2000年4月2日の日曜日、平和な午後3時過ぎ。ところは渋谷109脇、グリーンピースに真っ向勝負をかけて鯨料理を出し続ける老舗「くじら屋」前の路上。無慮100人ほども蝟集する服装にも年齢層にも共通性のない一群の人々は何者なのだろうか。みんなが一様に持参している50センチほどのケースは何なのだろうか。あれが軍配であるならば、行司の一団か? それともテニス? いやラケットにしては小さめだから、よく判んないけどスカッシュとか? それとも巨大しゃもじを持った流れ板の群? 群の中央に立っている派手な服装の男が一声かけると、群の各々がそれぞれに小さなギターを取り出す‥‥ウクレレだっ! ウクレレ弾きの群だっ! 逃げろっ! という暇もなく、演奏ではなくチューニングが始まりました。そしてカウント、1曲目の“ツイスト・アンド・シャウト”が始まります。
2月の「てっちゃんの新年会」ではソロ&ジャズ伴奏デビュー、続いて3月には「最初はC」のお花見にてウクレレ仲間うち合奏デビューと順調な滑り出しを見せている私の、今回はついにウクレレ*アフタヌーンさんでのゲリラライブ・デビューということになる。 いかいクロマチック・ハモニカ・オンライン界に比べれば広大無辺のウクレレ・ネット界とはいえ、まあ世間的にいえば狭いっちゃ狭い(たぶんアイドル1人のファンサイトの数にも敗けることだろうて)。そんなところをうろうろしていてゲットしたのが、4月2日のアフタヌーン・ゲリラライブ開催情報。平たくいうと「集まって路上ライブしようぜ」ということらしく、3コードの簡単な曲とのことだし、まあなんとかなることだろうとて、ものすごく気楽に参加意志決定(笑)。ついては先月は主催者さんに「参加してもいいでしょうか」と弱気なメールをお出ししたところが、「いいから来い(大略)」とのお返事を頂戴してはいた。ついでなので知り合いもちょいと誘って当日に備える。
集合は当日13時、代々木公園の噴水前。前夜は体力(正確には年齢か)のことも考えて早寝するも、目覚めれば12時30分! 慌てて顔を洗ってウクレレとハモニカをケースに放り込んで、靴を履いてからふと掛け時計を見たらなんのことはない、まだ朝の8時半。目覚まし時計の電池が外れていただけでしたちゃん(Ab)ちゃん(Db)。 というわけで気を取り直して、12時半過ぎに国電原宿駅下車、代々木公園へ。駅前で「りびさん」と声をかけられて、見たら花見でお会いしたY嬢です。よかった、これで道に迷わずにすむぞ(ってそんなに心配してなかったけど)。さてジェネレータ(発電機)とPAを擁した街頭バンドが大音響でロックを奏でるなか、噴水まで行ってみたけど誰もいない。見ると向こうにもっと大きな噴水があって、その近辺にそれらしき軍配を持った一団がいます。というわけで無事合流、人数数え名簿に署名して、とろとろと譜読みなどしている最中にもどんどんそれらしき人が増えていきます。
誘っておいた名古屋人(1)が、練習用に貸与しておいたLanai芳一さんを背負って、なんでかやはりウクレレを背負った女の子と二人連れで現れました。聞いてみたら、なんでか原宿駅前でナンパしたんだかされたんだかで、「ウクレレをかついでいるから仲間に違いない」という判断によった模様です。女の子も名古屋人(2)だそうで、偶然というのはあるもんですね。名古屋人(2)のウクレレを拝見したら、なんとウッドフリクションのオールドでした。そうか、名古屋といえばLanaiのお膝元だし、きっとウクレレ文化が百花繚乱ということなのでしょう(大正琴も忘れてはなりませんが)。 ふと思いついて、少し離れて集団を見てみました。集団の中にいると気づきませんが、ものすごくヘンです。これはマズいと思い、集団の中に戻りました。もう平気です大丈夫です。
定時過ぎから前説があり、その後に90分間の練習タイムが設定されていました。「あたし初心者」、「なんとかなりそう」、「俺は弾けるぜ」といったグループにわかれて、各々のグループには古参のリーダも設定されます。僕は‥‥“ツイスト・アンド・シャウト”、“セサミ・ストリート”、“テキーラ”(以下各々「ツイスト」、「セサミ」、「テキーラ」としておきましょうか)くらいだったらまあ何とか弾けるだろうし、ハモニカも持ってきちゃったこととて
