アメリカ海軍
アメリカ海軍(アメリカかいぐん,United States Navy:略称,U.S.Navy)はアメリカ合衆国が保有する海軍のこと。
大型正規空母12隻、イージス艦(約50隻)を中心に主要水上戦闘艦約110隻、作戦機4,000機以上、兵員50万人以上を誇り、
予算規模は約650億ドルと世界最大・最強の海軍。正規空母(航空機80機前後搭載)と随伴艦艇数隻によって構成される空母打撃群は
、優に小国一国の軍事力を凌ぐといわれる。
アメリカ海軍は、アメリカ独立戦争中に設立された大陸海軍を起源としている。
大陸海軍は、1775年10月13日の大陸会議によって、設置が承認された。
英国陸軍への軍需物資を搭載した輸送船を妨害するために、2隻の武装船を準備したことから始まっている。
1789年に批准されたアメリカ憲法は、議会に「海軍を提供し養う」ことの権限を与えた。
これに基づいて議会は、6隻のフリゲートの配備および艦への人員配置を命じた。
6隻のうちの1隻であり、「オールドアイアンサイズ」として親しまれているコンスティチューション(USS
Constitution)は、
今日でもボストンに保存されている。
なお、コンスティチューションは現在でもアメリカ海軍の現役艦である。
アメリカ独立戦争中に艦船数は50隻を数え、最盛期には20隻以上が活動していた。
その後、大陸会議はアメリカ独立戦争の終了に伴い、大陸海軍の艦船を売却し人員を復員させたため、海軍は解散した。
1794年になると、ヨーロッパでの政情不安に伴い、商船の航行に不安が生じるようになった。
そこで、憲法の規定に従い、議会は1794年3月27日に6隻のフリゲートの建造を命じ、1797年に最初の3隻(ユナイテッド・ステーツ、コンステレーション、コンスティテューション、USS United States, Constellation, Constitution )は就役した。
それらのフリゲートは、1812年の米英戦争において、イギリス海軍と戦闘を行い、それを撃破した。
南北戦争中に、革新的な甲鉄艦の運用を行った。
1880年代から近代化により、20世紀の始めには、世界でも上位の海軍となった。
その後、第一次世界大戦における活動は相対的に低調だったものの、
第二次世界大戦においては、特に太平洋戦線において活動を行い、
また戦時の拡張により世界最大の海軍への成長を遂げ日本海軍を圧倒した。
議会が1798年4月30日に海軍省を設立するまで、旧陸軍省 (Department of War) が海軍の事務を処理した。
海軍は1949年に国防総省の一部になった。
日本海軍の真珠湾攻撃により、アメリカも第二次世界大戦に参戦した。
太平洋では日本の空母機動部隊に対抗する為に、正規空母を中心とした艦隊を作り、
大西洋や地中海ではドイツ海軍の潜水艦による通商破壊作戦への対応する為に、
護衛空母と護衛駆逐艦を大量に投入した。
ソ連空軍のTu-95爆撃機を追うアメリカ海軍のF-14戦闘機
第二次世界大戦が終わり、アメリカを中心とした西側と、ソビエト連邦を中心にした東側との冷戦が始まると、
二度の世界大戦で疲弊したイギリス海軍は縮小され、アメリカ海軍が世界に展開するようになる。
東ヨーロッパが次々と共産化されると、
イギリス海軍と共に地中海に艦隊を派遣して
ギリシャの共産化を防いだ。
朝鮮戦争ではアメリカ軍が中心となって国連軍として戦い、中東戦争が始まると牽制の為に艦隊が派遣され、
ベトナム戦争でも機動部隊が派遣された。第二次世界大戦後は、イギリス海軍からアメリカ海軍へ世界の海の覇権が移った。
その後もソ連海軍に対抗する為に、退役していたアイオワ級戦艦にトマホークを搭載して現役に戻すなど、
海軍は拡張されて約600隻の大艦隊(600隻艦隊構想)を維持していたが、
冷戦の終結により規模は縮小され、現在は約300隻の艦艇を持っている。
また、冷戦時は敵の艦隊を攻撃し、制海権を維持する事が最大の任務であったが、
