今回は、コックス&マイルス(Band of Gypsys)とのジャム・セッション、ウッドストック・バンド(Gypsy, Sun & Rainbow)を中心に。時系列順としての並びはほぼ崩壊した。いよいよ次回が最終回。
【通しNo./曲名/時間/収録アルバム名/録音日・場所(演奏者、ゲスト、オーバーダブなど)】
Jelly 292 / Jam 292
どちらにも似たようなしゃくり上げ(【No.195】1:55、【No.196】0:22)が出てくるが別テイク。延々続いたジャムの中からそれぞれ違う部分を抜き出したような感じで、【No.196】は【No.195】から続いているように聞こえる。【No.195】の方が熱が入っていて聴きごたえがある。
Villanova Junction Blues
ウッドストックのライヴでクライマックス後の余韻のように演奏されたマイナー調の曲。【No.197】はテーマ部分のみで短く終わる。この後もっと続いているのか?
【No.198】は山あり谷ありの大長編ジャム。"Villanova Junction" に始まり、3:30 あたりからしばらく停滞、7分前後から徐々に【No.188】前半部に近い8ビートのロック調に移行しエンジン全開、17:25 からスピードを落としてハーモニカも加わりブルース・ジャム、21:20 には "Freedom" のリフ("Crash Landing" とも共通)が顔を出すもそのままゆっくりしたテンポで進み、24分以降さらにスローになる。26:30 からはスピード・アップし上記 "Jam/Jelly 292" のリフが現れ、グルーヴを保ったままフェイドアウト。まだまだ果てしなく続いたのだろう。Dagger Records の「Burning Desire」では3つのパート(Villanova Junction Blues/Record Plant 2X/Slow Time Blues)にバラされてるらしい。この日は【No.188】も含めて数多くの録音が残っている。まとまった曲にならない、とりとめのないジャム・セッションが大部分だが。
Once I Had A Woman
【No.199】:3分付近から歌が入り、ヒートアップする終盤のギター・ソロは 5:14 付近から2分半でフェイドアウト。
【No.200】:イントロを大幅に短縮して 1:15 から歌が入る。ただし冒頭15秒は【No.199】に無い部分。歌の途中(2:24〜3:03)にギター・ソロを挿入。これも【No.199】には入っていない。後半のギター・ソロは 4:14 付近から途中を編集して1分でばっさりカット。バック総入れ替えのうえリズム・ギターと女声コーラスを追加。ユルユルでスカスカな元のテープをなんとか商品化しようという努力の跡が認められる。
Country Blues
【No.201】:何かの続きのように、いきなりカットイン。8:40 から "Astro Man"(インスト)に突入。10:15 あたりから "Hey Baby" に移行しようかというところでフェイドアウト。長〜いジャムの一部を抜き出したような感じ。かなりリヴァーブの効いた(エコーが深い)ミックス。
【No.202】:【No.201】の冒頭3秒ほどを省略してフェイドイン。 "Astro Man" に突入する前に終了。ドライな(エコーが少ない)ミックス。
Astro Man
両者まるっきり別テイクで歌詞も少し違う。【No.203】はゆったりしたテンポでテンションが低くユルユル。緊迫感・疾走感のある【No.204】の方が明らかに出来が良い。冒頭の "Here I Come to Save the Day" はアンディ・カウフマンのネタとしても知られるマイティ・マウスのテーマ。
Blue Suede Shoes
【No.205】:ドラムのビートを指示したり、エルヴィスの物まねでふざけたり、スタジオ内の録音風景ドキュメンタリーといった感じ。2:15 のカウントから実際の曲は始まり、中途半端にフェイドアウトする。この後すぐ演奏が中断するからだろう。
【No.206】:カウントから始まる。細切れのセッション・テープから使える所をつまみ食いしたとおぼしく、締めのヴォーカルは前半部分を再利用してどうにかまとめている。リズム隊の仕事ぶりに感服。
Easy Blues
ウッドストックのビデオでエンディング(Woodstock Reprise)に流れるのがこの曲。【No.208】は完奏、【No.209】は早めにフェイドアウト。さらに【No.209】では、高音でひたすら同じようなフレーズを繰り返す部分(【No.208】2:55〜4:10、【No.209】2:53〜3:45)を所々カットして25秒くらい短縮している。
【No.208】も完全版ではない。前半のラリー・リーのソロ(【No.207】1:18〜4:35 が削除された部分、【No.208】1:18 が編集ポイント)と、エンディング間際(【No.207】8:55〜9:56 が削除された部分、【No.208】5:40 が編集ポイント)を大幅にカットしている。
