“私的”スマイル・ブート小史
「Smile Era Outtakes」(韓国製)
1989年頃、CDで最初に出たもの。音が悪い上に、何度もやり直しをする場面やラジオ用CMが入っていたりして実質的な曲数が少なく、いまいち不満の残るものだったが、飢餓感があったため飛びついてむさぼり聴いたものだ。
SPA (The Early Years)
ブートLPと「Smile Era Outtakes」の音源から編集したようなもので、新鮮味はないが、便利な一枚。
ブートLPについて
ぼくが入手したのは「Smile Era Outtakes」が出た後だったが、80年代にLPで2種類出ていた。CDブートが出てから音源的に存在価値がなくなった、との判断で手放してしまった。今は少し後悔している。
1stエディションは、正規ヴァージョンがかなり入ってたり、何の関係もない Miles Davis「Porgy and Bess」の1曲がなぜか紛れ込んでたり、"Surf's Up" でつぎはぎがあったり、と雑な造りの盤だったと思う。2ndエディションはもう少しましな編集だったような気がするが、よく覚えていない。正式ヴァージョンも含め、一枚のアルバムとしてのトータル性はあった。
真打ち(T 2580-2)登場
正規版並に音が良いし、何と言っても内容が凄かった。これまで聴いたことのない音源がザックザク。自作テープを作る上でもこれには一番お世話になった。("Our Prayer" は正規版より良い出来だと思う。マジで)
それ以後、続々とブートCDが出たが、これ以上の衝撃はない。Good Vibrations Box で「Smile」の一部が正式に発表された時も新鮮味がなかったほどだ。ほとんど聴いたことがあったから。
ちなみに、T 2580 というのは当時発売されれば付くはずだった Capitol のLP番号である。
Vigotone 盤LP3枚組
各々ピンク、パープル、ブルーのカラー・レコード。ポスターとレコーディング・シートのコピーがおまけに付いていた。ジャケット/盤、どこにも Vigotone とは書いておらず、堂々と Capitol ロゴを使い、(c)1967 BROTHER RECORDS, INC. と書いてある。LP番号は T 9002。
1枚目AB面が一応の完成品としてまとまって聞ける(大部分 T 2580-2 からコピーしたようだが)。CDE面が別テイク+セッション風景+オマケ。F面 (Party) は良く聞き取れないおしゃべりが延々続いて何だかわからない。これ一体何なんだ?
ここに収録されている "Do You Like Worms?" のうち、3つ目のヴァージョンは「スマイル」期の録音ではなく、ビーチ・ボーイズとも無関係。 L.A. のグループ Ant Bee のメンバー Billy James がカヴァーしたものとのこと(詳細不明)。わざとノイズを入れたりしてそれらしくしてるが、よく聴けば節回しが微妙に違うし、声も違う。
これ以後(特にブライアン来日以後)、「スマイル」への探究心、果てはビーチ・ボーイズ関係の裏音源に対する興味は薄れてしまった。Sea Of Tunes から膨大に流出したセッション集は一切入手していない。心情的にも金銭的にも手を出す気になれないのである。2000年ミレニアム・エディションの類いはリミックスで音が良いと評判だがブートとして邪道だと思う。
Smile Index
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