70年バルチモア生まれ。本名アール･シモンズ。金属的的な高速ビートで有名なスウィズ･ビーツをメイン･プロデューサーとするラフ･ライダーズ軍団の中心的存在。少し荒れ気味で野性味溢れる声質はどんなラッパーと共演してもひけを取らない、強靭さを見せている。実際、最初に注目されたのは、LL COOL Jの「4,3,2,1」のなかで、レッド･マン、メソッド･マンといった豪華なメンツを差し置いて、ただならぬ存在感を放ったことがきっかけであった。他にもアイス･キューブ、メイスといったアーティストの客演で名を上げ、98年アルバム『It's dark and hell is hot』をリリース。スウィズ･ビートといった制作陣が作りだす骨太でファンクネスなトラックに、DMXの威嚇するようなラップが乗ったこのアルバムは、全米チャート第１位を獲得する。そのわずか半年後リリースされた、マリリン･マンソンをゲストに迎えた『Flesh of flesh Blood of blood』も大ヒットを記録。00年に発表された『...And Then There Was X』においても、終始インパクトのあるトラックを豪気なラップが引っ張っていくという、一貫したスタイルを主張しているが、単調さを微塵も感じさせない作品に仕上がった。