イロモノリーダー・ピアニカさんの指導のもと、3曲について構成を教えていただき、軽く合わせます。よく知らなかった「セサミ」のBメロは田口浩正さんに教わって、ふむふむ、だいたい判った(ほんとかっ)。
というわけで(勝手に)自分の立場も確立したこととて、「2-3-2-4のGが押さえられないよう」という名古屋人(2)に初心者の立場から指導(笑)。えーと、
もう1回合わせてみた際には、みんながコードを弾いているなか僕一人だけサムピックを取り出して、勝手に単音ソロを弾いてみました。いやぁ、すげぇ豪華な体験(笑)。
わりと早めに「イロモノ」が学級崩壊したもんですから、よそのグループも見学して廻ります。いつの間にやらまた人数がどんどん増えて、もう100人くらいはいるような気もします。グループも5つほどに増えています。 「あたし初心者」組では、先週の花見のカラオケで僕が尊敬することに決めたK師が指導にあたり、模範演奏、指遣い、リズム、構成といった順序(だと思う)で指導が進められています。十数人が一列に並んで、真面目に一生懸命練習しています。実はCとFとG7だけを事前に仕込んでおいた名古屋人(1)の目がサバのようになっています。名古屋人(2)もこっちに混じって指導を受けることにしたようです。
こっちのなんだか判らない組には、なんでか「犬」が参加しています。 そんなことをしているうちに90分が経過したらしく、噴水の前に集合して、指揮者指導のもとに1回だけ3曲を合奏して、花見ついでの観光客にウケまくりつつ15時頃に解散。三々五々に15時30分渋谷「くじら屋」前を目指します。 お腹が空いたので、名古屋人たちとともにそのへんのコンビニでカレーパンを購入しました。もちろん「歩き喰い」ですが、渋谷だから大丈夫です。パルコ前では何やらアルコール飲料の試飲会が催されていて、なんでかウクレレを背負った人たちがブースに寄り集まって試供品を呑み倒しています。もちろん僕も混じって、湯水のように呑み倒します。それはそれとして、さっきまでいたカエル君の姿がありません、どうしたのでしょうか。
というわけで冒頭の渋谷は「くじら屋」前。 「移動中の演奏は控えてください」、「楽器は間際に出しましょう」という主催者の正当な要請を受けて、なんとなくみんながそのへんにいます。あ、でも袖に譜面を貼っている人がいます。バレるぞっ!(なにが(笑))。 そして指揮者の指示のもと、みんなしてさっと楽器を取り出し、先ずはチューニング。ピッチパイプとピアニカと、僕も使っているけど型番のわからないボタンピアノがGを奏でますがまだ音量が足りないようなので、かねて左胸ポケットに用意のクロマチックを取り出して「音出し」に参加します。
関係ないけど。
そしてチューニング。集団を見下ろせる「歩道橋」のうえから、外国人観光客のビデオカメラの砲列が敷かれます。
集団の向こうの端で、バリサク(バリトンサックス)を組み立てておられるかたがいらっしゃいます。きっとお仲間なのでしょう。これは音量が違いすぎます。経験則からすると「いちばんテンポをリードできるのはピアニカさん」なので、念のためピアニカさんの側まで移動します。
ついでNHKホール前へ、やはり三々五々移動。なんか途中でレイヴ大会とかやっていて、僕には何がおもしろいんだかよく判りません(狭い>>じぶん)。路上バンドも大小(音量による判断)ありますが、心の琴線に触れるものもそうはなく(一人、ものすごくうまいベースの人がいたなあ)、通りすぎて集合場所へ。 最終現場とて、既にウクレレを取り出して弾いているかたがそこそこいます。そして演奏、そして終了。
主催運営をいただいた皆さん、ありがとうございました。 いろいろご教示いただいた皆さん、ありがとうございました。 僕にデタラメを教えられて納得しておられた皆さん、ありがとうございました。 今後ともよろしくお願い申し上げます。>>みなさま。
ところでカエル君はどこへ?
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