Beginnings (Jam Back At The House)
「Live at Woodstock」では "Jam Back At The House" というタイトルになっていた。バック差し替えヴァージョン【No.211】の元になってるのは、そのライヴ後に同じメンバーでスタジオ録音された【No.210】。前半で聴ける特徴的なアドリブ・ソロ(クリーンな音色、ぎこちない指使い)が後半に繰り返される。まるでマイルスの "Shhh/Peaceful" (In a Silent Way) みたいに。で、このソロ、弾いてるのはラリー・リー! ジミは歪んだ音色でリズムを刻み、1:27 からソロを取る。「Midnight Lightning」にラリー・リーのクレジットは無く、プロデューサーのアラン・ダクラスをはじめとして、ジミが弾いてると思い込んでる人が多いかも。ウッドストックのライヴでもこれと似たフレーズを弾いてるからビデオで確認してみて。セカンド・ルック(2枚目)の方がわかりやすい。いつも編集でカットされたり音を消されたり、かわいそうな仕打ちを受けるラリー・リーが主役に躍り出た珍しい例。
【No.212】はパーカッションが大きく入り、1:20 から始まるリフの繰り返し回数が【No.213】より倍以上多い(約30秒長い)。後半のギター・ソロが【No.213】とは別テイクでエンディングが約50秒長い。
Message To The Universe / Message To Love
【No.214】:"Earth Blues"(インスト)〜ドラム・ソロ〜 "Message To Love"(最後に少し歌入り)と続くジャム。まだ Experience 活動中のこの時期に早くも原型が出来ていたことになる。
【No.215】:Gypsy, Sun & Rainbow による初期ヴァージョン。音階上昇イントロアウトロがはっきり確立しておらず、エンディングで曲調が変化してドローン状に続いていくのが特徴。
【No.216】〜【No.220】は同一テイク。編集違いにより3パターンに分けられる。
(1)【No.216】:他と違い前半のギター・ソロ(30秒)が無く、代わりにここにしか無い歌の部分(0:55〜1:13)がある。
(2)ギター・ソロ(0:55〜1:25)が挿入された【No.217】【No.218】【No.219】はごくごく些細なミックス違い。【No.219】と比較すると…
【No.217】:音が悪く、定位が不安定。最後のパーカッションが「カンコンカンコンカカココ」と生々しい音で大きく残る。
【No.218】:ブレイク部分(2:17〜)でコーラスが目立つ。最後はフェイドアウト。
(3)【No.220】:口ごもる箇所(【No.219】2:07)があるためか、歌の一部(【No.219】1:50〜2:08)をカット。新たにパーカッションをオーバーダブしたことになってるが聞き取れない。
Earth Blues
【No.221】:他とは全くの別テイクで歌詞もかなり違う。コーラスはロネッツ抜きで男だけ。ギターのオーバーダブも無くシンプル。
【No.222】【No.223】【No.224】はドラムとギターがそれぞれ違う以外は基本的に同一テイクだろう。
【No.222】:コーラスは左右から聞こえる。最後早めにフェイドアウト。
【No.223】:オーバーダブされたギターが【No.222】とも【No.224】とも異なり、最も激しく派手に入る。シンバルもバシャバシャと騒がしい。ドラムはたぶんマイルス。よってこれは Band of Gypsys ヴァージョンのヴァリエーションと言える。【No.222】【No.224】に入ってるタンバリンはここでは聞こえない。コーラスは右から。
【No.224】:ドラムをミッチェルと差し替え。コーラスは中央から。エンディングが長く、最後に不思議な音が入ってる。
Power Of Soul
当初のタイトルは "Paper Airplanes / Crash Landing" だった。
【No.225】:冒頭ディレイ効果無し。2:37 から歌。
【No.226】:冒頭ディレイ効果有り。2:40 から歌。ブリッジに相当する部分(【No.225】2:57〜3:18)を削除。終盤も少々切り詰められているようで、オーバーダブされたギターも【No.225】と若干違う。
【No.227】:【No.226】の冒頭10秒に相当する部分をカット。0:45、いきなりサビ(コーラス)から歌い始める。ヴァースは 1:08 から。途中も所々バッサリ削って短縮したり、順番を入れ替えたり、ヴォーカルにリヴァーブをかけたり、かなりいじっている。ただしバックの演奏はパーカッションを加えた以外は手つかずのようだ。
last updated: 2013.4.28
Part 8 に続く
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