冷戦後はアメリカ海軍に対抗出来る海軍は世界に皆無になり、地域紛争への対応する為に、
海から陸上への戦力投射「フロム・ザ・シー」に任務が変わった。
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米海軍の戦闘艦の名前はすべて「合衆国の船」(United States Ship) を意味する、USSで始まる。
米海軍の非戦闘、民間の有人船は「アメリカ軍艦」(United States Navy Ship)
を表すUSNSから始まる名前を持っている。
また、艦艇のタイプを指定するための文字に基づいた船体分類シンボルを使用する。 アメリカ海軍艦艇一覧も参照のこと。
詳細は各国軍の航空配備一覧
発射されるSM2
DD(X) 米海軍が開発中の次世代 汎用駆逐艦
DD(X)は、スプールアンス級、駆逐艦などの後継として開発されており、進水は2011年を予定している。当初はDD−21として開発を進めていたが、
価格高騰などの問題により規模を縮小、名称もDD(X)と変更された。2006年4月7日、米海軍はDD(X)1番艦をDDG(ミサイル駆逐艦)1000ズムウォルトと命名した。
DD(X)の主要任務は、陸上攻撃だが、対潜水艦戦闘、海上阻止、防空等の任務もこなす汎用駆逐艦だ。米海軍は、
将来の水上戦闘艦として、DD(X)の他、ミサイル巡洋艦CG(X)、沿海戦闘艦LCSの装備を計画している。
なお、CG(X)は、DD(X)と推進システム、船体デザインを共用する予定である。
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DD(Destroyer)の名称が示す通り、米海軍ではDD(X)を駆逐艦に区分している。
しかし、満載排水量は1万4千トン以上となり、現在就役中のタイコンディロガ級巡洋艦(満載排水量
約1万トン)より大型で「巡洋艦」としても充分通用する。
但し、自動化により乗員は現用駆逐艦の半分の約150名となる。
DD(X)の主な武装は、最大射程180kmの155mmAGS((Advanced
Gun System:先進砲システム))2門、
トマホーク巡航ミサイルや、スタンダード・ミサイル、ESSM(発達型シー・スパロー・ミサイル)、VLA(垂直発射型ASROCK)などを搭載可能な、
PVLS(Peripheral Vertical Launch System:舷側垂直発射装置)80セル、および中型ヘリコプター2機などを装備する。
この他、他の艦艇、航空機からの情報をネットワークを通じて交換・処理し、目標補足、識別、攻撃、効果判定などを迅速に行う。
LCAC エルキャックと読むLanding Craft Air Cushion(ed)の頭文字を取った名称。
日本語に訳せばエアクッション(ホバークラフト)型揚陸艇。
米海兵隊の揚陸作戦に使用される水陸両用エアクッション艇。沖に停泊する揚陸艦から、
戦車、装甲車輛、榴弾砲、補給物資、人員などを上陸地点まで時速70km以上で輸送する。制式名称LCAC1。
従来、揚陸艦は上陸地点から10kmほどの海上から上陸用舟艇を発進させていた。しかし、対艦ミサイル等の発達により、水平線外45km以上の距離から上陸用舟艇を発進させる必要性が生じた。これを実現するには従来型の上陸用舟艇では速度不足で、戦車等の重装備を搭載して、時速70km以上の速度で航行可能な上陸用舟艇の開発が求められた。
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LCACの開発は1970年に着手され、1984年に部隊配備を開始した。現在までに91隻が米海軍に配備されている。また、韓国、日本でも使用されている。
LCACの実用化は揚陸作戦に劇的変化をもたらした。従来型上陸舟艇は速度が時速20km程度と遅く、ゆるい傾斜の砂浜にしか上陸できないため、上陸地点は世界の海岸の15%に限定されていた。また、潮の満ち引きに影響されやすく、機雷および上陸阻止用の障害物にも弱い。
