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交響曲第92番ト長調「オックスフォード」


概要

使いまわし,しかし……

 オックスフォードというこの曲の愛称は,ハイドンがオックスフォード大学から名誉音楽博士号を授与された時,答礼の演奏会で演奏された曲目だからである。
 すると,ブラームスの「大学祝典序曲」と同じような経緯をもった曲なのだろう……と思うと大間違いである。
 というのは,この曲はこの演奏会のために作曲されたのではなく,それより2年も前に作曲されたものだからである。さらにこの曲自体をハイドンは二人のスポンサーに売ったりしている。要するに「使いまわし」をされた作品なのである。

 しかし,そういった経緯は,きっとハイドン自身がこの曲の出来栄えを気に入っていたからに違いないだろう。それだけこの曲には新鮮さがあり,奥深さもある。この曲が作曲されてから答礼の演奏会で演奏されるまでの間に,少なくとも第96番,第95番の2曲の交響曲が作曲されているが,答礼の演奏会でそれらの曲よりもこの曲を選んだのは,それだけの自信があったからなのだろう。
 なお,この曲はハイドンがエステルハージ家の楽長として書いた最後の交響曲である。

ドラマチックな内容

 この曲は,それまでのハイドンの作品と比べると,陰影が強くなってドラマチックになったという感じがしないだろうか。陰影が強くなったのは事実である。たとえば,短調で書かれた楽章は1つもないが,第1楽章や第4楽章の展開部,第2楽章の中間部はかなり多くの部分が短調で書かれている。
 ハイドン自身は,中期の一時を除いて,交響曲にあまり多く短調を使用していないが,この曲のあたりから,この様な短調の使い方が目立つようになってくる。この曲はそのさきがけになっているといえよう。

聴きどころ

ひとめぐり

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