[連載]THE THIRD STONE BAND物語

第１回 誕生
あれは2003年の初夏の頃やったと思う。
全く偶然飛び込んだ梅田のショットバーバーTHIRDSTONEに何回か通うようになって、
無愛想だが悪い奴ではなさそうなマスターとようやく話が噛み合い出した頃、
「俺、一回でええからホーンの入ったバンドでオーティスやサム・クック歌うてみたいねんムード」
と私が夢を語ると、「ほんならやりましょか」と意外にもマスターは軽く賛同してくれた。
「こんな感じオモロいんちゃいます？」と言いながら見せてくれたのが映画「コミットメンツ」
カチンコイギリスの素人男女がソウルバンドを結成する物語である。
酔いも手伝い「これや！これ！女の子たくさん入れて華やかなバンドにしたらええ」
いとも軽々しく話はまとまったのである。
が、メンバーを集める段階になって誤算が続いた。
ベース、ドラム、ギターは決まったものの肝心のホーン隊が全く決まらない。
マスターは来る客来る客に「ホーンやらはりません？」と聞いてくれたが見つからない。
やむなくバンドメンバー募集サイトに掲載した所、
２人のサックスプレイヤーから参加したい旨の返信があった。
「さすがITやなぁ！ホンマに良かったなぁ」ついに待望の初スタジオ練習に漕ぎ着けたのだが、
もう街は晩秋の気配であった。
(続く)→第２回 初練へ

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