これに対して、エアクッション型のLCACは世界の海岸線の70%以上に上陸可能となり、敵側はLCAC上陸地点の予測が困難となった。防御の手薄な海岸を選んで上陸できるため、生存性が向上、運用面での柔軟性も増した。また、潮の満ち引きに影響され難く、海岸よりさらに内陸部への輸送も可能である。
LCACはアルミニウム合金構造で、右舷前部に乗員室を持ち、艇長、機関士、航法士と兵員8名が搭乗できる。正確な上陸地点に物資を届けるため、レーダー、INS、GPSなど航法装置と通信機器を装備する。
左舷前部コンパートメントには、ロードマスターとデッキエンジニアの他、兵員16名を収用可能だ。
右・左舷後方の機関室には4000馬力のアブロ社製TF-40Bガスタービン各2基を搭載、直径1.6mの浮揚用ファン4基および、直径3.6mの推進用ダクテッド・ファン2基を駆動する。推進用ファンはピッチを変更することにより後進も可能だ。
艇体中央部は車輛、物資などを搭載する甲板となっており最大搭載能力は75トン、M1戦車も搭載できる。また、人員輸送用モジュールを取り付ければ最大180人を輸送可能だ。甲板前後には車輛が自走して積み降ろしができるランプがあり車輛の自走搭載、通過も可能だ。但し、航行中は貨物甲板への人の出入りは、ガスタービンの熱、騒音のため禁止されている。またキャビン内でも耳栓が必要である。
艇体周辺下部にはゴム製スカートが装着されており、浮揚用ファンから空気を送り込む。艇体は海面から1m以上浮き上がって航行するため、抵抗も少なく、運動性に優れる。最大速度は時速100km、航続距離は270kmを越える。
LCACは揚陸艦の艦尾ドック(ウエル・デッキ)に縦列で収納される。前部および後部ランプを降ろすと、戦車などの車輛が自走して搭載可能だ。
車輛や貨物を搭載するとチェーンで固定され、前部、後部ランプが持ち上げられる。
ガスタービンを始動して、LCACは自力後進でドックから海に出る。
待機場所で他のLCACや護衛の攻撃ヘリと合流の後、上陸地点に向かう。
上陸地点にはビーチマスターと呼ばれる上陸舟艇誘導員が待機しており、LCACの上陸を支援する。車輛や貨物を降ろすと、また揚陸艦に引き返しこのサイクルを繰り返す。
高い性能を持つLCACだが、運用上の制約は以下の通り。
ガスタービンを出力向上型のETF40B(4745馬力)に変更、通信・航法装置などを改良、艇体構造も耐腐食性を向上させ、
耐用年数を30年に延長したLCAC Mk2への改修も現在進行中である。
また、LCACに30mmガトリング砲やヘルファイア・ミサイルなどを搭載した火力支援艇の他、掃海システム、
機雷などの上陸障害物を取り除く、ロケット発射式爆索を搭載する計画も検討されている。
英BAEシステムズ社の武装ロボット巡視船
【Technobahn 2007/12/28 11:22】画像は米海軍と米沿岸警備隊が導入を検討中の
英BAEシステムズ社のロボット監視船「プロテクター(Protector)」。
無人偵察機などと同じように遠隔操作方式を用いることにより自由に航行することが可能となっており、
不審船などを見つけた場合は搭載している機関砲を発砲することで、相手に対して警告を与えたり、攻撃を加えることも可能。
米海軍 特殊部隊シール
未来の「航空戦艦」
【Technobahn 2007/9/25 17:12】画像は英BAEシステムズが今月11日に発表した無人航空機用のフライトデッキを備えたミサイル駆逐艦「UXV
Combatant」の想像図。
英BAEシステムズでは未来の戦場はインテリジェントなロボットによる戦闘が主流になるしており、
多数の小型の無人航空機を短時間の間に離着陸させるための専用のフライトデッキを備えた次世代型のミサイル駆逐艦の開発を進めている。
この船、就航は2020年以降となる予定。
画像提供:BAE Systems