round Midnight
  5. Elvis Costello - Shipbuilding
  6. The Style Counsil - The Whole Point of No Return
  7. Mike Gibbs - Nairam
  8. Old and New Dreams - Chairman Mao
  9. Ivor Cutler - Go And Sit Upon The Grass
  10. Peter Gabriel - Biko
  11. The Specials - You're Wondering Now
Individualism of Gil Evans Gil Evans - Las Vegas Tango

“音の魔術師”とも言われるジャズ・アレンジャー/バンドリーダーの最高傑作(だと思う)The Individualism of Gil Evans(邦題:ギル・エヴァンスの個性と発展)(Verve, 1964) より。様々に表情を変えるオーケストラの中、タンゴ調のリフをひたすら繰り返すベース(Paul Chambers & Ron Carter)。トロンボーン・ソロは Jimmy Cleveland、ギター・ソロは Kenny Burrell
ワイアット版の収録アルバム
The End Of An Ear
Mike Gibbs - Nairam

The Only Chrome Waterfall Orchestra(Bronze/BGO, 1975)。作者である Philip Catherine のギターと Steve Swallow のベース・ギターが、流麗で気品のあるメロディを奏でる。弦とフルートを使ったアレンジも美麗。
ワイアットはこれに歌詞を付け、タイトルをひっくり返した。
ワイアット版の収録アルバム
Shleep (as "Maryan")
Mike Gibbs Only Chrome Waterfall Orchestra
Charlie Haden Liberation Music Orchestra Charlie Haden - Song For Che

政治的色彩の強い名作Liberation Music Orchestra(Impulse!, 1969) より、チェ・ゲバラに捧げる歌。アレンジは Carla Bley。ヘイデンの重厚なベース・ソロがメインだが、途中でそのソロにかぶさってカルロス・プエブラの "Hasta Siemple" が(レコードで)挿入されるというサンプリング手法が斬新。
ワイアット版の収録アルバム
Ruth Is Stranger Than Richard
Old and New Dreams - Chairman Mao

Ornette Coleman 縁の4人が集まった Old and New Dreams(この時点ではグループ名というより曲名・アルバム名のようだが)の一作目Old and New Dreams(Black Saint, 1977) より。Charlie Haden の作曲。ここでも "Song For Che" と同様に、ベース・ソロの途中で中国人女性の歌声(レコード?)がかぶってくる。
こちらも参照のこと。
ワイアット版の収録アルバム
eps
Old and New Dreams Black Saint
Billie Holiday Strange Fruit Billie Holiday - Strange Fruit

ジャズ・ヴォーカル史上偉大な歌手の代表作であり、名曲名唱として名高い「奇妙な果実」。1939年録音。The Greatest Interpretation Of Bille Holiday(Commodore) などで聴ける。
ワイアット版の収録アルバム
Nothing Can Stop Us
Ivor Cutler - Go And Sit Upon The Grass

Virgin レーベルのサンプラー2枚組LP「V」(Virgin, 1975) に入ってる、ハーモニウム弾き語り。すっとぼけた味がある。「Velvet Donkey」と同一ヴァージョンなのかは未確認。
ワイアット版の収録アルバム
Nothing Can Stop Us (as "Grass")
Virgin V
Miles Davis Round Midnight Miles Davis - 'Round Midnight

作者 Thelonious Monk (piano) 本人の演奏がオリジナルではあるのだが、この曲の決定的名演はこれだろう。以後ジャズ界の帝王として君臨していくことになるマイルスの、記念すべきコロンビア移籍第一弾'Round About Midnight(Columbia, 1956) 一曲目。強烈な印象を残す例のブリッジ部(ダッダッダ〜ダッダ…)を作ったのは Gil Evans だと言われていたが、実はディジー・ガレスピーのアレンジを手がけていた Gil Fuller によるもの。テナー・サックスは John Coltrane

ワイアット版の収録アルバム
eps
Peter Gabriel - Biko

Peter Gabriel 3: Melt(Charisma, 1980) から、南アフリカの反アパルトヘイト活動家スティーヴン・ビコのことを広く知らしめた名曲。後にワールド・ミュージックや政治的運動にのめり込んでいく Peter Gabriel の出発点はここにあるのでは?
余談だが、ベスト盤Shaking The Treeに収録されているのは若干短い別編集ヴァージョン。
ワイアット版の収録アルバム
eps
Peter Gabriel 3 Melt
Elvis Costello Punch the Clock Elvis Costello - Shipbuilding

Clive Langer(プロデューサー)が作ったメロディに、コステロがフォークランド紛争を背景とした歌詞を付け、ワイアットに提供したのが先。これはセルフ・カヴァーということになる。Punch the Clock (F-Beat, 1983) に収録。Chet Baker のトランペット・ソロが何と言っても素晴らしい。エコーのかけ具合も絶妙。本当はマイルスに吹いてもらいたかったらしいが…
ワイアット版の収録アルバム
eps
The Specials - You're Wondering Now

別名:This Is The End。Elvis Costello がプロデュースしたデビュー作The Specials(2 Tone, 1979) の最後に収録。作者は Clement Seymour とのクレジットがあり、オリジナルはジャマイカのスカらしい。
ワイアットはサビの一部分を繰り返しているだけ。元はEPの初回プレスに秘かに収められていたもので、編集盤LP「1982-1984」でも曲名表記はどこにも無く隠しトラック的に収められていたが、なぜか「eps」には収録されなかった。
ワイアット版の収録アルバム
1st 1000 copies of 'Work In Progress' EP, 1982-1984 (uncredited)
The Specials
Counsil Cafe Bleu The Style Counsil - The Whole Point of No Return

Cafe Bleu(Polydor, 1984) より、Paul Weller がちょっとボサノバ風に一人でギターをつま弾き歌う。初期のスタカンはカッコ良かった。
ワイアットは自らトランペットを吹き、インストでカヴァー。
ワイアット版の収録アルバム
Shleep

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